海外ジャーナルクラブ
1年前
Solomonらは、 未治療のALK陽性進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの有効性および安全性を第1世代阻害薬クリゾチニブを対照に国際共同非盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験CROWNで検証。 その結果、 ロルラチニブの予後改善効果が3年の長期追跡の結果においても持続していたことが示された。 本研究はLancet Respir Med誌において発表された。
コントロールとしておいたクリゾチニブに対してすでに多くの第2世代ALK阻害薬や本試験の第3世代ALK阻害薬の有効性が証明されており、 どの薬剤を選択したら良いかがKEY questionとなっています。
CROWN試験において、 追跡期間中央値18.3カ月の解析結果から、ロルラチニブはALK陽性非小細胞肺癌患者の一次治療において、無増悪生存期間 (PFS) を改善した。
治療歴のないALK陽性進行NSCLCの成人患者
患者は以下の群に1:1の割合で割り付け
独立中央委員会で評価されたPFS
客観的奏効率、 頭蓋内奏効率、 頭蓋内病変の進行までの期間、 奏効期間、 頭蓋内病変の奏効期間、 安全性
データカットオフ日を2021年9月20日とするPFSの追跡期間中央値は、以下のとおり。
PFS中央値
3年時のPFS率
治験責任医師の評価によるPFS、 客観的奏効率、 頭蓋内奏効率、 頭蓋内病変の進行までの期間、 奏効期間、 頭蓋内病変の奏効期間は、 クリゾチニブに対してロルラチニブで改善した。
ベースラインで頭蓋内病変がある患者の頭蓋内病変の進行のHRは0.10 (95%CI 0.04-0.27) で、ロルラチニブにおいて有効性が確認された。
ベースラインで頭蓋内病変がない患者の頭蓋内病変の進行のHRは 0.02 (95%CI 0.002-0.14) であり、 ロルラチニブにおいて有効性が確認された。
頭蓋内病変のない患者では、 ロルラチニブ群で1% (1例)、 クリゾチニブ群で23% (25例) において頭蓋内病変の増悪が認められた。
グレード3~4の有害事象
最も頻度の高い有害事象は脂質レベルの変化によるものであった。
有害事象による治療中止
安全性シグナル
新たな安全性シグナルは認められなかった。
CROWNから得られたこれらの最新の長期データでは、 未治療のALK陽性非小細胞肺癌患者において、 ロルラチニブの持続的な有用性が確認された。 ベースライン時の脳転移の有無にかかわらず、 ロルラチニブの一次治療での使用が支持される。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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