薬剤情報
後発品
薬効分類抗ヘルペスウイルス薬
一般名バラシクロビル塩酸塩錠
薬価76.7
メーカー第一三共エスファ
最終更新2023年05月改訂(第1版)

用法・用量

[成人]

〈単純疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

〈帯状疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈水痘〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

[小児]

〈単純疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

〈帯状疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈水痘〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。

7.2. 〈効能共通〉腎障害を有する成人患者におけるクレアチニンクリアランスに応じた本剤の投与間隔及び投与量の目安は次のとおりである、また、血液透析を受けている患者に対しては、患者の腎機能、体重又は臨床症状に応じ、クレアチニンクリアランス10mL/min未満の目安よりさらに減量(250mgを24時間毎等)することを考慮すること(また、血液透析日には透析後に投与すること)〔8.2、9.2.1、9.8高齢者の項、13.1、16.6.1、16.6.3参照〕[1)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを12時間毎、2)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを8時間毎、3)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、500mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを12時間毎、4)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを12時間毎、5)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを12時間毎、6)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、500mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを12時間毎、7)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを24時間毎、8)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを24時間毎、9)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、250mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを24時間毎、10)クレアチニンクリアランス<10mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを24時間毎、11)クレアチニンクリアランス<10mL/min:帯状疱疹、水痘には、500mgを24時間毎、12)クレアチニンクリアランス<10mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、250mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを24時間毎]。なお、腎障害を有する小児患者における本剤の投与間隔及び投与量調節の目安は確立していない。

7.3. 〈単純疱疹〉本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。ただし、初発型性器ヘルペスは重症化する場合があるため、本剤を10日間まで使用可能とする。

7.4. 〈帯状疱疹〉目安として、皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。

7.5. 〈帯状疱疹〉本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

7.6. 〈水痘〉目安として、皮疹出現後2日以内に投与を開始することが望ましい。

7.7. 〈水痘〉成人の水痘においては本剤を5〜7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替え、小児の水痘においては本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

7.8. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉免疫正常患者において、性器ヘルペスの再発抑制に本剤を使用している際に性器ヘルペスの再発が認められた場合には、1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)から1回500mg1日2回投与(単純疱疹の治療に対する用法及び用量)に変更し治癒後は必要に応じ1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)の再開を考慮すること。また、再発抑制に対して本剤を投与しているにもかかわらず頻回に性器ヘルペス再発を繰り返すような患者に対しては、症状に応じて1回250mg1日2回又は1回1000mg1日1回投与に変更することを考慮すること〔17.1.8、17.1.9参照〕。

7.9. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される〔17.1.8、17.1.9参照〕。

効能・効果

1). 単純疱疹。

2). 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制。

3). 帯状疱疹。

4). 水痘。

5). 性器ヘルペスの再発抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉本剤の投与により、セックスパートナーへの感染を抑制することが認められている。ただし、本剤投与中もセックスパートナーへの感染リスクがあるため、コンドームの使用等が推奨される〔17.3参照〕。

5.2. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉性器ヘルペスの発症を繰り返す患者(免疫正常患者においては、おおむね年6回以上の頻度で再発する者)に対して投与すること〔17.1.8、17.1.9参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれることがある。

11.1.2. 汎血球減少(0.73%)、無顆粒球症(0.24%)、血小板減少(0.36%)、播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)、血小板減少性紫斑病(頻度不明)。

11.1.3. 急性腎障害(0.12%)、尿細管間質性腎炎(頻度不明)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。

11.1.4. 精神神経症状(1.09%):意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等があらわれることがある(一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。

11.1.5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。

11.1.6. 呼吸抑制、無呼吸(いずれも頻度不明)。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明)。

11.1.8. 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)。

11.1.9. 急性膵炎(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、そう痒、光線過敏症。

2). 肝臓:(0.5%以上)肝機能検査値上昇。

3). 消化器:(0.5%以上)腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、(0.5%未満)嘔吐。

4). 精神神経系:(0.5%以上)頭痛、(0.5%未満)めまい、(頻度不明)意識低下。

5). 腎臓・泌尿器:(0.5%以上)腎障害、(0.5%未満)排尿困難、(頻度不明)尿閉。

禁忌

本剤の成分あるいはアシクロビルに対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉各効能又は効果に対し設定された用法及び用量で投与した場合、本剤投与時のアシクロビル曝露は、アシクロビル経口製剤投与時よりも高いことから、副作用の発現に留意すること。

8.2. 〈効能共通〉意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔7.2、9.2.1参照〕。

8.3. 〈水痘〉治療上の有益性と危険性を勘案して投与すること(本剤の使用経験は少ない)。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 免疫機能の低下した患者:水痘の治療において、悪性腫瘍、自己免疫性疾患などの免疫機能低下した患者に対する有効性及び安全性は確立していない(本剤の使用経験がない)。

9.1.2. 脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能低下している患者、高齢者、水痘患者等):適切な水分補給を行うこと〔9.2.1、9.8高齢者の項参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 腎障害のある患者、腎機能低下している患者:投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤の活性代謝物であるアシクロビルの曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)。

適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった腎障害患者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている〔7.2、8.2、9.1.2、11.1.3、11.1.4、13.1、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 肝障害のある患者:肝障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.2参照〕。

相互作用

活性代謝物のアシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2−Kの基質である〔16.7.1参照〕。

10.2. 併用注意:

1). プロベネシド[本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積<AUC>が48%増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる)]。

2). シメチジン[本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルのAUCが27%増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2−Kを阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる)]。

3). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用により、アシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方のAUCが増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(活性代謝物のアシクロビルとミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる)]。

4). テオフィリン[本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある(機序は不明であるが、本剤の活性代謝物のアシクロビルがテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる)]。

高齢者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は、活性代謝物のアシクロビルに変換された後、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため血中アシクロビル濃度が高濃度で持続し、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)。適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった高齢者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている〔7.2、9.1.2、11.1.3、11.1.4、13.1、16.6.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。活性代謝物のアシクロビルにおいて、動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎仔頭部異常及び胎仔に尾の異常が認められたと報告されている。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤投与後、活性代謝物のアシクロビルがヒト乳汁中へ移行することが報告されている)〔16.3.2参照〕。

小児等

9.7.1. 動物実験(ラット)でバラシクロビルを経口投与したときの活性代謝物であるアシクロビルの曝露量は、成熟動物に比べて幼若動物で大きいことが報告されている。

9.7.2. 低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、急性腎障害、精神神経症状(錯乱、幻覚、激越、意識低下、昏睡等)が報告されている〔7.2、9.2.1、9.8高齢者の項、11.1.3、11.1.4参照〕。

13.2. 処置

過量投与時、血液透析により、アシクロビルを血中より除去することができる〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するように指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 本剤は主薬の苦みを防ぐため、コーティングを施しているので、錠剤をつぶすことなく服用させること。

14.2.2. 本剤を飲みにくい場合には多めの水で1錠ずつ、服用させること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外において、本剤の高用量(8g/日)を用い、重度免疫不全患者(特に進行性HIV感染症患者)におけるCMV感染症予防に対する臨床試験が実施されており、この試験において、本剤が長期間にわたり投与された患者で、腎不全、微小血管溶血性貧血及び血小板減少(ときに併発)の発現が認められている。また、これらの症状は本剤の投与を受けていない同じ基礎疾患、合併症等を有する患者においても発現が認められている。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. Ames試験及びラット骨髄細胞染色体異常試験では陰性であったが、マウス骨髄小核試験では、高用量(経口投与、500mg/kg、アシクロビルのヒト血漿中濃度の26〜51倍相当)において小核出現頻度の軽度増加を認めた。

15.2.2. マウスリンフォーマ細胞を用いた遺伝子突然変異試験では、代謝活性化系の存在下で1000μg/mL以上の濃度において弱い遺伝毒性(変異コロニー頻度の増加)を示した。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

バラシクロビル錠500mg「DSEP」
バラシクロビル錠500mg「DSEP」
バラシクロビル錠500mg「DSEP」

バラシクロビル錠500mg「DSEP」

抗ヘルペスウイルス薬
2023年05月改訂(第1版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗ヘルペスウイルス薬
一般名バラシクロビル塩酸塩錠
薬価76.7
メーカー第一三共エスファ
最終更新2023年05月改訂(第1版)

用法・用量

[成人]

〈単純疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

〈帯状疱疹〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈水痘〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

[小児]

〈単純疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

〈造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。

〈帯状疱疹〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈水痘〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。

〈性器ヘルペスの再発抑制〉

通常、体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始することが望ましい。

7.2. 〈効能共通〉腎障害を有する成人患者におけるクレアチニンクリアランスに応じた本剤の投与間隔及び投与量の目安は次のとおりである、また、血液透析を受けている患者に対しては、患者の腎機能、体重又は臨床症状に応じ、クレアチニンクリアランス10mL/min未満の目安よりさらに減量(250mgを24時間毎等)することを考慮すること(また、血液透析日には透析後に投与すること)〔8.2、9.2.1、9.8高齢者の項、13.1、16.6.1、16.6.3参照〕[1)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを12時間毎、2)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを8時間毎、3)クレアチニンクリアランス≧50mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、500mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを12時間毎、4)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを12時間毎、5)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを12時間毎、6)クレアチニンクリアランス30〜49mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、500mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを12時間毎、7)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを24時間毎、8)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:帯状疱疹、水痘には、1000mgを24時間毎、9)クレアチニンクリアランス10〜29mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、250mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを24時間毎、10)クレアチニンクリアランス<10mL/min:単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制には、500mgを24時間毎、11)クレアチニンクリアランス<10mL/min:帯状疱疹、水痘には、500mgを24時間毎、12)クレアチニンクリアランス<10mL/min:性器ヘルペスの再発抑制には、250mgを24時間毎、なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)には、500mgを24時間毎]。なお、腎障害を有する小児患者における本剤の投与間隔及び投与量調節の目安は確立していない。

7.3. 〈単純疱疹〉本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。ただし、初発型性器ヘルペスは重症化する場合があるため、本剤を10日間まで使用可能とする。

7.4. 〈帯状疱疹〉目安として、皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。

7.5. 〈帯状疱疹〉本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

7.6. 〈水痘〉目安として、皮疹出現後2日以内に投与を開始することが望ましい。

7.7. 〈水痘〉成人の水痘においては本剤を5〜7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替え、小児の水痘においては本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

7.8. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉免疫正常患者において、性器ヘルペスの再発抑制に本剤を使用している際に性器ヘルペスの再発が認められた場合には、1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)から1回500mg1日2回投与(単純疱疹の治療に対する用法及び用量)に変更し治癒後は必要に応じ1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)の再開を考慮すること。また、再発抑制に対して本剤を投与しているにもかかわらず頻回に性器ヘルペス再発を繰り返すような患者に対しては、症状に応じて1回250mg1日2回又は1回1000mg1日1回投与に変更することを考慮すること〔17.1.8、17.1.9参照〕。

7.9. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される〔17.1.8、17.1.9参照〕。

効能・効果

1). 単純疱疹。

2). 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制。

3). 帯状疱疹。

4). 水痘。

5). 性器ヘルペスの再発抑制。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉本剤の投与により、セックスパートナーへの感染を抑制することが認められている。ただし、本剤投与中もセックスパートナーへの感染リスクがあるため、コンドームの使用等が推奨される〔17.3参照〕。

5.2. 〈性器ヘルペスの再発抑制〉性器ヘルペスの発症を繰り返す患者(免疫正常患者においては、おおむね年6回以上の頻度で再発する者)に対して投与すること〔17.1.8、17.1.9参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):アナフィラキシーショック、アナフィラキシー(呼吸困難、血管性浮腫等)があらわれることがある。

11.1.2. 汎血球減少(0.73%)、無顆粒球症(0.24%)、血小板減少(0.36%)、播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明)、血小板減少性紫斑病(頻度不明)。

11.1.3. 急性腎障害(0.12%)、尿細管間質性腎炎(頻度不明)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。

11.1.4. 精神神経症状(1.09%):意識障害(昏睡)、せん妄、妄想、幻覚、錯乱、痙攣、てんかん発作、麻痺、脳症等があらわれることがある(一般に精神神経症状は本剤の投与中止により回復する)〔9.2.1、9.8高齢者の項、13.1参照〕。

11.1.5. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。

11.1.6. 呼吸抑制、無呼吸(いずれも頻度不明)。

11.1.7. 間質性肺炎(頻度不明)。

11.1.8. 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)。

11.1.9. 急性膵炎(頻度不明)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、そう痒、光線過敏症。

2). 肝臓:(0.5%以上)肝機能検査値上昇。

3). 消化器:(0.5%以上)腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、(0.5%未満)嘔吐。

4). 精神神経系:(0.5%以上)頭痛、(0.5%未満)めまい、(頻度不明)意識低下。

5). 腎臓・泌尿器:(0.5%以上)腎障害、(0.5%未満)排尿困難、(頻度不明)尿閉。

禁忌

本剤の成分あるいはアシクロビルに対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉各効能又は効果に対し設定された用法及び用量で投与した場合、本剤投与時のアシクロビル曝露は、アシクロビル経口製剤投与時よりも高いことから、副作用の発現に留意すること。

8.2. 〈効能共通〉意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。なお、腎機能障害患者では、特に意識障害等があらわれやすいので、患者の状態によっては自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること〔7.2、9.2.1参照〕。

8.3. 〈水痘〉治療上の有益性と危険性を勘案して投与すること(本剤の使用経験は少ない)。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 免疫機能の低下した患者:水痘の治療において、悪性腫瘍、自己免疫性疾患などの免疫機能低下した患者に対する有効性及び安全性は確立していない(本剤の使用経験がない)。

9.1.2. 脱水症状をおこしやすいと考えられる患者(腎障害のある患者又は腎機能低下している患者、高齢者、水痘患者等):適切な水分補給を行うこと〔9.2.1、9.8高齢者の項参照〕。

(腎機能障害患者)

9.2.1. 腎障害のある患者、腎機能低下している患者:投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤の活性代謝物であるアシクロビルの曝露量が増加した場合には、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)。

適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった腎障害患者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている〔7.2、8.2、9.1.2、11.1.3、11.1.4、13.1、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 肝障害のある患者:肝障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.2参照〕。

相互作用

活性代謝物のアシクロビルは、OAT1、MATE1及びMATE2−Kの基質である〔16.7.1参照〕。

10.2. 併用注意:

1). プロベネシド[本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルの平均血漿中濃度曲線下面積<AUC>が48%増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(プロベネシドは尿細管分泌に関わるOAT1及びMATE1を阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる)]。

2). シメチジン[本剤の活性代謝物のアシクロビルの排泄が抑制され、アシクロビルのAUCが27%増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(シメチジンは尿細管分泌に関わるOAT1、MATE1及びMATE2−Kを阻害するため、活性代謝物のアシクロビルの腎排泄が抑制されると考えられる)]。

3). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用により、アシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチル代謝物の排泄が抑制され、両方のAUCが増加するとの報告があるので、特に腎機能低下の可能性がある患者(高齢者等)には慎重に投与すること(活性代謝物のアシクロビルとミコフェノール酸 モフェチル代謝物が尿細管分泌で競合すると考えられる)]。

4). テオフィリン[本剤の活性代謝物のアシクロビルとの併用によりテオフィリンの中毒症状があらわれることがある(機序は不明であるが、本剤の活性代謝物のアシクロビルがテオフィリンの代謝を阻害するためテオフィリンの血中濃度が上昇することが考えられる)]。

高齢者

投与間隔及び投与量を調節し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は、活性代謝物のアシクロビルに変換された後、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため血中アシクロビル濃度が高濃度で持続し、精神神経症状や腎機能障害が発現する危険性が高い)。適切な減量投与が行われなかったために過量投与の状態となった高齢者において、精神神経症状や腎機能障害が発現した症例が報告されている〔7.2、9.1.2、11.1.3、11.1.4、13.1、16.6.3参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。活性代謝物のアシクロビルにおいて、動物実験(ラット)の妊娠10日目に、母動物に腎障害のあらわれる大量(200mg/kg/day以上)を皮下投与した実験では、胎仔頭部異常及び胎仔に尾の異常が認められたと報告されている。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤投与後、活性代謝物のアシクロビルがヒト乳汁中へ移行することが報告されている)〔16.3.2参照〕。

小児等

9.7.1. 動物実験(ラット)でバラシクロビルを経口投与したときの活性代謝物であるアシクロビルの曝露量は、成熟動物に比べて幼若動物で大きいことが報告されている。

9.7.2. 低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

過量投与

13.1. 症状

過量投与時、急性腎障害、精神神経症状(錯乱、幻覚、激越、意識低下、昏睡等)が報告されている〔7.2、9.2.1、9.8高齢者の項、11.1.3、11.1.4参照〕。

13.2. 処置

過量投与時、血液透析により、アシクロビルを血中より除去することができる〔16.6.1参照〕。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するように指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 本剤は主薬の苦みを防ぐため、コーティングを施しているので、錠剤をつぶすことなく服用させること。

14.2.2. 本剤を飲みにくい場合には多めの水で1錠ずつ、服用させること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外において、本剤の高用量(8g/日)を用い、重度免疫不全患者(特に進行性HIV感染症患者)におけるCMV感染症予防に対する臨床試験が実施されており、この試験において、本剤が長期間にわたり投与された患者で、腎不全、微小血管溶血性貧血及び血小板減少(ときに併発)の発現が認められている。また、これらの症状は本剤の投与を受けていない同じ基礎疾患、合併症等を有する患者においても発現が認められている。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. Ames試験及びラット骨髄細胞染色体異常試験では陰性であったが、マウス骨髄小核試験では、高用量(経口投与、500mg/kg、アシクロビルのヒト血漿中濃度の26〜51倍相当)において小核出現頻度の軽度増加を認めた。

15.2.2. マウスリンフォーマ細胞を用いた遺伝子突然変異試験では、代謝活性化系の存在下で1000μg/mL以上の濃度において弱い遺伝毒性(変異コロニー頻度の増加)を示した。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

バルトレックス錠500抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「EE」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「FFP」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「JG」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「NP」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「PP」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「TCK」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「YD」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「アメル」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「イワキ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「オーハラ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「杏林」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「ケミファ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「サトウ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「サワイ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「三和」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「ツルハラ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「テバ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「トーワ」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「日医工」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「日本臓器」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「NPI」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「CHM」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「SPKK」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル錠500mg「NIG」抗ヘルペスウイルス薬
バラシクロビル粒状錠500mg「モチダ」抗ヘルペスウイルス薬
薬剤情報

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