概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。
2024/12/10時点で、 基底細胞癌に対して本邦適応外

投与スケジュール ※本邦適応外

監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

以下投与後少なくとも3週間休薬する。 これを1コースとして、 臨床効果が得られなくなるか、 許容できない副作用発生まで繰り返す。

 - 5-FU 800mg/m² 24時間持続 day1-5
 - CDDP 80mg/m² 1日1回  day1
放射線治療と併用する場合

フルオロウラシルの1日量を700mg/m²、 シスプラチンを70mg/m²とするなど、 適宜減量する。

減量・休薬・中止基準

Grade4の血液毒性やGrade3以上の非血液毒性をきたした場合、 次コースからは適宜減量する。

エキスパートによるワンポイント

免疫療法が不応または不適患者の選択肢

国内では有棘細胞癌に準じて、 根治切除不能な局所進行または遠隔転移を有する基底細胞癌に用いられることがある。

2024年2月にニボルマブが上皮系皮膚悪性腫瘍に承認されてからは、 ニボルマブに不応または自己免疫疾患を合併し免疫抑制剤を服用中等の理由で免疫療法が適さない患者に用いられる。

5-FUもシスプラチンも放射線増感作用を有することから、 腫瘍が局在している場合に放射線治療との併用で用いられることが多い。

尚、 海外ではヘッジホッグ経路阻害薬であるVismodegibやSonidegibが用いられるが、 わが国では承認されていない。

臨床試験と奏効割合

これまでに、 基底細胞癌を対象にFP療法が検証的な臨床試験で評価されたことはない。

Guthrieらは、 シスプラチンを含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌または有棘細胞癌28例のケースシリーズを報告しており、 基底細胞癌8例における薬物療法単独での奏効割合は75% (CR3例、 PR3例) であった⁴⁾。

また、 Moeholtらは、 プラチナ製剤を含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌の報告を集計し、 評価可能46例における奏効割合は83% (CR17例、 PR21例) と報告している⁵⁾。

副作用とその対策

悪心・嘔吐のリスクは高く、 アプレピタント、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンによる予防が推奨される。

5-FUは粘膜障害 (口内炎、 下痢、 消化管潰瘍など) を生じやすく、 投与後数日から2週間程度は特に注意する。 ワルファリンの作用を増強するため、 ワルファリン内服中の患者では出血症状の出現に注意し、 採血時に凝固能 (PT-INR) も確認する。 古典的な手足症候群、 色素沈着などを生じることがある。

シスプラチンは、 重篤な腎障害がある場合は投与禁忌であり、 腎機能障害の軽減・予防のために、 投与前1,000-2,000ml、 投与後1,000-2,000mlの補液を行う。 利尿剤としてマンニトールを予防的に用いたり、 体重増加があればフロセミドを適宜追加する。 投与回数や投与量が増えるにつれて、 末梢神経障害や聴覚神経障害をきたすリスクが高まり注意を要する。

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年6月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2024年11月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  4. Cisplatin-based chemotherapy in advanced basal and squamous cell carcinomas of the skin: results in 28 patients including 13 patients receiving multimodality therapy. J Clin Oncol. 1990 Feb;8(2):342-6. PMID: 2405109
  5. Platinum-based cytotoxic therapy in basal cell carcinoma--a review of the literature. Acta Oncol. 1996;35(6):677-82. PMID: 8938213
最終更新日 : 2024年12月10日
監修薬剤師:国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 宇田川 涼子先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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2024年12月10日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。
2024/12/10時点で、 基底細胞癌に対して本邦適応外

投与スケジュール ※本邦適応外

監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

以下投与後少なくとも3週間休薬する。 これを1コースとして、 臨床効果が得られなくなるか、 許容できない副作用発生まで繰り返す。

 - 5-FU 800mg/m² 24時間持続 day1-5
 - CDDP 80mg/m² 1日1回  day1
放射線治療と併用する場合

フルオロウラシルの1日量を700mg/m²、 シスプラチンを70mg/m²とするなど、 適宜減量する。

減量・休薬・中止基準

Grade4の血液毒性やGrade3以上の非血液毒性をきたした場合、 次コースからは適宜減量する。

エキスパートによるワンポイント

免疫療法が不応または不適患者の選択肢

国内では有棘細胞癌に準じて、 根治切除不能な局所進行または遠隔転移を有する基底細胞癌に用いられることがある。

2024年2月にニボルマブが上皮系皮膚悪性腫瘍に承認されてからは、 ニボルマブに不応または自己免疫疾患を合併し免疫抑制剤を服用中等の理由で免疫療法が適さない患者に用いられる。

5-FUもシスプラチンも放射線増感作用を有することから、 腫瘍が局在している場合に放射線治療との併用で用いられることが多い。

尚、 海外ではヘッジホッグ経路阻害薬であるVismodegibやSonidegibが用いられるが、 わが国では承認されていない。

臨床試験と奏効割合

これまでに、 基底細胞癌を対象にFP療法が検証的な臨床試験で評価されたことはない。

Guthrieらは、 シスプラチンを含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌または有棘細胞癌28例のケースシリーズを報告しており、 基底細胞癌8例における薬物療法単独での奏効割合は75% (CR3例、 PR3例) であった⁴⁾。

また、 Moeholtらは、 プラチナ製剤を含む全身薬物療法を実施した進行期の基底細胞癌の報告を集計し、 評価可能46例における奏効割合は83% (CR17例、 PR21例) と報告している⁵⁾。

副作用とその対策

悪心・嘔吐のリスクは高く、 アプレピタント、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンによる予防が推奨される。

5-FUは粘膜障害 (口内炎、 下痢、 消化管潰瘍など) を生じやすく、 投与後数日から2週間程度は特に注意する。 ワルファリンの作用を増強するため、 ワルファリン内服中の患者では出血症状の出現に注意し、 採血時に凝固能 (PT-INR) も確認する。 古典的な手足症候群、 色素沈着などを生じることがある。

シスプラチンは、 重篤な腎障害がある場合は投与禁忌であり、 腎機能障害の軽減・予防のために、 投与前1,000-2,000ml、 投与後1,000-2,000mlの補液を行う。 利尿剤としてマンニトールを予防的に用いたり、 体重増加があればフロセミドを適宜追加する。 投与回数や投与量が増えるにつれて、 末梢神経障害や聴覚神経障害をきたすリスクが高まり注意を要する。

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年6月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2024年11月改訂 第2版) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/12/10]
  4. Cisplatin-based chemotherapy in advanced basal and squamous cell carcinomas of the skin: results in 28 patients including 13 patients receiving multimodality therapy. J Clin Oncol. 1990 Feb;8(2):342-6. PMID: 2405109
  5. Platinum-based cytotoxic therapy in basal cell carcinoma--a review of the literature. Acta Oncol. 1996;35(6):677-82. PMID: 8938213
最終更新日 : 2024年12月10日
監修薬剤師:国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科 宇田川 涼子先生
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 医長 並川 健二郎先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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