概要
監修医師
2022年8月24日に新たに 「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」 への適応が追加された
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

タグリッソ® (添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾)

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 オシメルチニブ
*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します¹⁾

投与スケジュール

【1コース】連日内服投与
【催吐性】 最小度催吐性
【FN発症】低リスク 

術後補助療法では、投与期間は36ヵ月間まで

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

📊ADAURA試験³⁾⁴⁾

病理病期ⅠB~ⅢA期※のEGFR変異陽性NSCLC術後患者を対象に、 オシメルチニブ3年投与とプラセボを比較した国際第Ⅲ相試験 [オシメルチニブ群 339例、プラセボ群343例]
※病理病期 AJCC/UICC第7版 切除検体の病理診断に基づくため、日本では病理病期ⅠB期患者は対象外である

【有効性】オシメルチニブ群

- Ⅱ~ⅢA期 DFS : 未到達 [主要評価項目]³⁾

プラセボ群 : 19.6ヵ月、 HR 0.17、 P<0.0001
タグリッソ®電子添文¹⁾より引用

更新されたDFS報告は65.8ヵ月であった⁴⁾

プラセボ群 : 21.9ヵ月、 HR 0.23、 P<0.0001

- Ⅱ~ⅢA期 4年DFS率 : 70%³⁾

プラセボ群 : 29%、 HR 0.23、 P<0.0001

- Ⅱ~ⅢA期 5年OS率 : 85%³⁾

 プラセボ群 : 73%、 HR 0.49、 P=0.0004

【安全性】

- 主な有害事象³⁾

下痢、 皮疹(ざ瘡様皮疹・爪周囲炎)、 肝機能障害、 白血球減少、 血小板減少

- 注意すべき有害事象³⁾

薬剤性肺障害、 心毒性 (QTc延長、 心機能低下、 心嚢液貯留)

各プロトコル

休薬・減量・中止基準例

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より引用

詳細は最新の電子添文適正使用ガイドを参照

・間質性肺疾患 ・QT間隔延長 ・肝障害
・血液毒性 ・中毒性表皮壊死融解症
・皮膚粘膜眼症候群 ・多形紅斑
・うっ血性心不全 ・左室駆出率低下など

減量・中止レベル

副作用発現時には、 必要に応じて本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う必要がある。

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より作図

レジメンの特徴と注意点

2022年8月にADAURA試験より「術後補助化学療法」としての使用も可能になった。 その他、 1次治療および他のEGFR-TKI使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも適応があり、 2024年6月にはFLAURA2試験より「化学療法との併用」も可能となっている。

*他のEGFR-TKI使用後では再生検もしくはリキッドバイオプシーでT790M変異を検出した症例例のみ使用可

コンパニオン診断

コンパニオン診断の最新情報について、 こちらのコンテンツを参照ください。

肺癌コンパニオン診断薬一覧ページへ遷移

有害事象の特徴

日本人における薬剤性肺障害の発現割合は全体集団より高い傾向が見られた。 また、 ICI投与歴がある場合、 薬剤性肺障害の発現率が高まるとの報告あり。 また、 一過性無症候性肺陰影 (TAPO)が報告されている。

Chest 2022 : オシメルチニブ起因の薬剤性肺炎発症率18%、半数はTAPO の記事を読む

肺癌診療ガイドライン2024

EGFR遺伝子変異陽性の病理病期Ⅱ-ⅢB期 (第9版)*N3は除く 完全切除例に対する術後療法については、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療追加が弱く推奨 [2B]⁵⁾

日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版より引用

出典

1) アストラゼネカ株式会社. タグリッソ®電子添文 (2024年6月改訂 第6版) [最終閲覧 : 2025/04/15]

2) アストラゼネカ株式会社. タグリッソ®適正使用ガイド (2024年7月作成) [最終閲覧 : 2025/04/15]

*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します

3) Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC. N Engl J Med. 2023 Jul 13;389(2):137-147. PMID: 37272535

4) Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1830-1840. PMID: 36720083

5) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2025年4月15日
監修・作図 : HOKUTO編集部専門医

レジメン
Osimertinib
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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Osimertinib

オシメルチニブ (タグリッソ®)
2025年04月15日更新
2022年8月24日に新たに 「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」 への適応が追加された
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 オシメルチニブ
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投与スケジュール

【1コース】連日内服投与
【催吐性】 最小度催吐性
【FN発症】低リスク 

術後補助療法では、投与期間は36ヵ月間まで

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

📊ADAURA試験³⁾⁴⁾

病理病期ⅠB~ⅢA期※のEGFR変異陽性NSCLC術後患者を対象に、 オシメルチニブ3年投与とプラセボを比較した国際第Ⅲ相試験 [オシメルチニブ群 339例、プラセボ群343例]
※病理病期 AJCC/UICC第7版 切除検体の病理診断に基づくため、日本では病理病期ⅠB期患者は対象外である

【有効性】オシメルチニブ群

- Ⅱ~ⅢA期 DFS : 未到達 [主要評価項目]³⁾

プラセボ群 : 19.6ヵ月、 HR 0.17、 P<0.0001
タグリッソ®電子添文¹⁾より引用

更新されたDFS報告は65.8ヵ月であった⁴⁾

プラセボ群 : 21.9ヵ月、 HR 0.23、 P<0.0001

- Ⅱ~ⅢA期 4年DFS率 : 70%³⁾

プラセボ群 : 29%、 HR 0.23、 P<0.0001

- Ⅱ~ⅢA期 5年OS率 : 85%³⁾

 プラセボ群 : 73%、 HR 0.49、 P=0.0004

【安全性】

- 主な有害事象³⁾

下痢、 皮疹(ざ瘡様皮疹・爪周囲炎)、 肝機能障害、 白血球減少、 血小板減少

- 注意すべき有害事象³⁾

薬剤性肺障害、 心毒性 (QTc延長、 心機能低下、 心嚢液貯留)

各プロトコル

休薬・減量・中止基準例

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より引用

詳細は最新の電子添文適正使用ガイドを参照

・間質性肺疾患 ・QT間隔延長 ・肝障害
・血液毒性 ・中毒性表皮壊死融解症
・皮膚粘膜眼症候群 ・多形紅斑
・うっ血性心不全 ・左室駆出率低下など

減量・中止レベル

副作用発現時には、 必要に応じて本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う必要がある。

タグリッソ®適正使用ガイド²⁾より作図

レジメンの特徴と注意点

2022年8月にADAURA試験より「術後補助化学療法」としての使用も可能になった。 その他、 1次治療および他のEGFR-TKI使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも適応があり、 2024年6月にはFLAURA2試験より「化学療法との併用」も可能となっている。

*他のEGFR-TKI使用後では再生検もしくはリキッドバイオプシーでT790M変異を検出した症例例のみ使用可

コンパニオン診断

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有害事象の特徴

日本人における薬剤性肺障害の発現割合は全体集団より高い傾向が見られた。 また、 ICI投与歴がある場合、 薬剤性肺障害の発現率が高まるとの報告あり。 また、 一過性無症候性肺陰影 (TAPO)が報告されている。

Chest 2022 : オシメルチニブ起因の薬剤性肺炎発症率18%、半数はTAPO の記事を読む

肺癌診療ガイドライン2024

EGFR遺伝子変異陽性の病理病期Ⅱ-ⅢB期 (第9版)*N3は除く 完全切除例に対する術後療法については、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療追加が弱く推奨 [2B]⁵⁾

日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版より引用

出典

1) アストラゼネカ株式会社. タグリッソ®電子添文 (2024年6月改訂 第6版) [最終閲覧 : 2025/04/15]

2) アストラゼネカ株式会社. タグリッソ®適正使用ガイド (2024年7月作成) [最終閲覧 : 2025/04/15]

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3) Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC. N Engl J Med. 2023 Jul 13;389(2):137-147. PMID: 37272535

4) Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1830-1840. PMID: 36720083

5) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2025年4月15日
監修・作図 : HOKUTO編集部専門医

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(呼吸器)

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また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。