HOKUTO編集部
2ヶ月前
解説 : 赤松弘朗先生¹⁾ / 監修 : 津谷康大先生²⁾
2024年7月30日~8月6日に、 呼吸器内科・呼吸器外科・腫瘍内科のHOKUTO医師会員376人を対象に上記アンケートを実施しました。 その結果、 「若年でPSが良好な場合にのみ、 ロルラチニブを選択 (基本はアレクチニブ)」 の回答者が203人と半数を超える結果 (54.0%)となりました。
未治療の進行ALK変異陽性NSCLCに対する第3世代ALK阻害薬ロルラチニブの有効性および安全性について、 クリゾチニブを対照に検証した第Ⅲ相オープンラベル無作為化比較試験CROWN試験の長期成績より、 ロルラチニブ群の5年時無増悪生存期間 (PFS) 中央値は未到達で、 60%の患者が無増悪と高効果を維持していることが示された。
ALK変異陽性進行肺癌の初回治療に関しては、 アレクチニブが最も使用されてきたが、 CROWN試験の長期フォローアップにて、 5年PFS割合60%というデータが示された¹⁾。
有害事象は従来通りで、 減量に至ったものは23%、 治療中止に至ったものは11%であった。 一方で減量しても治療効果が保たれているという探索的解析結果も示されている。
そうは言っても、 中枢神経系の有害事象 (認知機能低下や性格変化など) ・末梢神経障害や浮腫は肺癌領域で多く経験する有害事象ではないため、 どのような患者層に長期投与が可能か、 臨床医が頭を悩ませている。
現在最も使用されていると考えられるアレクチニブとの直接比較のデータはないが、 ロルラチニブによるⅣ期で5年PFS割合60%は他のALK阻害薬の報告よりも極めて良好な成績である¹⁾。
ロルラチニブはALK変異陽性肺癌で多いとされる脳転移のコントロールや発生予防効果も極めて良好である。 有害事象に関してはアレクチニブでは軽度であるが、 ロルラチニブでは注意すべき特有のものがある。
以上より最終的には効果と有害事象のバランスで選択することになると思うが、 必ず提示すべき選択肢であると思われ、 1としたい。
肺癌に対する薬剤も選択肢が多くなり、 肺癌診療医は多彩な有害事象に対するマネージメント能力が必要とされる時代になった。
出典
1) N Engl J Med. 2020; 383: 2018-2029.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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