治療スケジュール
概要
監修医師

NEL:ネララビン(アラノンジー®)

投与量コース投与日
1,500mg/m² 点滴静注 <2hr>1~Day 1、 3、 5

その他

1コースは21日間.
調製後は8時間以内に投与を完了すること.
レジメン
Nelarabine
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

CALGB19801試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (Grade3 13%、 Grade4 29%)
  • 血小板減少 (Grade3 18%、 Grade4 16%)
  • 貧血 (Grade3 16%、 Grade4 5%)
  • 発熱性好中球減少症 (Grade3 8%)

主な有害事象

  • 倦怠感 (Grade3 16%、 Grade4 3%)
  • 筋力低下 (Grade3 11%)

神経系有害事象

  • 失語 (Grade3 3%)
  • 幻覚 (Grade3 3%)
  • 意識低下 (Grade4 3%)
  • うつ (Grade3 3%)
  • 錯乱 (Grade3 3%)
  • 末梢神経障害 (Grade3 3%)
  • てんかん発作 (Grade3 3%)

その他

  • 感染症 [好中球数>500] (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • ALT上昇 (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • AST上昇 (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • 高ビリルビン (Grade3 5%)
  • 高血圧 (Grade3 3%)
  • 下痢 (Grade3 3%)
  • 筋肉痛 (Grade3 3%)

特徴と注意点

T-ALL:T細胞急性リンパ性白血病 T-LBL:T細胞リンパ芽球性リンパ腫
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLに対し、 単剤での治療適応を初めて取得した医薬品.
  • 本剤はプロドラッグであり、 主要活性体はara-Gである.
  • Ara-GはT細胞に高い選択性を示し、 チェーンターミネーター作用によりDNA合成を停止させる.
  • 用量制限毒性は神経毒性であり、 Grade2以上の場合は投与中止を検討.
  • 遺伝毒性が報告されており、 男女ともに投与終了後3ヵ月間は適切な避妊を推奨.

関連する臨床試験の結果

CALGB 19801試験¹⁾

T-ALL:T細胞急性リンパ性白血病 T-LBL:T細胞リンパ芽球性リンパ腫

概要

  • 海外第2相臨床試験
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLと診断された16歳以上の患者39例
  • ネララビン1500mg/m²を1、 3、 5日目隔日投与の有効性を検討
  • 評価項目:寛解率、 奏効率、 生存期間、 安全性

結果

  • 完全寛解率:31% (95%CI 17-48)
  • 全奏効率:41% (95%CI 26-58)
  • 無病生存期間中央値:20週 (95%CI 11-56)
  • 全生存期間中央値:20週 (95%CI 13-36)
  • 1年全生存率:28% [95%CI 15-43]
  • Grade3以上の主な毒性:好中球減少症 (37%)、 血小板減少症 (26%)
  • 神経系の有害事象のうちGrade4は1例のみ (可逆的な意識レベルの低下).
  • ネララビンは、 再発又は難治性のT-ALL及びT-LBLにおいて有意な抗腫瘍活性と高い忍容性を示した.

CAMPUS ALL試験²⁾

概要

  • 多施設共同観察第4相試験
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLと診断された18歳以上の患者118例
  • ネララビン治療*によるサルベージ後の同種造血幹細胞移植 (SCT) の実施可能性と転帰を評価
*ネララビン1,500mg/m²を1、 3、 5日目隔日投与
  • 主要評価:全奏効率、 全生存期間 (OS)
  • 追加評価:SCT率、 SCT後のOS、 安全性

結果

  • コース数中央値:2コース (範囲1-4)
  • 全奏効率:50% (完全寛解率 36%、 部分寛解率 14%)
  • 1年全生存率:37%
  • 生存期間中央値:8ヵ月
  • SCT率:40%
  • SCT後の全生存率:2年 46%、 5年 38%
  • 1年全生存率はネララビン救済療法後にSCTを受けた群で有意に良好であった (58% vs 22%, P<.001). 
  • Grade3以上の神経毒性は8%、 Grade3以上の血小板減少症又は/及び好中球減少症はそれぞれ41%及び43%に報告された.
  • 疾患の予後不良を考慮すると、 ネララビンは奏効率、 SCT率ともに有効な選択肢と考えられた. 安全性プロファイルについても神経毒性を含め許容範囲内であった.

参考文献

  1. Blood. 2007 Jun 15;109(12):5136-42.
  2. Am J Hematol. 2020 Dec;95(12):1466-1472.

最終更新:2023年3月21日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ネララビン(アラノンジー®)
2023年05月14日更新

NEL:ネララビン(アラノンジー®)

投与量コース投与日
1,500mg/m² 点滴静注 <2hr>1~Day 1、 3、 5

その他

1コースは21日間.
調製後は8時間以内に投与を完了すること.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

CALGB19801試験¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 好中球減少 (Grade3 13%、 Grade4 29%)
  • 血小板減少 (Grade3 18%、 Grade4 16%)
  • 貧血 (Grade3 16%、 Grade4 5%)
  • 発熱性好中球減少症 (Grade3 8%)

主な有害事象

  • 倦怠感 (Grade3 16%、 Grade4 3%)
  • 筋力低下 (Grade3 11%)

神経系有害事象

  • 失語 (Grade3 3%)
  • 幻覚 (Grade3 3%)
  • 意識低下 (Grade4 3%)
  • うつ (Grade3 3%)
  • 錯乱 (Grade3 3%)
  • 末梢神経障害 (Grade3 3%)
  • てんかん発作 (Grade3 3%)

その他

  • 感染症 [好中球数>500] (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • ALT上昇 (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • AST上昇 (Grade3 3%、 Grade4 3%)
  • 高ビリルビン (Grade3 5%)
  • 高血圧 (Grade3 3%)
  • 下痢 (Grade3 3%)
  • 筋肉痛 (Grade3 3%)

特徴と注意点

T-ALL:T細胞急性リンパ性白血病 T-LBL:T細胞リンパ芽球性リンパ腫
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLに対し、 単剤での治療適応を初めて取得した医薬品.
  • 本剤はプロドラッグであり、 主要活性体はara-Gである.
  • Ara-GはT細胞に高い選択性を示し、 チェーンターミネーター作用によりDNA合成を停止させる.
  • 用量制限毒性は神経毒性であり、 Grade2以上の場合は投与中止を検討.
  • 遺伝毒性が報告されており、 男女ともに投与終了後3ヵ月間は適切な避妊を推奨.

関連する臨床試験の結果

CALGB 19801試験¹⁾

T-ALL:T細胞急性リンパ性白血病 T-LBL:T細胞リンパ芽球性リンパ腫

概要

  • 海外第2相臨床試験
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLと診断された16歳以上の患者39例
  • ネララビン1500mg/m²を1、 3、 5日目隔日投与の有効性を検討
  • 評価項目:寛解率、 奏効率、 生存期間、 安全性

結果

  • 完全寛解率:31% (95%CI 17-48)
  • 全奏効率:41% (95%CI 26-58)
  • 無病生存期間中央値:20週 (95%CI 11-56)
  • 全生存期間中央値:20週 (95%CI 13-36)
  • 1年全生存率:28% [95%CI 15-43]
  • Grade3以上の主な毒性:好中球減少症 (37%)、 血小板減少症 (26%)
  • 神経系の有害事象のうちGrade4は1例のみ (可逆的な意識レベルの低下).
  • ネララビンは、 再発又は難治性のT-ALL及びT-LBLにおいて有意な抗腫瘍活性と高い忍容性を示した.

CAMPUS ALL試験²⁾

概要

  • 多施設共同観察第4相試験
  • 再発又は難治性のT-ALLならびにT-LBLと診断された18歳以上の患者118例
  • ネララビン治療*によるサルベージ後の同種造血幹細胞移植 (SCT) の実施可能性と転帰を評価
*ネララビン1,500mg/m²を1、 3、 5日目隔日投与
  • 主要評価:全奏効率、 全生存期間 (OS)
  • 追加評価:SCT率、 SCT後のOS、 安全性

結果

  • コース数中央値:2コース (範囲1-4)
  • 全奏効率:50% (完全寛解率 36%、 部分寛解率 14%)
  • 1年全生存率:37%
  • 生存期間中央値:8ヵ月
  • SCT率:40%
  • SCT後の全生存率:2年 46%、 5年 38%
  • 1年全生存率はネララビン救済療法後にSCTを受けた群で有意に良好であった (58% vs 22%, P<.001). 
  • Grade3以上の神経毒性は8%、 Grade3以上の血小板減少症又は/及び好中球減少症はそれぞれ41%及び43%に報告された.
  • 疾患の予後不良を考慮すると、 ネララビンは奏効率、 SCT率ともに有効な選択肢と考えられた. 安全性プロファイルについても神経毒性を含め許容範囲内であった.

参考文献

  1. Blood. 2007 Jun 15;109(12):5136-42.
  2. Am J Hematol. 2020 Dec;95(12):1466-1472.

最終更新:2023年3月21日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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