概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ジオトリフ® (添付文書¹⁾ / 適正使用ガイド*²⁾)

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 アファチニブ
*日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の外部サイトへ遷移

投与スケジュール

【1コース】連日内服投与
【催吐性】 軽度催吐性
【FN発症】低リスク 

通常、 成人には1日1回40mgを空腹時に経口投与 (1日1回50mgまで増量可能)

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用
※50mgへの増量基準 1日1回40mgで3週間以上投与し、 下痢、 皮膚障害、 口内炎、その他のGrade 2以上の副作用が認められない場合1日1回50mgに増量してもよい¹⁾。
※食前後の服用は避ける 食後に本剤を投与した場合、 Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。 食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること¹⁾。

KeyData|臨床試験結果

📊 LUX-Lung3試験³⁾

化学療法未治療のEGFR遺伝子変異 (Exon19の欠失変異 (Del19)、 Exon21のL858R変異等) 陽性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 Afatinibの有効性及び安全性をPEM+CDDP併用療法と対照で評価した国際共同第Ⅲ相試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群   : 11.1ヵ月

PEM+CDDP群 : 6.9ヵ月

HR 0.58、 p=0.0004、 両側層別ログランク検定
J Clin Oncol. 2013 Sep 20;31(27):3327-34.より引用

📊 LUX-Lung7試験⁴⁾

化学療法未治療のEGFR遺伝子変異 (Exon19の欠失変異 (Del19)、Exon21のL858R変異等) 陽性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 Afatinibの有効性及び安全性をGefitinibと対照で評価した国際共同第Ⅲ相試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群 : 11.0ヵ月

Gefitinib群 : 10.9ヵ月

HR 0.73、 p=0.017、 両側層別ログランク検定
Lancet Oncol. 2016 May;17(5):577-89.より引用

📊ACHILLES/TORG1834試験⁵⁾

化学療法未治療のsensitizing uncommonと定義されたEGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮NSCLCに対して、 Afatinibの有効性および安全性を標準化学療法を対照群として検証した第Ⅲ相無作為化比較試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群 : 10.6ヵ月

Chemo群 : 5.7ヵ月

追跡期間中央値 : 12.5ヵ月 (範囲0-43.5ヵ月)
HR 0.422 (95%CI 0.256-0.694)、 p=0.0007

客観的奏効割合 (ORR)、 病勢制御率 (DCR)

Afatinib群 : 61.4%、 82.9%

Chemo群 : 47.1%、 82.4%

有害事象 : AE (全グレード、 ≧Grade3)

Afatinib群 : 97.3%、 43.8%

Chemo群 : 91.4%、 37.1%

Afatinib群で多く認められた有害事象は、 下痢 (82.2%、 21.9%)、 爪囲炎 (58.9%、 6.8%)、 皮疹 (58.9%、 1.4%)、 粘膜炎 (58.9%、 8.2%)、 食欲不振 (23.3%、 6.8%)、 悪心 (23.3%、 4.1%) などで新たな有害事象は認められなかった。

各プロトコル

減量・休薬・中止基準

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用

一旦減量した後は、 増量を行わないこと。 20mgで忍容性が得られなければ中止。

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用

レジメンの特徴と注意点

👨‍⚕️監修医師コメント : EGFR uncommon mutationで主に使用される。 高齢であれば30mgでの開始も選択肢になる。

遺伝子パネル検査・コンパニオン診断

日本肺癌学会の各種手引きHOKUTO編集部のまとめコンテンツを参照ください。

肺癌遺伝子パネル検査・コンパニオン診断薬一覧ページへ遷移

肺癌診療ガイドライン2023の推奨⁶⁾

▼PS 0-1の場合

1次治療としてオシメルチニブ単剤療法を行うよう「推奨」する (推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:A)。

その他のEGFR-TKIでの「提案」は下記のとおり

- Gefitinib+CBDCA/PEM (提案 2A)

- Erlotinib+RAM (提案 2A)

- Dacomitinib (提案 2B)

日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用
なお、以下は2023年版よりPS0-1での記載なし
Gefitinib Erlotinib Afatinib

▼PS 2の場合

1次治療として、 EGFR-TKI単剤療法を行うよう「推奨」する  (1C) Gefitinib+CBDCA/PEMを行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。 
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼PS 3~4

1次治療として、 ゲフィチニブ単剤療法を行うよう「推奨」する  (1C)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼Uncommon mutation

エクソン18-21の遺伝子変異 (E709X、G719X、S768I、P848L、L861Q、エクソン19の挿入変異など) にはEGFR-TKI単剤療法を行うよう「提案」する (2C)
EGFR-TKI未治療のT790M変異にオシメルチニブ単剤療法を行うよう「提案」する (2D)
エクソン20の挿入変異にはEGFR-TKI療法を行わないよう「推奨」する (1C)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼EGFR遺伝子変異陽性の2次治療以降

1次治療EGFR-TKI耐性または増悪後のT790M変異陽性例に対して、 オシメルチニブ単剤療法を行うよう「推奨」(1B)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

参考文献

1) ジオトリフ錠40mg 添付文書 (2024年04月改訂第2版) [最終閲覧: 2024/8/24]

2) 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 「ジオトリフ®適正使用ガイド」 2022年9月作成 [最終閲覧 : 2023/8/24]

*日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

3) Phase III study of afatinib or cisplatin plus pemetrexed in patients with metastatic lung adenocarcinoma with EGFR mutations. J Clin Oncol. 2013 Sep 20;31(27):3327-34. PMID: 23816960

4) Afatinib versus gefitinib as first-line treatment of patients with EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer (LUX-Lung 7): a phase 2B, open-label, randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2016 May;17(5):577-89. PMID: 27083334

5) LBA66 Afatinib versus chemotherapy for treatment-naïve non-small cell lung cancer with a sensitizing uncommon epidermal growth factor receptor mutation: a phase III study (ACHILLES/TORG1834). Presented at 2023 European Society of Medical Oncology; October 2023; Madrid, Spain. Ann Oncol. 2023;34(2):S1310–S1311

6) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2023年版

最終更新日 : 2024年8月24日
HOKUTO編集部医師監修

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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アファチニブ (ジオトリフ®)
2024年08月24日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ジオトリフ® (添付文書¹⁾ / 適正使用ガイド*²⁾)

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 アファチニブ
*日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社の外部サイトへ遷移

投与スケジュール

【1コース】連日内服投与
【催吐性】 軽度催吐性
【FN発症】低リスク 

通常、 成人には1日1回40mgを空腹時に経口投与 (1日1回50mgまで増量可能)

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用
※50mgへの増量基準 1日1回40mgで3週間以上投与し、 下痢、 皮膚障害、 口内炎、その他のGrade 2以上の副作用が認められない場合1日1回50mgに増量してもよい¹⁾。
※食前後の服用は避ける 食後に本剤を投与した場合、 Cmax及びAUCが低下するとの報告がある。 食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること¹⁾。

KeyData|臨床試験結果

📊 LUX-Lung3試験³⁾

化学療法未治療のEGFR遺伝子変異 (Exon19の欠失変異 (Del19)、 Exon21のL858R変異等) 陽性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 Afatinibの有効性及び安全性をPEM+CDDP併用療法と対照で評価した国際共同第Ⅲ相試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群   : 11.1ヵ月

PEM+CDDP群 : 6.9ヵ月

HR 0.58、 p=0.0004、 両側層別ログランク検定
J Clin Oncol. 2013 Sep 20;31(27):3327-34.より引用

📊 LUX-Lung7試験⁴⁾

化学療法未治療のEGFR遺伝子変異 (Exon19の欠失変異 (Del19)、Exon21のL858R変異等) 陽性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 Afatinibの有効性及び安全性をGefitinibと対照で評価した国際共同第Ⅲ相試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群 : 11.0ヵ月

Gefitinib群 : 10.9ヵ月

HR 0.73、 p=0.017、 両側層別ログランク検定
Lancet Oncol. 2016 May;17(5):577-89.より引用

📊ACHILLES/TORG1834試験⁵⁾

化学療法未治療のsensitizing uncommonと定義されたEGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮NSCLCに対して、 Afatinibの有効性および安全性を標準化学療法を対照群として検証した第Ⅲ相無作為化比較試験

無増悪生存期間 (PFS) 中央値

Afatinib群 : 10.6ヵ月

Chemo群 : 5.7ヵ月

追跡期間中央値 : 12.5ヵ月 (範囲0-43.5ヵ月)
HR 0.422 (95%CI 0.256-0.694)、 p=0.0007

客観的奏効割合 (ORR)、 病勢制御率 (DCR)

Afatinib群 : 61.4%、 82.9%

Chemo群 : 47.1%、 82.4%

有害事象 : AE (全グレード、 ≧Grade3)

Afatinib群 : 97.3%、 43.8%

Chemo群 : 91.4%、 37.1%

Afatinib群で多く認められた有害事象は、 下痢 (82.2%、 21.9%)、 爪囲炎 (58.9%、 6.8%)、 皮疹 (58.9%、 1.4%)、 粘膜炎 (58.9%、 8.2%)、 食欲不振 (23.3%、 6.8%)、 悪心 (23.3%、 4.1%) などで新たな有害事象は認められなかった。

各プロトコル

減量・休薬・中止基準

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用

一旦減量した後は、 増量を行わないこと。 20mgで忍容性が得られなければ中止。

ジオトリフ®電子添文 (2020年3月改訂 第1版)¹⁾より引用

レジメンの特徴と注意点

👨‍⚕️監修医師コメント : EGFR uncommon mutationで主に使用される。 高齢であれば30mgでの開始も選択肢になる。

遺伝子パネル検査・コンパニオン診断

日本肺癌学会の各種手引きHOKUTO編集部のまとめコンテンツを参照ください。

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肺癌診療ガイドライン2023の推奨⁶⁾

▼PS 0-1の場合

1次治療としてオシメルチニブ単剤療法を行うよう「推奨」する (推奨の強さ:1、エビデンスの強さ:A)。

その他のEGFR-TKIでの「提案」は下記のとおり

- Gefitinib+CBDCA/PEM (提案 2A)

- Erlotinib+RAM (提案 2A)

- Dacomitinib (提案 2B)

日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用
なお、以下は2023年版よりPS0-1での記載なし
Gefitinib Erlotinib Afatinib

▼PS 2の場合

1次治療として、 EGFR-TKI単剤療法を行うよう「推奨」する  (1C) Gefitinib+CBDCA/PEMを行うよう勧めるだけの根拠が明確ではない。 
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼PS 3~4

1次治療として、 ゲフィチニブ単剤療法を行うよう「推奨」する  (1C)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼Uncommon mutation

エクソン18-21の遺伝子変異 (E709X、G719X、S768I、P848L、L861Q、エクソン19の挿入変異など) にはEGFR-TKI単剤療法を行うよう「提案」する (2C)
EGFR-TKI未治療のT790M変異にオシメルチニブ単剤療法を行うよう「提案」する (2D)
エクソン20の挿入変異にはEGFR-TKI療法を行わないよう「推奨」する (1C)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

▼EGFR遺伝子変異陽性の2次治療以降

1次治療EGFR-TKI耐性または増悪後のT790M変異陽性例に対して、 オシメルチニブ単剤療法を行うよう「推奨」(1B)
日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン 2023年版⁴⁾より引用

参考文献

1) ジオトリフ錠40mg 添付文書 (2024年04月改訂第2版) [最終閲覧: 2024/8/24]

2) 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 「ジオトリフ®適正使用ガイド」 2022年9月作成 [最終閲覧 : 2023/8/24]

*日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

3) Phase III study of afatinib or cisplatin plus pemetrexed in patients with metastatic lung adenocarcinoma with EGFR mutations. J Clin Oncol. 2013 Sep 20;31(27):3327-34. PMID: 23816960

4) Afatinib versus gefitinib as first-line treatment of patients with EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer (LUX-Lung 7): a phase 2B, open-label, randomised controlled trial. Lancet Oncol. 2016 May;17(5):577-89. PMID: 27083334

5) LBA66 Afatinib versus chemotherapy for treatment-naïve non-small cell lung cancer with a sensitizing uncommon epidermal growth factor receptor mutation: a phase III study (ACHILLES/TORG1834). Presented at 2023 European Society of Medical Oncology; October 2023; Madrid, Spain. Ann Oncol. 2023;34(2):S1310–S1311

6) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2023年版

最終更新日 : 2024年8月24日
HOKUTO編集部医師監修

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(呼吸器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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