薬効分類 | スルホニルウレア (SU) 系糖尿病薬 |
一般名 | グリメピリド3mg口腔内崩壊錠 |
薬価 | 10.1円 |
メーカー | 東和薬品 |
最終更新 | 2023年07月改訂(第1版) |
通常、グリメピリドとして1日0.5〜1mgより開始し、1日1〜2回朝または朝夕、食前または食後に経口投与する。維持量は通常1日1〜4mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1日最高投与量は6mgまでとする。
2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る)。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(4.08%):低血糖(初期症状:脱力感、高度空腹感、発汗等)があらわれることがある(なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること)。
また、本剤の投与により低血糖症状(脱力感、高度空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
また、低血糖は投与中止後、臨床的にいったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある〔1.警告、2.2、2.4、8.1、8.3、9.1.1、9.2.1、9.2.2、9.3.1、9.3.2、9.7.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。
11.1.2. 汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.4. 再生不良性貧血(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1〜5%未満)白血球減少、貧血。
2). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇。
3). 腎臓:(0.1〜5%未満)BUN上昇。
4). 消化器:(0.1〜5%未満)嘔気、嘔吐、心窩部痛、下痢、腹部膨満感、(頻度不明)便秘、腹痛。
5). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、そう痒感等、(頻度不明)光線過敏症。
6). 精神神経系:(0.1〜5%未満)めまい、(頻度不明)頭痛。
7). その他:(0.1〜5%未満)血清カリウム上昇・血清ナトリウム低下等の電解質異常、(頻度不明)味覚異常、CK上昇、浮腫、倦怠感、脱毛、一過性視力障害。
重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、用法及び用量、使用上の注意に特に留意すること〔8.1、11.1.1参照〕。
2.1. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病等)の患者[インスリンの適用である]。
2.2. 重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]〔9.2.1、9.3.1、11.1.1参照〕。
2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンの適用である]。
2.4. 下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]〔11.1.1参照〕。
2.5. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.6. 本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
8.1. 本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔1.警告の項、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 投与する場合には、少量より開始し、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行うこと。
8.3. 重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取。
・ 高齢者。
〔8.1、11.1.1参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)〔2.2、11.1.1参照〕。
9.2.2. 腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)〔2.2、11.1.1参照〕。
9.3.2. 肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
本剤は、主に肝代謝酵素CYP2C9により代謝される。
10.2. 併用注意:
1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−4阻害薬、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血糖降下作用が増強される)]。
2). プロベネシド[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
3). クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制により血糖降下作用が増強される)]。
4). サリチル酸剤(アスピリン、サザピリン等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、サリチル酸剤の血糖降下作用により血糖降下作用が増強される)]。
5). プロピオン酸系消炎剤(ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム水和物等)、アリール酢酸系消炎剤(アンフェナクナトリウム水和物、ナブメトン等)、オキシカム系消炎剤(ロルノキシカム等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制により、これらの消炎剤は蛋白結合率が高いので、血中に本剤の遊離型が増加して血糖降下作用が増強するおそれがある)]。
6). β−遮断剤(プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(特にβ−遮断剤と併用する場合にはプロプラノロール等の非選択性β−遮断剤は避けることが望ましい)(糖新生抑制、アドレナリンによる低血糖からの回復抑制、低血糖に対する交感神経症状抑制により血糖降下作用が増強される)]。
7). モノアミン酸化酵素阻害剤[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進、糖新生抑制により血糖降下作用が増強される)]。
8). クラリスロマイシン[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明、併用薬剤が他のスルホニルウレア系薬剤の血中濃度を上昇させたとの報告がある)]。
9). サルファ剤(スルファメトキサゾール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
10). クロラムフェニコール[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制により血糖降下作用が増強される)]。
11). テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン感受性促進により血糖降下作用が増強される)]。
12). シプロフロキサシン、レボフロキサシン水和物[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明)]。
13). フィブラート系薬剤(クロフィブラート、ベザフィブラート等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
14). アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール、フルコナゾール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制(CYP2C9阻害)、血中蛋白との結合抑制により血糖降下作用が増強される)]。
15). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進によると考えられる血糖降下作用の増強のおそれがある)]。
16). アドレナリン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢でのブドウ糖の取り込み抑制、肝臓での糖新生促進により血糖降下作用が減弱される)]。
17). 副腎皮質ホルモン(コルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下により血糖降下作用が減弱される)]。
18). 甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(腸管でのブドウ糖吸収亢進、グルカゴンの分泌促進、カテコールアミンの作用増強、肝臓での糖新生促進により血糖降下作用が減弱される)]。
19). 卵胞ホルモン(エストラジオール安息香酸エステル、エストリオール等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等によると考えられる血糖降下作用の減弱のおそれがある)]。
20). 利尿剤(トリクロルメチアジド、フロセミド等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下により血糖降下作用が減弱される)]。
21). ピラジナミド[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、血糖値のコントロールが難しいとの報告がある)]。
22). イソニアジド[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖質代謝の障害による血糖値上昇及び耐糖能異常により血糖降下作用が減弱される)]。
23). リファンピシン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝代謝促進(CYP誘導)により血糖降下作用が減弱される)]。
24). ニコチン酸[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝臓でのブドウ糖の同化抑制により血糖降下作用が減弱される)]。
25). フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン、フルフェナジン等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン遊離抑制、副腎からのアドレナリン遊離により血糖降下作用が減弱される)]。
26). フェニトイン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリンの分泌阻害により血糖降下作用が減弱される)]。
27). ブセレリン酢酸塩[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、ブセレリン酢酸塩投与により、耐糖能が悪化したという報告がある)]。
少量から投与を開始し定期的に検査を行うなど慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖があらわれやすい)〔11.1.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(スルホニルウレア系薬剤は胎盤を通過することが報告されており、新生児の低血糖、巨大児が認められている(また、本剤の動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用が報告されている))〔2.5参照〕。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討し、授乳を継続する場合、児の低血糖の症状について観察を十分に行うこと(本剤のヒト母乳への移行性及び乳汁産生への影響は不明であるが、動物実験(ラット)において、母乳への移行が認められており、また、他のスルホニルウレア系薬剤で母乳へ移行することが報告されている)。
9.7.1. 小児に投与する際には、低血糖症状及びその対処方法について保護者等にも十分説明すること〔11.1.1、16.1.2、17.2.1参照〕。
9.7.2. 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は9歳未満の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
13.1. 症状
過量投与時、低血糖が起こることがある〔11.1.1参照〕。
13.2. 処置
13.2.1. 過量投与時、飲食が可能な場合:ブドウ糖(5〜15g)又は10〜30gの砂糖の入った吸収の良いジュース、キャンディなどを摂取させる。
13.2.2. 過量投与時、意識障害がある場合:ブドウ糖液(50%20mL)を静注し、必要に応じて5%ブドウ糖液点滴により血糖値の維持を図る。
13.2.3. その他:過量投与時、血糖上昇ホルモンとしてのグルカゴン投与もよい。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
14.1.3. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
(取扱い上の注意)
錠剤表面に白い斑点が認められることがあるが品質に影響はない。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. スルホニルウレア系薬剤(トルブタミド1日1.5g)を長期間継続使用した場合、食事療法単独の場合と比較して心臓・血管系障害による死亡率が有意に高かったとの報告がある。
15.1.2. インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
イヌを用いた慢性毒性試験において、最高用量の320mg/kg投与群の雌雄各1例に白内障を認めた。ウシの水晶体を用いたin vitro試験とラットを用いた検討結果では、白内障を発症させる作用や発症増強作用の可能性は認められなかった。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | スルホニルウレア (SU) 系糖尿病薬 |
一般名 | グリメピリド3mg口腔内崩壊錠 |
薬価 | 10.1円 |
メーカー | 東和薬品 |
最終更新 | 2023年07月改訂(第1版) |
通常、グリメピリドとして1日0.5〜1mgより開始し、1日1〜2回朝または朝夕、食前または食後に経口投与する。維持量は通常1日1〜4mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1日最高投与量は6mgまでとする。
2型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果が得られない場合に限る)。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 低血糖(4.08%):低血糖(初期症状:脱力感、高度空腹感、発汗等)があらわれることがある(なお、徐々に進行する低血糖では、精神障害、意識障害等が主である場合があるので注意すること)。
また、本剤の投与により低血糖症状(脱力感、高度空腹感、発汗、動悸、振戦、頭痛、知覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、意識障害、痙攣等)が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α−グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。
また、低血糖は投与中止後、臨床的にいったん回復したと思われる場合でも数日間は再発することがある〔1.警告、2.2、2.4、8.1、8.3、9.1.1、9.2.1、9.2.2、9.3.1、9.3.2、9.7.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。
11.1.2. 汎血球減少、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.4. 再生不良性貧血(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1〜5%未満)白血球減少、貧血。
2). 肝臓:(0.1〜5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al−P上昇、LDH上昇、γ−GTP上昇。
3). 腎臓:(0.1〜5%未満)BUN上昇。
4). 消化器:(0.1〜5%未満)嘔気、嘔吐、心窩部痛、下痢、腹部膨満感、(頻度不明)便秘、腹痛。
5). 過敏症:(0.1〜5%未満)発疹、そう痒感等、(頻度不明)光線過敏症。
6). 精神神経系:(0.1〜5%未満)めまい、(頻度不明)頭痛。
7). その他:(0.1〜5%未満)血清カリウム上昇・血清ナトリウム低下等の電解質異常、(頻度不明)味覚異常、CK上昇、浮腫、倦怠感、脱毛、一過性視力障害。
重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、用法及び用量、使用上の注意に特に留意すること〔8.1、11.1.1参照〕。
2.1. 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は糖尿病性前昏睡、インスリン依存型糖尿病(若年型糖尿病、ブリットル型糖尿病等)の患者[インスリンの適用である]。
2.2. 重篤な肝機能障害又は重篤な腎機能障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]〔9.2.1、9.3.1、11.1.1参照〕。
2.3. 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンの適用である]。
2.4. 下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者[低血糖を起こすおそれがある]〔11.1.1参照〕。
2.5. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
2.6. 本剤の成分又はスルホンアミド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
8.1. 本剤の使用にあたっては、患者及びその家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること〔1.警告の項、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 投与する場合には、少量より開始し、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療法への切り替えを行うこと。
8.3. 重篤かつ遷延性の低血糖を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること〔11.1.1参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 低血糖を起こすおそれのある次の患者又は状態。
・ 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全。
・ 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量不足又は衰弱状態。
・ 激しい筋肉運動。
・ 過度のアルコール摂取。
・ 高齢者。
〔8.1、11.1.1参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 重篤な腎機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)〔2.2、11.1.1参照〕。
9.2.2. 腎機能障害<重篤な腎機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重篤な肝機能障害のある患者:投与しないこと(低血糖を起こすおそれがある)〔2.2、11.1.1参照〕。
9.3.2. 肝機能障害<重篤な肝機能障害を除く>のある患者:低血糖を起こすおそれがある〔11.1.1参照〕。
本剤は、主に肝代謝酵素CYP2C9により代謝される。
10.2. 併用注意:
1). 糖尿病用薬(インスリン製剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−4阻害薬、GLP−1受容体作動薬、SGLT2阻害剤等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血糖降下作用が増強される)]。
2). プロベネシド[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
3). クマリン系薬剤(ワルファリンカリウム)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制により血糖降下作用が増強される)]。
4). サリチル酸剤(アスピリン、サザピリン等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、サリチル酸剤の血糖降下作用により血糖降下作用が増強される)]。
5). プロピオン酸系消炎剤(ナプロキセン、ロキソプロフェンナトリウム水和物等)、アリール酢酸系消炎剤(アンフェナクナトリウム水和物、ナブメトン等)、オキシカム系消炎剤(ロルノキシカム等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制により、これらの消炎剤は蛋白結合率が高いので、血中に本剤の遊離型が増加して血糖降下作用が増強するおそれがある)]。
6). β−遮断剤(プロプラノロール、アテノロール、ピンドロール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(特にβ−遮断剤と併用する場合にはプロプラノロール等の非選択性β−遮断剤は避けることが望ましい)(糖新生抑制、アドレナリンによる低血糖からの回復抑制、低血糖に対する交感神経症状抑制により血糖降下作用が増強される)]。
7). モノアミン酸化酵素阻害剤[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進、糖新生抑制により血糖降下作用が増強される)]。
8). クラリスロマイシン[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明、併用薬剤が他のスルホニルウレア系薬剤の血中濃度を上昇させたとの報告がある)]。
9). サルファ剤(スルファメトキサゾール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
10). クロラムフェニコール[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制により血糖降下作用が増強される)]。
11). テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン感受性促進により血糖降下作用が増強される)]。
12). シプロフロキサシン、レボフロキサシン水和物[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序不明)]。
13). フィブラート系薬剤(クロフィブラート、ベザフィブラート等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制により血糖降下作用が増強される)]。
14). アゾール系抗真菌剤(ミコナゾール、フルコナゾール等)[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(肝代謝抑制(CYP2C9阻害)、血中蛋白との結合抑制により血糖降下作用が増強される)]。
15). シベンゾリンコハク酸塩、ジソピラミド、ピルメノール塩酸塩水和物[低血糖症状が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察し、必要に応じて本剤又は併用薬剤の投与量を調節するなど慎重に投与すること(インスリン分泌促進によると考えられる血糖降下作用の増強のおそれがある)]。
16). アドレナリン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(末梢でのブドウ糖の取り込み抑制、肝臓での糖新生促進により血糖降下作用が減弱される)]。
17). 副腎皮質ホルモン(コルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝臓での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下により血糖降下作用が減弱される)]。
18). 甲状腺ホルモン(レボチロキシンナトリウム水和物、乾燥甲状腺等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(腸管でのブドウ糖吸収亢進、グルカゴンの分泌促進、カテコールアミンの作用増強、肝臓での糖新生促進により血糖降下作用が減弱される)]。
19). 卵胞ホルモン(エストラジオール安息香酸エステル、エストリオール等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等によると考えられる血糖降下作用の減弱のおそれがある)]。
20). 利尿剤(トリクロルメチアジド、フロセミド等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン分泌の抑制、末梢でのインスリン感受性の低下により血糖降下作用が減弱される)]。
21). ピラジナミド[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、血糖値のコントロールが難しいとの報告がある)]。
22). イソニアジド[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(糖質代謝の障害による血糖値上昇及び耐糖能異常により血糖降下作用が減弱される)]。
23). リファンピシン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝代謝促進(CYP誘導)により血糖降下作用が減弱される)]。
24). ニコチン酸[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(肝臓でのブドウ糖の同化抑制により血糖降下作用が減弱される)]。
25). フェノチアジン系薬剤(クロルプロマジン、フルフェナジン等)[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリン遊離抑制、副腎からのアドレナリン遊離により血糖降下作用が減弱される)]。
26). フェニトイン[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(インスリンの分泌阻害により血糖降下作用が減弱される)]。
27). ブセレリン酢酸塩[高血糖症状(嘔気・嘔吐、脱水、呼気のアセトン臭等)が起こることがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること(機序不明、ブセレリン酢酸塩投与により、耐糖能が悪化したという報告がある)]。
少量から投与を開始し定期的に検査を行うなど慎重に投与すること(生理機能が低下していることが多く、低血糖があらわれやすい)〔11.1.1参照〕。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(スルホニルウレア系薬剤は胎盤を通過することが報告されており、新生児の低血糖、巨大児が認められている(また、本剤の動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用が報告されている))〔2.5参照〕。
(授乳婦)
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討し、授乳を継続する場合、児の低血糖の症状について観察を十分に行うこと(本剤のヒト母乳への移行性及び乳汁産生への影響は不明であるが、動物実験(ラット)において、母乳への移行が認められており、また、他のスルホニルウレア系薬剤で母乳へ移行することが報告されている)。
9.7.1. 小児に投与する際には、低血糖症状及びその対処方法について保護者等にも十分説明すること〔11.1.1、16.1.2、17.2.1参照〕。
9.7.2. 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は9歳未満の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
13.1. 症状
過量投与時、低血糖が起こることがある〔11.1.1参照〕。
13.2. 処置
13.2.1. 過量投与時、飲食が可能な場合:ブドウ糖(5〜15g)又は10〜30gの砂糖の入った吸収の良いジュース、キャンディなどを摂取させる。
13.2.2. 過量投与時、意識障害がある場合:ブドウ糖液(50%20mL)を静注し、必要に応じて5%ブドウ糖液点滴により血糖値の維持を図る。
13.2.3. その他:過量投与時、血糖上昇ホルモンとしてのグルカゴン投与もよい。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である(また、水で服用することもできる)。
14.1.3. 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。
(取扱い上の注意)
錠剤表面に白い斑点が認められることがあるが品質に影響はない。
15.1. 臨床使用に基づく情報
15.1.1. スルホニルウレア系薬剤(トルブタミド1日1.5g)を長期間継続使用した場合、食事療法単独の場合と比較して心臓・血管系障害による死亡率が有意に高かったとの報告がある。
15.1.2. インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
イヌを用いた慢性毒性試験において、最高用量の320mg/kg投与群の雌雄各1例に白内障を認めた。ウシの水晶体を用いたin vitro試験とラットを用いた検討結果では、白内障を発症させる作用や発症増強作用の可能性は認められなかった。
(保管上の注意)
室温保存。
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