寄稿ライター
19日前

前回は、 「勝つ個別株」 を選び続けるのは極めて難しいという話をしました。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第40回では、 成長個別株 (グロース株) をETF (上場投資信託) で保有するという選択肢について整理していきます。
ETF (上場投資信託) は、 特定の株価指数や債券指数などに連動するように設計された投資商品です。 その構成の基準となるのが 「ベンチマーク」 であり、 S&P500や日経平均のような大型指数から、 グロース株に特化した指数まで多岐にわたります。
総資産額が大きいETFほど利用者が多く、 流動性が高い傾向があります。 グロース株を集めたETFの中では、 ナスダック100に連動する 「QQQ」 が最も代表的で、 資産規模も他を大きく上回っています。

ETFを使うメリットは、 上昇トレンドに乗っているグロース株を幅広く取り込みつつ、 衰退した銘柄が自動的に組み替えで外れる点です。 個別株のような 「大当たり」 を狙う難しさを回避しながら、 勝ち組企業の成長を享受できます。
一方で、 指数の一部として組み込まれるため、 個別株ほどの爆発的な上昇は期待しにくいというデメリットもあります。

【グラフ1】は、 グロース株ETFの代表例と、 比較対象としてS&P500に連動する 「VOO」 の成績を比較したデータです。 すべてのETFがそろう2010年以降を比較すると、 値動きは概ね似ていますが、 QQQが最も高いリターンを示してきました。
ただし、 全期間でQQQが常に最強というわけではありません。 たとえば2022年はインフレ加速とFRBの大幅利上げを受け、 S&P500自体も-15%と厳しい一年でしたが、 グロース株ETFは軒並み-30%程度の下落となりました。
このように、 グロース株はマクロ環境の影響を受けやすく、 下落時の振れ幅も大きいことには注意が必要です。 「長期で見れば報われやすいが、 短期では大きく揺れる」 ――これが典型的な特徴です。

ちなみに2020年には、 QQQの 「低価格版」 としてQQQMが登場しました。
両者は同じ指数に連動しますが、 いくつか違いがあります。
特に10年以内の売買を想定するなら、 手数料面ではQQQが有利です。 一方で、 長期積立・中小単位での買付を重視するならQQQMも有力な選択肢となります。
ここまでは、 インデックスに連動するグロース株ETFを紹介しました。 では、 ファンドマネージャーが銘柄選択を行い、 市場平均を上回ることを狙うアクティブファンドはどうでしょうか。
代表例として、 一時期大きく話題になった 「ARKK」 があります。 “破壊的イノベーション”をテーマに、 将来性のあるグロース企業に集中投資するファンドで、 経費率0.75%と高コストながら、 QQQを上回る驚異的なリターンを叩き出していた時期もありました【グラフ2】。

このブームを追って海外口座を開設した日本人投資家も多くいました。
しかし、 2022年の急速な利上げ局面で状況は一変します。 ARKKが多く保有していた 「利益はまだ出ていないが、 将来化ける可能性がある企業」 は、 グロース株の中でも特に金利上昇の影響を受けやすく、 株価は急落。 その結果、 解約が相次ぎ、 流動性の低い中小型株を大量に売却せざるを得なくなり、 さらなる株価下落を招く悪循環に陥りました。
アクティブファンドは短期では好成績を残すものもありますが、 期間が長くなるほど指数に勝てなくなります。 実際、 10年スパンでS&P500に勝てるアクティブファンドは1割以下とされており、 信託報酬の高さが足枷になることも避けられません。
個人的には、 流行りに乗ってアクティブファンドへ資金を入れることはお勧めしていません。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
次回は、 より安定したリターンを狙う 「高配当株投資」 について考えていきたいと思います。


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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