【Lancet Respir Med】未治療ALK陽性NSCLCへのロルラチニブは3年の長期成績でも有効
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Lancet Respir Med】未治療ALK陽性NSCLCへのロルラチニブは3年の長期成績でも有効

【Lancet Respir Med】未治療ALK陽性NSCLCへのロルラチニブは3年の長期成績でも有効
Solomonらは、 未治療のALK陽性進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの有効性および安全性を第1世代阻害薬クリゾチニブを対照に国際共同非盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験CROWNで検証。 その結果、 ロルラチニブの予後改善効果が3年の長期追跡の結果においても持続していたことが示された。 本研究はLancet Respir Med誌において発表された。

📘原著論文

Efficacy and safety of first-line lorlatinib versus crizotinib in patients with advanced, ALK-positive non-small-cell lung cancer: updated analysis of data from the phase 3, randomised, open-label CROWN study. Lancet Respir Med. 2023 Apr;11(4):354-366. PMID: 36535300

👨‍⚕️監修医師のコメント

コントロールとしておいたクリゾチニブに対してすでに多くの第2世代ALK阻害薬や本試験の第3世代ALK阻害薬の有効性が証明されており、 どの薬剤を選択したら良いかがKEY questionとなっています。

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【Lancet Respir Med】未治療ALK陽性NSCLCへのロルラチニブは3年の長期成績でも有効

Lorlatinib

ロルラチニブ (ローブレナ®︎)

肺癌のTNM臨床病期分類

肺癌の病期分類 (UICC-8版)

背景

CROWN試験において、 追跡期間中央値18.3カ月の解析結果から、ロルラチニブはALK陽性非小細胞肺癌患者の一次治療において、無増悪生存期間 (PFS) を改善した。

研究デザイン

対象

治療歴のないALK陽性進行NSCLCの成人患者

介入

患者は以下の群に1:1の割合で割り付け

  • ロルラチニブ群:149例
ロルラチニブ100mg 1日1回経口投与
  • クリゾチニブ群:147例
クリゾチニブ250mg 1日2回経口投与

主要評価項目

独立中央委員会で評価されたPFS

副次評価項目

客観的奏効率、 頭蓋内奏効率、 頭蓋内病変の進行までの期間、 奏効期間、 頭蓋内病変の奏効期間、 安全性

研究結果

追跡期間中央値

データカットオフ日を2021年9月20日とするPFSの追跡期間中央値は、以下のとおり。

  • ロルラチニブ群:36.7カ月(IQR 31.3-41.9カ月)
  • クリゾチニブ群:29.3カ月(IQR 10.8-35.0カ月)

主要評価項目

PFS中央値

  • ロルラチニブ群:未到達 (95%CI 未到達-未到達)
  • クリゾチニブ群:9.3カ月 (95%CI 7.6-11.1カ月)
HR 0.27 (95%CI 0.18-0.39)

3年時のPFS率

  • ロルラチニブ群:64% (95%CI 55-71%)
  • クリゾチニブ群:19% (95%CI 12-27%)

副次評価項目

治験責任医師の評価によるPFS、 客観的奏効率、 頭蓋内奏効率、 頭蓋内病変の進行までの期間、 奏効期間、 頭蓋内病変の奏効期間は、 クリゾチニブに対してロルラチニブで改善した。

頭蓋内病変との関係

ベースラインで頭蓋内病変がある患者の頭蓋内病変の進行のHRは0.10 (95%CI 0.04-0.27) で、ロルラチニブにおいて有効性が確認された。

ベースラインで頭蓋内病変がない患者の頭蓋内病変の進行のHRは 0.02 (95%CI 0.002-0.14) であり、 ロルラチニブにおいて有効性が確認された。

頭蓋内病変のない患者では、 ロルラチニブ群で1% (1例)、 クリゾチニブ群で23% (25例) において頭蓋内病変の増悪が認められた。

安全性評価

グレード3~4の有害事象

  • ロルラチニブ群:76% (149例中113例)
  • クリゾチニブ群:57% (142例中81例)

最も頻度の高い有害事象は脂質レベルの変化によるものであった。

有害事象による治療中止

  • ロルラチニブ群:7% (149例中11例)
  • クリゾチニブ群:10% (142例中14例)

安全性シグナル

新たな安全性シグナルは認められなかった。

結果の解釈

CROWNから得られたこれらの最新の長期データでは、 未治療のALK陽性非小細胞肺癌患者において、 ロルラチニブの持続的な有用性が確認された。 ベースライン時の脳転移の有無にかかわらず、 ロルラチニブの一次治療での使用が支持される。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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