エンハーツ® (トラスツズマブ デルクステカン : T-DXd)
パージェタ® (ペルツズマブ : Per)
【1コース】21日間
【催吐性】T-DXd : 中等度⁵⁾ (NCCN : 高度⁶⁾)、 Per : 最小度⁵⁾ (NCCN : 最小度⁶⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*

T-DXd : 1回5.4mg/kg を3週間ごとに90分かけて点滴静注。 初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降は30分間まで短縮可¹⁾。
投与開始前に胸部CT検査と問診を行い、 間質性肺疾患の合併または既往がないことを確認したうえで、 投与可否を慎重に判断する。
Per : 初回は840mgを、 2回目以降は420mgを60分かけて3週間ごとに点滴静注。 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は30分間まで短縮可³⁾。
N Engl J Med. 2026;394(6):551-62.
HER2陽性の進行・転移性乳癌で、 転移性疾患に対する化学療法またはHER2標的療法歴のない患者を対象とした国際共同第Ⅲ相無作為化比較試験。 1,157例を①T-DXd+Per群383例、 ②T-DXd+プラセボ群387例、 ③THP群 (タキサン+トラスツズマブ+Per) 387例に1 : 1 : 1で無作為に割り付け、 主要評価項目はPFSとされた。
【有効性】T-DXd+Per群 (vs THP群)
- PFS中央値 40.7ヵ月 (vs 26.9ヵ月)
- 確定奏効率* 85.1% (vs 78.6%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 悪心 71.1% (5.0%)
- 下痢 55.9% (6.8%)
- 好中球減少 48.8% (23.9%)
- 疲労 48.3% (7.9%)
- 脱毛症 46.2% (0%)
- 嘔吐 42.0% (2.4%)
- トランスアミナーゼ増加 36.0% (4.5%)
- 貧血 35.4% (8.4%)
- 白血球減少 29.4% (4.5%)
- 食欲減退 28.6% (2.4%)
- 体重減少 23.9% (2.6%)
- 血小板減少 23.4% (6.3%)
- 便秘 22.3% (0.3%)
- 低カリウム血症 21.5% (10.2%)
- 末梢性感覚ニューロパチー 11.3% (0%)
DESTINY-Breast09試験⁷⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1,500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 肝機能 : ALT/AST≦3×ULN、 T-Bil≦1.5×ULN
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- LVEF≧50%
T-DXdの減量規定は以下のとおり。 Perに減量規定はないが、 前回投与から6週間以上空いた場合は840 mgで再開する³⁾。

T-DXd : 軽度腎機能障害 (CrCl 60~90mL/min) または中等度腎機能障害 (CrCl 30~60mL/min) では、 用量調節は不要。 中等度腎機能障害ではGrade 1・2のILD/肺臓炎の発現頻度が高いため、 注意深く観察する。 重度腎機能障害 (CrCl<30mL/min) における推奨用量は確立していない⁸⁾。
Per : 軽度 (CrCl 60~90mL/min) または中等度 (CrCl 30~60mL/min) の腎機能障害患者では、 Perの用量調節は不要。 重度腎機能障害患者 (CrCl<30mL/min) では、 薬物動態データが限られるため、 用量調節に関する推奨は確立していない⁹⁾。
T-DXd :

DESTINY-Breast09試験の最終プロトコル (参考情報) : T-DXdの毒性管理基準として、 リンパ球数減少、 眼障害、 クレアチニン増加、 肝障害等についても、 休薬、 再開、 減量または中止の個別基準が設定されていた。

🧑⚕️エンハーツ®+パージェタ®の有効性は、 DESTINY-Breast09試験において確認され、 このたび標準治療として承認されました。 PFS中央値は40.7ヵ月であり、 THP群の26.9ヵ月と比較して、 HR 0.56で有意差が示されました。 ILDの発症頻度はAny Gradeで12.1% (Grade 5は0.5%) と報告されており、 T-DXd単剤の既報と比較して増加はありません。 また、 奏効率は85.1%、 CR率は15.1%と高く、 PD率が3.4%と低いことも特徴的です。 HER2陽性MBCの新たなgold standardとなります。
また、 ベースラインで脳転移を有する症例のサブグループ解析が、 10月23日から開催されるESMO 2026で発表予定であり、 注目されます。
T-DXd : HER2に対するヒト化モノクローナル抗体とカンプトテシン誘導体 (トポイソメラーゼI阻害薬) をリンカーで結合した抗体薬物複合体で、 HER2に結合・細胞内取り込み後に遊離した薬物がDNA傷害・アポトーシス誘導を介して腫瘍増殖を抑制する¹⁾。
Per : HER2細胞外領域ドメインⅡに結合してHER2/HER3のダイマー形成を阻害し、 HER2のリン酸化とPI3K-Akt・MAPK経路の活性化を抑えて細胞増殖を抑制するほか、 ADCC活性も示す³⁾。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は臨床症状 (呼吸状態、 咳、 発熱等) を十分に観察し、 定期的にSpO₂・胸部X線・胸部CT検査を行う。 必要に応じて血清マーカー (KL-6等)、 PaO₂、 A-aDO₂、 DLco等も実施する。 胸部CT等の読影は呼吸器疾患の診断に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状発現時に速やかに受診するよう指導する。
左室駆出率 (LVEF) 低下 : 投与開始前に心機能を確認する。 投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察して休薬・投与再開・中止を判断する。
骨髄抑制 : 投与開始前および投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
左室機能不全 : 投与開始前に心機能を確認する。 投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察して休薬・投与再開・中止を判断する。
好中球減少症・白血球減少症 : 投与開始前および投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
腫瘍崩壊症候群 : 血清中電解質濃度および腎機能検査を行うなど、 患者の状態を十分に観察する。
- 間質性肺疾患
- 骨髄抑制
- Infusion reaction
1) 第一三共株式会社. エンハーツ® 点滴静注用100mg 電子添文 (2026年9月改訂 第14版).
2) 第一三共株式会社. エンハーツ® 適正使用ガイド. 2026年9月作成.
3) 中外製薬株式会社. パージェタ®点滴静注420mg/14mL 電子添文 (2026年9月改訂 第5版).
4) 中外製薬株式会社. パージェタ®適正使用ガイド. 2024年12月改訂
5) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版.
6) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 2.2026.
7) N Engl J Med. 2026;394(6):551-62.
8) Daiichi Sankyo, Inc. ENHERTU® (fam-trastuzumab deruxtecan-nxki) for injection, for intravenous use : Prescribing Information. Revised May 2026.
9) Genentech, Inc. PERJETA® (pertuzumab) Injection, for intravenous use : Prescribing Information. Revised April 2026.
10) 第一三共株式会社. エンハーツ® 点滴静注用100mg に係る医薬品リスク管理計画書.
最終更新日 : 2026年10月5日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範
エンハーツ® (トラスツズマブ デルクステカン : T-DXd)
パージェタ® (ペルツズマブ : Per)
【1コース】21日間
【催吐性】T-DXd : 中等度⁵⁾ (NCCN : 高度⁶⁾)、 Per : 最小度⁵⁾ (NCCN : 最小度⁶⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*

T-DXd : 1回5.4mg/kg を3週間ごとに90分かけて点滴静注。 初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降は30分間まで短縮可¹⁾。
投与開始前に胸部CT検査と問診を行い、 間質性肺疾患の合併または既往がないことを確認したうえで、 投与可否を慎重に判断する。
Per : 初回は840mgを、 2回目以降は420mgを60分かけて3週間ごとに点滴静注。 初回投与の忍容性が良好であれば、 2回目以降は30分間まで短縮可³⁾。
N Engl J Med. 2026;394(6):551-62.
HER2陽性の進行・転移性乳癌で、 転移性疾患に対する化学療法またはHER2標的療法歴のない患者を対象とした国際共同第Ⅲ相無作為化比較試験。 1,157例を①T-DXd+Per群383例、 ②T-DXd+プラセボ群387例、 ③THP群 (タキサン+トラスツズマブ+Per) 387例に1 : 1 : 1で無作為に割り付け、 主要評価項目はPFSとされた。
【有効性】T-DXd+Per群 (vs THP群)
- PFS中央値 40.7ヵ月 (vs 26.9ヵ月)
- 確定奏効率* 85.1% (vs 78.6%)
【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)
- 悪心 71.1% (5.0%)
- 下痢 55.9% (6.8%)
- 好中球減少 48.8% (23.9%)
- 疲労 48.3% (7.9%)
- 脱毛症 46.2% (0%)
- 嘔吐 42.0% (2.4%)
- トランスアミナーゼ増加 36.0% (4.5%)
- 貧血 35.4% (8.4%)
- 白血球減少 29.4% (4.5%)
- 食欲減退 28.6% (2.4%)
- 体重減少 23.9% (2.6%)
- 血小板減少 23.4% (6.3%)
- 便秘 22.3% (0.3%)
- 低カリウム血症 21.5% (10.2%)
- 末梢性感覚ニューロパチー 11.3% (0%)
DESTINY-Breast09試験⁷⁾の主な適格基準
- 18歳以上
- ECOG PS 0–1
- 好中球数≧1,500/μL
- 血小板数≧10万/μL
- Hb≧9.0g/dL
- 肝機能 : ALT/AST≦3×ULN、 T-Bil≦1.5×ULN
- 腎機能 : CrCl≧30mL/min
- LVEF≧50%
T-DXdの減量規定は以下のとおり。 Perに減量規定はないが、 前回投与から6週間以上空いた場合は840 mgで再開する³⁾。

T-DXd : 軽度腎機能障害 (CrCl 60~90mL/min) または中等度腎機能障害 (CrCl 30~60mL/min) では、 用量調節は不要。 中等度腎機能障害ではGrade 1・2のILD/肺臓炎の発現頻度が高いため、 注意深く観察する。 重度腎機能障害 (CrCl<30mL/min) における推奨用量は確立していない⁸⁾。
Per : 軽度 (CrCl 60~90mL/min) または中等度 (CrCl 30~60mL/min) の腎機能障害患者では、 Perの用量調節は不要。 重度腎機能障害患者 (CrCl<30mL/min) では、 薬物動態データが限られるため、 用量調節に関する推奨は確立していない⁹⁾。
T-DXd :

DESTINY-Breast09試験の最終プロトコル (参考情報) : T-DXdの毒性管理基準として、 リンパ球数減少、 眼障害、 クレアチニン増加、 肝障害等についても、 休薬、 再開、 減量または中止の個別基準が設定されていた。

🧑⚕️エンハーツ®+パージェタ®の有効性は、 DESTINY-Breast09試験において確認され、 このたび標準治療として承認されました。 PFS中央値は40.7ヵ月であり、 THP群の26.9ヵ月と比較して、 HR 0.56で有意差が示されました。 ILDの発症頻度はAny Gradeで12.1% (Grade 5は0.5%) と報告されており、 T-DXd単剤の既報と比較して増加はありません。 また、 奏効率は85.1%、 CR率は15.1%と高く、 PD率が3.4%と低いことも特徴的です。 HER2陽性MBCの新たなgold standardとなります。
また、 ベースラインで脳転移を有する症例のサブグループ解析が、 10月23日から開催されるESMO 2026で発表予定であり、 注目されます。
T-DXd : HER2に対するヒト化モノクローナル抗体とカンプトテシン誘導体 (トポイソメラーゼI阻害薬) をリンカーで結合した抗体薬物複合体で、 HER2に結合・細胞内取り込み後に遊離した薬物がDNA傷害・アポトーシス誘導を介して腫瘍増殖を抑制する¹⁾。
Per : HER2細胞外領域ドメインⅡに結合してHER2/HER3のダイマー形成を阻害し、 HER2のリン酸化とPI3K-Akt・MAPK経路の活性化を抑えて細胞増殖を抑制するほか、 ADCC活性も示す³⁾。
間質性肺疾患 : 投与開始前および投与中は臨床症状 (呼吸状態、 咳、 発熱等) を十分に観察し、 定期的にSpO₂・胸部X線・胸部CT検査を行う。 必要に応じて血清マーカー (KL-6等)、 PaO₂、 A-aDO₂、 DLco等も実施する。 胸部CT等の読影は呼吸器疾患の診断に精通した医師の助言を得る。 患者には初期症状発現時に速やかに受診するよう指導する。
左室駆出率 (LVEF) 低下 : 投与開始前に心機能を確認する。 投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察して休薬・投与再開・中止を判断する。
骨髄抑制 : 投与開始前および投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
左室機能不全 : 投与開始前に心機能を確認する。 投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて心機能検査 (心エコー等) を行い、 LVEFの変動を含め患者の状態を十分に観察して休薬・投与再開・中止を判断する。
好中球減少症・白血球減少症 : 投与開始前および投与中は定期的に血液検査を行い、 患者の状態を十分に観察する。
腫瘍崩壊症候群 : 血清中電解質濃度および腎機能検査を行うなど、 患者の状態を十分に観察する。
- 間質性肺疾患
- 骨髄抑制
- Infusion reaction
1) 第一三共株式会社. エンハーツ® 点滴静注用100mg 電子添文 (2026年9月改訂 第14版).
2) 第一三共株式会社. エンハーツ® 適正使用ガイド. 2026年9月作成.
3) 中外製薬株式会社. パージェタ®点滴静注420mg/14mL 電子添文 (2026年9月改訂 第5版).
4) 中外製薬株式会社. パージェタ®適正使用ガイド. 2024年12月改訂
5) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版.
6) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 2.2026.
7) N Engl J Med. 2026;394(6):551-62.
8) Daiichi Sankyo, Inc. ENHERTU® (fam-trastuzumab deruxtecan-nxki) for injection, for intravenous use : Prescribing Information. Revised May 2026.
9) Genentech, Inc. PERJETA® (pertuzumab) Injection, for intravenous use : Prescribing Information. Revised April 2026.
10) 第一三共株式会社. エンハーツ® 点滴静注用100mg に係る医薬品リスク管理計画書.
最終更新日 : 2026年10月5日
執筆 : HOKUTO編集部がん専門・指導薬剤師
監修 : がん研有明病院 乳腺内科 尾崎由記範
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。