寄稿ライター
6日前
iDeCoを利用している先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第31回では、 NISAと並ぶ資産形成の柱として注目されるiDeCoについて、 制度の仕組みや節税効果、 制度改正による最新のポイントまで整理して解説します。
【図1】をご覧ください。 日本の公的年金制度は 「国民年金 (基礎年金) 」 と、 会社員などが加入する 「厚生年金」 の二階建てです。 さらに三階部分として企業年金や国民年金基金などの私的年金があり、 その一つがiDeCo (個人型確定拠出年金) です。
iDeCoは、 毎月一定額を積み立て、 預金や投資信託など自ら選んだ商品で運用し、 原則60歳以降に年金または一時金として受け取ります。 掛金は全額所得控除、 運用益も非課税となり、 高所得者ほど節税効果が大きい仕組みです【図2】。
参考ですが、 住宅ローン控除などは所得控除ではなく 「税額控除」 なので、 低所得者ほどインパクトがある節税対策です。
話をiDeCoに戻しまして、 受け取り方でも工夫が可能です。 一時金として受け取る場合は退職所得控除を利用でき、 税負担を抑えつつ利益を確定できます。
iDeCoの掛金上限は、 加入者区分によって異なります。 2025年度の税制改正により、 上限が大幅に引き上げられる予定です。
● 第1号被保険者 (開業医など) : 月額6.8万円 → 7.5万円
● 第2号被保険者 (勤務医など) : 月額2.0万円 → 6.2万円
● 第3号被保険者 (専業主婦など) : 月額2.3万円 (据え置き)
特に勤務医の掛金増額は大きな変化であり、 医師にとって資産形成の選択肢が広がります。 あわせて拠出可能年齢も65歳から70歳まで延長されることが決定しました。
かつては勤務先の状況によって掛金も異なっており、 転勤のたびに証券会社に連絡しないと掛け金の拠出がストップしてしまうなど面倒な面がありましたが、 この点も簡素化されるかもしれません。
iDeCoに加入すると、 年末に 「小規模企業共済等掛金払込証明書」 が届きます。 これを確定申告に入力しないと節税効果は得られません。 マイナンバーカードをお持ちであれば、 マイナポータル連携によりe-Taxへ自動反映が可能です。
拠出した掛金は自分で投資先を決定します。 主な対象は投資信託ですが、 元本保証型の定期預金を選ぶこともできます。
ただしiDeCoは60歳まで原則引き出せないため、 長期運用が前提です。 インフレに対応するためにも、 株式投信──特に米国株を軸にした投資信託を基本戦略とするのが妥当でしょう。
配分割合は後から変更できますし、 運用資産を別商品へ移す 「スイッチング」 も可能です。 スイッチングの際に生じた売却益も非課税となるため、 (お勧めはしませんが) 細かく調整したい方はご活用ください。
iDeCoには加入時の初期費用、 毎月の口座管理料、 信託報酬など各種手数料がかかります。 長期投資であるがゆえに、 この差が将来の資産額に直結します【図3】。
特に注目すべきは口座管理料です。 無料にしている大手ネット証券──SBI証券、 楽天証券、 マネックス証券──は、 医師の間でも利用者が多く、 人気の選択肢となっています。
いかがでしたでしょうか。 本日のTake Home Messageは
となります。 次回は、iDeCoの 「受け取り方」 について考えていきます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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