ゼローダ® (カペシタビン)
【1コース】21日間 (2週間内服、 1週間休薬)
【催吐性】軽度³⁾ (NCCN : 最小度~軽度⁴⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*

カペシタビン : 下表を参考に、 朝食後と夕食後30分以内に1日2回、 14日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す¹⁾⁶⁾。

2026年9月14日、 厚生労働省は、 カペシタビンを術後乳癌に使用する場合、 原則として診療報酬の審査上認める取扱いを示した⁶⁾。
ただし、 対象はトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) で、 術前化学療法後の手術時に浸潤がんが残存した症例における術後療法に限定される⁶⁾。 本剤の乳癌における国内承認適応は 「手術不能又は再発乳癌」 であり¹⁾、 本使用は承認適応外である。
N Engl J Med. 2017;376:2147-59.
術前化学療法後に浸潤がんが残存したHER2陰性乳癌患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験。 カペシタビン群455例、 対照群*455例を1 : 1に割り付け、 主要評価項目はDFSとした。 カペシタビンは当初6コース投与とし、 安全性確認後に8コース投与へ変更した⁵⁾。
【有効性】カペシタビン群 (vs 対照群)
- 5年DFS率 74.1% (vs 67.6%)
- 5年OS率 89.2% (vs 83.6%)
TNBC患者集団における結果 :
- 5年DFS率 69.8% (vs 56.1%)
- 5年OS率 78.8% (vs 70.3%)
事前規定の層別解析では、 ホルモン受容体陰性群でDFS、 OSともカペシタビンの有効性が示された。 一方、 ホルモン受容体陽性群では明確な有効性は示されなかった。
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 73.4% (11.1%)
- 白血球減少 63.2% (1.6%)
- 血小板減少 54.9% (0.7%)
- 好中球減少 43.6% (6.3%)
- 貧血 39.5% (0%)
- ALT増加 35.7% (0%)
- ビリルビン値増加 32.1% (0.5%)
- LDH増加 31.8% (0%)
- AST増加 28.7% (0.2%)
- ALP増加 25.5% (0%)
- 疲労 25.5% (1.1%)
- 悪心 22.1% (0%)
- 下痢 21.9% (2.9%)
- 口内炎 21.2% (0.2%)
- 食欲不振 17.2% (0.7%)
- 嘔吐 7.2% (0.2%)
- クレアチニン増加 5.4% (0%)
CREATE-X試験⁵⁾の主な適格基準
- 20歳–74歳
- ECOG PS 0–1
- 白血球数3,000~12,000/μLまたは好中球数≧1,500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 肝機能 : AST/ALT≦2.5×ULN、 ALP≦2.5×ULN、 T-Bil≦1.25×ULN
- 腎機能 : 血清Cre<1.5×ULN、 CrCl>50mL/min (Cockcroft-Gault式)
経口フッ化ピリミジン系薬剤の治療歴、 同時性または異時性の両側乳癌、 他の悪性腫瘍の合併・既往または重複癌を有する患者は除外した。 静注5-FUは許容した。 投与開始前には、 化学療法後4週間、 放射線療法または手術後2週間の回復期間を設けた。
以下の用量レベルは、 ゼローダ®適正使用ガイドのB法²⁾を参考に編集部が作成した。 適応外使用時は、 患者の状態および有害事象を踏まえ個別に判断すること。

重篤な腎障害 (CrCl<30mL/min) 患者への投与は禁忌である²⁾。 腎機能正常患者と比較して中等度腎機能障害 (CrCl 30–50mL/min) 患者でカペシタビンのAUCが約1.26倍に上昇する¹⁾ことから、 CrCl 30–50mL/minの患者では開始用量の75%に減量 (25%減量) が推奨される⁷⁾。

CREATE-X試験のプロトコル (参考情報) : CREATE-X試験⁵⁾では、 2コース目以降の開始にあたり、 以下の基準が設けられていた。
- WBC≧3,000/μL、 またはANC≧1,500/μL
- 血小板数≧7.5万/μL
- Hb≧8.0g/dL
- AST、 ALT≦2.5×ULN
- 血清Cr≦1.5×ULN
- T-Bil≦1.5×ULN
- 手足症候群≦Grade 1
- 下痢≦Grade 1
🧑⚕️術前化学療法後のnon-pCR症例に対するカペシタビンの有効性は、 CREATE-X試験によって示されており、 日本が世界に誇る重要なエビデンスです。 一方、 術後カペシタビンは適応外であり、 施設によっては使用が難しい状況でした。 このたび、 厚生労働省から 「原則として、『カペシタビン【内服薬】』を『術後乳癌』に対して使用した場合、 当該使用事例を審査上認める」 と示されたことにより、 日本においても、 TNBCの術前化学療法後に浸潤癌が残存した症例に対し、 エビデンスに基づく術後カペシタビンを使用することが可能になりました。
未変化体で吸収後、 主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5'-DFURとなり、 腫瘍組織に高発現するチミジンホスホリラーゼで活性体5-FUに変換され、 DNA合成阻害とRNA機能障害を介して抗腫瘍効果を示す¹⁾。
逐次投与時の休薬期間 : テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の投与中止後は少なくとも7日以上の間隔をあけて本剤を投与する。
定期的な臨床検査 : 投与中は定期的に (特に投与初期は頻回に) 血液検査、 肝機能・腎機能検査等を行い、 患者の状態を十分に観察する。
感染症・出血傾向 : 発現又は悪化に十分注意する。
1) チェプラファーム株式会社. ゼローダ®錠300 電子添文 (2026年2月改訂 第4版).
2) チェプラファーム株式会社. ゼローダ®錠300 適正使用ガイド.
3) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版.
4) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 2.2026.
5) N Engl J Med. 2017;376:2147-59.
6) 厚生労働省保険局医療課長.医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて.保医発0914第1号.令和8年9月14日.
7) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.
最終更新日 : 2026年10月5日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : がん研有明病院 乳腺センター 尾崎由記範
ゼローダ® (カペシタビン)
【1コース】21日間 (2週間内服、 1週間休薬)
【催吐性】軽度³⁾ (NCCN : 最小度~軽度⁴⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*

カペシタビン : 下表を参考に、 朝食後と夕食後30分以内に1日2回、 14日間連日経口投与し、 その後7日間休薬する。 これを1サイクルとして投与を繰り返す¹⁾⁶⁾。

2026年9月14日、 厚生労働省は、 カペシタビンを術後乳癌に使用する場合、 原則として診療報酬の審査上認める取扱いを示した⁶⁾。
ただし、 対象はトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) で、 術前化学療法後の手術時に浸潤がんが残存した症例における術後療法に限定される⁶⁾。 本剤の乳癌における国内承認適応は 「手術不能又は再発乳癌」 であり¹⁾、 本使用は承認適応外である。
N Engl J Med. 2017;376:2147-59.
術前化学療法後に浸潤がんが残存したHER2陰性乳癌患者を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験。 カペシタビン群455例、 対照群*455例を1 : 1に割り付け、 主要評価項目はDFSとした。 カペシタビンは当初6コース投与とし、 安全性確認後に8コース投与へ変更した⁵⁾。
【有効性】カペシタビン群 (vs 対照群)
- 5年DFS率 74.1% (vs 67.6%)
- 5年OS率 89.2% (vs 83.6%)
TNBC患者集団における結果 :
- 5年DFS率 69.8% (vs 56.1%)
- 5年OS率 78.8% (vs 70.3%)
事前規定の層別解析では、 ホルモン受容体陰性群でDFS、 OSともカペシタビンの有効性が示された。 一方、 ホルモン受容体陽性群では明確な有効性は示されなかった。
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 手掌・足底発赤知覚不全症候群 73.4% (11.1%)
- 白血球減少 63.2% (1.6%)
- 血小板減少 54.9% (0.7%)
- 好中球減少 43.6% (6.3%)
- 貧血 39.5% (0%)
- ALT増加 35.7% (0%)
- ビリルビン値増加 32.1% (0.5%)
- LDH増加 31.8% (0%)
- AST増加 28.7% (0.2%)
- ALP増加 25.5% (0%)
- 疲労 25.5% (1.1%)
- 悪心 22.1% (0%)
- 下痢 21.9% (2.9%)
- 口内炎 21.2% (0.2%)
- 食欲不振 17.2% (0.7%)
- 嘔吐 7.2% (0.2%)
- クレアチニン増加 5.4% (0%)
CREATE-X試験⁵⁾の主な適格基準
- 20歳–74歳
- ECOG PS 0–1
- 白血球数3,000~12,000/μLまたは好中球数≧1,500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 肝機能 : AST/ALT≦2.5×ULN、 ALP≦2.5×ULN、 T-Bil≦1.25×ULN
- 腎機能 : 血清Cre<1.5×ULN、 CrCl>50mL/min (Cockcroft-Gault式)
経口フッ化ピリミジン系薬剤の治療歴、 同時性または異時性の両側乳癌、 他の悪性腫瘍の合併・既往または重複癌を有する患者は除外した。 静注5-FUは許容した。 投与開始前には、 化学療法後4週間、 放射線療法または手術後2週間の回復期間を設けた。
以下の用量レベルは、 ゼローダ®適正使用ガイドのB法²⁾を参考に編集部が作成した。 適応外使用時は、 患者の状態および有害事象を踏まえ個別に判断すること。

重篤な腎障害 (CrCl<30mL/min) 患者への投与は禁忌である²⁾。 腎機能正常患者と比較して中等度腎機能障害 (CrCl 30–50mL/min) 患者でカペシタビンのAUCが約1.26倍に上昇する¹⁾ことから、 CrCl 30–50mL/minの患者では開始用量の75%に減量 (25%減量) が推奨される⁷⁾。

CREATE-X試験のプロトコル (参考情報) : CREATE-X試験⁵⁾では、 2コース目以降の開始にあたり、 以下の基準が設けられていた。
- WBC≧3,000/μL、 またはANC≧1,500/μL
- 血小板数≧7.5万/μL
- Hb≧8.0g/dL
- AST、 ALT≦2.5×ULN
- 血清Cr≦1.5×ULN
- T-Bil≦1.5×ULN
- 手足症候群≦Grade 1
- 下痢≦Grade 1
🧑⚕️術前化学療法後のnon-pCR症例に対するカペシタビンの有効性は、 CREATE-X試験によって示されており、 日本が世界に誇る重要なエビデンスです。 一方、 術後カペシタビンは適応外であり、 施設によっては使用が難しい状況でした。 このたび、 厚生労働省から 「原則として、『カペシタビン【内服薬】』を『術後乳癌』に対して使用した場合、 当該使用事例を審査上認める」 と示されたことにより、 日本においても、 TNBCの術前化学療法後に浸潤癌が残存した症例に対し、 エビデンスに基づく術後カペシタビンを使用することが可能になりました。
未変化体で吸収後、 主として肝臓や腫瘍組織に存在するシチジンデアミナーゼにより5'-DFURとなり、 腫瘍組織に高発現するチミジンホスホリラーゼで活性体5-FUに変換され、 DNA合成阻害とRNA機能障害を介して抗腫瘍効果を示す¹⁾。
逐次投与時の休薬期間 : テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の投与中止後は少なくとも7日以上の間隔をあけて本剤を投与する。
定期的な臨床検査 : 投与中は定期的に (特に投与初期は頻回に) 血液検査、 肝機能・腎機能検査等を行い、 患者の状態を十分に観察する。
感染症・出血傾向 : 発現又は悪化に十分注意する。
1) チェプラファーム株式会社. ゼローダ®錠300 電子添文 (2026年2月改訂 第4版).
2) チェプラファーム株式会社. ゼローダ®錠300 適正使用ガイド.
3) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版.
4) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 2.2026.
5) N Engl J Med. 2017;376:2147-59.
6) 厚生労働省保険局医療課長.医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて.保医発0914第1号.令和8年9月14日.
7) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.
最終更新日 : 2026年10月5日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
監修医師 : がん研有明病院 乳腺センター 尾崎由記範
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。