寄稿ライター
2ヶ月前
新NISAをしている先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第27回は、 一般的にも人気の高い 「S&P500」 と 「全世界株式」 を徹底比較します。
第26回で述べたように、 新NISAの主軸として多くの投資家が選ぶのが 「S&P500」 です。 最近では 「全世界株式 (通称 : オールカントリー、 オルカン) 」 も人気を集めています。
上のグラフは1992年以降のパフォーマンスを円建てで比較したものです。 全体としてはS&P500の方がリターンが高く、 長期で見ると有利に見えます。 ただし、 期間を切り取ると見え方は変わります。
上のグラフは2000~2010年のチャートです。 ITバブル崩壊やリーマンショックの影響を大きく受けたS&P500に対して、 新興国ブームで支えられた全世界株式の方がパフォーマンスは良好です。 このように、 どちらが優れているかは相場環境次第であり、 一概には言えません。
オルカンの中身を見ると、 約6割が米国株で構成されています。 その比率は年々上昇しており、 日本株や欧州株も米国市場と相関が高いため、 パフォーマンスは概ね米国株と連動して動きます。 したがって、 「分散投資」 という観点では、 S&P500とオルカンの間に大きな違いはないと考えられます。
S&P500やオルカンに投資するには、 投資信託とETF (上場投資信託) の2つの方法があります。 主な代表例は以下の通りです。
▼ 投資信託
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
・SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
▼ ETF
・VOO (S&P500)
・VT (全世界株式)
・VTI (全米株式)
それぞれの特徴を上記にまとめました。 ETFの方が信託報酬 (管理費用) は若干低めですが、 投資信託でも年々コスト削減が進んでおり、 差は縮小傾向にあります。
新NISAでは 「非課税枠の使い方」 が重要です。 その点で、 分配金を自動的に再投資してくれる分配金再投資型の投資信託は有利です。
ETFでは配当金が現金で支払われ、 それを再投資する際にNISA枠を消費してしまいます。 一方、 分配金再投資型の投資信託では、 再投資が自動で行われ、 非課税枠を消費しません。
また、 投資信託は100円単位で購入できるため、 年間360万円のNISA枠を無駄なく活用できます。 価格変動への対応力ではETFに軍配が上がりますが、 新NISAは長期保有が前提の制度であり、 数日の価格差に神経質になる必要はないでしょう。
そのため、 筆者としては、 新NISAでは投資信託 (分配金再投資型) を選ぶことを推奨します。 購入前に 「分配金受取型」 でないことを必ず確認しましょう。
今回のTake Home Messageは
となります。 次回は、 新NISAを実際に使ってどう運用を進めていくか、 その具体的戦略を考察します。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。