治療スケジュール
概要
監修医師

CBDCA:カルボプラチン(パラプラチン®)

投与量コース投与日
200mg/m²1Day 1

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
67mg/m²1Day 1~3

IFM:イホスファミド(イホマイド®)

投与量コース投与日
1000mg/m²1Day 1~3

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body1Day 1~3

前投薬

Day1~3は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
悪心嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮. ただし、 ステロイドの血中濃度上昇に注意.

その他

1コースは21日間.
出血性膀胱炎の予防にメスナを投与 (詳細は概要欄を参照).
レジメン
RT-2/3DeVIC
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

J Clin Oncol. 2009 Nov 20;27(33):5594-600.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 100%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 93%)
  • 貧血 (≧Grade3 15%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 11%)

重大な有害事象

  • 食欲不振 (≧Grade3 22%)
  • 口内炎/咽頭炎 (≧Grade3 11%)
  • 放射線に関連する粘膜炎 (≧Grade3 30%)
  • 放射線に関連する嚥下障害 (≧Grade3 15%)
  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 15%)

その他

  • 脱水 (≧Grade3 4%)
  • 放射線に関連する皮膚炎 (≧Grade3 8%)
  • 結膜炎 (≧Grade3 4%)
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 4%)

特徴と注意点

  • RT-2/3DeVIC療法は、 限局期の節外性NK/T細胞リンパ腫、 鼻型の1st-line治療として推奨される治療の一つ. 
  • 放射線療法 (RT) は限局期がほとんどを占めるENKLにおいて古くから行われてきたが、 RT単独での5年生存率は40%程度に留まる²⁾. 治療効果を向上させる目的でDeVIC療法との併用療法を開発¹⁾.
  • DeVIC療法の用量は、 第1相試験の結果から100%では無く、 2/3の用量が選択¹⁾.  (100%DeVIC:CBDCA300mg/m²+ETP100mg/m²+IFM1.5g/m² → 2/3DeVIC:CBDCA200mg/m²+ETP67mg/m²+IFM1.0g/m²)
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサン®) の使用、 尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2000~3000mL/ m²/日) 、 尿のアルカリ化を行う
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、 4時間後、 8時間後に行う (上記レジメンであればメスナ200㎎/m²/回を3回).
  • G-CSF製剤の投与を考慮する. 

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2012 Nov 10;30(32):4044-6.³⁾

概要

  • 新規の限局性鼻腔NKTCLに対して化学放射線療法を併用する第1/2相試験¹⁾の長期追跡調査結果. 
  • 対象患者33名のうち、 第1/2相試験を通して27名がRT-2/3DeVIC療法、 残りがRT-100%DeVIC療法. 
  • RT-2/3DeVIC療法におけるOS、 PFS、 再発、 晩期毒性について評価. 
OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値67ヵ月. 
  • 5年後OS:70% (90%CI 53-82、 95%CI 49-84) . 前回の解析で用いたRT単独のヒストリカルコントロール (40%) よりも優れていた. 
  • 5年後PFS:63% (90%CI 46-76、 95%CI 42-78) . 最初の解析以降、 病勢の進行は認められなかった. 
  • 全33例のうち、 RT領域内での再発は2名の患者にしか認められず、 5年後の計画的標的体積制御率は94% (33例中31例) であった. 
  • 晩期毒性は許容内であったが、 無月経患者 (Grade3) と調査期間中に回復に至らなかった眼障害 (Grade1または2) はRT-100%DeVIC療法群で多かった. 
  • 本試験により、 RTと2/3DeVICの同時併用化学放射線療法によって、 生存率の向上と病勢コントロールの両方が5年以上維持されることが確認された. 

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2009 Nov 20;27(33):5594-600.
  2. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2004 Jul 15;59(4):1127-37.
  3. J Clin Oncol. 2012 Nov 10;30(32):4044-6.

最終更新:2022年8月31日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
RT-2/3DeVIC
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
RT-2/3DeVIC
レジメン
RT-2/3DeVIC

RT-2/3DeVIC

放射線照射+2/3 dose DeVIC
2023年06月04日更新

CBDCA:カルボプラチン(パラプラチン®)

投与量コース投与日
200mg/m²1Day 1

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
67mg/m²1Day 1~3

IFM:イホスファミド(イホマイド®)

投与量コース投与日
1000mg/m²1Day 1~3

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body1Day 1~3

前投薬

Day1~3は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
悪心嘔吐が強い場合、 NK1受容体拮抗薬の使用を考慮. ただし、 ステロイドの血中濃度上昇に注意.

その他

1コースは21日間.
出血性膀胱炎の予防にメスナを投与 (詳細は概要欄を参照).

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

J Clin Oncol. 2009 Nov 20;27(33):5594-600.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 白血球減少 (≧Grade3 100%)
  • 好中球減少 (≧Grade3 93%)
  • 貧血 (≧Grade3 15%)
  • 血小板減少 (≧Grade3 11%)

重大な有害事象

  • 食欲不振 (≧Grade3 22%)
  • 口内炎/咽頭炎 (≧Grade3 11%)
  • 放射線に関連する粘膜炎 (≧Grade3 30%)
  • 放射線に関連する嚥下障害 (≧Grade3 15%)
  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 15%)

その他

  • 脱水 (≧Grade3 4%)
  • 放射線に関連する皮膚炎 (≧Grade3 8%)
  • 結膜炎 (≧Grade3 4%)
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 4%)

特徴と注意点

  • RT-2/3DeVIC療法は、 限局期の節外性NK/T細胞リンパ腫、 鼻型の1st-line治療として推奨される治療の一つ. 
  • 放射線療法 (RT) は限局期がほとんどを占めるENKLにおいて古くから行われてきたが、 RT単独での5年生存率は40%程度に留まる²⁾. 治療効果を向上させる目的でDeVIC療法との併用療法を開発¹⁾.
  • DeVIC療法の用量は、 第1相試験の結果から100%では無く、 2/3の用量が選択¹⁾.  (100%DeVIC:CBDCA300mg/m²+ETP100mg/m²+IFM1.5g/m² → 2/3DeVIC:CBDCA200mg/m²+ETP67mg/m²+IFM1.0g/m²)
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要
  • イホスファミドは出血性膀胱炎リスクがあるため、 メスナ (ウロミテキサン®) の使用、 尿量確保のため十分な輸液・水分補給 (目安:2000~3000mL/ m²/日) 、 尿のアルカリ化を行う
  • メスナの1回投与量は、 イホスファミド1日投与量の20%量とし、 イホスファミド投与時、 4時間後、 8時間後に行う (上記レジメンであればメスナ200㎎/m²/回を3回).
  • G-CSF製剤の投与を考慮する. 

関連する臨床試験の結果

J Clin Oncol. 2012 Nov 10;30(32):4044-6.³⁾

概要

  • 新規の限局性鼻腔NKTCLに対して化学放射線療法を併用する第1/2相試験¹⁾の長期追跡調査結果. 
  • 対象患者33名のうち、 第1/2相試験を通して27名がRT-2/3DeVIC療法、 残りがRT-100%DeVIC療法. 
  • RT-2/3DeVIC療法におけるOS、 PFS、 再発、 晩期毒性について評価. 
OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値67ヵ月. 
  • 5年後OS:70% (90%CI 53-82、 95%CI 49-84) . 前回の解析で用いたRT単独のヒストリカルコントロール (40%) よりも優れていた. 
  • 5年後PFS:63% (90%CI 46-76、 95%CI 42-78) . 最初の解析以降、 病勢の進行は認められなかった. 
  • 全33例のうち、 RT領域内での再発は2名の患者にしか認められず、 5年後の計画的標的体積制御率は94% (33例中31例) であった. 
  • 晩期毒性は許容内であったが、 無月経患者 (Grade3) と調査期間中に回復に至らなかった眼障害 (Grade1または2) はRT-100%DeVIC療法群で多かった. 
  • 本試験により、 RTと2/3DeVICの同時併用化学放射線療法によって、 生存率の向上と病勢コントロールの両方が5年以上維持されることが確認された. 

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2009 Nov 20;27(33):5594-600.
  2. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2004 Jul 15;59(4):1127-37.
  3. J Clin Oncol. 2012 Nov 10;30(32):4044-6.

最終更新:2022年8月31日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(血液)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。