概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

投与開始基準

CLEOPATRA試験¹⁾より抜粋 (転移・再発乳癌)

18歳以上で、 組織学的または細胞学的にHER2陽性の局所再発または転移性の乳腺癌と診断されたPS0、 1の患者

APHINITY試験²⁾より抜粋 (術後療法)

18歳以上で、 乳房全摘術または乳房温存手術を受けたPS0、 1の患者

減量・中止基準

ペルツズマブ、 トラスツズマブの休薬・中止基準

ドセタキセルの減量・休薬・中止基準

主な有害事象

CLEOPATRA試験¹⁾

試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少 52.8% (48.9%)
  • 発熱性好中球減少症 13.8% (13.8%)
  • 下痢 66.8% (7.9%)
  • 悪心 42.3% (1.2%)
  • 疲労 37.6% (2.2%)
  • 食欲減退 29.2% (1.7%)
  • 粘膜の炎症 27.8% (1.5%)
  • 便秘 15.0% (0%)

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 60.9% (0%)

特徴と注意点

  • HER2陽性転移・再発乳がんに対する一次治療として強く推奨されるレジメンである。 
  • HER2陽性早期乳がんに対する術前・術後補助化学療法として、 リンパ節転移陽性などの再発リスクが高い患者に対して推奨されるレジメンである。
  • 転移・再発乳がんに対して治療回数に上限はないが、 病勢コントロールが可能かつドセタキセルによる副作用が強い場合は、 6サイクル終了後にペルツズマブ+トラスツズマブの2剤のみで治療継続することがある。
  • 早期乳がんに対しては3剤併用を4サイクル投与後、 ペルツズマブ+トラスツズマブの2剤のみで合計1年間 (最大18コース) 投与する。
  • 投与開始前に心エコー等により左室駆出率が≥50% (術前・術後は≥55%) であることを確認し、 治療中は定期的に心機能を確認する。
  • ペルツズマブ・トラスツズマブはともに初回と2回目以降の投与量が異なる。
  • 予定された投与スケジュールよりも次回投与が遅れた場合、 ペルツズマブは6週以上・トラスツズマブは1週間を超えた場合に初回投与量で投与する。
  • 初回投与はinfusion reactionに注意しながらペルツズマブ60分間・トラスツズマブ90分間で投与を行い、 初回投与の忍容性が良好であれば各30分間まで短縮可能である。
  • ドセタキセルおよび溶解補助剤のポリソルベート80による過敏症に注意する。
  • ドセタキセルの各製剤によってアルコール含有の有無、 および含有量が異なるため、 採用されいている製剤をよく確認する必要がある。
  • ドセタキセルの総投与量が300~400mg/m²に達すると浮腫の頻度が上昇するため、 前投与としてのデキサメタゾンに加え、 浮腫予防としてデキサメタゾン8mgを2~4日間内服することもある。
  • ドセタキセルによる関節痛・筋肉痛は投与後24~48時間で好発し、 3~5日間で軽快することが多い。 NSAIDs等適切な鎮痛薬で対処する。

関連する臨床試験①|CLEOPATRA試験¹⁾

未治療のHER2陽性転移性乳癌患者において、 ペルツズマブ (PER) +トラスツズマブ (HER) +ドセタキセル (DTX) の効果を、 プラセボ+HER+DTXを対照に検証した第Ⅲ相無作為化二重盲検比較試験CLEOPATRAの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有益性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

独立判定機関評価によるPFS (中央値)

  • ペルツズマブ群:18.5ヵ月
  • プラセボ群:12.4ヵ月
HR 0.62 (95%CI 0.51-0.75)、 p<0.001

OS中央値

  • ペルツズマブ群:57.1ヵ月
(95%CI 50-72ヵ月)
  • プラセボ群:40.8ヵ月
(95%CI 36-48ヵ月)
HR 0.69 (95%CI 0.58-0.82)

OS率 (5年時、 6年時、 7年時、 8年時)

  • ペルツズマブ群:49%、 45%、 40%、 37%
  • プラセボ群:35%、 28%、 26%、 23%

医師評価によるPFS (中央値)

  • ペルツズマブ群:18.7ヵ月
(95%CI 17-22ヵ月)
  • プラセボ群:12.4ヵ月
(95%CI 10-14ヵ月)
HR 0.69 (95%CI 0.59-0.81)

ORR

  • ペルツズマブ群:80.2%
  • プラセボ群:69.3%
95%CI 4.2-17.5、 p=0.001

関連する臨床試験②|APHINITY試験

根治手術を受け、 組織学的に浸潤性HER2陽性と確認された乳癌患者において、 術後療法におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法の効果を、 プラセボ+トラスツズマブ+化学療法を対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験APHINITYの結果より、 浸潤性疾患のない生存期間 (IDFS) に対する有効性が示された。

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IDFS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:221例 (9.2%)
  • プラセボ群:287例 (11.9%)
HR 0.76 (95%CI 0.64-0.91)

初回IDFSイベントの大半は遠隔再発であり、 ペルツズマブ群 (5.9%) ではプラセボ群 (7.7%) よりも遠隔再発が少なかった。

IDFS率 (3年時、 6年時)

  • ペルツズマブ群:94.1%、 91.0%
  • プラセボ群:93.2%、 88.0%

IDFS率 (6年時) のサブグループ解析

リンパ節転移陽性患者

  • ペルツズマブ群:88.0%
  • プラセボ群:83.0%

リンパ節転移陰性患者

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:95.0%

乳癌以外の続発性原発癌をイベントとして含むIDFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:93.5%
(95%CI 92.5-94.5%)
  • プラセボ群:92.5%
(95%CI 91.4-93.6%)
HR 0.82 (95%CI 0.68-0.99)、 p=0.043

OS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:125例 (5.2%)
  • プラセボ群:147例 (6.1%)
HR 0.85 (95%CI 0.67-1.07)、 p=0.17

OS率 (6年時)

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:94.0%

RFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:95.2%
  • プラセボ群:94.3%
HR 0.79 (95%CI 0.63-0.99)、 p=0.043

DRFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:95.7%
  • プラセボ群:95.1%
HR 0.82 (95%CI 0.64-1.04)、p=0.101

参考文献

  1. Pertuzumab, trastuzumab, and docetaxel for HER2-positive metastatic breast cancer (CLEOPATRA): end-of-study results from a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 study. Lancet Oncol. 2020 Apr;21(4):519-530. PMID: 32171426
  2. Adjuvant Pertuzumab and Trastuzumab in Early HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med. 2017 Jul 13;377(2):122-131. PMID: 28581356
最終更新日:2023年10月20日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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Trastuzumab + Pertuzumab + Docetaxel
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル
2024年03月05日更新
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用法用量

投与開始基準

CLEOPATRA試験¹⁾より抜粋 (転移・再発乳癌)

18歳以上で、 組織学的または細胞学的にHER2陽性の局所再発または転移性の乳腺癌と診断されたPS0、 1の患者

APHINITY試験²⁾より抜粋 (術後療法)

18歳以上で、 乳房全摘術または乳房温存手術を受けたPS0、 1の患者

減量・中止基準

ペルツズマブ、 トラスツズマブの休薬・中止基準

ドセタキセルの減量・休薬・中止基準

主な有害事象

CLEOPATRA試験¹⁾

試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少 52.8% (48.9%)
  • 発熱性好中球減少症 13.8% (13.8%)
  • 下痢 66.8% (7.9%)
  • 悪心 42.3% (1.2%)
  • 疲労 37.6% (2.2%)
  • 食欲減退 29.2% (1.7%)
  • 粘膜の炎症 27.8% (1.5%)
  • 便秘 15.0% (0%)

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 60.9% (0%)

特徴と注意点

  • HER2陽性転移・再発乳がんに対する一次治療として強く推奨されるレジメンである。 
  • HER2陽性早期乳がんに対する術前・術後補助化学療法として、 リンパ節転移陽性などの再発リスクが高い患者に対して推奨されるレジメンである。
  • 転移・再発乳がんに対して治療回数に上限はないが、 病勢コントロールが可能かつドセタキセルによる副作用が強い場合は、 6サイクル終了後にペルツズマブ+トラスツズマブの2剤のみで治療継続することがある。
  • 早期乳がんに対しては3剤併用を4サイクル投与後、 ペルツズマブ+トラスツズマブの2剤のみで合計1年間 (最大18コース) 投与する。
  • 投与開始前に心エコー等により左室駆出率が≥50% (術前・術後は≥55%) であることを確認し、 治療中は定期的に心機能を確認する。
  • ペルツズマブ・トラスツズマブはともに初回と2回目以降の投与量が異なる。
  • 予定された投与スケジュールよりも次回投与が遅れた場合、 ペルツズマブは6週以上・トラスツズマブは1週間を超えた場合に初回投与量で投与する。
  • 初回投与はinfusion reactionに注意しながらペルツズマブ60分間・トラスツズマブ90分間で投与を行い、 初回投与の忍容性が良好であれば各30分間まで短縮可能である。
  • ドセタキセルおよび溶解補助剤のポリソルベート80による過敏症に注意する。
  • ドセタキセルの各製剤によってアルコール含有の有無、 および含有量が異なるため、 採用されいている製剤をよく確認する必要がある。
  • ドセタキセルの総投与量が300~400mg/m²に達すると浮腫の頻度が上昇するため、 前投与としてのデキサメタゾンに加え、 浮腫予防としてデキサメタゾン8mgを2~4日間内服することもある。
  • ドセタキセルによる関節痛・筋肉痛は投与後24~48時間で好発し、 3~5日間で軽快することが多い。 NSAIDs等適切な鎮痛薬で対処する。

関連する臨床試験①|CLEOPATRA試験¹⁾

未治療のHER2陽性転移性乳癌患者において、 ペルツズマブ (PER) +トラスツズマブ (HER) +ドセタキセル (DTX) の効果を、 プラセボ+HER+DTXを対照に検証した第Ⅲ相無作為化二重盲検比較試験CLEOPATRAの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有益性が示された。

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独立判定機関評価によるPFS (中央値)

  • ペルツズマブ群:18.5ヵ月
  • プラセボ群:12.4ヵ月
HR 0.62 (95%CI 0.51-0.75)、 p<0.001

OS中央値

  • ペルツズマブ群:57.1ヵ月
(95%CI 50-72ヵ月)
  • プラセボ群:40.8ヵ月
(95%CI 36-48ヵ月)
HR 0.69 (95%CI 0.58-0.82)

OS率 (5年時、 6年時、 7年時、 8年時)

  • ペルツズマブ群:49%、 45%、 40%、 37%
  • プラセボ群:35%、 28%、 26%、 23%

医師評価によるPFS (中央値)

  • ペルツズマブ群:18.7ヵ月
(95%CI 17-22ヵ月)
  • プラセボ群:12.4ヵ月
(95%CI 10-14ヵ月)
HR 0.69 (95%CI 0.59-0.81)

ORR

  • ペルツズマブ群:80.2%
  • プラセボ群:69.3%
95%CI 4.2-17.5、 p=0.001

関連する臨床試験②|APHINITY試験

根治手術を受け、 組織学的に浸潤性HER2陽性と確認された乳癌患者において、 術後療法におけるペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法の効果を、 プラセボ+トラスツズマブ+化学療法を対照に検証した第Ⅲ相二重盲検無作為化比較試験APHINITYの結果より、 浸潤性疾患のない生存期間 (IDFS) に対する有効性が示された。

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IDFS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:221例 (9.2%)
  • プラセボ群:287例 (11.9%)
HR 0.76 (95%CI 0.64-0.91)

初回IDFSイベントの大半は遠隔再発であり、 ペルツズマブ群 (5.9%) ではプラセボ群 (7.7%) よりも遠隔再発が少なかった。

IDFS率 (3年時、 6年時)

  • ペルツズマブ群:94.1%、 91.0%
  • プラセボ群:93.2%、 88.0%

IDFS率 (6年時) のサブグループ解析

リンパ節転移陽性患者

  • ペルツズマブ群:88.0%
  • プラセボ群:83.0%

リンパ節転移陰性患者

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:95.0%

乳癌以外の続発性原発癌をイベントとして含むIDFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:93.5%
(95%CI 92.5-94.5%)
  • プラセボ群:92.5%
(95%CI 91.4-93.6%)
HR 0.82 (95%CI 0.68-0.99)、 p=0.043

OS (6年時イベント数)

  • ペルツズマブ群:125例 (5.2%)
  • プラセボ群:147例 (6.1%)
HR 0.85 (95%CI 0.67-1.07)、 p=0.17

OS率 (6年時)

  • ペルツズマブ群:95.0%
  • プラセボ群:94.0%

RFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:95.2%
  • プラセボ群:94.3%
HR 0.79 (95%CI 0.63-0.99)、 p=0.043

DRFS率 (3年時)

  • ペルツズマブ群:95.7%
  • プラセボ群:95.1%
HR 0.82 (95%CI 0.64-1.04)、p=0.101

参考文献

  1. Pertuzumab, trastuzumab, and docetaxel for HER2-positive metastatic breast cancer (CLEOPATRA): end-of-study results from a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 study. Lancet Oncol. 2020 Apr;21(4):519-530. PMID: 32171426
  2. Adjuvant Pertuzumab and Trastuzumab in Early HER2-Positive Breast Cancer. N Engl J Med. 2017 Jul 13;377(2):122-131. PMID: 28581356
最終更新日:2023年10月20日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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