概要
監修医師
コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

5-FU軟膏5%協和® (添付文書¹⁾)

代謝拮抗薬 フルオロウラシル軟膏

投与スケジュール

ランダム化比較試験²⁾のプロトコル

Lancet Oncol. 2013 Jun;14(7):647-54²⁾より作図

電子添文¹⁾の用法および用量

適量を1日1~2回患部に塗布する。 原則として閉鎖密封療法 (ODT) を行うのが望ましい。

効能・効果 皮膚悪性腫瘍 (有棘細胞癌、 基底細胞癌、 皮膚附属器癌、 皮膚転移癌、 ボーエン病、 パジェット病、 放射線角化腫、 老人性角化腫、 紅色肥厚症、 皮膚細網症、 悪性リンパ腫の皮膚転移)

エキスパートによるワンポイント

局在した表在型基底細胞癌の選択肢

代謝拮抗薬であるフルオロウラシルを主成分とする軟膏であり、 がん細胞の増殖を抑える作用を有し、 皮膚悪性腫瘍の局所制御を目的に用いられることがある。 局在した表在型の基底細胞癌に対し、 手術や放射線治療が非適応の場合の局所治療として用いることが可能である。

しかしながら、 有効性や安全性に優れるイミキモドが登場してからは、 臨床現場における5-FU軟膏の適応は限られている。

用法および用量と注意点

適量を1日1-2回患部に塗布する。 可能であれば、 石鹸を用いて水または温水で古い軟膏を洗い流してから塗布する。 単純塗布または閉鎖密封療法を行う。 治療期間は通常4~6週間程度であるが、 2~3週間で皮膚の炎症反応が強くなり休薬が必要となることも多い。

塗布する際には、 眼に触れないよう注意する。 患部ではない素手に付着した場合は、 よく洗い流すよう指導する。

臨床試験の結果

表在型の基底細胞癌601例を、 PDT (photo dynamic therapy; 光線力学的治療) 療法群202例、 イミキモド塗布群198例、 5-FU軟膏塗布群201例にランダム化した臨床試験では、 病理学的な腫瘍消失割合は、 それぞれ73%、 83%、 80%であり、 イミキモド塗布群が最も優れていた²⁾。 さらに、 同臨床試験の5年フォローアップ成績が報告され、 5年無局所再発生存割合は、 それぞれ63%、 81%、 70%であり、 長期成績においてもイミキモド塗布群が最も優れていた³⁾。

副作用とその対策

塗布部位の局所反応 (発赤、 痛み、 びらん、 潰瘍など) や瘢痕化をきたすことがある。 治療期間中は、 塗布部位は遮光する。

出典

  1. 協和キリン株式会社. ベセルナクリーム®電子添文 (2022年2月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  2. Photodynamic therapy versus topical imiquimod versus topical fluorouracil for treatment of superficial basal-cell carcinoma: a single blind, non-inferiority, randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2013 Jun;14(7):647-54. PMID: 23683751
  3. Five-Year Results of a Randomized Controlled Trial Comparing Effectiveness of Photodynamic Therapy, Topical Imiquimod, and Topical 5-Fluorouracil in Patients with Superficial Basal Cell Carcinoma. J Invest Dermatol. 2018 Mar;138(3):527-533. PMID: 29045820
最終更新日 : 2024年12月10日
監修薬剤師 : 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 宇田川 涼子先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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フルオロウラシル (5-FU軟膏5%協和®)
2024年12月10日更新
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5-FU軟膏5%協和® (添付文書¹⁾)

代謝拮抗薬 フルオロウラシル軟膏

投与スケジュール

ランダム化比較試験²⁾のプロトコル

Lancet Oncol. 2013 Jun;14(7):647-54²⁾より作図

電子添文¹⁾の用法および用量

適量を1日1~2回患部に塗布する。 原則として閉鎖密封療法 (ODT) を行うのが望ましい。

効能・効果 皮膚悪性腫瘍 (有棘細胞癌、 基底細胞癌、 皮膚附属器癌、 皮膚転移癌、 ボーエン病、 パジェット病、 放射線角化腫、 老人性角化腫、 紅色肥厚症、 皮膚細網症、 悪性リンパ腫の皮膚転移)

エキスパートによるワンポイント

局在した表在型基底細胞癌の選択肢

代謝拮抗薬であるフルオロウラシルを主成分とする軟膏であり、 がん細胞の増殖を抑える作用を有し、 皮膚悪性腫瘍の局所制御を目的に用いられることがある。 局在した表在型の基底細胞癌に対し、 手術や放射線治療が非適応の場合の局所治療として用いることが可能である。

しかしながら、 有効性や安全性に優れるイミキモドが登場してからは、 臨床現場における5-FU軟膏の適応は限られている。

用法および用量と注意点

適量を1日1-2回患部に塗布する。 可能であれば、 石鹸を用いて水または温水で古い軟膏を洗い流してから塗布する。 単純塗布または閉鎖密封療法を行う。 治療期間は通常4~6週間程度であるが、 2~3週間で皮膚の炎症反応が強くなり休薬が必要となることも多い。

塗布する際には、 眼に触れないよう注意する。 患部ではない素手に付着した場合は、 よく洗い流すよう指導する。

臨床試験の結果

表在型の基底細胞癌601例を、 PDT (photo dynamic therapy; 光線力学的治療) 療法群202例、 イミキモド塗布群198例、 5-FU軟膏塗布群201例にランダム化した臨床試験では、 病理学的な腫瘍消失割合は、 それぞれ73%、 83%、 80%であり、 イミキモド塗布群が最も優れていた²⁾。 さらに、 同臨床試験の5年フォローアップ成績が報告され、 5年無局所再発生存割合は、 それぞれ63%、 81%、 70%であり、 長期成績においてもイミキモド塗布群が最も優れていた³⁾。

副作用とその対策

塗布部位の局所反応 (発赤、 痛み、 びらん、 潰瘍など) や瘢痕化をきたすことがある。 治療期間中は、 塗布部位は遮光する。

出典

  1. 協和キリン株式会社. ベセルナクリーム®電子添文 (2022年2月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  2. Photodynamic therapy versus topical imiquimod versus topical fluorouracil for treatment of superficial basal-cell carcinoma: a single blind, non-inferiority, randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2013 Jun;14(7):647-54. PMID: 23683751
  3. Five-Year Results of a Randomized Controlled Trial Comparing Effectiveness of Photodynamic Therapy, Topical Imiquimod, and Topical 5-Fluorouracil in Patients with Superficial Basal Cell Carcinoma. J Invest Dermatol. 2018 Mar;138(3):527-533. PMID: 29045820
最終更新日 : 2024年12月10日
監修薬剤師 : 国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 宇田川 涼子先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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