治療スケジュール
概要
監修医師

アキシチニブ :アキシチニブ (インライタ®)

投与量コース投与日
10mg/日 経口1日2回1~連日投与
レジメン
Axitinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

インライタ® (添付文書/適正使用情報*)

*ファイザー株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量 (連日投与)

10mg/日で2週間連続投与し、 忍容性が認められる場合、14mg/日に増量可。 更に連続2週間投与して忍容性が認められる場合、 20mg/日に増量可。

副作用がみられ減量して継続する場合、 症状や重症度等に応じて、 6mg/日、 又は4mg/日に減量。

投与開始基準

休薬・増量及び減量基準

初回基準量と増量及び減量レベル

  • 忍容性が認められる場合、 1段階増量。 
  • 連続2週間投与して忍容性が認められる場合、 2段階増量。

主な有害事象

AXIS試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 35.3% (0.3%)
  • リンパ球減少 33.4% (3.2%)
  • 血小板減少症 15.4% (0.3%)
  • ヘモグロビン上昇 9.7% (0%)
  • 好中球減少 6.0% (0.6%)
  • 下痢 54.9% (10.6%)
  • 倦怠感 39.0% (11.4%)
  • 食欲減退 34.3% (5.0%)
  • 吐き気 32.3% (2.5%)
  • 嘔吐 23.7% (3.3%)
  • 便秘 20.3% (1.1%)
  • 粘膜炎症 15.3% (1.4%)
  • 注意すべき有害事象
  • 高血圧 40.4% (15.6%)
  • 手掌・足底発. 赤知覚不全症候群 27.3% (5.0%)
  • 甲状腺機能低下症 19.2% (0.3%)
  • 脱毛症 3.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

1日20mgまで増量可

1剤の血管新生阻害薬治療後において、 ソラフェニブとの比較でPFSの改善を示した。 1日2回5mg内服 (1日10mg) から開始し、 高血圧や蛋白尿などの有害事象の出現がなければ漸増し最大1日2回10mg (1日20mg) 内服まで増量することが可能なレジメンである。

特徴と注意点

休薬が短期間になる場合も

血中濃度半減期が短いため、 自覚する非血液毒性の有害事象コントロールで休薬する場合は1-2日で十分なことも多い。

関連する臨床試験|AXIS試験¹⁾

進行腎細胞癌患者の2次治療において、 アキシチニブの効果を、 ソラフェニブを対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験AXISの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有益性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値

全患者

  • アキシチニブ群:8.3ヵ月
(95%CI 6.7-9.2ヵ月)
  • ソラフェニブ群:5.7ヵ月
(95%CI 4.7-6.5ヵ月)
HR 0.656 (95%CI 0.552-0.779)、p<0.0001

サイトカイン製剤治療歴がある患者

  • アキシチニブ群:12.2ヵ月
(95%CI 10.2-15.5ヵ月)
  • ソラフェニブ群:8.2ヵ月
(95%CI 6.6-9.5ヵ月)
HR 0.505 (95%CI 0.373-0.684)、p<0.0001

スニチニブ治療歴のある患者

  • アキシチニブ群:6.5ヵ月
(95%CI 5.7-7.9ヵ月)
  • ソラフェニブ群:4.4ヵ月
(95%CI 2.9-4.7ヵ月)
HR 0.719 (95%CI 0.572-0.903)、p=0.0022

ベバシズマブ+インターフェロンα治療歴のある患者と、 テムシロリムス治療歴がある患者では、 両群のPFSに差は認められなかった。

PFSのサブグループ解析

年齢、 性別、 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (MSKCC) のリスク分類、 および地域に基づくサブグループ解析では、 アキシチニブの一貫した優位性が示された。

ORR

  • アキシチニブ群:23%
  • ソラフェニブ群:12%
p=0.0001

奏効期間 中央値

  • アキシチニブ群:11ヵ月
(95%CI 7.4ヵ月-推定不能)
  • ソラフェニブ群:10.6 ヵ月
(95%CI 8.8-11.5ヵ月)

OS中央値

  • アキシチニブ群:20.1ヵ月
(95%CI 16.7-23.4ヵ月)
  • ソラフェニブ群:19.2ヵ月
(95%CI 17.5-22.3ヵ月)
HR 0.969 (95%CI 0.800-1.174)、p=0.3744

症状悪化までの期間

FKSI15項目で評価

  • アキシチニブ群:3.1ヵ月
(95%CI 2.8-4.5ヵ月)
  • ソラフェニブ群:2.8ヵ月
(95%CI 2.7-3.0ヵ月)
HR 0.829 (95%CI 0.701-0.981)、p=0.014

FKSI-DRSで評価

  • アキシチニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 2.8-4.6ヵ月)
  • ソラフェニブ群:2.9ヵ月
(95%CI 2.8-3.5ヵ月)
HR 0.838 (95%CI 0.707-0.993)、p=0.0203

参考文献

  1. Comparative effectiveness of axitinib versus sorafenib in advanced renal cell carcinoma (AXIS): a randomised phase 3 trial. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1931-9. PMID: 22056247
最終更新日:2023年10月10日
監修医師:国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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アキシチニブ (インライタ®)
2023年11月30日更新

アキシチニブ :アキシチニブ (インライタ®)

投与量コース投与日
10mg/日 経口1日2回1~連日投与

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

インライタ® (添付文書/適正使用情報*)

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用法用量 (連日投与)

10mg/日で2週間連続投与し、 忍容性が認められる場合、14mg/日に増量可。 更に連続2週間投与して忍容性が認められる場合、 20mg/日に増量可。

副作用がみられ減量して継続する場合、 症状や重症度等に応じて、 6mg/日、 又は4mg/日に減量。

投与開始基準

休薬・増量及び減量基準

初回基準量と増量及び減量レベル

  • 忍容性が認められる場合、 1段階増量。 
  • 連続2週間投与して忍容性が認められる場合、 2段階増量。

主な有害事象

AXIS試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 35.3% (0.3%)
  • リンパ球減少 33.4% (3.2%)
  • 血小板減少症 15.4% (0.3%)
  • ヘモグロビン上昇 9.7% (0%)
  • 好中球減少 6.0% (0.6%)
  • 下痢 54.9% (10.6%)
  • 倦怠感 39.0% (11.4%)
  • 食欲減退 34.3% (5.0%)
  • 吐き気 32.3% (2.5%)
  • 嘔吐 23.7% (3.3%)
  • 便秘 20.3% (1.1%)
  • 粘膜炎症 15.3% (1.4%)
  • 注意すべき有害事象
  • 高血圧 40.4% (15.6%)
  • 手掌・足底発. 赤知覚不全症候群 27.3% (5.0%)
  • 甲状腺機能低下症 19.2% (0.3%)
  • 脱毛症 3.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

1日20mgまで増量可

1剤の血管新生阻害薬治療後において、 ソラフェニブとの比較でPFSの改善を示した。 1日2回5mg内服 (1日10mg) から開始し、 高血圧や蛋白尿などの有害事象の出現がなければ漸増し最大1日2回10mg (1日20mg) 内服まで増量することが可能なレジメンである。

特徴と注意点

休薬が短期間になる場合も

血中濃度半減期が短いため、 自覚する非血液毒性の有害事象コントロールで休薬する場合は1-2日で十分なことも多い。

関連する臨床試験|AXIS試験¹⁾

進行腎細胞癌患者の2次治療において、 アキシチニブの効果を、 ソラフェニブを対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験AXISの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有益性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値

全患者

  • アキシチニブ群:8.3ヵ月
(95%CI 6.7-9.2ヵ月)
  • ソラフェニブ群:5.7ヵ月
(95%CI 4.7-6.5ヵ月)
HR 0.656 (95%CI 0.552-0.779)、p<0.0001

サイトカイン製剤治療歴がある患者

  • アキシチニブ群:12.2ヵ月
(95%CI 10.2-15.5ヵ月)
  • ソラフェニブ群:8.2ヵ月
(95%CI 6.6-9.5ヵ月)
HR 0.505 (95%CI 0.373-0.684)、p<0.0001

スニチニブ治療歴のある患者

  • アキシチニブ群:6.5ヵ月
(95%CI 5.7-7.9ヵ月)
  • ソラフェニブ群:4.4ヵ月
(95%CI 2.9-4.7ヵ月)
HR 0.719 (95%CI 0.572-0.903)、p=0.0022

ベバシズマブ+インターフェロンα治療歴のある患者と、 テムシロリムス治療歴がある患者では、 両群のPFSに差は認められなかった。

PFSのサブグループ解析

年齢、 性別、 Memorial Sloan-Kettering Cancer Center (MSKCC) のリスク分類、 および地域に基づくサブグループ解析では、 アキシチニブの一貫した優位性が示された。

ORR

  • アキシチニブ群:23%
  • ソラフェニブ群:12%
p=0.0001

奏効期間 中央値

  • アキシチニブ群:11ヵ月
(95%CI 7.4ヵ月-推定不能)
  • ソラフェニブ群:10.6 ヵ月
(95%CI 8.8-11.5ヵ月)

OS中央値

  • アキシチニブ群:20.1ヵ月
(95%CI 16.7-23.4ヵ月)
  • ソラフェニブ群:19.2ヵ月
(95%CI 17.5-22.3ヵ月)
HR 0.969 (95%CI 0.800-1.174)、p=0.3744

症状悪化までの期間

FKSI15項目で評価

  • アキシチニブ群:3.1ヵ月
(95%CI 2.8-4.5ヵ月)
  • ソラフェニブ群:2.8ヵ月
(95%CI 2.7-3.0ヵ月)
HR 0.829 (95%CI 0.701-0.981)、p=0.014

FKSI-DRSで評価

  • アキシチニブ群:3.7ヵ月
(95%CI 2.8-4.6ヵ月)
  • ソラフェニブ群:2.9ヵ月
(95%CI 2.8-3.5ヵ月)
HR 0.838 (95%CI 0.707-0.993)、p=0.0203

参考文献

  1. Comparative effectiveness of axitinib versus sorafenib in advanced renal cell carcinoma (AXIS): a randomised phase 3 trial. Lancet. 2011 Dec 3;378(9807):1931-9. PMID: 22056247
最終更新日:2023年10月10日
監修医師:国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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