薬効分類 | 麻薬性オピオイド |
一般名 | オキシコドン塩酸塩水和物液 |
薬価 | 87.5円 |
メーカー | 日本臓器製薬 |
最終更新 | 2024年05月改訂(第2版) |
通常、成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10〜80mgを4回に分割経口投与する。
なお、症状に応じて適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈臨時追加投与(レスキュー薬の投与)として本剤を使用する場合〉疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること(本剤の1回量は定時投与中のオキシコドン塩酸塩経口製剤の1日量の1/8〜1/4を経口投与すること)。
7.2. 〈定時投与時〉本剤の1日量を4分割して使用する場合には、6時間ごとの定時に経口投与すること。
7.2.1. 〈定時投与時〉初回投与:本剤の投与開始前のオピオイド鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回投与量を設定することとし、既に治療されている場合にはその投与量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜投与量を調節すること。
(1). 〈定時投与時〉オピオイド鎮痛薬を使用していない患者には、疼痛の程度に応じてオキシコドン塩酸塩として10〜20mgを1日投与量とすることが望ましい。
(2). 〈定時投与時〉モルヒネ製剤の経口投与を本剤に変更する場合には、モルヒネ製剤1日投与量の2/3量を1日投与量の目安とすることが望ましい。
(3). 〈定時投与時〉経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には、経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
7.2.2. 〈定時投与時〉増量:本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(2.5mgから5mgへの増量の場合を除き増量の目安は、使用量の25〜50%増とする)〔8.4参照〕。
7.2.3. 〈定時投与時〉減量:連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと)〔7.2.4、11.1.2参照〕。
7.2.4. 〈定時投与時〉投与の中止:本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること〔7.2.3、11.1.2参照〕。
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難、頻脈、全身発赤、血管浮腫、蕁麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.5参照〕。
11.1.2. 依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、痙攣、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫、動悸等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと〔7.2.3、7.2.4、8.1参照〕。
11.1.3. 呼吸抑制(頻度不明):息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する)〔2.1、9.1.3、13.2参照〕。
11.1.4. 錯乱(頻度不明)、譫妄(2%未満)。
11.1.5. 無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸(いずれも頻度不明):炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある〔2.5参照〕。
11.1.7. 肝機能障害(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAl−P上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹。
2). 循環器:(5%未満)低血圧、(頻度不明)不整脈、血圧変動、起立性低血圧、失神。
3). 精神神経系:(5%以上)眠気(16.9%)、傾眠、眩暈、(5%未満)頭痛・頭重感、不眠、(頻度不明)発汗、幻覚、意識障害、しびれ、筋れん縮、焦燥、不安、異夢、悪夢、興奮、視調節障害、縮瞳、神経過敏、感覚異常、痙攣、振戦、筋緊張亢進、健忘、抑うつ、感情不安定、多幸感、思考異常、構語障害、*痛覚過敏[*:増量により痛みが増悪する]、アロディニア。
4). 消化器:(5%以上)便秘(26.8%)、嘔気(16.9%)、嘔吐、(5%未満)下痢、食欲不振、胃不快感、口渇、(頻度不明)腹痛、おくび、鼓腸、味覚異常、嚥下障害。
5). その他:(5%未満)そう痒感、発熱、倦怠感、血管拡張(顔面潮紅、熱感)、呼吸困難、(頻度不明)悪寒、頭蓋内圧亢進、脱力感、胸部圧迫感、排尿障害、尿閉、脱水、無月経、性欲減退、勃起障害、浮腫、皮膚乾燥。
2.1. 重篤な呼吸抑制のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者[呼吸抑制を増強する]〔11.1.3参照〕。
2.2. 気管支喘息発作中の患者[呼吸を抑制し、気道分泌を妨げる]。
2.3. 慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する]〔9.1.2参照〕。
2.4. 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄刺激効果があらわれる]〔9.1.14参照〕。
2.5. 麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する]〔11.1.6参照〕。
2.6. 急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する]。
2.7. アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者。
2.8. 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.9. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
8.1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.2参照〕。
8.2. 眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.3. 本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤の併用、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること〔13.1、13.2参照〕。
8.4. 本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること〔7.2.2参照〕。
8.5. 本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと〔14.1.1、14.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 細菌性下痢のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(治療期間の延長を来すおそれがある)〔2.8参照〕。
9.1.2. 心機能障害あるいは低血圧のある患者:循環不全を増強するおそれがある〔2.3参照〕。
9.1.3. 呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.4. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.5. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.1.6. 代謝性アシドーシスのある患者:呼吸抑制を起こしたときアシドーシスを増悪させるおそれがある。
9.1.7. 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者:呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
9.1.8. 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.9. 薬物依存・アルコール依存又はその既往歴のある患者:依存性を生じやすい〔9.1.10参照〕。
9.1.10. 薬物による精神障害、アルコールによる精神障害等のある患者:症状が増悪するおそれがある〔9.1.9参照〕。
9.1.11. 衰弱者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.12. 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者:排尿障害を増悪することがある。
9.1.13. 器質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った患者:消化管運動を抑制する。
9.1.14. 痙攣の既往歴のある患者:痙攣を誘発するおそれがある〔2.4参照〕。
9.1.15. 胆嚢障害、胆石症又は膵炎の患者:オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。
9.1.16. 重篤な炎症性腸疾患のある患者:連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
(腎機能障害患者)
腎機能障害患者:排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある〔16.6.1参照〕。
(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある〔16.6.2参照〕。
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される〔16.4.2参照〕。
10.1. 併用禁忌:
ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.9参照〕[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
10.2. 併用注意:
1). 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)、吸入麻酔剤、MAO阻害剤、三環系抗うつ剤、β遮断剤、アルコール[<臨床症状>呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある;<措置方法>減量するなど慎重に投与すること(相加的に中枢神経抑制作用を増強させる)]。
2). クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがあるので投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序は不明である)]。
3). 抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤等)[<臨床症状>麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある(相加的に抗コリン作用を増強させる)]。
4). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(ブプレノルフィン、ペンタゾシン等は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである)]。
5). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(ボリコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン等)〔16.7.1−16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(CYP3A4を介する本剤の代謝が阻害される)]。
6). CYP3A4誘導作用を有する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)〔16.7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱する可能性があり、なお、これらの薬剤の中止後に本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(CYP3A4を介する本剤の代謝が促進される)]。
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い)。
(妊婦)
9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(オキシコドンでは催奇形作用は認められていないが、類薬のモルヒネの動物試験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されている)。
9.5.2. 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3. 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
(授乳婦)
本剤投与中は授乳を避けさせること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1. 症状
過量投与時、呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤な眩暈、嗜眠、心拍数減少、神経過敏、不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがある〔8.3参照〕。
13.2. 処置
過量投与時には、麻薬拮抗剤投与を行い、患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する(なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間はオキシコドンのそれより短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する)〔8.3、11.1.3参照〕。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用あるいは他人への譲渡をしないよう指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること〔8.5参照〕。
14.1.2. 本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返納するなどの処置について適切に指導すること〔8.5参照〕。
(保管上の注意)
室温保存(1〜30℃)。
(保険給付上の注意)
本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき、投薬量は1回30日分を限度とされている。
薬効分類 | 麻薬性オピオイド |
一般名 | オキシコドン塩酸塩水和物液 |
薬価 | 87.5円 |
メーカー | 日本臓器製薬 |
最終更新 | 2024年05月改訂(第2版) |
通常、成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10〜80mgを4回に分割経口投与する。
なお、症状に応じて適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈臨時追加投与(レスキュー薬の投与)として本剤を使用する場合〉疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること(本剤の1回量は定時投与中のオキシコドン塩酸塩経口製剤の1日量の1/8〜1/4を経口投与すること)。
7.2. 〈定時投与時〉本剤の1日量を4分割して使用する場合には、6時間ごとの定時に経口投与すること。
7.2.1. 〈定時投与時〉初回投与:本剤の投与開始前のオピオイド鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回投与量を設定することとし、既に治療されている場合にはその投与量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜投与量を調節すること。
(1). 〈定時投与時〉オピオイド鎮痛薬を使用していない患者には、疼痛の程度に応じてオキシコドン塩酸塩として10〜20mgを1日投与量とすることが望ましい。
(2). 〈定時投与時〉モルヒネ製剤の経口投与を本剤に変更する場合には、モルヒネ製剤1日投与量の2/3量を1日投与量の目安とすることが望ましい。
(3). 〈定時投与時〉経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には、経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
7.2.2. 〈定時投与時〉増量:本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと(2.5mgから5mgへの増量の場合を除き増量の目安は、使用量の25〜50%増とする)〔8.4参照〕。
7.2.3. 〈定時投与時〉減量:連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと(副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと)〔7.2.4、11.1.2参照〕。
7.2.4. 〈定時投与時〉投与の中止:本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること〔7.2.3、11.1.2参照〕。
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難、頻脈、全身発赤、血管浮腫、蕁麻疹等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.5参照〕。
11.1.2. 依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、譫妄、痙攣、振戦、全身筋肉痛・全身関節痛、呼吸促迫、動悸等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと〔7.2.3、7.2.4、8.1参照〕。
11.1.3. 呼吸抑制(頻度不明):息切れ、呼吸緩慢、不規則呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する)〔2.1、9.1.3、13.2参照〕。
11.1.4. 錯乱(頻度不明)、譫妄(2%未満)。
11.1.5. 無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸(いずれも頻度不明):炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある〔2.5参照〕。
11.1.7. 肝機能障害(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAl−P上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹。
2). 循環器:(5%未満)低血圧、(頻度不明)不整脈、血圧変動、起立性低血圧、失神。
3). 精神神経系:(5%以上)眠気(16.9%)、傾眠、眩暈、(5%未満)頭痛・頭重感、不眠、(頻度不明)発汗、幻覚、意識障害、しびれ、筋れん縮、焦燥、不安、異夢、悪夢、興奮、視調節障害、縮瞳、神経過敏、感覚異常、痙攣、振戦、筋緊張亢進、健忘、抑うつ、感情不安定、多幸感、思考異常、構語障害、*痛覚過敏[*:増量により痛みが増悪する]、アロディニア。
4). 消化器:(5%以上)便秘(26.8%)、嘔気(16.9%)、嘔吐、(5%未満)下痢、食欲不振、胃不快感、口渇、(頻度不明)腹痛、おくび、鼓腸、味覚異常、嚥下障害。
5). その他:(5%未満)そう痒感、発熱、倦怠感、血管拡張(顔面潮紅、熱感)、呼吸困難、(頻度不明)悪寒、頭蓋内圧亢進、脱力感、胸部圧迫感、排尿障害、尿閉、脱水、無月経、性欲減退、勃起障害、浮腫、皮膚乾燥。
2.1. 重篤な呼吸抑制のある患者、重篤な慢性閉塞性肺疾患の患者[呼吸抑制を増強する]〔11.1.3参照〕。
2.2. 気管支喘息発作中の患者[呼吸を抑制し、気道分泌を妨げる]。
2.3. 慢性肺疾患に続発する心不全の患者[呼吸抑制や循環不全を増強する]〔9.1.2参照〕。
2.4. 痙攣状態(てんかん重積症、破傷風、ストリキニーネ中毒)にある患者[脊髄刺激効果があらわれる]〔9.1.14参照〕。
2.5. 麻痺性イレウスの患者[消化管運動を抑制する]〔11.1.6参照〕。
2.6. 急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制を増強する]。
2.7. アヘンアルカロイドに対し過敏症の患者。
2.8. 出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な細菌性下痢のある患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある]〔9.1.1参照〕。
2.9. ナルメフェン塩酸塩水和物投与中又はナルメフェン塩酸塩水和物投与中止後1週間以内の患者〔10.1参照〕。
8.1. 連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること〔11.1.2参照〕。
8.2. 眠気、眩暈が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
8.3. 本剤を投与する場合には、便秘に対する対策として緩下剤の併用、嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を、また、鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には、過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど、本剤投与時の副作用に十分注意すること〔13.1、13.2参照〕。
8.4. 本剤を増量する場合には、副作用に十分注意すること〔7.2.2参照〕。
8.5. 本剤の医療目的外使用を防止するため、適切な処方を行い、保管に留意するとともに、患者等に対して適切な指導を行うこと〔14.1.1、14.1.2参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 細菌性下痢のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(治療期間の延長を来すおそれがある)〔2.8参照〕。
9.1.2. 心機能障害あるいは低血圧のある患者:循環不全を増強するおそれがある〔2.3参照〕。
9.1.3. 呼吸機能障害のある患者:呼吸抑制を増強するおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.4. 脳器質的障害のある患者:呼吸抑制や頭蓋内圧上昇を起こすおそれがある。
9.1.5. ショック状態にある患者:循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある〔11.1.1参照〕。
9.1.6. 代謝性アシドーシスのある患者:呼吸抑制を起こしたときアシドーシスを増悪させるおそれがある。
9.1.7. 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者:呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
9.1.8. 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.9. 薬物依存・アルコール依存又はその既往歴のある患者:依存性を生じやすい〔9.1.10参照〕。
9.1.10. 薬物による精神障害、アルコールによる精神障害等のある患者:症状が増悪するおそれがある〔9.1.9参照〕。
9.1.11. 衰弱者:呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
9.1.12. 前立腺肥大による排尿障害、尿道狭窄、尿路手術術後の患者:排尿障害を増悪することがある。
9.1.13. 器質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った患者:消化管運動を抑制する。
9.1.14. 痙攣の既往歴のある患者:痙攣を誘発するおそれがある〔2.4参照〕。
9.1.15. 胆嚢障害、胆石症又は膵炎の患者:オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。
9.1.16. 重篤な炎症性腸疾患のある患者:連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
(腎機能障害患者)
腎機能障害患者:排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある〔16.6.1参照〕。
(肝機能障害患者)
肝機能障害患者:代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある〔16.6.2参照〕。
本剤は、主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される〔16.4.2参照〕。
10.1. 併用禁忌:
ナルメフェン塩酸塩水和物<セリンクロ>〔2.9参照〕[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される)]。
10.2. 併用注意:
1). 中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体等)、吸入麻酔剤、MAO阻害剤、三環系抗うつ剤、β遮断剤、アルコール[<臨床症状>呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある;<措置方法>減量するなど慎重に投与すること(相加的に中枢神経抑制作用を増強させる)]。
2). クマリン系抗凝血剤(ワルファリンカリウム)[クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがあるので投与量を調節するなど慎重に投与すること(機序は不明である)]。
3). 抗コリン作用を有する薬剤(フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ剤等)[<臨床症状>麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある(相加的に抗コリン作用を増強させる)]。
4). ブプレノルフィン、ペンタゾシン等[本剤の鎮痛作用を減弱させることがあり、また、退薬症候を起こすことがある(ブプレノルフィン、ペンタゾシン等は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである)]。
5). CYP3A4阻害作用を有する薬剤(ボリコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン等)〔16.7.1−16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(CYP3A4を介する本剤の代謝が阻害される)]。
6). CYP3A4誘導作用を有する薬剤(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン等)〔16.7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下し作用が減弱する可能性があり、なお、これらの薬剤の中止後に本剤の血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること(CYP3A4を介する本剤の代謝が促進される)]。
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること(一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い)。
(妊婦)
9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(オキシコドンでは催奇形作用は認められていないが、類薬のモルヒネの動物試験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されている)。
9.5.2. 分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
9.5.3. 分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
(授乳婦)
本剤投与中は授乳を避けさせること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
13.1. 症状
過量投与時、呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤な眩暈、嗜眠、心拍数減少、神経過敏、不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがある〔8.3参照〕。
13.2. 処置
過量投与時には、麻薬拮抗剤投与を行い、患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する(なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間はオキシコドンのそれより短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する)〔8.3、11.1.3参照〕。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
14.1.1. 具体的な服用方法、服用時の注意点、保管方法等を十分に説明し、本剤の目的以外への使用あるいは他人への譲渡をしないよう指導するとともに、本剤を子供の手の届かないところに保管するよう指導すること〔8.5参照〕。
14.1.2. 本剤が不要となった場合には、病院又は薬局へ返納するなどの処置について適切に指導すること〔8.5参照〕。
(保管上の注意)
室温保存(1〜30℃)。
(保険給付上の注意)
本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき、投薬量は1回30日分を限度とされている。
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