海外ジャーナルクラブ
2年前
Luoらは, COVID-19入院患者を対象に, 可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体 (suPAR) 濃度で静脈血栓塞栓症 (VTE) の高リスク患者を特定できるかどうかを多国籍観察研究で検討. その結果, suPAR高値はVTE発症と関連しており, D-dimerとの組み合わせにより, VTEリスクの低い患者を特定することが可能であることが明らかとなった. 本研究は, J Am Heart Assoc誌において発表された.
実診療においてバイオマーカー検査をどう捉えるか?本研究のように既存のマーカーに新しいものを組み合わせることによってより診断能が高まるのは自明です. バイオマーカー多発状況の中, IL-6のようにモノクローナル抗体などでブロックすれば治療に直結するものは, より素晴らしいバイオマーカーと言えます.
VTEは, COVID-19の病状および死亡率に大きく寄与している. 可溶性ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体 (suPAR) のレベルは, 炎症亢進を反映し, COVID-19の転帰を強く予測するものである. ただし、 suPARレベルがVTEリスクのあるCOVID-19患者を特定できるかどうかは不明であった.
入院時にsuPARおよびD-dimer値を測定したCOVID-19患者を対象とした多国籍観察研究を利用. 1,960名 (平均年齢58歳, 男性57%, 黒人20%) において, 死亡の競合リスクを考慮し, ロジスティック回帰とFine-Grayモデリングを用いてsuPARとVTE (肺塞栓症または深部静脈血栓症と定義) 発生との関連性を評価した.
COVID-19で入院した患者において, suPAR高値はD-dimerとは独立してVTE発症と関連していた. suPARとD-dimerの組み合わせにより, また, VTEリスクの低い患者を特定することができた.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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