薬効分類 | 高脂血症薬 > HMG−CoA還元酵素阻害薬 |
一般名 | ロスバスタチンカルシウム錠 |
薬価 | 11.4円 |
メーカー | 第一三共エスファ |
最終更新 | 2023年07月改訂(第5版) |
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL−コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL−コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL−コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73u未満の患者に投与する場合には、2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする〔9.2.2、9.2.3、16.6.3参照〕。
7.2. 特に20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがあるので、20mg投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔9.2.2、9.2.3、16.6.3参照〕。
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.2. 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL−アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 横紋筋融解症(0.1%未満):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止すること。
11.1.2. ミオパチー(頻度不明):広範な筋肉痛、高度脱力感や著明なCK上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.3. 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明):近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維壊死、抗HMG−CoA還元酵素抗体陽性(抗HMGCR抗体陽性)等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること(なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある)。
11.1.4. 重症筋無力症(頻度不明):重症筋無力症(眼筋型重症筋無力症、全身型重症筋無力症)が発症又は重症筋無力症悪化(眼筋型重症筋無力症悪化、全身型重症筋無力症悪化)することがある〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 肝炎(0.1%未満)、肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明):肝炎、AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.3参照〕。
11.1.6. 血小板減少(0.1%未満)〔8.4参照〕。
11.1.7. 過敏症状(0.1%未満):血管浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
11.1.8. 間質性肺炎(0.1%未満):長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9. 末梢神経障害(0.1%未満):四肢感覚鈍麻、しびれ感等の感覚障害、疼痛、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.1.10. 多形紅斑(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(0.1〜2%未満)皮膚そう痒症、発疹、蕁麻疹、(頻度不明)苔癬様皮疹。
2). 消化器:(0.1〜2%未満)腹痛、便秘、嘔気、下痢、(0.1%未満)膵炎、口内炎。
3). 筋・骨格系:(2〜5%未満)CK上昇、(0.1〜2%未満)無力症、筋肉痛、関節痛、(0.1%未満)筋痙攣。
4). 精神神経系:(0.1〜2%未満)頭痛、浮動性めまい、(0.1%未満)健忘、睡眠障害(不眠、悪夢等)、抑うつ。
5). 内分泌:(頻度不明)女性化乳房。
6). 代謝異常:(0.1%未満)HbA1c上昇、血糖値上昇。
7). 肝臓:(2〜5%未満)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇)。
8). 腎臓:(0.1〜2%未満)蛋白尿[通常一過性であるが、原因不明の蛋白尿が持続する場合には減量するなど適切な処置を行うこと]、腎機能異常(BUN上昇、血清クレアチニン上昇)。
発現頻度は使用成績調査から算出した。
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 肝機能低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸)〔9.3.1、9.3.2、16.6.2参照〕。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦〔9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
2.4. シクロスポリン投与中の患者〔10.1、16.7.2参照〕。
8.1. あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.2. 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.3. 投与開始又は増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと〔11.1.5参照〕。
8.4. 血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある次の患者。
・ アルコール中毒患者。
・ 甲状腺機能低下症の患者。
・ 遺伝性筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者。
・ 薬剤性筋障害の既往歴のある患者。
9.1.2. 重症筋無力症又はその既往歴のある患者:重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある〔11.1.4参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 腎機能検査値異常のある患者:本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。腎機能検査値異常のある患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状<筋肉痛・脱力感>の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること〔10.2参照〕。
9.2.2. 腎障害又はその既往歴のある患者:横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある〔7.1、7.2、16.6.3参照〕。
9.2.3. 重度腎障害のある患者:本剤の血中濃度が高くなるおそれがある〔7.1、7.2、16.6.3参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 肝機能低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸):投与しないこと(これらの患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、また、本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある)〔2.2、16.6.2参照〕。
9.3.2. 肝障害又はその既往歴のある患者:本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child−Pughスコアが8〜9の患者では、血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある〔2.2、16.6.2参照〕。
本剤は、OATP1B1及びBCRPの基質である。
10.1. 併用禁忌:
シクロスポリン<サンディミュン、ネオーラル等>〔2.4、16.7.2参照〕[シクロスポリンを投与されている心臓移植患者に併用したとき、シクロスポリンの血中濃度に影響はなかったが、本剤のAUC0−24hが健康成人に単独で反復投与したときに比べ約7倍上昇したとの報告がある(シクロスポリンがOATP1B1及びBCRP等の機能を阻害する可能性がある)]。
10.2. 併用注意:
1). フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)〔9.2.1参照〕[フェノフィブラートとの併用においては、いずれの薬剤の血中濃度にも影響はみられていないが、一般に、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい(両剤共に横紋筋融解症の報告がある<危険因子>腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者)]。
2). ニコチン酸、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)[一般に、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい(<危険因子>腎機能障害のある患者)]。
3). クマリン系抗凝固剤(ワルファリン)[抗凝血作用が増強することがあり、本剤を併用する場合は、本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻回にプロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を確認し、必要に応じてワルファリンの用量を調節する等、注意深く投与すること(機序は不明)]。
4). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム)〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されており、本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった(機序は不明)]。
5). ロピナビル・リトナビル、アタザナビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル、グレカプレビル・ピブレンタスビル[本剤とロピナビル・リトナビルを併用したとき本剤のAUCが約2倍・Cmaxが約5倍上昇(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、アタザナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約3倍・Cmaxが7倍上昇(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、ダルナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約1.5倍・Cmaxが約2.4倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、また本剤とグレカプレビル・ピブレンタスビル<承認用量外の用量>を併用したとき、本剤のAUCが約2.2倍・Cmaxが約5.6倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
6). ダクラタスビル、アスナプレビル、ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル[本剤とダクラタスビル、アスナプレビル、またはダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル<承認用量外の用量>を併用したとき、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある(ダクラタスビル、ベクラブビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性があり、また、アスナプレビルがOATP1B1、1B3の機能を阻害する可能性がある)]。
7). グラゾプレビル/エルバスビル[本剤とグラゾプレビル<承認用量外の用量>及びエルバスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.3倍・Cmaxが約5.5倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
8). ソホスブビル・ベルパタスビル[本剤とベルパタスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.7倍・Cmaxが約2.6倍上昇したとの報告がある(ベルパタスビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
9). ダロルタミド[本剤とダロルタミドを併用したとき、本剤のAUCが5.2倍・Cmaxが5.0倍上昇したとの報告がある(ダロルタミドがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
10). レゴラフェニブ[本剤とレゴラフェニブを併用したとき、本剤のAUCが3.8倍・Cmaxが4.6倍上昇したとの報告がある(レゴラフェニブがBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
11). カプマチニブ塩酸塩水和物[本剤とカプマチニブ塩酸塩水和物を併用したとき、本剤のAUCが約2.1倍・Cmaxが約3.0倍上昇したとの報告がある(カプマチニブ塩酸塩がBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
12). バダデュスタット[本剤とバダデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが約2.5倍・Cmaxが約2.7倍上昇したとの報告がある(バダデュスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
13). フェブキソスタット[本剤とフェブキソスタットを併用したとき、本剤のAUCが約1.9倍・Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある(フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
14). エルトロンボパグ[本剤とエルトロンボパグを併用したとき、本剤のAUCが約1.6倍上昇したとの報告がある(エルトロンボパグがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
15). ホスタマチニブナトリウム水和物[本剤とホスタマチニブナトリウム水和物を併用したとき、本剤のAUCが1.96倍・Cmaxが1.88倍上昇したとの報告がある(ホスタマチニブナトリウム水和物がBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
16). ロキサデュスタット[本剤とロキサデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが2.93倍・Cmaxが4.47倍上昇したとの報告がある(ロキサデュスタットがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
17). タファミジス[本剤とタファミジスを併用したとき、本剤のAUCが1.97倍・Cmaxが1.86倍上昇したとの報告がある(タファミジスがBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(ラットに他のHMG−CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎仔骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG−CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある)〔2.3参照〕。
(授乳婦)
投与しないこと(ラットで乳汁中への移行が報告されている)〔2.3参照〕。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.2. 薬剤交付時の注意
14.2.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(取扱い上の注意)
20.1. アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
海外において、本剤を含むHMG−CoA還元酵素阻害剤投与中の患者では、糖尿病発症のリスクが高かったとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 高脂血症薬 > HMG−CoA還元酵素阻害薬 |
一般名 | ロスバスタチンカルシウム錠 |
薬価 | 11.4円 |
メーカー | 第一三共エスファ |
最終更新 | 2023年07月改訂(第5版) |
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL−コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL−コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL−コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73u未満の患者に投与する場合には、2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする〔9.2.2、9.2.3、16.6.3参照〕。
7.2. 特に20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがあるので、20mg投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと〔9.2.2、9.2.3、16.6.3参照〕。
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.2. 家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL−アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 横紋筋融解症(0.1%未満):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止すること。
11.1.2. ミオパチー(頻度不明):広範な筋肉痛、高度脱力感や著明なCK上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.3. 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明):近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維壊死、抗HMG−CoA還元酵素抗体陽性(抗HMGCR抗体陽性)等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること(なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある)。
11.1.4. 重症筋無力症(頻度不明):重症筋無力症(眼筋型重症筋無力症、全身型重症筋無力症)が発症又は重症筋無力症悪化(眼筋型重症筋無力症悪化、全身型重症筋無力症悪化)することがある〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 肝炎(0.1%未満)、肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明):肝炎、AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.3参照〕。
11.1.6. 血小板減少(0.1%未満)〔8.4参照〕。
11.1.7. 過敏症状(0.1%未満):血管浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
11.1.8. 間質性肺炎(0.1%未満):長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9. 末梢神経障害(0.1%未満):四肢感覚鈍麻、しびれ感等の感覚障害、疼痛、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.1.10. 多形紅斑(頻度不明)。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(0.1〜2%未満)皮膚そう痒症、発疹、蕁麻疹、(頻度不明)苔癬様皮疹。
2). 消化器:(0.1〜2%未満)腹痛、便秘、嘔気、下痢、(0.1%未満)膵炎、口内炎。
3). 筋・骨格系:(2〜5%未満)CK上昇、(0.1〜2%未満)無力症、筋肉痛、関節痛、(0.1%未満)筋痙攣。
4). 精神神経系:(0.1〜2%未満)頭痛、浮動性めまい、(0.1%未満)健忘、睡眠障害(不眠、悪夢等)、抑うつ。
5). 内分泌:(頻度不明)女性化乳房。
6). 代謝異常:(0.1%未満)HbA1c上昇、血糖値上昇。
7). 肝臓:(2〜5%未満)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇)。
8). 腎臓:(0.1〜2%未満)蛋白尿[通常一過性であるが、原因不明の蛋白尿が持続する場合には減量するなど適切な処置を行うこと]、腎機能異常(BUN上昇、血清クレアチニン上昇)。
発現頻度は使用成績調査から算出した。
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 肝機能低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸)〔9.3.1、9.3.2、16.6.2参照〕。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦〔9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
2.4. シクロスポリン投与中の患者〔10.1、16.7.2参照〕。
8.1. あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や高血圧、喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.2. 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.3. 投与開始又は増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと〔11.1.5参照〕。
8.4. 血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある次の患者。
・ アルコール中毒患者。
・ 甲状腺機能低下症の患者。
・ 遺伝性筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者。
・ 薬剤性筋障害の既往歴のある患者。
9.1.2. 重症筋無力症又はその既往歴のある患者:重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある〔11.1.4参照〕。
(腎機能障害患者)
9.2.1. 腎機能検査値異常のある患者:本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。腎機能検査値異常のある患者に、本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいので、やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状<筋肉痛・脱力感>の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること〔10.2参照〕。
9.2.2. 腎障害又はその既往歴のある患者:横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある〔7.1、7.2、16.6.3参照〕。
9.2.3. 重度腎障害のある患者:本剤の血中濃度が高くなるおそれがある〔7.1、7.2、16.6.3参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 肝機能低下していると考えられる次のような患者(急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸):投与しないこと(これらの患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあり、また、本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある)〔2.2、16.6.2参照〕。
9.3.2. 肝障害又はその既往歴のある患者:本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child−Pughスコアが8〜9の患者では、血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある〔2.2、16.6.2参照〕。
本剤は、OATP1B1及びBCRPの基質である。
10.1. 併用禁忌:
シクロスポリン<サンディミュン、ネオーラル等>〔2.4、16.7.2参照〕[シクロスポリンを投与されている心臓移植患者に併用したとき、シクロスポリンの血中濃度に影響はなかったが、本剤のAUC0−24hが健康成人に単独で反復投与したときに比べ約7倍上昇したとの報告がある(シクロスポリンがOATP1B1及びBCRP等の機能を阻害する可能性がある)]。
10.2. 併用注意:
1). フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)〔9.2.1参照〕[フェノフィブラートとの併用においては、いずれの薬剤の血中濃度にも影響はみられていないが、一般に、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい(両剤共に横紋筋融解症の報告がある<危険因子>腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者)]。
2). ニコチン酸、アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)[一般に、HMG−CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい(<危険因子>腎機能障害のある患者)]。
3). クマリン系抗凝固剤(ワルファリン)[抗凝血作用が増強することがあり、本剤を併用する場合は、本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻回にプロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を確認し、必要に応じてワルファリンの用量を調節する等、注意深く投与すること(機序は不明)]。
4). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム)〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されており、本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった(機序は不明)]。
5). ロピナビル・リトナビル、アタザナビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル、グレカプレビル・ピブレンタスビル[本剤とロピナビル・リトナビルを併用したとき本剤のAUCが約2倍・Cmaxが約5倍上昇(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、アタザナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約3倍・Cmaxが7倍上昇(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、ダルナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約1.5倍・Cmaxが約2.4倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)、また本剤とグレカプレビル・ピブレンタスビル<承認用量外の用量>を併用したとき、本剤のAUCが約2.2倍・Cmaxが約5.6倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
6). ダクラタスビル、アスナプレビル、ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル[本剤とダクラタスビル、アスナプレビル、またはダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル<承認用量外の用量>を併用したとき、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある(ダクラタスビル、ベクラブビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性があり、また、アスナプレビルがOATP1B1、1B3の機能を阻害する可能性がある)]。
7). グラゾプレビル/エルバスビル[本剤とグラゾプレビル<承認用量外の用量>及びエルバスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.3倍・Cmaxが約5.5倍上昇したとの報告がある(併用薬剤がBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
8). ソホスブビル・ベルパタスビル[本剤とベルパタスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.7倍・Cmaxが約2.6倍上昇したとの報告がある(ベルパタスビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
9). ダロルタミド[本剤とダロルタミドを併用したとき、本剤のAUCが5.2倍・Cmaxが5.0倍上昇したとの報告がある(ダロルタミドがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
10). レゴラフェニブ[本剤とレゴラフェニブを併用したとき、本剤のAUCが3.8倍・Cmaxが4.6倍上昇したとの報告がある(レゴラフェニブがBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
11). カプマチニブ塩酸塩水和物[本剤とカプマチニブ塩酸塩水和物を併用したとき、本剤のAUCが約2.1倍・Cmaxが約3.0倍上昇したとの報告がある(カプマチニブ塩酸塩がBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
12). バダデュスタット[本剤とバダデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが約2.5倍・Cmaxが約2.7倍上昇したとの報告がある(バダデュスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
13). フェブキソスタット[本剤とフェブキソスタットを併用したとき、本剤のAUCが約1.9倍・Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある(フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある)]。
14). エルトロンボパグ[本剤とエルトロンボパグを併用したとき、本剤のAUCが約1.6倍上昇したとの報告がある(エルトロンボパグがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
15). ホスタマチニブナトリウム水和物[本剤とホスタマチニブナトリウム水和物を併用したとき、本剤のAUCが1.96倍・Cmaxが1.88倍上昇したとの報告がある(ホスタマチニブナトリウム水和物がBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
16). ロキサデュスタット[本剤とロキサデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが2.93倍・Cmaxが4.47倍上昇したとの報告がある(ロキサデュスタットがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
17). タファミジス[本剤とタファミジスを併用したとき、本剤のAUCが1.97倍・Cmaxが1.86倍上昇したとの報告がある(タファミジスがBCRPの機能を阻害する可能性がある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(ラットに他のHMG−CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎仔骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG−CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある)〔2.3参照〕。
(授乳婦)
投与しないこと(ラットで乳汁中への移行が報告されている)〔2.3参照〕。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.2. 薬剤交付時の注意
14.2.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
(取扱い上の注意)
20.1. アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存すること。
15.1. 臨床使用に基づく情報
海外において、本剤を含むHMG−CoA還元酵素阻害剤投与中の患者では、糖尿病発症のリスクが高かったとの報告がある。
(保管上の注意)
室温保存。
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