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有害事象共通用語規準v5.0日本語訳JCOG版 (以下、CTCAE v5.0 - JCOG) は、 2017年11月に米国National Cancer Institute (NCI) のCancer Therapy Evaluation Program (CTEP) が公表した 「Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE) v5.0」 (以下、 オリジナルCTCAE v5.0) の日本語訳JCOG版である。
HOKUTOではJCOGより公式ライセンス提供のもとアプリ対応を行っています。 以下に基本用語と使用上の注意点を引用します。
NCI有害事象共通用語規準v5.0は、 有害事象 (AE) の評価や報告に用いることができる記述的用語集である。 また各AEについて重症度のスケール (Grade) を示している。
MedDRAの最上位の階層であるSOC (器官別大分類:System Organ Class) は、 解剖や生理学に基づく臓器・器官、 病因、 目的 (例:SOC「臨床検査」は臨床検査結果の評価のためのSOC) ごとに定義されている。 CTCAE用語はMedDRAのPrimary SOCにより分類されている。 それぞれのSOC内で、 有害事象は列記され、 重症度 (Grade) の記述が併記されている。
AEとは、 治療や処置に際して観察される、 あらゆる好ましくない意図しない徴候 (臨床検査値の異常も含む) 、 症状、 疾患であり、 治療や処置との因果関係は問わない。 すなわち因果関係があると判断されるものと、 因果関係ありと判断されないもの両者を含む。 AEは特定の医学的事象を一意的に表すように定義された用語であり、 医学的な記録や報告および科学的な分析に使用される。 各CTCAE v5.0用語はMedDRAのLLT (下層語) を用いている。
GradeはAEの重症度を意味する。 CTCAEではGrade 1~5を以下の原則に従って定義しており、 各AEの重症度の説明を個別に記載している。
Grade 1
軽症; 症状がない, または軽度の症状がある; 臨床所見または検査所見のみ; 治療を要さない
Grade 2
中等症; 最小限/局所的/非侵襲的治療を要する; 年齢相応の身の回り以外の日常生活動作の制限*
Grade 3
重症または医学的に重大であるが, ただちに生命を脅かすものではない; 入院または入院期間の延長を要する; 身の回りの日常生活動作の制限**
Grade 4
生命を脅かす; 緊急処置を要する
Grade 5
AEによる死亡
Grade説明文中のセミコロン (;) は「または」を意味する。 ダッシュ (-) は該当するGradeが定義されていないことを意味する。 すべてのAEがすべてのGradeを含むわけではないので、 一部のAEではGradeの選択肢が5種類未満となっている。
一部のAEにはGrade 5 (死亡) が該当しないため選択肢に含めていない。
各AE用語の意味を明確にするため、 簡潔な定義を示している。 ダッシュ (-) は該当する定義がないことを意味する。
AEを選択する際の指針を記載しており、 当該AEに加えて、 もしくは当該AEの代わりに参照してgradingすべき他のAEを選択する指針を含む。 ダッシュ (-) は検索上の注意がないことを意味する。
*身の回り以外の日常生活動作 (instrumental ADL) とは、 食事の準備、 日用品や衣服の買い物、 電話の使用、 金銭の管理などをさす。
**身の回りの日常生活動作 (self care ADL) とは、 入浴、 着衣・脱衣、 食事の摂取、 トイレの使用、 薬の内服が可能で、 寝たきりではない状態をさす。
カテゴリーはMedDRAの最上位の階層であるSOC (器官別大分類) で構成されている。 カテゴリーと有害事象の並び順はオリジナルCTCAE v5.0のまま、 アルファベット順とした。
オリジナルCTCAEはv4.0への改訂以降、 Medical Dictionary for Regulatory Activities (MedDRA) に完全準拠した。 オリジナルCTCAE v5.0の初版はMedDRA v20.1に対応し、 その日本語訳の初版は日本語版MedDRA (MedDRA/J) v21.0に対応している。 そのため、 有害事象名 (CTCAE v5.0 Term 日本語) は本CTCAE v5.0 - JCOGで自由に変更することはできない。 有害事象名に対応するMedDRA/Jの用語が変更された場合には、 CTCAE v5.0 – JCOGを改訂してJCOGウェブサイトでお知らせする。
なお、 CTCAE v5.0 - JCOGの修正・改訂履歴および対応するオリジナルCTCAE、 MedDRA、 MedDRA/Jのバージョンは、 「CTCAE v5.0 - JCOGの修正・改訂履歴および対応するオリジナルCTCAE、 MedDRA、 MedDRA/Jのバージョン」に示す。
また、 MedDRA/Jに関する詳細は、 一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団のウェブサイトを参照されたい (http://www.pmrj.jp/)。
“Nearest match”の原則とは、 観察された有害事象が複数のGradeの定義に該当するような場合には、 総合的に判断してもっとも近いGradeに分類する、 というものである。 例えば、 「Grade 3:輸液を要する」 と定義されている場合、 輸液を一度でも行ってしまったらGrade 3とするのではなく、 輸液が処置として本当に必要な状態であったかどうかと前後のGradeの表記を鑑みて、 総合的に判断してもっとも近いGradeに分類するのが原則である。
本規準において何らかの治療的介入を 「indicated (要する)」 かどうかでGradeが定義されている有害事象は、 実際に何が行われたか (what was actually done) ではなく、 何がなされるべきか (what should be done) の医学的判断 (medical opinion) に基づいてgradingされたい。
各有害事象用語の定義を日本語に訳して記載している。 なお、 本項の英語原文では、 ほとんどの有害事象用語が“A disorder characterized by ・・・”や“A finding of ・・・”の書き出しで規定されている。 しかし、 日本語への訳出にあたっては、 “A disorder characterized by ・・・”に対応する「・・・によって特徴づけられる障害」や“A finding of ・・・”に対応する「・・・の所見」の記述がなくとも意味が通じるか、 ない方が簡潔な表現となるものについては、 “A disorder characterized by ・・・”や“A finding of ・・・”を訳出しなかった。
▼「or」の扱い
解説文にも「; (セミコロン) 」が「or」の意味であることが記されているが、 本規準では、 1文中で複数項目が「or」の関係にある場合、 逐語訳にすると不自然な日本語となるため、 「or」を「または」、 「;」、 「/ (スラッシュ) 」、 「や」で表現した。 いずれも「or」の意味である。
▼日常生活動作(Activities of Daily Living)
身の回りの日常生活動作 (self care ADL)
入浴、 着衣・脱衣、 食事の摂取、 トイレの使用、 薬の内服が可能で、 寝たきりではない状態をさす。 生命維持に (自立した生活を行う上で) 必要な最低限の身の回りの動作を自ら行うことができる状態をいう。
身の回り以外の日常生活動作 (instrumental ADL)
食事の準備、 日用品や衣服の買い物、 電話の使用、 金銭の管理などをさす。
▼不等号:≧、 ≦、 >、 <
日本語としては不自然になるが、 誤解を避けるために、 原則として「以上」や「未満」と訳さず、 原文の不等号をそのまま用いた。
連続変量データでGradeが定義されている有害事象のうち、 Grade間で数値が途切れているものについては、 取扱いが明確になるように、 カットオフ値や不等号を変更した。
オリジナルCTCAE v5.0にて用いられている以下の略語はそのまま用いた。
LLN: (施設) 基準範囲下限、 ULN: (施設) 基準範囲上限、 ANC:好中球数 (成熟好中球数)、 pRBC:濃厚赤血球、 TPN:非経口栄養、 CNS:中枢神経系、 BSA:体表面積
CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)とは、
臨床試験や治療中に発生する副作用の頻度と重症度を統一的に評価するための国際基準です。
治療による副作用の症状や影響範囲を明確に定義し、一貫した情報共有と患者の安全確保に役立ちます。
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