【人気】アナフィラキシー初期対応 「ステロイド投与は非推奨?」
著者

聖路加国際病院 救急部

23日前

【人気】アナフィラキシー初期対応 「ステロイド投与は非推奨?」

【人気】アナフィラキシー初期対応 「ステロイド投与は非推奨?」
ERマニュアルより抜粋.  本記事は特定の治療法を推奨するものではありません.  患者の病態や、 最新ガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

アナフィラキシー管理の3ポイント

💬 身体所見、 病歴から素早く、そして常に疑う

💬 アレルゲン曝露後1分でも心停止し得る

💬 疑わしい時は躊躇せずアドレナリン筋注


1. 定義

重篤で致死的な広範あるいは全身性の過敏反応、 および急速に起こり死に至る可能性がある重篤なアレルギー反応¹⁾ 
World Allergy Organ J. 2020 Oct 30;13(10):100472.より引用

⚠典型的な皮膚の特徴または血圧低下が存在しない場合にも発生する可能性がある点に注意

2. 診断基準

以下の2つの基準のうち、 1つ以上を満たす場合、 アナフィラキシーである確率が高い¹⁾²⁾
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World Allergy Organ J. 2020 Oct 30;13(10):100472、 日本アレルギー学会. アナフィラキシーガイドライン 2022を基に作図

① 皮膚・粘膜症状 + 臓器症状

皮膚粘膜症状+いずれかの臓器症状1つ以上

- 呼吸器症状 (呼吸苦やSpO₂低下など)

- 循環症状 (血圧低下や失神など)

- その他 (重度の消化器症状、腹痛、嘔吐など)

② アレルゲン曝露後の重大な臓器症状

アレルゲン曝露→急性に症状出現(≧1つ)

- 血圧低下

  • 大人 ≦通常時70% または<90mmHg
  • 小児 ≦通常時70% または年齢毎基準
  • 1ヵ月~1歳 : <70mmHg
  • 1~10歳 : <70mmHg + (2×年齢)
  • 11歳~成人 : <90mmHg

- 気管支攣縮

- 喉頭症状

WAOガイダンス2020²⁾

本邦の基準はWAOガイダンスに則ったものである。 以下の基準のいずれかを満たす場合、アナフィラキシーの可能性が高い
  1. 急性発症の皮膚・粘膜症状 + いずれかの臓器症状 (呼吸障害、血圧低下または関連する臓器不全、 重度の消化器症状)
  2. 典型的な皮膚病変がない場合でも、 既知または可能性の高いアレルゲン曝露後、 急性発症の低血圧、 または気管支痙攣、喉頭症状
*WAOは日本を含む多数の国と地域のアレルギーおよび臨床免疫学に関する学会より構成される

3. 初期対応¹⁾²⁾

(1) ABCD対応とアドレナリン筋注

ABCDの安定化と以下の対応を同時に行う

成人の場合、 アドレナリン0.3~0.5mg筋注

小児の場合は 体重× 0.01mg筋注 (最大0.3mg)

(2) 皮膚症状が強ければ抗ヒスタミン薬

皮膚症状に対して、 抗ヒスタミン薬を検討

ポララミン5mg (+ガスター20mg)+生食50ml等

  • 全例へのルーチン投与は推奨されない
  • H₂併用は適応外で、 ガイドライン推奨なし 
ただし、慣習的に投与することがある

(3) 難治性アナフィラキシーの場合

通常対応で効果が乏しい場合は以下を検討
  • アドレナリン筋注を5-15分毎に繰り返す
  • βブロッカー内服中で、アドレナリンの効果がない場合、グルカゴン1~5mg静注検討
小児は20~30μg/kg [最大1mg]、 投与の際は嘔吐に注意
  • 上記でだめならアドレナリン持続静注検討

(4) 二相性アナフィラキシーとステロイド

二相性アナフィラキシーとは、アナフィラキシー発症から1~48時間程度で再燃するアナフィラキシーのこと. 約半分は最初の6~12時間以内に発生するとされる¹⁾
  • 複数回のアドレナリンの使用が病態改善に必要だった場合や初回のアドレナリン筋注が遅れることが発症のリスクとされている
  • 二相性アナフィラキシーを予防するためのステロイド投与は、WAOガイダンス¹⁾では過去の文献やガイドライン³⁻⁸⁾からも議論が分かれるとの記載. 推奨しないと明記する最新のガイドラインもある⁹⁾
  • なお、気管支喘息とのオーバーラップが疑われる場合や、重症アナフィラキシーに関してはステロイドは有効な可能性はあるため、患者状況にあわせ判断することが望ましいと筆者は考える

(5) その他の注意点

  • 喘息様の呼吸器症状に対してβ刺激薬の吸入をすることも
  • Kounis症候群 (アレルギー性狭心症)は稀だがアナフィラキシーに合併する冠攣縮性狭心症で胸痛など疑う症状があれば心電図

4. 初期対応後の管理

(1) 帰宅できるのはどんな患者?

本邦およびWAOガイダンスで明記なし¹⁾²⁾。 著者は以下の対応を行うことが多い。 ただし、 これらに明確なエビデンスはなく、十分な患者説明が最も肝要と筆者は考える³⁾
  • アドレナリン単回投与で症状改善+重症化のリスクがない場合は1時間の経過観察³⁾
  • 心血管疾患の併存や病院へのアクセスが悪いなどリスクが高い場合は最大6時間以上の経過観察が無難³⁾

(2) 帰宅時の対応は?

再発時の対応と原因検索を依頼
  • 必要に応じてエピペンの処方を行う¹⁾²⁾
  • 原因を検索する¹⁾²⁾
  • 原因を避けるように指導する¹⁾²⁾

5. 鑑別診断

多くがアナフィラキシーであるが、 鑑別は多岐にわたるため、 常に疑いの目をもつこと

一般的なもの¹⁾

- 喘息  - 失神  - パニック発作/不安

- 急性発症の全身性蕁麻疹  - 異物誤飲

- ACS/ PE  - 痙攣や脳卒中

食後に起こるもの¹⁾

- 食中毒  - ヒスタミン中毒

- グルタミン酸ナトリウム過剰症 (添加物)

- 亜硫酸塩過剰症 (添加物)

内因性のヒスタミン過剰¹⁾

- 肥満細胞症  - クローン性マスト細胞障害

- 好塩基性白血病

フラッシュ症候群¹⁾

- 閉経間近  - カルチノイド症候群

- 自律神経てんかん  - 甲状腺髄様癌

非器質性疾患¹⁾

- 声帯機能不全  - 過換気症候群

- 心身症のエピソード

ショック¹⁾

- 循環血漿量減少性ショック - 心原性ショック

- 血液分布性ショック - 敗血症性ショック

その他¹⁾

- 非アレルギー性血管性浮腫  - HAEのⅠ~Ⅲ型

- ACE阻害薬関連血管性浮腫

- 全身性毛細血管漏出症候群

- 褐色細胞腫 (奇異性反応)

出典

1) World Allergy Organization Anaphylaxis Guidance 2020. World Allergy Organ J. 2020 Oct 30;13(10):100472. PMID: 33204386
2) 一般社団法人 日本アレルギー学会 : アナフィラキシーガイドライン2022
3) Anaphylaxis -a 2020 practice parameter update, systematic review, and Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation (GRADE) analysis. J Allergy Clin Immunol. 2020;145:1082–1123.
4) Anaphylaxis management: time to Re-evaluate the role of corticosteroids. J Allergy Clin Immunol Pract. 2019;7:2239–2240. PMID: 31495429
5) Corticosteroids in management of anaphylaxis; a systematic review of evidence. Eur. Ann. Allergy Clin. Immunol. 2017;49:196–207. PMID: 28884986
6) Biphasic anaphylaxis: a review of the literature and implications for emergency management. Am J Emerg Med. 2018;36:1480–1485. PMID: 29759531
7) Do corticosteroids prevent biphasic anaphylaxis? J allergy Clin Immunol Pract. 2017;5:1194–1205. PMID: 28888249
8) Biphasic reactions in patients with anaphylaxis treated with corticosteroids. Ann Allergy Asthma Immunol. 2015;115:312–316. PMID: 26276313
9) Evidence update for the treatment of anaphylaxis. Resuscitation . 2021 Apr 23;163:86-96. PMID: 33895231

最終更新 : 2024年4月2日
監修医師 : 聖路加国際病院救急部 後藤正博

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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