治療スケジュール
概要
監修医師

GEM:Gemcitabine(ジェムザール®)

投与量コース投与日
1000mg/m² 点滴1~Day1

CDDP:Cisplatin(ランダ®)

投与量コース投与日
25mg/m² 点滴1~Day1

S-1:Tegafur/Gimeracil/Oteracil(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 分2朝夕1~day1~7

その他

1コース14日間。
GEM+CDDP+S-1をGCS療法と呼ぶ。
レジメン
GCS (GEM + CDDP + S-1)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*日本イーライリリーの外部サイトへ遷移します
*日本化薬の外部サイトへ遷移します

用法用量

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用
電子添文の用法および用量
ゲムシタビン : 1回1000mg/m²を30分かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続し、 4週目は休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版)¹⁾より引用
シスプラチン³⁾ : 25mg/m²を60分かけて点滴静注し、 週1回投与を2週連続し、 3週目は休薬する。 これを1クールとして投与を繰り返す。
ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版)³⁾より引用
テガフール・ギメラシル・オテラシル⁵⁾ : 朝食後及び夕食後の1日2回、 7日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版)⁵⁾より引用

投与開始基準

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

進行性胆道がん (BTC) で20歳以上の患者

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

減量・休薬・中止基準

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

初回基準量と減量レベル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

主な有害事象

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 血小板減少 92.4% (9.2%)
  • 好中球減少 77.3% (39.5%)
  • AST増加 74.8% (15.1%)
  • ALT増加 68.9% (12.6%)
  • 貧血 20.2% (8.4%)
  • 発熱性好中球減少症 5.0% (5.0%)
  • 倦怠感 67.2% (5.0%)
  • 悪心 51.3% (1.7%)
  • 口内炎 27.7% (2.5%)
  • 下痢 24.4% (2.5%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 感覚ニューロパチー 3.4% (0.8%)
J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

特徴と注意点

本レジメンの2つの特徴

「胆道癌診療ガイドライン」⁸⁾で推奨されるレジメンの一つで、以下が特徴である。

  • 奏効率が高いこと
  • 2週に1回の点滴投与

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾で、 本レジメンのGC療法に対する優越性が証明された。

24週以降の治療に定まったものはない

有害事象としては下痢、 口内炎、 皮疹が多く発現することが報告されている¹⁾。 

また、 治療開始後24週までを規定の治療期間としており、 24週以降の治療は定まった見解がない。 

シスプラチンを終了としてゲムシタビン+S-1で継続する方法、 腎機能障害や末梢神経障害などのシスプラチンの累積投与に伴う有害事象が発現するまでシスプラチンも継続する方法なども考えられている。

術前治療の有効性は検証中

現在、 術前治療としての有効性を検証するための臨床試験 (JCOG1920試験 : jRCTs031200388) も行われている。

執筆 : 北海道大学病院 腫瘍センター 助教 川本 泰之先生

関連する臨床試験|KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾

化学療法未治療で切除不能な進行胆道癌患者において、 ゲムシタビンとシスプラチンとS-1の併用療法 (GCS療法) の効果を、 ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法 (GC療法) を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験KHBO1404- MITSUBAの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • GCS群 : 13.5ヵ月
(95%CI 12.6-18.8ヵ月)
  • GC群 : 12.6ヵ月
(95%CI 10.9-14.6ヵ月)
HR 0.791 (95%CI 0.628-0.996)、 p=0.046

OS率 (1年時)

  • GCS群 : 59.4%
(95%CI 50.1-67.4%)
  • GC群 : 53.7%
(95%CI 44.5-62.0%)

PFS中央値

  • GCS群 : 7.4ヵ月
(95%CI 6.2-8.9ヵ月)
  • GC群 : 5.5ヵ月
(95%CI 4.2-7.7ヵ月)
HR 0.748 (95%CI 0.577-0.970)、 p=0.015

ORR

  • GCS群 : 41.5%
  • GC群 : 15.0%
p<0.001

病勢コントロール率

  • GCS群 : 78.7%
  • GC群 : 62.0%
p=0.0066

出典

  1. 日本イーライリリー. ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/12]
  2. 日本イーライリリー. ジェムザール®適正使用ガイド (2021年10月作成) [最終閲覧 : 2024/04/12]
  3. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  4. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  5. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/9]
  6. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®適正使用ガイド (2023年10月27日 更新) [最終閲覧 : 2024/04/9]
  7. Randomized phase III study of gemcitabine, cisplatin plus S-1 versus gemcitabine, cisplatin for advanced biliary tract cancer (KHBO1401- MITSUBA). J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110. PMID: 35900311
  8. エビデンスに基づいた 胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版. 医学図書出版
最終更新日 : 2024年5月15日
執筆医 : 北海道大学病院 腫瘍センター 助教 川本 泰之先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
GCS (GEM + CDDP + S-1)
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
レジメン
GCS (GEM + CDDP + S-1)
レジメン
GCS (GEM + CDDP + S-1)

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ゲムシタビン + シスプラチン + テガフール・ギメラシル・オテラシル
2024年05月15日更新

GEM:Gemcitabine(ジェムザール®)

投与量コース投与日
1000mg/m² 点滴1~Day1

CDDP:Cisplatin(ランダ®)

投与量コース投与日
25mg/m² 点滴1~Day1

S-1:Tegafur/Gimeracil/Oteracil(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/日 経口 分2朝夕1~day1~7

その他

1コース14日間。
GEM+CDDP+S-1をGCS療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用
電子添文の用法および用量
ゲムシタビン : 1回1000mg/m²を30分かけて点滴静注し、 週1回投与を3週連続し、 4週目は休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版)¹⁾より引用
シスプラチン³⁾ : 25mg/m²を60分かけて点滴静注し、 週1回投与を2週連続し、 3週目は休薬する。 これを1クールとして投与を繰り返す。
ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版)³⁾より引用
テガフール・ギメラシル・オテラシル⁵⁾ : 朝食後及び夕食後の1日2回、 7日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1コースとして投与を繰り返す。
ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版)⁵⁾より引用

投与開始基準

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

進行性胆道がん (BTC) で20歳以上の患者

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

減量・休薬・中止基準

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾のプロトコル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

初回基準量と減量レベル

J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

主な有害事象

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 血小板減少 92.4% (9.2%)
  • 好中球減少 77.3% (39.5%)
  • AST増加 74.8% (15.1%)
  • ALT増加 68.9% (12.6%)
  • 貧血 20.2% (8.4%)
  • 発熱性好中球減少症 5.0% (5.0%)
  • 倦怠感 67.2% (5.0%)
  • 悪心 51.3% (1.7%)
  • 口内炎 27.7% (2.5%)
  • 下痢 24.4% (2.5%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 感覚ニューロパチー 3.4% (0.8%)
J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110⁷⁾より引用

特徴と注意点

本レジメンの2つの特徴

「胆道癌診療ガイドライン」⁸⁾で推奨されるレジメンの一つで、以下が特徴である。

  • 奏効率が高いこと
  • 2週に1回の点滴投与

KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾で、 本レジメンのGC療法に対する優越性が証明された。

24週以降の治療に定まったものはない

有害事象としては下痢、 口内炎、 皮疹が多く発現することが報告されている¹⁾。 

また、 治療開始後24週までを規定の治療期間としており、 24週以降の治療は定まった見解がない。 

シスプラチンを終了としてゲムシタビン+S-1で継続する方法、 腎機能障害や末梢神経障害などのシスプラチンの累積投与に伴う有害事象が発現するまでシスプラチンも継続する方法なども考えられている。

術前治療の有効性は検証中

現在、 術前治療としての有効性を検証するための臨床試験 (JCOG1920試験 : jRCTs031200388) も行われている。

執筆 : 北海道大学病院 腫瘍センター 助教 川本 泰之先生

関連する臨床試験|KHBO1401- MITSUBA試験⁷⁾

化学療法未治療で切除不能な進行胆道癌患者において、 ゲムシタビンとシスプラチンとS-1の併用療法 (GCS療法) の効果を、 ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法 (GC療法) を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験KHBO1404- MITSUBAの結果より、 全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • GCS群 : 13.5ヵ月
(95%CI 12.6-18.8ヵ月)
  • GC群 : 12.6ヵ月
(95%CI 10.9-14.6ヵ月)
HR 0.791 (95%CI 0.628-0.996)、 p=0.046

OS率 (1年時)

  • GCS群 : 59.4%
(95%CI 50.1-67.4%)
  • GC群 : 53.7%
(95%CI 44.5-62.0%)

PFS中央値

  • GCS群 : 7.4ヵ月
(95%CI 6.2-8.9ヵ月)
  • GC群 : 5.5ヵ月
(95%CI 4.2-7.7ヵ月)
HR 0.748 (95%CI 0.577-0.970)、 p=0.015

ORR

  • GCS群 : 41.5%
  • GC群 : 15.0%
p<0.001

病勢コントロール率

  • GCS群 : 78.7%
  • GC群 : 62.0%
p=0.0066

出典

  1. 日本イーライリリー. ジェムザール®電子添文 (2021年8月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/12]
  2. 日本イーライリリー. ジェムザール®適正使用ガイド (2021年10月作成) [最終閲覧 : 2024/04/12]
  3. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  4. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/03]
  5. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®電子添文 (2023年9月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/9]
  6. 大鵬薬品工業株式会社 . ティーエスワン®適正使用ガイド (2023年10月27日 更新) [最終閲覧 : 2024/04/9]
  7. Randomized phase III study of gemcitabine, cisplatin plus S-1 versus gemcitabine, cisplatin for advanced biliary tract cancer (KHBO1401- MITSUBA). J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2023;30(1):102-110. PMID: 35900311
  8. エビデンスに基づいた 胆道癌診療ガイドライン 改訂第3版. 医学図書出版
最終更新日 : 2024年5月15日
執筆医 : 北海道大学病院 腫瘍センター 助教 川本 泰之先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。