薬効分類 | 片頭痛薬 > セロトニン受容体 (5−HT1B/1D) 作動薬 |
一般名 | エレトリプタン臭化水素酸塩錠 |
薬価 | 411.6円 |
メーカー | ヴィアトリス製薬 |
最終更新 | 2024年07月改訂(第5版) |
通常、成人にはエレトリプタンとして1回20mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
また、20mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から40mgを経口投与することができる。
ただし、1日の総投与量を40mg以内とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は頭痛発現時にのみ使用し、予防的には使用しないこと。
7.2. 本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしないこと(このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認すること)。
片頭痛<家族性片麻痺性・孤発性片麻痺性・脳底型・眼筋麻痺性片頭痛を除く>。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は国際頭痛学会による片頭痛診断基準により「前兆のない片頭痛」あるいは「前兆のある片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与すること。特に次のような患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
・ 今までに片頭痛と診断が確定したことのない患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
・ 片頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛の症状や経過とは異なる頭痛・随伴症状のある者はくも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので投与前に問診、診察、検査を十分に行い頭痛の原因を確認してから投与すること。
5.2. 家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシーショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.2. 虚血性心疾患様症状(頻度不明):不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状があらわれることがあり、本剤投与後、一過性胸痛、一過性胸部圧迫感等の症状(強度で咽喉頭部に及ぶ場合がある)があらわれることがあるので、このような症状が虚血性心疾患によると思われる場合には、以後の投与を中止し、虚血性心疾患の有無を調べるための適切な検査を行うこと〔9.1.1、11.2参照〕。
11.1.3. てんかん様発作(頻度不明)〔9.1.4参照〕。
11.1.4. 頻脈(WPW症候群における)(頻度不明):WPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈の報告がある〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 薬剤の使用過多による頭痛(頻度不明)〔8.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 神経系:(1%以上)浮動性めまい、傾眠・眠気、異常感覚、頭痛、(1%未満)感覚減退、回転性めまい、筋緊張亢進。
2). 心・血管系:(1%以上)熱感、(1%未満)潮紅、(頻度不明)動悸、頻脈、血圧上昇。
3). 消化器系:(1%以上)嘔気、口内乾燥、(1%未満)消化不良、腹痛、(頻度不明)嘔吐。
4). 皮膚:(頻度不明)発疹、皮膚そう痒症、蕁麻疹、血管浮腫。
5). その他:(1%以上)疲労、咽喉絞扼感、(1%未満)多汗、胸部絞扼感、無力症、悪寒、咽喉頭疼痛、疼痛、背部痛、(頻度不明)胸痛、倦怠感、筋痛、胸部圧迫感、筋無力症[咽喉絞扼感、胸部絞扼感、胸痛、胸部圧迫感の症状は通常一過性であるが、ときに激しい場合があり、胸部、咽喉頭部を含む身体各部でおこる可能性がある〔11.1.2参照〕]。
発現頻度は承認時の国内臨床試験及び外国で実施された第2相/第3相試験の結果に基づいている。
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]。
2.3. 脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]。
2.4. 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]。
2.5. コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]。
2.6. 重度肝機能障害を有する患者〔9.3.1、16.6.3参照〕。
2.7. エルゴタミン投与中、エルゴタミン誘導体含有製剤投与中、他の5−HT1B/1D受容体作動薬投与中、HIVプロテアーゼ阻害薬投与中(リトナビル)、あるいはニルマトレルビル・リトナビル投与中の患者〔10.1参照〕。
8.1. 心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがあるので、このような場合は以後の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.2. 片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
8.3. 本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと〔11.1.5参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 虚血性心疾患の可能性のある患者:例えば、次のような患者では不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある〔11.1.2参照〕[1)虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者、2)閉経後の女性、3)40歳以上の男性、4)冠動脈疾患の危険因子を有する患者]。
9.1.2. ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)又は他の心臓副伝導路と関連した不整脈のある患者:WPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈が発現したとの報告がある〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 脳血管障害の可能性のある患者:脳血管障害があらわれるおそれがある。
9.1.4. てんかんを起こしやすい器質的脳疾患あるいは痙攣を起こしやすい器質的脳疾患のある患者:てんかん様発作がおこるおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.5. コントロールされている高血圧症患者:一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇を引き起こすことがある。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重度肝機能障害を有する患者:投与しないこと(本剤は主に肝臓で代謝されるので、重度の肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.6、16.6.3参照〕。
9.3.2. 肝機能障害を有する患者:本剤は主に肝臓で代謝されるので、血中濃度が上昇することがある〔16.6.3参照〕。
本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝される〔16.4.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:
1). エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>)、エルゴタミン誘導体含有製剤(ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩<ジヒデルゴット>、エルゴメトリンマレイン酸塩<エルゴメトリンF>、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩<メテルギン>)〔2.7参照〕[血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがあるので、本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与すること(5−HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる)]。
2). 5−HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタンコハク酸塩<イミグラン>、ゾルミトリプタン<ゾーミッグ>、リザトリプタン安息香酸塩<マクサルト>、ナラトリプタン塩酸塩<アマージ>)〔2.7参照〕[血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがあるので、本剤投与後に他の5−HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しないこと(併用により相互に作用を増強させる)]。
3). HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル<ノービア>)〔2.7参照〕、ニルマトレルビル・リトナビル<パキロビッド>〔2.7参照〕[本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
10.2. 併用注意:
1). マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ジョサマイシン、クラリスロマイシン)〔16.7.1参照〕[エリスロマイシンとの併用により、本剤の最高血漿中濃度<Cmax>は2倍に増大、本剤の血漿中濃度−時間曲線下面積<AUC>は4倍に増大し、軽度に血圧が上昇した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
2). 抗真菌剤(イトラコナゾール)[イトラコナゾールとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大し血圧が上昇するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
3). カルシウム拮抗剤(ベラパミル)〔16.7.2参照〕[ベラパミルとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
4). 飲食物(グレープフルーツジュース)[本剤の作用が増強するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
5). エンシトレルビル フマル酸[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(エンシトレルビル フマル酸のチトクロームP450 3Aに対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害されることが考えられる)]。
6). 副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン)、抗てんかん剤(カルバマゼピン)、抗結核薬(リファンピシン)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(酵素誘導剤により本剤の代謝が促進されるおそれがある)]。
7). 飲食物(セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort))[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(セイヨウオトギリソウにより本剤の代謝が促進されるおそれがある)]。
8). 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、セルトラリン塩酸塩)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)[セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)があらわれることがある(セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させるため、本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる)]。
血圧上昇は、若年者よりも高齢者で大きいので慎重に投与すること。高齢者と若年者における収縮期血圧の最大上昇の差は10.19mmHg、拡張期血圧の最大上昇の差は2.59mmHgであった(外国人データ)。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
授乳しないことが望ましい(本剤は投与後24時間までにヒト母乳中に約0.02%の移行が認められている(外国人データ))。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1. 処置
過量投与時、本剤の消失半減期は約4時間であり、少なくとも20時間、あるいは症状・徴候が持続する限り患者をモニターすること。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 片頭痛薬 > セロトニン受容体 (5−HT1B/1D) 作動薬 |
一般名 | エレトリプタン臭化水素酸塩錠 |
薬価 | 411.6円 |
メーカー | ヴィアトリス製薬 |
最終更新 | 2024年07月改訂(第5版) |
通常、成人にはエレトリプタンとして1回20mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
なお、効果が不十分な場合には、追加投与をすることができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
また、20mgの経口投与で効果が不十分であった場合には、次回片頭痛発現時から40mgを経口投与することができる。
ただし、1日の総投与量を40mg以内とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤は頭痛発現時にのみ使用し、予防的には使用しないこと。
7.2. 本剤投与により全く効果が認められない場合は、その発作に対して追加投与をしないこと(このような場合は、再検査の上、頭痛の原因を確認すること)。
片頭痛<家族性片麻痺性・孤発性片麻痺性・脳底型・眼筋麻痺性片頭痛を除く>。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤は国際頭痛学会による片頭痛診断基準により「前兆のない片頭痛」あるいは「前兆のある片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与すること。特に次のような患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
・ 今までに片頭痛と診断が確定したことのない患者は、くも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので、本剤投与前に問診、診察、検査を十分に行い、頭痛の原因を確認してから投与すること。
・ 片頭痛と診断されたことはあるが、片頭痛の症状や経過とは異なる頭痛・随伴症状のある者はくも膜下出血等の脳血管障害や他の原因による頭痛の可能性があるので投与前に問診、診察、検査を十分に行い頭痛の原因を確認してから投与すること。
5.2. 家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシーショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.2. 虚血性心疾患様症状(頻度不明):不整脈、狭心症あるいは心筋梗塞を含む虚血性心疾患様症状があらわれることがあり、本剤投与後、一過性胸痛、一過性胸部圧迫感等の症状(強度で咽喉頭部に及ぶ場合がある)があらわれることがあるので、このような症状が虚血性心疾患によると思われる場合には、以後の投与を中止し、虚血性心疾患の有無を調べるための適切な検査を行うこと〔9.1.1、11.2参照〕。
11.1.3. てんかん様発作(頻度不明)〔9.1.4参照〕。
11.1.4. 頻脈(WPW症候群における)(頻度不明):WPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈の報告がある〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 薬剤の使用過多による頭痛(頻度不明)〔8.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 神経系:(1%以上)浮動性めまい、傾眠・眠気、異常感覚、頭痛、(1%未満)感覚減退、回転性めまい、筋緊張亢進。
2). 心・血管系:(1%以上)熱感、(1%未満)潮紅、(頻度不明)動悸、頻脈、血圧上昇。
3). 消化器系:(1%以上)嘔気、口内乾燥、(1%未満)消化不良、腹痛、(頻度不明)嘔吐。
4). 皮膚:(頻度不明)発疹、皮膚そう痒症、蕁麻疹、血管浮腫。
5). その他:(1%以上)疲労、咽喉絞扼感、(1%未満)多汗、胸部絞扼感、無力症、悪寒、咽喉頭疼痛、疼痛、背部痛、(頻度不明)胸痛、倦怠感、筋痛、胸部圧迫感、筋無力症[咽喉絞扼感、胸部絞扼感、胸痛、胸部圧迫感の症状は通常一過性であるが、ときに激しい場合があり、胸部、咽喉頭部を含む身体各部でおこる可能性がある〔11.1.2参照〕]。
発現頻度は承認時の国内臨床試験及び外国で実施された第2相/第3相試験の結果に基づいている。
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 心筋梗塞の既往歴のある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者[不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれることがある]。
2.3. 脳血管障害や一過性脳虚血発作の既往のある患者[脳血管障害や一過性脳虚血性発作があらわれることがある]。
2.4. 末梢血管障害を有する患者[症状を悪化させる可能性が考えられる]。
2.5. コントロールされていない高血圧症の患者[一過性の血圧上昇を引き起こすことがある]。
2.6. 重度肝機能障害を有する患者〔9.3.1、16.6.3参照〕。
2.7. エルゴタミン投与中、エルゴタミン誘導体含有製剤投与中、他の5−HT1B/1D受容体作動薬投与中、HIVプロテアーゼ阻害薬投与中(リトナビル)、あるいはニルマトレルビル・リトナビル投与中の患者〔10.1参照〕。
8.1. 心血管系の疾患が認められない患者においても、重篤な心疾患が極めてまれに発生することがあるので、このような場合は以後の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.2. 片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
8.3. 本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」の可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと〔11.1.5参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 虚血性心疾患の可能性のある患者:例えば、次のような患者では不整脈、狭心症、心筋梗塞を含む重篤な虚血性心疾患様症状があらわれるおそれがある〔11.1.2参照〕[1)虚血性心疾患を疑わせる重篤な不整脈のある患者、2)閉経後の女性、3)40歳以上の男性、4)冠動脈疾患の危険因子を有する患者]。
9.1.2. ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群(WPW症候群)又は他の心臓副伝導路と関連した不整脈のある患者:WPW症候群の典型的症状である重篤な発作性頻脈が発現したとの報告がある〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 脳血管障害の可能性のある患者:脳血管障害があらわれるおそれがある。
9.1.4. てんかんを起こしやすい器質的脳疾患あるいは痙攣を起こしやすい器質的脳疾患のある患者:てんかん様発作がおこるおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.5. コントロールされている高血圧症患者:一過性の血圧上昇や末梢血管抵抗の上昇を引き起こすことがある。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重度肝機能障害を有する患者:投与しないこと(本剤は主に肝臓で代謝されるので、重度の肝機能障害患者では血中濃度が上昇するおそれがある)〔2.6、16.6.3参照〕。
9.3.2. 肝機能障害を有する患者:本剤は主に肝臓で代謝されるので、血中濃度が上昇することがある〔16.6.3参照〕。
本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝される〔16.4.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:
1). エルゴタミン(エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン<クリアミン>)、エルゴタミン誘導体含有製剤(ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩<ジヒデルゴット>、エルゴメトリンマレイン酸塩<エルゴメトリンF>、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩<メテルギン>)〔2.7参照〕[血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがあるので、本剤投与後にエルゴタミンあるいはエルゴタミン誘導体含有製剤を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以上の間隔をあけて投与すること(5−HT1B/1D受容体作動薬との薬理的相加作用により、相互に作用(血管収縮作用)を増強させる)]。
2). 5−HT1B/1D受容体作動薬(スマトリプタンコハク酸塩<イミグラン>、ゾルミトリプタン<ゾーミッグ>、リザトリプタン安息香酸塩<マクサルト>、ナラトリプタン塩酸塩<アマージ>)〔2.7参照〕[血圧上昇又は血管攣縮が増強されるおそれがあるので、本剤投与後に他の5−HT1B/1D受容体作動型の片頭痛薬を投与する場合、もしくはその逆の場合は、それぞれ24時間以内に投与しないこと(併用により相互に作用を増強させる)]。
3). HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル<ノービア>)〔2.7参照〕、ニルマトレルビル・リトナビル<パキロビッド>〔2.7参照〕[本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
10.2. 併用注意:
1). マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ジョサマイシン、クラリスロマイシン)〔16.7.1参照〕[エリスロマイシンとの併用により、本剤の最高血漿中濃度<Cmax>は2倍に増大、本剤の血漿中濃度−時間曲線下面積<AUC>は4倍に増大し、軽度に血圧が上昇した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
2). 抗真菌剤(イトラコナゾール)[イトラコナゾールとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大し血圧が上昇するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
3). カルシウム拮抗剤(ベラパミル)〔16.7.2参照〕[ベラパミルとの併用により、本剤のCmax・AUCが増大した(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
4). 飲食物(グレープフルーツジュース)[本剤の作用が増強するおそれがある(本剤は、主として肝代謝酵素チトクロームP450 3A4により代謝され、代謝酵素阻害薬によりクリアランスが減少する)]。
5). エンシトレルビル フマル酸[本剤の血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある(エンシトレルビル フマル酸のチトクロームP450 3Aに対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害されることが考えられる)]。
6). 副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン)、抗てんかん剤(カルバマゼピン)、抗結核薬(リファンピシン)[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(酵素誘導剤により本剤の代謝が促進されるおそれがある)]。
7). 飲食物(セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort))[本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがある(セイヨウオトギリソウにより本剤の代謝が促進されるおそれがある)]。
8). 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、セルトラリン塩酸塩)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩)[セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、頻脈、発熱、反射亢進、協調運動障害、下痢等)があらわれることがある(セロトニンの再取り込みを阻害し、セロトニン濃度を上昇させるため、本剤との併用により、セロトニン作用が増強する可能性が考えられる)]。
血圧上昇は、若年者よりも高齢者で大きいので慎重に投与すること。高齢者と若年者における収縮期血圧の最大上昇の差は10.19mmHg、拡張期血圧の最大上昇の差は2.59mmHgであった(外国人データ)。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(授乳婦)
授乳しないことが望ましい(本剤は投与後24時間までにヒト母乳中に約0.02%の移行が認められている(外国人データ))。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1. 処置
過量投与時、本剤の消失半減期は約4時間であり、少なくとも20時間、あるいは症状・徴候が持続する限り患者をモニターすること。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(保管上の注意)
室温保存。
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