HOKUTO編集部
5ヶ月前
未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫 (AS-cHL) におけるCD30標的抗体薬物複合体ブレンツキシマブ ベドチン+エトポシド+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ダカルバジン+デキサメタゾン併用療法 (BrECADD) の効果について、 標準治療であるeBEACOPPを対照に検証した第Ⅲ相国際共同非盲検前向き無作為化比較試験HD21の最終解析結果より、 BrECADDを2サイクル投与後にPET検査で投与サイクル数を決定する治療法は忍容性と有効性に優れ、 4年間の追跡調査においても前例のない高いPFS率を維持していた。 ドイツ・University of CologneのPeter Borchmann氏が発表した。
HD9試験では、 進行期ホジキンリンパ腫に対する増量ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+プレドニゾン併用療法 (eBEACOPP) が病勢進行と早期再発のリスク減少によりPFSとOSを改善させた¹⁾。 しかし、 eBEACOPPは治療失敗リスクの高い患者に適している一方で、 毒性の増強が課題とされている。
HD21試験では、 eBEACOPPのうち、 ブレオマイシン (肺毒性) とビンクリスチン (神経毒性) を省略してブレンツキシマブ ベドチンを導入し、 プロカルバジン (遺伝毒性、 性腺毒性) をダカルバジンに変更したBrECADDレジメンを新規に設定し、 有効性と安全性が評価された結果、 忍容性におけるBrECADDのeBEACOPPに対する非劣性が証明されている。 今回は無増悪生存期間 (PFS) における優越性を検証した最終PFS解析の結果が報告された。
診断時年齢が18~60歳で未治療のAS-cHL患者
1,500例が以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。
主要評価項目
治療関連罹患率 (Treatment-Related Morbidity;TRMB)、 無増悪生存期間 (PFS)
両群間で概ねバランスが取れていた。
忍容性に関しては既に報告されている²⁾。
TRMB
相対リスク (RR) 0.72 (95%CI 0.65-0.79)
p<0.0001
急性TRMB
【赤血球輸血】
【血小板輸血】
【末梢感覚神経障害 (Grade2/3) 】
治療薬の早期中止率
薬剤を全用量投与*できた患者の割合
【4サイクル目】
【6サイクル目】
PFS
【追跡期間中央値】
48ヵ月
【4年PFS率 (95%CI) 】
HR 0.66 (0.45-0.97)、 p=0.035
【IPS*による4年PFS率 (95%CI) 】
IPS 0-2
IPS 3-7
【PET2評価による4年PFS率 (95%CI) 】
PET2陰性
PET2陽性
OS
【追跡期間中央値】
48ヵ月
【4年OS率 (95%CI) 】
Borchmann氏は 「未治療のAS-cHL患者において、 BrECADDはBEACOPPに比べて有意に忍容性および有効性が優れており、 前例にない高い4年PFS率が示された。 BrECADDを2サイクル投与後のPETで個別化するBrECADDは、 進行期AS-cHLの標準治療の選択肢として推奨される」 と報告した。
1) N Engl J Med. 2003 Jun 12;348(24):2386-95.
2) HemaSphere vol. 6,Suppl 1-2. 3 Oct. 2022.
3) Hematol Oncol. 2023;41(suppl 2):881-882.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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