治療スケジュール
概要
監修医師

IDR:イダルビシン(イダマイシン®)

投与量コース投与日
12mg/m²1Day 1~3

DNR:ダウノルビシン(ダウノマイシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1Day 1~5

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
100mg/m²1Day 1~7

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬.
副腎皮質ホルモン薬は使用しないが、 制吐作用やアレルギー反応抑制などを目的として使用可.

その他

AraCは1日量を2~3回に分割し24時間持続点滴投与.
1コース目で寛解に到達しない場合、 2コース目も同じ治療を行う.
2コース目は原則的にDay28以降に開始する. ただし、 Day14以降で明らかに芽球増加が認められれば早期に開始してもよい.
レジメン
IDR+AraC / DNR+AraC
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

主な有害事象¹⁾ (IDR群 vs DNR群)

  • 発熱性好中球減少症 (78.2% vs 77.4%)

その他の有害事象¹⁾ (IDR群 vs DNR群)

  • 敗血症 (8.7% vs 4.9%)
  • 寛解導入療法後60日死亡 (4.7% vs 2.1%)
  • 出血 (3.6% vs 4.4%)
  • 急性心毒性 (1.9% vs 0.8%)
  • 遅発性心不全 (0.38% vs 0.38%)

特徴と注意点

副作用と対策

  • 腫瘍崩壊症候群の発症予防を行う.
  • ラスブリカーゼの使用を考慮.
  • 体液貯留傾向:毎日体重測定を行い、 体液管理を厳重に.
  • 中心静脈カテーテルを留置する. 
  • 高率に発熱性好中球減少症 (FN) を併発するため十分な感染症対策を講じる.
  • 抗菌薬や抗真菌薬の予防投与を考慮.
  • FN発症時には経験的抗菌薬投与を行う.
  • 陰部の清潔を保ち、 粘膜保護のため座薬は使用しない.
  • IDRはDNRに比較して、 口腔粘膜障害がより強く発現し、 骨髄抑制も遷延する可能姓がある.
  • AraCによる発熱や発疹の対策としてAraC投与前に副腎皮質ホルモン薬の静脈内投与を考慮する.
  • 角膜・結膜障害の対策として副腎皮質ホルモン薬を1日数回点眼する.
  • 重症感染症を発症した場合は、 骨髄中の白血病細胞が15%以下であればG-CSFを使用可. G-CSFは点滴静注とするが、 血小板が十分な場合は皮下投与可. 好中球が1,000/μl以上に増加し感染症が終焉したら、 半量に減量しつつ速やかに中止する.

関連する臨床試験の結果

JALSG AML201試験¹⁾

概要

  • 65歳未満の初発AMLの寛解導入療法におけるダウノルビシンとイダルビシン、 および地固め療法における大量シタラビン療法3コースと従来の多剤併用療法4コースを比較する無作為比較第3相試験.

結果

  • 完全寛解率:IDR群77.5% vs DNR群78.2%
  • 5年生存:IDR群48% vs DNR群48% (A)
  • 5年無病生存 : IDR群41% vs DNR群41% (B)

参考文献

  1. Blood . 2011 Feb 24;117(8):2358-65.
最終更新:2022年8月30日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
レジメン
IDR+AraC / DNR+AraC
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HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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IDR+AraC / DNR+AraC
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IDR+AraC / DNR+AraC

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イダルビシン+シタラビン / ダウノルビシン+シタラビン
2023年04月01日更新

IDR:イダルビシン(イダマイシン®)

投与量コース投与日
12mg/m²1Day 1~3

DNR:ダウノルビシン(ダウノマイシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1Day 1~5

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
100mg/m²1Day 1~7

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬.
副腎皮質ホルモン薬は使用しないが、 制吐作用やアレルギー反応抑制などを目的として使用可.

その他

AraCは1日量を2~3回に分割し24時間持続点滴投与.
1コース目で寛解に到達しない場合、 2コース目も同じ治療を行う.
2コース目は原則的にDay28以降に開始する. ただし、 Day14以降で明らかに芽球増加が認められれば早期に開始してもよい.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

主な有害事象¹⁾ (IDR群 vs DNR群)

  • 発熱性好中球減少症 (78.2% vs 77.4%)

その他の有害事象¹⁾ (IDR群 vs DNR群)

  • 敗血症 (8.7% vs 4.9%)
  • 寛解導入療法後60日死亡 (4.7% vs 2.1%)
  • 出血 (3.6% vs 4.4%)
  • 急性心毒性 (1.9% vs 0.8%)
  • 遅発性心不全 (0.38% vs 0.38%)

特徴と注意点

副作用と対策

  • 腫瘍崩壊症候群の発症予防を行う.
  • ラスブリカーゼの使用を考慮.
  • 体液貯留傾向:毎日体重測定を行い、 体液管理を厳重に.
  • 中心静脈カテーテルを留置する. 
  • 高率に発熱性好中球減少症 (FN) を併発するため十分な感染症対策を講じる.
  • 抗菌薬や抗真菌薬の予防投与を考慮.
  • FN発症時には経験的抗菌薬投与を行う.
  • 陰部の清潔を保ち、 粘膜保護のため座薬は使用しない.
  • IDRはDNRに比較して、 口腔粘膜障害がより強く発現し、 骨髄抑制も遷延する可能姓がある.
  • AraCによる発熱や発疹の対策としてAraC投与前に副腎皮質ホルモン薬の静脈内投与を考慮する.
  • 角膜・結膜障害の対策として副腎皮質ホルモン薬を1日数回点眼する.
  • 重症感染症を発症した場合は、 骨髄中の白血病細胞が15%以下であればG-CSFを使用可. G-CSFは点滴静注とするが、 血小板が十分な場合は皮下投与可. 好中球が1,000/μl以上に増加し感染症が終焉したら、 半量に減量しつつ速やかに中止する.

関連する臨床試験の結果

JALSG AML201試験¹⁾

概要

  • 65歳未満の初発AMLの寛解導入療法におけるダウノルビシンとイダルビシン、 および地固め療法における大量シタラビン療法3コースと従来の多剤併用療法4コースを比較する無作為比較第3相試験.

結果

  • 完全寛解率:IDR群77.5% vs DNR群78.2%
  • 5年生存:IDR群48% vs DNR群48% (A)
  • 5年無病生存 : IDR群41% vs DNR群41% (B)

参考文献

  1. Blood . 2011 Feb 24;117(8):2358-65.
最終更新:2022年8月30日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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