寄稿ライター
4ヶ月前

日本株が好調です。 投資先として選択するか迷っている先生もいるのではないでしょうか。 連載 「医師による医師のための財テク術」 の第34回では、 株価の源泉ともいえる 「企業力」 について日米比較をしていきましょう。
株価は基本的に企業価値を反映します。 企業の 「稼ぐ力」 を判断するために最も重要な指標は営業利益率 (営業利益/売上高) です。

参考ですが、 営業利益は企業の本業での儲けを示し、 純利益は不動産の売買など特殊要因も含めた最終的な利益になります。
営業利益率が高ければ、 競争優位性が高い状態といっても差し支えないでしょう。 この水準は業界によって異なるため、 同業での比較が必要です。

【図1】は、 いくつかの業界において日米の代表的企業の営業利益率を比較したものです。
半導体製造装置や高付加価値精密素材・装置では日本の営業利益率は高いですが、 他の産業では軒並み低く、 稼ぐ力が弱いことが示唆されています。
企業の稼ぎがどれだけ株主に還元されるかも、 投資パフォーマンスに大きく影響します。
株主還元は主に配当金と自社株買いがあります。 自社株買いは、 自社が発行している株式を買い戻すことで発行済株式数が減少し、 1株あたりの利益が増加して株価を上昇させる手法です。

【図2】をご覧ください*¹⁾。 日本はこれまで配当金による還元に重きを置く傾向でしたが、 近年は自社株買いを積極化する企業が増えています。 一方、 米国はもともと自社株買いによる株主還元を重視しています。
日本人は配当金を特に好む傾向があり、 日本特有の株主優待という制度まで存在します。 ただこうした株主還元がどこまで続くのか、 という視点で見ると、 日米で大きな開きがあります。

米国では50年以上連続増配している企業は55社。 25年以上連続増配の企業も69社です。 こうした企業はリーマンショックなどあらゆる経済不況があっても株主還元を拡大し続けてくれた 「信頼できる企業」 といえます。
一方、 日本で25年以上連続増配しているのは、 花王、 SPK、 三菱HCキャピタルの3社のみ。 日本は業績が悪化すると減配する企業が多く、 それに伴い株価が急落する場合もあるため、 投資家としては注意する必要があります。

今後の株主還元の増加余地を考える際には、 企業の現金保有額も重要なポイントとなってきます。 日本は元々、 内部留保をため込むことが問題視されており、 現金保有額も右肩上がりです。 2025年には120兆円に達し、 総資産に占める割合も10% (米国は6%) と高くなっています。
この内部留保を株主還元にうまく引き出せれば株価も上昇するかもしれません。

ちなみに、 投資家にとって、 配当金と自社株買いのどちらが有利なのでしょうか。
【図3】でシミュレーションしてみましょう。 比べるのは①収益を全て自社株買いとする株と、 ②全て配当金として還元する株です。
②は毎年配当のたびに税金が取られますが、 ①は途中での課税はなく、 最後に利益確定した段階における株価上昇分に対してのみ課税されます。
その結果、 ①はより多くの資金が複利効果を得ることができ、 最終的な資産も多くなります。 したがって税金面を考慮すると配当金よりも自社株買いの方が効率的な株主還元であるということができるでしょう。
いかがでしたでしょうか。 本日のTake Home Messageは
となります。 次回は、 日米株の構造的比較をしていきます。


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。