薬剤情報
後発品
薬効分類免疫抑制薬 > 完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
一般名エタネルセプト (遺伝子組換え) キット (2)
薬価11768
メーカー陽進堂
最終更新2024年07月改訂(第2版)

用法・用量

本剤を、通常、成人にはエタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続2]として10〜25mgを1日1回、週に2回、又は25〜50mgを1日1回、週に1回、皮下注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 本剤を週に2回投与する場合は、投与間隔を3〜4日間隔とすること。

7.2. 本剤とアバタセプト<遺伝子組換え>の併用は行わないこと(海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、本剤を含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が本剤を含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった)。また、本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。

効能・効果

既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 重篤な感染症:敗血症(0.2%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎を含む、1.5%)、真菌感染症(0.2%)等の日和見感染症(2.5%)があらわれることがある。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている〔1.1、1.2.1、2.1、2.2、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、15.1.6参照〕。

11.1.2. 結核(0.1%未満):本剤投与による結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性がある(また、肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)も報告されていることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと)〔1.1、1.2.2、2.3、8.1、8.2、8.7、9.1.1−9.1.3参照〕。

11.1.3. 重篤なアレルギー反応(0.5%):血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣及びじん麻疹等の重篤なアレルギー反応があらわれることがあるので、このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.4. 重篤な血液障害(0.8%):再生不良性貧血及び汎血球減少(致命的転帰に至った例を含む)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群があらわれることがある〔8.7、9.1.6参照〕。

11.1.5. 脱髄疾患(頻度不明):多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等があらわれることがある〔1.1、1.3、2.5、9.1.5参照〕。

11.1.6. 間質性肺炎(0.7%):発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、速やかに胸部CT検査及び速やかに血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β−Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

11.1.7. 抗dsDNA抗体陽性化を伴うループス様症候群(0.1%未満):抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがあるので、このような場合には、投与を中止すること〔8.5、15.1.2参照〕。

11.1.8. 肝機能障害(3.1%):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

11.1.9. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)。

11.1.10. 抗好中球細胞質抗体陽性血管炎(ANCA陽性血管炎)(頻度不明)。

11.1.11. 急性腎障害(0.1%)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)。

11.1.12. 心不全(0.1%未満)〔2.6、15.1.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 呼吸器:(1%以上)感冒、上気道感染、気管支炎、(0.1〜1%未満)咳嗽、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、鼻漏、扁桃炎、(0.1%未満)胸水、喘息、喀痰、嗄声、鼻閉、血痰、気管狭窄、気管支拡張症、気管支肺異形成症、肺嚢胞。

2). 皮膚:(1%以上)発疹(湿疹、皮膚炎、紅斑等)、皮膚そう痒症、(0.1〜1%未満)じん麻疹、皮膚白癬、脱毛、爪囲炎、(0.1%未満)膿痂疹、皮膚乾燥、爪感染、爪異常、皮膚胼胝、光線過敏症、膿疱性乾癬、乾癬(乾癬悪化を含む)、凍瘡、化膿性汗腺炎、色素性母斑、(頻度不明)乾癬様皮疹。

3). 消化器:(0.1〜1%未満)胃腸炎、下痢・軟便、口内炎、腹痛、咽喉頭疼痛、悪心、嘔吐、便秘、歯周炎、食欲不振、歯肉炎、齲歯、胃部不快感、消化性潰瘍、(0.1%未満)咽頭不快感、口唇炎(口角炎等)、腹部膨満、歯痛、歯髄炎、口腔感染、歯知覚過敏、歯肉腫脹、舌苔、膵炎。

4). 投与部位:(1%以上)注射部位反応(紅斑、出血斑、そう痒感、皮膚炎、疼痛、挫傷等)[注射部位反応は、投与開始から1ヵ月の間に高頻度で発現し、その後減少している(注射部位反応は、以前に注射した部位にもあらわれる可能性がある)]。

5). 泌尿器:(0.1〜1%未満)尿路感染(膀胱炎等)、腎盂腎炎、BUN増加、尿沈渣、血尿、(0.1%未満)蛋白尿、クレアチニン上昇、頻尿、尿糖、残尿感、腎結石、(頻度不明)糸球体腎炎。

6). 精神神経系:(0.1〜1%未満)頭痛、浮動性めまい、感覚減退(しびれ感等)、不眠、(0.1%未満)錯感覚(ピリピリ感等)、眠気、味覚異常、手根管症候群、不安、嗅覚異常、四肢異常感覚。

7). 肝臓:(0.1〜1%未満)ALT上昇、AST上昇、ALP上昇、LDH上昇。

8). 循環器:(0.1〜1%未満)高血圧、血圧上昇、動悸、潮紅、(0.1%未満)期外収縮、頻脈、血管炎(白血球破砕性血管炎、IgA血管炎等)。

9). 血液:(0.1〜1%未満)白血球増加、貧血(鉄欠乏性貧血を含む)、ヘモグロビン減少、(0.1%未満)好酸球増加、ヘマトクリット減少、赤血球減少、血小板増加、リンパ球増加、血沈亢進、好中球増加、赤血球形態異常、白血球分画異常、網状赤血球増加。

10). 眼:(0.1〜1%未満)結膜炎、麦粒腫、(0.1%未満)ブドウ膜炎、白内障、結膜充血、角膜潰瘍、眼精疲労、眼乾燥、眼のちらつき、眼痛、強膜炎、眼異常感。

11). 筋・骨格系:(0.1〜1%未満)化膿性関節炎、疼痛(四肢疼痛、腰疼痛、背部疼痛、臀部疼痛等)、(0.1%未満)関節痛、筋痛、ループス様症候群、滑膜炎、肩こり、靭帯障害、関節脱臼、脊椎症。

12). 抵抗機構:(0.1〜1%未満)帯状疱疹、インフルエンザ、蜂巣炎、膿瘍、(0.1%未満)創傷感染、化膿性リンパ節炎、サルコイドーシス。

13). 生殖器:(0.1%未満)月経不順、乳腺炎。

14). その他:(1%以上)発熱、(0.1〜1%未満)倦怠感、浮腫(局所性浮腫を含む)、出血、胸痛、中耳炎、胸部X線異常、(0.1%未満)コレステロール上昇、胸部不快感、疲労、脱力感、アルブミン減少、口渇、自己抗体陽性、難聴、気分不良、CRP増加、体重減少、痙攣、外耳炎、四肢不快感、総蛋白増加、脱水、耳下腺腫脹、総蛋白減少。

関節リウマチ及び若年性特発性関節炎の使用成績調査結果を含む。

警告

1.1. 本剤投与により、結核、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、重篤な感染症及び脱髄疾患の悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されていることを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

また、本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること〔2.1−2.3、2.5、8.1−8.3、8.7、8.8、9.1.1−9.1.5、11.1.1、11.1.2、11.1.5、15.1.6、15.1.8−15.1.10参照〕。

1.2. 感染症

1.2.1. 重篤な感染症:敗血症、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること〔2.1、2.2、8.1、8.7、8.8、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.6参照〕。

1.2.2. 結核:播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)を含む結核が発症し、死亡例も報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン−γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。

また、結核の既感染者には、抗結核薬の投与をした上で、本剤を投与すること。

ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている〔2.3、8.1、8.2、8.7、8.8、9.1.2、9.1.3、11.1.2参照〕。

1.3. 脱髄疾患の臨床症状・画像診断上の悪化が、本剤を含むTNF抑制作用を有する薬剤でみられたとの報告があるので、脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし、脱髄疾患を疑う患者や家族歴を有する患者に投与する場合には、適宜画像診断等の検査を実施するなど、十分な観察を行うこと〔2.5、9.1.5、11.1.5参照〕。

1.4. 本剤の治療を行う前に、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。

1.5. 本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。

禁忌

2.1. 敗血症の患者又は敗血症のリスクを有する患者[敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した]〔1.1、1.2.1、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.6参照〕。

2.2. 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.1、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、11.1.1参照〕。

2.3. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.2、8.1、8.2、8.7、9.1.1−9.1.3、11.1.2参照〕。

2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.5. 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある]〔1.1、1.3、9.1.5、11.1.5参照〕。

2.6. うっ血性心不全の患者〔11.1.12、15.1.7参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤は、細胞性免疫反応を調整するTNFの生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主側防御に影響を及ぼすことがある、そのため、本剤の投与に際しては、十分な観察を行い感染症の発現や感染症増悪に注意すること(他の生物製剤との切替えの際も注意すること)。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること〔1.1、1.2、2.1−2.3、9.1.1−9.1.4、11.1.1、11.1.2参照〕。

8.2. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン−γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること〔1.1、1.2.2、2.3、9.1.1−9.1.3、11.1.2参照〕。

8.3. 本剤を含む抗TNF製剤投与によりB型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔1.1、9.1.4参照〕。

8.4. 本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと〔9.5.2、15.1.3参照〕。

8.5. 本剤を含む抗TNF療法において、新たな自己抗体発現が報告されている〔11.1.7、15.1.2参照〕。

8.6. 本剤投与時には、注射部位に紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等の注射部位反応あるいは注射部位出血等が多数認められているので、本剤を慎重に投与するとともに、発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと〔14.2.3参照〕。

8.7. 患者に対し、本剤投与中に血液障害や感染症を疑う症状(発熱の持続、咽頭痛、挫傷、蒼白等)があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。

血液障害や感染症を疑う症状があらわれた患者には、速やかに血液検査等を実施すること〔1.1、1.2、2.1−2.3、9.1.1−9.1.4、9.1.6、11.1.1、11.1.2、11.1.4、15.1.6参照〕。

8.8. 臨床試験及びその後5年間の長期試験で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている。一般に、慢性炎症性疾患のある患者に免疫抑制剤を長期間投与した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されている。また、本剤を含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤に起因するか明らかでないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること〔1.1、1.2、15.1.8−15.1.10参照〕。

8.9. 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、自己投与適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。自己投与を適用する場合は、使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底し、全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供すること。

8.10. 本剤投与により乾癬が発現又は乾癬悪化することが報告されているので、重症な場合には本剤投与の中止を考慮すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 感染症<敗血症又はそのリスクを有する・重篤な感染症及び活動性結核を除く>の患者又は感染症が疑われる患者〔1.1、1.2.1、2.1−2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.1、11.1.2、15.1.6参照〕。

9.1.2. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者〔1.1、1.2.2、2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.2参照〕。

(1). 結核の既感染者では、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2ヵ月間は可能な限り1ヵ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること(結核を活動化させるおそれがある)。

(2). 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン−γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。

9.1.3. 易感染性の状態にある患者:感染症を誘発するおそれがある〔1.1、1.2、2.1−2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.1、11.1.2参照〕。

9.1.4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること(本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されており、なお、これらの報告の多くは、他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎ウイルスキャリア又は免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎既往感染患者に起きている)〔1.1、8.1、8.3、8.7参照〕。

9.1.5. 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者〔1.1、1.3、2.5、11.1.5参照〕。

(1). 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと(脱髄疾患発現のおそれがある)。

(2). 脱髄疾患の家族歴のある患者は、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること(脱髄疾患発現のおそれがある)。

9.1.6. 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往を有する患者:症状が悪化するおそれがある〔8.7、11.1.4参照〕。

9.1.7. 間質性肺炎の既往歴のある患者:定期的に問診を行うなど、注意すること(間質性肺炎が増悪又は再発することがある)〔11.1.6参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

サラゾスルファピリジン[サラゾスルファピリジン投与中の患者に本剤を追加投与したところ、各々の単独投与群と比較して、平均白血球数が統計学的に有意に減少したとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと(一般に生理機能(免疫機能等)が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 妊娠中に本剤を投与した患者からの出生児への生ワクチン接種時などには感染に注意すること(本剤は胎盤通過性があり、出生児の血清から本剤が検出されたとの報告があり、感染症発現のリスクが否定できない)〔8.4参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。

小児等

4歳未満の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与前の注意

14.1.1. 投与約15〜30分前に室温に戻しておく(室温に戻るまでは、本剤の注射針のキャップを外さない)。

14.1.2. 投与前に、内容物を目視により確認する(本剤は、白色の蛋白微粒子を認めることがあるが、本剤の投与にあたっては問題ない、なお、着色異物又は変色が認められる場合は、使用しない)。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 1回の投与量が50mgの患者にのみ投与すること。なお、1回に本剤の全量を使用すること。

14.2.2. 本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

14.2.3. 注射部位反応(紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等)が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。注射部位を大腿部、腹部、上腕部等に求め、順序良く移動し、短期間に同一部位への反復注射は行わない(新注射部位は、前回の注射部位から少なくとも3cm離す)〔8.6参照〕。

14.2.4. 皮膚が敏感なところ、挫傷のあるところ、発赤又は硬結しているところへの注射は避けること。

(取扱い上の注意)

光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。

また、外箱開封後も光を遮り保存すること。凍結を避けること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 本剤の臨床試験は、国内では52週間(長期試験の投与期間3〜112週の中央値)まで、海外では5年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。

15.1.2. 比較臨床試験において、抗核抗体陽性化(≧1:40)、抗dsDNA抗体陽性化及び抗カルジオリピン抗体陽性化が認められた本剤投与患者の割合は、プラセボ群と比較して増加した。また、リウマトイド因子陽性の関節リウマチ患者を含めて、臨床症状発現及び生検により、亜急性皮膚ループス又は円板状ループスにみられる発疹及びループス様症候群を伴う新たな自己抗体発現した患者が報告されている〔8.5、11.1.7参照〕。

15.1.3. 海外において、本剤投与中の乾癬性関節炎患者では、肺炎球菌多糖体ワクチンに対して有効なB細胞免疫応答を得ることができたとの報告がある。しかし本剤を投与していない患者と比較すると、全体的にみて抗体価がやや低く、抗体価が2倍に達した患者は少なかった。この臨床的意義は不明である〔8.4参照〕。

15.1.4. 本邦において、本剤と他の抗リウマチ薬との併用について、有効性及び安全性は確立されていない。

15.1.5. 手術前後の本剤の投与について、安全性は確立されていない。

15.1.6. 海外で敗血症性ショックの患者141例を対象に、プラセボ又は本剤0.15、0.45、1.5mg/kgを単回静脈内投与するプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施され、それによると、本剤の投与では疾患の進行を妨げることができず、本剤投与群で用量の増加に伴い死亡率上昇がみられた。主要評価項目である28日間死亡率は、プラセボ群で30%(10/33例)、本剤0.15mg/kg群で30%(9/30例)、0.45mg/kg群で48%(14/29例)、1.5mg/kg群で53%(26/49例)であった〔1.1、1.2.1、2.1、8.7、9.1.1、11.1.1参照〕。

15.1.7. 海外でうっ血性心不全<NYHA心機能分類2〜4>患者を対象とした2つのプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施されたが、いずれも有効性が認められないことから早期に中止された(追跡期間中の中央値はそれぞれ、12.7ヵ月、5.7ヵ月であった)、最初の試験では、本剤25mg週2回群(308例)及び本剤25mg週3回群(308例)のいずれも、プラセボ群(309例)と比較して心不全悪化及び死亡率が高い傾向にあった。

投与後24週の心不全の悪化は、本剤25mg週2回群が89例(29%)、25mg週3回群が83例(27%)、プラセボ群が62例(20%)であった。また最終死亡例数は、本剤25mg週2回群が55例(18%)、25mg週3回群61例(20%)、プラセボ群が44例(14%)であった。2番目の試験では、1123例が本剤25mg週1回群、本剤25mg週2回群、又はプラセボ投与群のいずれかに割り付けられたが、心不全の悪化及び死亡において、本剤投与群とプラセボ群の間で差はみられなかった。

なお、他の抗TNF療法においては、心不全症状の悪化及び死亡が、プラセボ群よりも高率に認められたとの報告がある〔2.6、11.1.12参照〕。

15.1.8. 米国におけるDMARD無効関節リウマチ患者を対象とした長期試験での5年間の安全性報告において、本剤を投与した783例のうち、悪性リンパ腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫等が26例、非黒色腫皮膚癌が15例報告されている〔1.1、8.8参照〕。

15.1.9. 悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌は除く):本剤投与と悪性腫瘍発現との関連性を検討するため、実際に悪性腫瘍が観察された例数と一般集団の大規模データベースから推定した予測例数を[悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の観察例数及び予測例数]に示した。これらの予測例数は、症例毎の性、年齢をもとにNational Cancer Institute SEER(Surveillance,Epidemiology,and End Results)データベース(SEER1992〜1999年;2002年4月版)から推定した値を用いた。その結果、本剤投与群での非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の観察例数は、予測例数23.594例に対し26例であり、そのうち悪性リンパ腫の観察例数は、予測例数0.914例に対し5例であった。一方、プラセボ投与群における悪性腫瘍及び悪性リンパ腫の観察例数は、それぞれ予測例数0.259例、0.010例に対して0例であった(外国人データ)〔1.1、8.8参照〕。

[悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の観察例数及び予測例数]

1). 悪性リンパ腫:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.010);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数5、予測例数0.914)。

2). 悪性リンパ腫以外:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.249);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数21、予測例数22.680)。

3). 悪性腫瘍合計:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.259);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数26、予測例数23.594)。

*:長期試験移行前の臨床試験におけるプラセボ投与患者を対象とした。

※:メトトレキサート併用例を含む。

15.1.10. 非黒色腫皮膚癌:本剤投与と非黒色腫皮膚癌発現との関連性を検討するため、実際にこれらの癌が観察された例数と一般集団のデータから推定した予測例数を[非黒色腫皮膚癌の観察例数及び予測例数]に示した。これらの予測例数は、症例毎の性、年齢をもとに参照データから推定した値を用いた。

なお参照データは、非黒色腫皮膚癌がNational Cancer Institute SEERデータベースに含まれていないため、Southeastern Arizona Skin Cancer Registry(Harris et al,2001)のデータを使用した。

その結果、本剤投与群での非黒色腫皮膚癌の観察例数は、予測例数41.745例に対し、15例(皮膚扁平上皮癌4例、基底細胞癌11例)であった。一方、プラセボ投与群における非黒色腫皮膚癌の観察例数は、予測例数0.573例に対し、0例であった(外国人データ)〔1.1、8.8参照〕。

[非黒色腫皮膚癌の観察例数及び予測例数]

1). 皮膚扁平上皮癌:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.107);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数4、予測例数8.221)。

2). 基底細胞癌:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.466);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数11、予測例数33.524)。

3). 非黒色腫皮膚癌合計:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.573);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数15、予測例数41.745)。

*:長期試験移行前の臨床試験におけるプラセボ投与患者を対象とした。

※:メトトレキサート併用例を含む。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

本剤をマウス、ラット等のげっ歯類に投与すると、中和抗体陽性化と薬理学的活性の消失が認められ、十分な曝露量が得られない。このため、がん原性試験は実施されていない。

貯法

(保管上の注意)

凍結を避け、2〜8℃で保存。

エタネルセプトBS皮下注50mgシリンジ1.0mL「TY」
エタネルセプトBS皮下注50mgシリンジ1.0mL「TY」

エタネルセプトBS皮下注50mgシリンジ1.0mL「TY」

免疫抑制薬 > 完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
2024年07月改訂(第2版)
薬剤情報
後発品
薬効分類免疫抑制薬 > 完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤
一般名エタネルセプト (遺伝子組換え) キット (2)
薬価11768
メーカー陽進堂
最終更新2024年07月改訂(第2版)

用法・用量

本剤を、通常、成人にはエタネルセプト(遺伝子組換え)[エタネルセプト後続2]として10〜25mgを1日1回、週に2回、又は25〜50mgを1日1回、週に1回、皮下注射する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 本剤を週に2回投与する場合は、投与間隔を3〜4日間隔とすること。

7.2. 本剤とアバタセプト<遺伝子組換え>の併用は行わないこと(海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、本剤を含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた患者では併用による効果の増強は示されておらず、感染症及び重篤な感染症の発現率が本剤を含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた患者での発現率と比べて高かった)。また、本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。

効能・効果

既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 重篤な感染症:敗血症(0.2%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎を含む、1.5%)、真菌感染症(0.2%)等の日和見感染症(2.5%)があらわれることがある。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている〔1.1、1.2.1、2.1、2.2、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、15.1.6参照〕。

11.1.2. 結核(0.1%未満):本剤投与による結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性がある(また、肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)も報告されていることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと)〔1.1、1.2.2、2.3、8.1、8.2、8.7、9.1.1−9.1.3参照〕。

11.1.3. 重篤なアレルギー反応(0.5%):血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣及びじん麻疹等の重篤なアレルギー反応があらわれることがあるので、このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

11.1.4. 重篤な血液障害(0.8%):再生不良性貧血及び汎血球減少(致命的転帰に至った例を含む)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群があらわれることがある〔8.7、9.1.6参照〕。

11.1.5. 脱髄疾患(頻度不明):多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等があらわれることがある〔1.1、1.3、2.5、9.1.5参照〕。

11.1.6. 間質性肺炎(0.7%):発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、速やかに胸部CT検査及び速やかに血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β−Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと〔9.1.7参照〕。

11.1.7. 抗dsDNA抗体陽性化を伴うループス様症候群(0.1%未満):抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがあるので、このような場合には、投与を中止すること〔8.5、15.1.2参照〕。

11.1.8. 肝機能障害(3.1%):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

11.1.9. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)。

11.1.10. 抗好中球細胞質抗体陽性血管炎(ANCA陽性血管炎)(頻度不明)。

11.1.11. 急性腎障害(0.1%)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)。

11.1.12. 心不全(0.1%未満)〔2.6、15.1.7参照〕。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 呼吸器:(1%以上)感冒、上気道感染、気管支炎、(0.1〜1%未満)咳嗽、咽頭炎、鼻炎、副鼻腔炎、鼻漏、扁桃炎、(0.1%未満)胸水、喘息、喀痰、嗄声、鼻閉、血痰、気管狭窄、気管支拡張症、気管支肺異形成症、肺嚢胞。

2). 皮膚:(1%以上)発疹(湿疹、皮膚炎、紅斑等)、皮膚そう痒症、(0.1〜1%未満)じん麻疹、皮膚白癬、脱毛、爪囲炎、(0.1%未満)膿痂疹、皮膚乾燥、爪感染、爪異常、皮膚胼胝、光線過敏症、膿疱性乾癬、乾癬(乾癬悪化を含む)、凍瘡、化膿性汗腺炎、色素性母斑、(頻度不明)乾癬様皮疹。

3). 消化器:(0.1〜1%未満)胃腸炎、下痢・軟便、口内炎、腹痛、咽喉頭疼痛、悪心、嘔吐、便秘、歯周炎、食欲不振、歯肉炎、齲歯、胃部不快感、消化性潰瘍、(0.1%未満)咽頭不快感、口唇炎(口角炎等)、腹部膨満、歯痛、歯髄炎、口腔感染、歯知覚過敏、歯肉腫脹、舌苔、膵炎。

4). 投与部位:(1%以上)注射部位反応(紅斑、出血斑、そう痒感、皮膚炎、疼痛、挫傷等)[注射部位反応は、投与開始から1ヵ月の間に高頻度で発現し、その後減少している(注射部位反応は、以前に注射した部位にもあらわれる可能性がある)]。

5). 泌尿器:(0.1〜1%未満)尿路感染(膀胱炎等)、腎盂腎炎、BUN増加、尿沈渣、血尿、(0.1%未満)蛋白尿、クレアチニン上昇、頻尿、尿糖、残尿感、腎結石、(頻度不明)糸球体腎炎。

6). 精神神経系:(0.1〜1%未満)頭痛、浮動性めまい、感覚減退(しびれ感等)、不眠、(0.1%未満)錯感覚(ピリピリ感等)、眠気、味覚異常、手根管症候群、不安、嗅覚異常、四肢異常感覚。

7). 肝臓:(0.1〜1%未満)ALT上昇、AST上昇、ALP上昇、LDH上昇。

8). 循環器:(0.1〜1%未満)高血圧、血圧上昇、動悸、潮紅、(0.1%未満)期外収縮、頻脈、血管炎(白血球破砕性血管炎、IgA血管炎等)。

9). 血液:(0.1〜1%未満)白血球増加、貧血(鉄欠乏性貧血を含む)、ヘモグロビン減少、(0.1%未満)好酸球増加、ヘマトクリット減少、赤血球減少、血小板増加、リンパ球増加、血沈亢進、好中球増加、赤血球形態異常、白血球分画異常、網状赤血球増加。

10). 眼:(0.1〜1%未満)結膜炎、麦粒腫、(0.1%未満)ブドウ膜炎、白内障、結膜充血、角膜潰瘍、眼精疲労、眼乾燥、眼のちらつき、眼痛、強膜炎、眼異常感。

11). 筋・骨格系:(0.1〜1%未満)化膿性関節炎、疼痛(四肢疼痛、腰疼痛、背部疼痛、臀部疼痛等)、(0.1%未満)関節痛、筋痛、ループス様症候群、滑膜炎、肩こり、靭帯障害、関節脱臼、脊椎症。

12). 抵抗機構:(0.1〜1%未満)帯状疱疹、インフルエンザ、蜂巣炎、膿瘍、(0.1%未満)創傷感染、化膿性リンパ節炎、サルコイドーシス。

13). 生殖器:(0.1%未満)月経不順、乳腺炎。

14). その他:(1%以上)発熱、(0.1〜1%未満)倦怠感、浮腫(局所性浮腫を含む)、出血、胸痛、中耳炎、胸部X線異常、(0.1%未満)コレステロール上昇、胸部不快感、疲労、脱力感、アルブミン減少、口渇、自己抗体陽性、難聴、気分不良、CRP増加、体重減少、痙攣、外耳炎、四肢不快感、総蛋白増加、脱水、耳下腺腫脹、総蛋白減少。

関節リウマチ及び若年性特発性関節炎の使用成績調査結果を含む。

警告

1.1. 本剤投与により、結核、敗血症を含む重篤な感染症及び脱髄疾患悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、重篤な感染症及び脱髄疾患の悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されていることを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

また、本剤の投与において、重篤な副作用により、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること〔2.1−2.3、2.5、8.1−8.3、8.7、8.8、9.1.1−9.1.5、11.1.1、11.1.2、11.1.5、15.1.6、15.1.8−15.1.10参照〕。

1.2. 感染症

1.2.1. 重篤な感染症:敗血症、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること〔2.1、2.2、8.1、8.7、8.8、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.6参照〕。

1.2.2. 結核:播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(胸膜結核、リンパ節結核等)を含む結核が発症し、死亡例も報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン−γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。

また、結核の既感染者には、抗結核薬の投与をした上で、本剤を投与すること。

ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている〔2.3、8.1、8.2、8.7、8.8、9.1.2、9.1.3、11.1.2参照〕。

1.3. 脱髄疾患の臨床症状・画像診断上の悪化が、本剤を含むTNF抑制作用を有する薬剤でみられたとの報告があるので、脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者には投与しないこととし、脱髄疾患を疑う患者や家族歴を有する患者に投与する場合には、適宜画像診断等の検査を実施するなど、十分な観察を行うこと〔2.5、9.1.5、11.1.5参照〕。

1.4. 本剤の治療を行う前に、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。

1.5. 本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使用すること。

禁忌

2.1. 敗血症の患者又は敗血症のリスクを有する患者[敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した]〔1.1、1.2.1、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、11.1.1、15.1.6参照〕。

2.2. 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.1、8.1、8.7、9.1.1、9.1.3、11.1.1参照〕。

2.3. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2.2、8.1、8.2、8.7、9.1.1−9.1.3、11.1.2参照〕。

2.4. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.5. 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある]〔1.1、1.3、9.1.5、11.1.5参照〕。

2.6. うっ血性心不全の患者〔11.1.12、15.1.7参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤は、細胞性免疫反応を調整するTNFの生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主側防御に影響を及ぼすことがある、そのため、本剤の投与に際しては、十分な観察を行い感染症の発現や感染症増悪に注意すること(他の生物製剤との切替えの際も注意すること)。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること〔1.1、1.2、2.1−2.3、9.1.1−9.1.4、11.1.1、11.1.2参照〕。

8.2. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン−γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること〔1.1、1.2.2、2.3、9.1.1−9.1.3、11.1.2参照〕。

8.3. 本剤を含む抗TNF製剤投与によりB型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔1.1、9.1.4参照〕。

8.4. 本剤投与中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行わないこと〔9.5.2、15.1.3参照〕。

8.5. 本剤を含む抗TNF療法において、新たな自己抗体発現が報告されている〔11.1.7、15.1.2参照〕。

8.6. 本剤投与時には、注射部位に紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等の注射部位反応あるいは注射部位出血等が多数認められているので、本剤を慎重に投与するとともに、発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行うこと〔14.2.3参照〕。

8.7. 患者に対し、本剤投与中に血液障害や感染症を疑う症状(発熱の持続、咽頭痛、挫傷、蒼白等)があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。

血液障害や感染症を疑う症状があらわれた患者には、速やかに血液検査等を実施すること〔1.1、1.2、2.1−2.3、9.1.1−9.1.4、9.1.6、11.1.1、11.1.2、11.1.4、15.1.6参照〕。

8.8. 臨床試験及びその後5年間の長期試験で、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍の発現が報告されている。一般に、慢性炎症性疾患のある患者に免疫抑制剤を長期間投与した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されている。また、本剤を含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫等の悪性腫瘍が報告されている。本剤に起因するか明らかでないが、悪性腫瘍等の発現には注意すること〔1.1、1.2、15.1.8−15.1.10参照〕。

8.9. 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、自己投与適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。自己投与を適用する場合は、使用済みの注射針あるいは注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底し、全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの針及び注射器を廃棄する容器を提供すること。

8.10. 本剤投与により乾癬が発現又は乾癬悪化することが報告されているので、重症な場合には本剤投与の中止を考慮すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 感染症<敗血症又はそのリスクを有する・重篤な感染症及び活動性結核を除く>の患者又は感染症が疑われる患者〔1.1、1.2.1、2.1−2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.1、11.1.2、15.1.6参照〕。

9.1.2. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者〔1.1、1.2.2、2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.2参照〕。

(1). 結核の既感染者では、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2ヵ月間は可能な限り1ヵ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること(結核を活動化させるおそれがある)。

(2). 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン−γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。

9.1.3. 易感染性の状態にある患者:感染症を誘発するおそれがある〔1.1、1.2、2.1−2.3、8.1、8.2、8.7、11.1.1、11.1.2参照〕。

9.1.4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること(本剤を含む抗TNF製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されており、なお、これらの報告の多くは、他の免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎ウイルスキャリア又は免疫抑制作用をもつ薬剤を併用投与したB型肝炎既往感染患者に起きている)〔1.1、8.1、8.3、8.7参照〕。

9.1.5. 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者〔1.1、1.3、2.5、11.1.5参照〕。

(1). 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者については、神経学的評価や画像診断等の検査を行い、慎重に危険性と有益性を評価した上で本剤適用の妥当性を検討し、投与後は十分に観察を行うこと(脱髄疾患発現のおそれがある)。

(2). 脱髄疾患の家族歴のある患者は、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること(脱髄疾患発現のおそれがある)。

9.1.6. 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往を有する患者:症状が悪化するおそれがある〔8.7、11.1.4参照〕。

9.1.7. 間質性肺炎の既往歴のある患者:定期的に問診を行うなど、注意すること(間質性肺炎が増悪又は再発することがある)〔11.1.6参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

サラゾスルファピリジン[サラゾスルファピリジン投与中の患者に本剤を追加投与したところ、各々の単独投与群と比較して、平均白血球数が統計学的に有意に減少したとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと(一般に生理機能(免疫機能等)が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。

9.5.2. 妊娠中に本剤を投与した患者からの出生児への生ワクチン接種時などには感染に注意すること(本剤は胎盤通過性があり、出生児の血清から本剤が検出されたとの報告があり、感染症発現のリスクが否定できない)〔8.4参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中へ移行することが報告されている)。

小児等

4歳未満の幼児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与前の注意

14.1.1. 投与約15〜30分前に室温に戻しておく(室温に戻るまでは、本剤の注射針のキャップを外さない)。

14.1.2. 投与前に、内容物を目視により確認する(本剤は、白色の蛋白微粒子を認めることがあるが、本剤の投与にあたっては問題ない、なお、着色異物又は変色が認められる場合は、使用しない)。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 1回の投与量が50mgの患者にのみ投与すること。なお、1回に本剤の全量を使用すること。

14.2.2. 本剤は、1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

14.2.3. 注射部位反応(紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等)が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。注射部位を大腿部、腹部、上腕部等に求め、順序良く移動し、短期間に同一部位への反復注射は行わない(新注射部位は、前回の注射部位から少なくとも3cm離す)〔8.6参照〕。

14.2.4. 皮膚が敏感なところ、挫傷のあるところ、発赤又は硬結しているところへの注射は避けること。

(取扱い上の注意)

光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。

また、外箱開封後も光を遮り保存すること。凍結を避けること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 本剤の臨床試験は、国内では52週間(長期試験の投与期間3〜112週の中央値)まで、海外では5年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えた本剤の長期投与時の安全性は確立していない。

15.1.2. 比較臨床試験において、抗核抗体陽性化(≧1:40)、抗dsDNA抗体陽性化及び抗カルジオリピン抗体陽性化が認められた本剤投与患者の割合は、プラセボ群と比較して増加した。また、リウマトイド因子陽性の関節リウマチ患者を含めて、臨床症状発現及び生検により、亜急性皮膚ループス又は円板状ループスにみられる発疹及びループス様症候群を伴う新たな自己抗体発現した患者が報告されている〔8.5、11.1.7参照〕。

15.1.3. 海外において、本剤投与中の乾癬性関節炎患者では、肺炎球菌多糖体ワクチンに対して有効なB細胞免疫応答を得ることができたとの報告がある。しかし本剤を投与していない患者と比較すると、全体的にみて抗体価がやや低く、抗体価が2倍に達した患者は少なかった。この臨床的意義は不明である〔8.4参照〕。

15.1.4. 本邦において、本剤と他の抗リウマチ薬との併用について、有効性及び安全性は確立されていない。

15.1.5. 手術前後の本剤の投与について、安全性は確立されていない。

15.1.6. 海外で敗血症性ショックの患者141例を対象に、プラセボ又は本剤0.15、0.45、1.5mg/kgを単回静脈内投与するプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施され、それによると、本剤の投与では疾患の進行を妨げることができず、本剤投与群で用量の増加に伴い死亡率上昇がみられた。主要評価項目である28日間死亡率は、プラセボ群で30%(10/33例)、本剤0.15mg/kg群で30%(9/30例)、0.45mg/kg群で48%(14/29例)、1.5mg/kg群で53%(26/49例)であった〔1.1、1.2.1、2.1、8.7、9.1.1、11.1.1参照〕。

15.1.7. 海外でうっ血性心不全<NYHA心機能分類2〜4>患者を対象とした2つのプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施されたが、いずれも有効性が認められないことから早期に中止された(追跡期間中の中央値はそれぞれ、12.7ヵ月、5.7ヵ月であった)、最初の試験では、本剤25mg週2回群(308例)及び本剤25mg週3回群(308例)のいずれも、プラセボ群(309例)と比較して心不全悪化及び死亡率が高い傾向にあった。

投与後24週の心不全の悪化は、本剤25mg週2回群が89例(29%)、25mg週3回群が83例(27%)、プラセボ群が62例(20%)であった。また最終死亡例数は、本剤25mg週2回群が55例(18%)、25mg週3回群61例(20%)、プラセボ群が44例(14%)であった。2番目の試験では、1123例が本剤25mg週1回群、本剤25mg週2回群、又はプラセボ投与群のいずれかに割り付けられたが、心不全の悪化及び死亡において、本剤投与群とプラセボ群の間で差はみられなかった。

なお、他の抗TNF療法においては、心不全症状の悪化及び死亡が、プラセボ群よりも高率に認められたとの報告がある〔2.6、11.1.12参照〕。

15.1.8. 米国におけるDMARD無効関節リウマチ患者を対象とした長期試験での5年間の安全性報告において、本剤を投与した783例のうち、悪性リンパ腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫等が26例、非黒色腫皮膚癌が15例報告されている〔1.1、8.8参照〕。

15.1.9. 悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌は除く):本剤投与と悪性腫瘍発現との関連性を検討するため、実際に悪性腫瘍が観察された例数と一般集団の大規模データベースから推定した予測例数を[悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の観察例数及び予測例数]に示した。これらの予測例数は、症例毎の性、年齢をもとにNational Cancer Institute SEER(Surveillance,Epidemiology,and End Results)データベース(SEER1992〜1999年;2002年4月版)から推定した値を用いた。その結果、本剤投与群での非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の観察例数は、予測例数23.594例に対し26例であり、そのうち悪性リンパ腫の観察例数は、予測例数0.914例に対し5例であった。一方、プラセボ投与群における悪性腫瘍及び悪性リンパ腫の観察例数は、それぞれ予測例数0.259例、0.010例に対して0例であった(外国人データ)〔1.1、8.8参照〕。

[悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の観察例数及び予測例数]

1). 悪性リンパ腫:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.010);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数5、予測例数0.914)。

2). 悪性リンパ腫以外:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.249);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数21、予測例数22.680)。

3). 悪性腫瘍合計:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.259);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2855人・年、観察例数26、予測例数23.594)。

*:長期試験移行前の臨床試験におけるプラセボ投与患者を対象とした。

※:メトトレキサート併用例を含む。

15.1.10. 非黒色腫皮膚癌:本剤投与と非黒色腫皮膚癌発現との関連性を検討するため、実際にこれらの癌が観察された例数と一般集団のデータから推定した予測例数を[非黒色腫皮膚癌の観察例数及び予測例数]に示した。これらの予測例数は、症例毎の性、年齢をもとに参照データから推定した値を用いた。

なお参照データは、非黒色腫皮膚癌がNational Cancer Institute SEERデータベースに含まれていないため、Southeastern Arizona Skin Cancer Registry(Harris et al,2001)のデータを使用した。

その結果、本剤投与群での非黒色腫皮膚癌の観察例数は、予測例数41.745例に対し、15例(皮膚扁平上皮癌4例、基底細胞癌11例)であった。一方、プラセボ投与群における非黒色腫皮膚癌の観察例数は、予測例数0.573例に対し、0例であった(外国人データ)〔1.1、8.8参照〕。

[非黒色腫皮膚癌の観察例数及び予測例数]

1). 皮膚扁平上皮癌:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.107);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数4、予測例数8.221)。

2). 基底細胞癌:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.466);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数11、予測例数33.524)。

3). 非黒色腫皮膚癌合計:プラセボ投与群*※(全例の追跡期間41人・年、観察例数0、予測例数0.573);エンブレル投与群※(全例の追跡期間2618人・年、観察例数15、予測例数41.745)。

*:長期試験移行前の臨床試験におけるプラセボ投与患者を対象とした。

※:メトトレキサート併用例を含む。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

本剤をマウス、ラット等のげっ歯類に投与すると、中和抗体陽性化と薬理学的活性の消失が認められ、十分な曝露量が得られない。このため、がん原性試験は実施されていない。

貯法

(保管上の注意)

凍結を避け、2〜8℃で保存。

薬剤情報

薬剤写真、用法用量、効能効果や後発品の情報が一度に参照でき、関連情報へ簡単にアクセスができます。

一般名、製品名どちらでも検索可能!

※ ご使用いただく際に、必ず最新の添付文書および安全性情報も併せてご確認下さい。