本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
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主な有害事象
PCI-32765MCL2002試験¹⁾、 PCYC-1104-CA試験²⁾、 PCI-32765MCL3001試験³⁾より引用
骨髄抑制
- 貧血 (≧Grade3 6.3%¹⁾、 ≧Grade3 9.9%²⁾、 ≧Grade3 7.9%³⁾)
- 好中球減少症 (≧Grade3 6.3%¹⁾、 ≧Grade3 16.2%²⁾、 ≧Grade3 12.9%³⁾)
- 血小板減少症 (≧Grade3 0.0%¹⁾、 ≧Grade3 10.8%²⁾、 ≧Grade3 9.4%³⁾)
主な有害事象
- 出血 (31.3%、 ≧Grade3 0.0%¹⁾、 48.6%、 ≧Grade3 4.5%²⁾、 39.6%、 ≧Grade3 7.9%³⁾)
- 感染症 (62.5%、 ≧Grade3 6.3%¹⁾、 77.5%、 ≧Grade3 25.2%²⁾、 69.8%、 ≧Grade3 19.4%³⁾)
- 眼障害 (18.8%、 ≧Grade3 6.3%¹⁾、 23.4%、 ≧Grade3 0.0%²⁾、 21.6%、 ≧Grade3 1.4%³⁾)
その他重要な有害事象
- 不整脈 (12.5%、 ≧Grade3 6.3%¹⁾、 18.0%、 ≧Grade3 8.1%²⁾、 9.4%、 ≧Grade3 5.8%³⁾)
- 間質性肺疾患 (1.8%、 ≧Grade3 0.0%²⁾、 1.4%、 ≧Grade3 0.0%³⁾)
- 二次性悪性腫瘍 (4.5%、 ≧Grade3 1.8%²⁾、 2.9%、 ≧Grade3 3.6%³⁾)
特徴と注意点
適応
- イブルチニブは 初発及び再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫 (MCL) 以外に、 原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫 (WM/LPL)、 慢性リンパ性白血病又は小リンパ球性リンパ腫 (CLL/SLL)、 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病 (cGVHD) (ステロイドで効果不十分な場合) に保険適用.
- MCLには560mgを1日1回、 WM/LPL、 CLL/SLL、 cGVHDには420mgを1日1回内服.
特徴
- 出血性事象の発現に注意.「出血の高リスク因子 (下記)」を有する場合、 PT-INR、 APTT、 血小板凝集能、 第Ⅷ凝固因子、 von Willebrand因子活性を確認の上慎重に投与.
- CYP3Aで代謝されるためCYP3A阻害作用のない薬剤への変更や140mgへの減量を考慮.
- イブルチニブ投与中に腫瘍性リンパ球数の増加が高頻度で認められる (一過性のリンパ球増加は病勢進行の徴候ではない).
出血の高リスク因子
- 抗凝固薬や抗血小板薬の併用
- 周術期患者
- 年齢65歳以上
- 脂質異常症の既往
- 精神神経疾患の既往
- 大きな事故やけがの既往
- リンパ球数の増加 (10万/µL以上)
- 血小板数の減少 (10万/µL以下)
- 出血の既往
- 軽度の肝機能障害
- CYP3A阻害薬の併用
関連する臨床試験の結果
Ibrutininb:IBR Overall response rate:ORR Duration of response:DOR Time to complete response:TOR Progression free survival:PFS Bortezomib:BOR Complete response:CR Partial response:PR odds ratio:OR
概要
- 対象:再発又は難治性のMCL患者16例.
- 非ランダム化多施設共同非盲検国内第II相試験.
結果
- ORR:87.5% (14例/16例) (95%CI 65.6-97.7%).
- DOR中央値:打ち切りにより評価困難.
- TOR中央値:1.84ヵ月 (range 0.7-5.3ヵ月).
- 6ヵ月PFS:88% (range 59-97%). ※PFS中央値は打ち切りにより評価困難.
概要
- 対象:再発又は難治性のMCL患者111例 (BOR未治療63例、 BOR既治療48例).
- 非ランダム化多施設共同非盲検海外臨床第II相試験.
- 追跡期間中央値:15.3ヵ月.
結果
- ORR:68% (75/111例) (95%CI 58.9-76.3%)、 CR率:21% (23/111例)、 PR率:47% (52/111例).
- DOR中央値:17.5ヵ月 (95%CI 15.8ヵ月-未到達).
- PFS中央値:13.9ヵ月 (95%CI 7.0ヵ月-未到達).
- OS中央値:未到達.
概要
- 対象:再発又は難治性のMCL患者280例 (IBR群139例、 Temsirolimus群141例).
- ランダム化多施設共同非盲検海外第III相試験.
- 追跡期間中央値:20.0ヵ月.
結果
- ORR:IBR群 72% vs Temsirolimus群 40% (95%CI 20.5-42.5、 p<0.0001).
- CR率:IBR群 19% vs Temsirolimus群 1% (OR 3.98、 95%CI 2.38-6.65).
- PFS中央値:IBR群 14.6ヵ月 vs Temsirolimus群 6.2ヵ月 (HR 0.43、 95%CI 0.32-0.58、 p<0.0001).
- OS中央値:IBR群 未到達 vs Temsirolimus群 21.3ヵ月 (HR 0.76、 95%CI 0.53-1.09、 p=0.1324).
参考文献
- Cancer Sci. 2016 Dec;107(12):1785-1790.
- N Engl J Med. 2013 Aug 8;369(6):507-16.
- Lancet. 2016 Feb 20;387(10020):770-8.
最終更新:2023年5月5日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔