治療スケジュール
概要
監修医師

Ibrutinib:イブルチニブ(イムブルビカ®)

投与量コース投与日
420mg/回 1日1回 経口-Day 1~

Rituximab:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²-Day 1、8、15、22、113、120、127、134 (1-4、16-19週目の第1日目)

前投薬

リツキシマブ投与前に解熱鎮痛薬と抗ヒスタミン薬.

その他

イブルチニブは420mgを連日内服.
イブルチニブは病勢増悪又は耐容不能な有害事象発現まで継続.
リツキシマブは1~4週及び16~19週の第1日目に点滴静注.
レジメン
Ibrutinib+Rituximab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

iNNOVATE試験¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (19%、 ≧Grade3 11%).
  • 好中球減少症 (≧Grade3 9%).

主な有害事象

  • 輸注関連反応 (43%、 ≧Grade3 1%).
  • 下痢 (28%).
  • 関節痛 (24%).
  • 悪心 (21%).
  • 無力症 (16%).
  • 疲労 (13%).
  • 頭痛 (13%).
  • IgMフレア (8%).

その他重要な有害事象

  • 高血圧 (≧Grade3 13%).
  • 心房細動 (≧Grade3 12%).
  • 肺炎 (≧Grade3 9%).
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 5%).

特徴と注意点

適応

  • イブルチニブ+リツキシマブは未治療又は再発難治性の原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫 (WM/LPL) に保険適用.
  • リツキシマブを併用できない場合 (入院拒否やIgMフレアのリスク) はイブルチニブ単剤投与も検討.
  • イブルチニブは420mgを1日1回内服.
  • リツキシマブは375mg/m²を1~4週及び17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.

特徴

  • 出血性事象の発現に注意. 「出血の高リスク因子 (下記)」を有する場合、 PT-INR、 APTT、 血小板凝集能、 第Ⅷ凝固因子、 von Willebrand因子活性を確認の上慎重に投与.
  • CYP3Aで代謝されるためCYP3A阻害作用のない薬剤への変更140mgへの減量を考慮.
  • イブルチニブ投与中に腫瘍性リンパ球数の増加が高頻度で認められる (一過性のリンパ球増加は病勢進行の徴候ではない). 

出血の高リスク因子

  • 抗凝固薬や抗血小板薬の併用
  • 周術期患者
  • 年齢65歳以上
  • 脂質異常症の既往
  • 精神神経疾患の既往
  • 大きな事故やけがの既往
  • リンパ球数の増加 (10万/µL以上)
  • 血小板数の減少 (10万/µL以下)
  • 出血の既往
  • 軽度の肝機能障害
  • CYP3A阻害薬の併用

関連する臨床試験の結果

iNNOVATE試験 (PCYC-1127-CA試験)¹⁾

概要

  • 二重盲検ランダム化プラセボ対照海外第Ⅲ相試験.
  • 対象:未治療及び再発難治性のWM/LPL患者 計150例.
  • イブルチニブ+リツキシマブ (Ibr+R群)とプラセボ+リツキシマブ (Pbo+R群) を比較.
  • イブルチニブは420mgを1日1回内服.
  • プラセボやイブルチニブは病勢進行又は耐容不能な毒性発現まで継続.
  • リツキシマブは375mg/m²を1~4週及び17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.
  • プライマリーエンドポイント:無増悪生存期間 (PFS)

結果

  • 観察期間中央値:26.5ヵ月.
  • 30ヵ月PFS:Ibr+R群 82% vs Pbo+R群 28%.
  • PFS中央値:Ibr+R群 未到達 vs Pbo+R群 20.3ヵ月 (HR0.20、 95%CI 0.11-0.38、 p<0.001).
  • 奏効率:Ibr+R群 72% vs Pbo+R群 32% (p<0.001).
  • 4週時点でのIgM低下率:Ibr+R群 56% vs Pbo+R群 6%.
  • Hb値改善:Ibr+R群 73% vs Pbo+R群 41% (p<0.001).
Hb値改善:ベースラインから2g/dL以上増加もしくはHb >11g/dL (貧血を有する例で) が少なくとも56日間持続 (輸血や成長因子なしで).

<有害事象>

  • Ibr+R群の主な有害事象:輸注関連反応、 下痢、 関節痛、 悪心.
  • Grade3以上の有害事象:Ibr+R群 60% vs Pbo+R群 61%
  • Grade3以上の高血圧:Ibr+R群 13% vs Pbo+R群 4%.
  • Grade3以上の心房細動:Ibr+R群 12% vs Pbo+R群 1%.
  • Grade3以上の輸注関連反応:Ibr+R群 1% vs Pbo+R群 16%.
  • IgMフレア (All grade):Ibr+R群 8% vs Pbo+R群 47%.
  • 出血 (All grade):Ibr+R群 4% vs Pbo+R群 4%.

iNNOVATE試験の最終解析²⁾

結果

  • 観察期間中央値:50ヵ月
  • PFS中央値:Ibr+R群 未到達 vs Pbo+R群 20.3ヵ月 (HR0.25 p<0.0001).
  • MYD88・CXCR4変異の状態、 前治療歴、 患者背景に関わらずイブルチニブ併用によるPFSベネフィットが得られた.
  • 奏効率:Ibr+R群 76% vs Pbo+R群 31% (p<0.0001).
  • ヘモグロビン値改善:Ibr+R群 77% vs Pbo+R群 43% (p<0.0001).

結論

  • イブルチニブ+リツキシマブはMYD88やCXCR4変異の状態、 前治療歴、 患者背景に関わらず有効性を認めた.

54179060WAL2002試験 (論文未公表であり添付文書の情報を参照し掲載)

概要

  • 対象:未治療及び再発又は難治性のWM/LPL患者.
  • リツキシマブ+イブルチニブ420mg投与した国内第II相臨床試験. 
  • リツキシマブは375mg/m²を第1~4週及び第17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.

結果

  • 奏効率 (部分奏効以上):87.5% (95%CI 61.7-98.4). 

参考文献

  1. N Engl J Med. 2018 Jun 21;378(25):2399-2410.
  2. J Clin Oncol. 2022 Jan 1;40(1):52-62.
  3. イムブルビカ適正使用ガイド

最終更新:2023年5月31日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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イブルチニブ+リツキシマブ
2023年05月31日更新

Ibrutinib:イブルチニブ(イムブルビカ®)

投与量コース投与日
420mg/回 1日1回 経口-Day 1~

Rituximab:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²-Day 1、8、15、22、113、120、127、134 (1-4、16-19週目の第1日目)

前投薬

リツキシマブ投与前に解熱鎮痛薬と抗ヒスタミン薬.

その他

イブルチニブは420mgを連日内服.
イブルチニブは病勢増悪又は耐容不能な有害事象発現まで継続.
リツキシマブは1~4週及び16~19週の第1日目に点滴静注.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ヤンセンファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

iNNOVATE試験¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (19%、 ≧Grade3 11%).
  • 好中球減少症 (≧Grade3 9%).

主な有害事象

  • 輸注関連反応 (43%、 ≧Grade3 1%).
  • 下痢 (28%).
  • 関節痛 (24%).
  • 悪心 (21%).
  • 無力症 (16%).
  • 疲労 (13%).
  • 頭痛 (13%).
  • IgMフレア (8%).

その他重要な有害事象

  • 高血圧 (≧Grade3 13%).
  • 心房細動 (≧Grade3 12%).
  • 肺炎 (≧Grade3 9%).
  • 低ナトリウム血症 (≧Grade3 5%).

特徴と注意点

適応

  • イブルチニブ+リツキシマブは未治療又は再発難治性の原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫 (WM/LPL) に保険適用.
  • リツキシマブを併用できない場合 (入院拒否やIgMフレアのリスク) はイブルチニブ単剤投与も検討.
  • イブルチニブは420mgを1日1回内服.
  • リツキシマブは375mg/m²を1~4週及び17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.

特徴

  • 出血性事象の発現に注意. 「出血の高リスク因子 (下記)」を有する場合、 PT-INR、 APTT、 血小板凝集能、 第Ⅷ凝固因子、 von Willebrand因子活性を確認の上慎重に投与.
  • CYP3Aで代謝されるためCYP3A阻害作用のない薬剤への変更140mgへの減量を考慮.
  • イブルチニブ投与中に腫瘍性リンパ球数の増加が高頻度で認められる (一過性のリンパ球増加は病勢進行の徴候ではない). 

出血の高リスク因子

  • 抗凝固薬や抗血小板薬の併用
  • 周術期患者
  • 年齢65歳以上
  • 脂質異常症の既往
  • 精神神経疾患の既往
  • 大きな事故やけがの既往
  • リンパ球数の増加 (10万/µL以上)
  • 血小板数の減少 (10万/µL以下)
  • 出血の既往
  • 軽度の肝機能障害
  • CYP3A阻害薬の併用

関連する臨床試験の結果

iNNOVATE試験 (PCYC-1127-CA試験)¹⁾

概要

  • 二重盲検ランダム化プラセボ対照海外第Ⅲ相試験.
  • 対象:未治療及び再発難治性のWM/LPL患者 計150例.
  • イブルチニブ+リツキシマブ (Ibr+R群)とプラセボ+リツキシマブ (Pbo+R群) を比較.
  • イブルチニブは420mgを1日1回内服.
  • プラセボやイブルチニブは病勢進行又は耐容不能な毒性発現まで継続.
  • リツキシマブは375mg/m²を1~4週及び17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.
  • プライマリーエンドポイント:無増悪生存期間 (PFS)

結果

  • 観察期間中央値:26.5ヵ月.
  • 30ヵ月PFS:Ibr+R群 82% vs Pbo+R群 28%.
  • PFS中央値:Ibr+R群 未到達 vs Pbo+R群 20.3ヵ月 (HR0.20、 95%CI 0.11-0.38、 p<0.001).
  • 奏効率:Ibr+R群 72% vs Pbo+R群 32% (p<0.001).
  • 4週時点でのIgM低下率:Ibr+R群 56% vs Pbo+R群 6%.
  • Hb値改善:Ibr+R群 73% vs Pbo+R群 41% (p<0.001).
Hb値改善:ベースラインから2g/dL以上増加もしくはHb >11g/dL (貧血を有する例で) が少なくとも56日間持続 (輸血や成長因子なしで).

<有害事象>

  • Ibr+R群の主な有害事象:輸注関連反応、 下痢、 関節痛、 悪心.
  • Grade3以上の有害事象:Ibr+R群 60% vs Pbo+R群 61%
  • Grade3以上の高血圧:Ibr+R群 13% vs Pbo+R群 4%.
  • Grade3以上の心房細動:Ibr+R群 12% vs Pbo+R群 1%.
  • Grade3以上の輸注関連反応:Ibr+R群 1% vs Pbo+R群 16%.
  • IgMフレア (All grade):Ibr+R群 8% vs Pbo+R群 47%.
  • 出血 (All grade):Ibr+R群 4% vs Pbo+R群 4%.

iNNOVATE試験の最終解析²⁾

結果

  • 観察期間中央値:50ヵ月
  • PFS中央値:Ibr+R群 未到達 vs Pbo+R群 20.3ヵ月 (HR0.25 p<0.0001).
  • MYD88・CXCR4変異の状態、 前治療歴、 患者背景に関わらずイブルチニブ併用によるPFSベネフィットが得られた.
  • 奏効率:Ibr+R群 76% vs Pbo+R群 31% (p<0.0001).
  • ヘモグロビン値改善:Ibr+R群 77% vs Pbo+R群 43% (p<0.0001).

結論

  • イブルチニブ+リツキシマブはMYD88やCXCR4変異の状態、 前治療歴、 患者背景に関わらず有効性を認めた.

54179060WAL2002試験 (論文未公表であり添付文書の情報を参照し掲載)

概要

  • 対象:未治療及び再発又は難治性のWM/LPL患者.
  • リツキシマブ+イブルチニブ420mg投与した国内第II相臨床試験. 
  • リツキシマブは375mg/m²を第1~4週及び第17~20週の第1日目に計8回静脈内投与.

結果

  • 奏効率 (部分奏効以上):87.5% (95%CI 61.7-98.4). 

参考文献

  1. N Engl J Med. 2018 Jun 21;378(25):2399-2410.
  2. J Clin Oncol. 2022 Jan 1;40(1):52-62.
  3. イムブルビカ適正使用ガイド

最終更新:2023年5月31日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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