治療スケジュール
概要
監修医師

Caplacizumab:カプラシズマブ(カブリビ®)

投与量コース投与日
10mg 静脈内投与-day 1 (血漿交換開始15分前までに)
10mg 皮下投与-day 1~

前投薬

なし

その他

初日は血漿交換前に10mgを静脈内投与.
初日血漿交換の15分前までに10mgを静脈内投与.
初日血漿交換後に10mg皮下投与.
その後血漿交換期間中は血漿交換後に1日1回10mg皮下投与.
血漿交換期間後は1日1回10mgを30日間皮下投与.
状態に応じて血漿交換期間後30日を超えて4週間まで投与継続可能.
添付シリンジ中の注射用水1mLを用いて溶解.
溶解後は冷蔵保存し4時間以内に投与.
レジメン
Caplacizumab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

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主な有害事象

海外第III相試験 (HERCULES試験 / ALX0681-C301試験) ¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (5.6%)

主な有害事象

  • 疲労 (14.1%)
  • 発熱 (14.1%)
  • 悪心 (14.1%)
  • 歯肉出血 (18.3%)
  • 頭痛 (22.5%)
  • 錯覚感 (11.3%)
  • 蕁麻疹 (16.9%)
  • 鼻出血 (32.4%)

特徴と注意点

特徴

  • 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP) は、 全身の微小血管に血小板血栓が形成されることで著明な血小板減少、 溶血性貧血、 精神神経症状および様々な臓器不全を呈する疾患であり、 止血因子von Willebrand因子 (VWF) を特異的に切断する酵素であるADAMTS13の活性著減 (10%未満) により発症する.
  • 先天性TTPはADAMTS13遺伝子異常により、 後天性TTPはADAMTS13に対する自己抗体が産生されることにより発症する.
  • カプラシズマブは後天性TTPに適応を有し、 VWFを介した血小板の接着および凝集を抑制することで、 血栓のさらなる形成を阻害し、 全身の微小血管における血栓症の進行を抑制する.

TTP診療ガイド2023 ²⁾

  •  TTPに関する詳細はこちらの診療ガイドを参照.

投与スケジュール

  • 成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に投与可能.
  • 初日血漿交換前に10mgを静脈内投与し、 血漿交換後に再度10mgを皮下注射する.
  • 2日目以降血漿交換期間中血漿交換後に1日1回10mgを皮下注射する.
  • 血漿交換期間後30日間1日1回10mgを皮下注射する.
  • 血漿交換期間後30日間以降ADAMTS13活性が10%を超えない場合は、 追加で4週間投与可能.
  • ADAMTS13活性著減を確認する前にカプラシズマブの投与開始は可能だが、 活性が10%以上であることが確認されTTPが否定された場合は速やかに中止する.

関連する臨床試験の結果

海外第III相試験 (HERCULES試験 / ALX0681-C301試験) ¹⁾

概要

  • 海外第III相、 多施設共同、 無作為化、 二重盲検、 プラセボ対象、 平行群間比較試験.
  • 18歳以上で後天性TTPと診断され、 血漿交換が必要で無作為化前に血漿交換を1回施行した患者 (n=145) を対象に、 標準療法 (血漿交換等) にカプラシズマブを追加投与したときの有効性および安全性を検討.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.69日 vs プラセボ群 2.88日、 HR 1.55 (95%CI 1.09-2.19) 、 p=0.01.
  • 投与期間中のTTP関連死:カプラシズマブ群 0% vs プラセボ群 4%.
  • 投与期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 4% vs プラセボ群 38%.
  • 投与期間中の重大な血栓塞栓性イベント:カプラシズマブ群 8% vs プラセボ群 8%.
  • 全試験期間中の死亡:カプラシズマブ群 1.4% vs プラセボ群 4.1%.
  • 全試験期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 12% vs プラセボ群 38%、 p<0.001.
  • 臓器障害マーカー (LDH、 cTnI、 sCr) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.86日 vs プラセボ群 3.36日 (95%CI 1.18-7.71).
  • 血漿交換日数平均値:カプラシズマブ群 5.8日 vs プラセボ群 9.4日.
  • 総血漿量平均値:カプラシズマブ群 21.6L vs プラセボ群 35.9L.
  • 入院日数平均値:カプラシズマブ群 9.9日 vs プラセボ群 14.4日.
  • ICU入室日数平均値:カプラシズマブ群 3.4日 (n=28) vs プラセボ群 9.7日 (n=27).

安全性

  • 全試験期間中の有害事象:カプラシズマブ群 95.8%、 プラセボ群 90.3%.
  • 全試験期間中の重篤な有害事象:カプラシズマブ群 鼻出血5.6%、 頭痛2.8%、 プラセボ群 アナフィラキシー性輸血反応4.1%、 敗血症性ショック2.7%.
  • 全試験期間中の投与中止に至った有害事象:カプラシズマブ群 上部消化管出血、 鼻出血、 TTP、 心筋梗塞、 心室細動 各1.4%、 頭痛2.8%、 プラセボ群 TTP、 卒中の出血性変化、 低酸素症、 深部静脈血栓症、 頚静脈血栓症、 心筋梗塞、 アナフィラキシー性輸血反応、 γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 各1.4%.
  • 全試験期間中の死亡に至った有害事象:カプラシズマブ群 追跡期間中の脳虚血 1.4%、 プラセボ群 卒中の出血性変化、 TTP、  各1.4%.

海外第II相試験 (TITAN試験 / ALX0681-2.1/10試験)³⁾

概要

  • 海外第II相、 多施設共同、 無作為化、 単盲検、 平行群間比較試験 (プラセボ対象).
  • 後天性TTPと診断され血漿交換が必要とされる成人患者75例に対し、 標準治療にカプラシズマブを追加投与したときの有効性及び安全性を評価.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.97日 vs プラセボ群 4.79日、 HR 2.20 (95%CI 1.29-3.78) 、 p=0.005.
  • 血漿交換期間中の血漿交換日数平均値:カプラシズマブ群 5.9日 vs プラセボ群 7.9日.
  • 血漿交換期間中の総血漿量平均値:カプラシズマブ群 19.9L vs プラセボ群 28.3L.
  • 完全寛解:カプラシズマブ群 80.6% vs プラセボ群 46.2%.
  • 増悪:カプラシズマブ群 8.3% vs プラセボ群 28.2%.
  • 1ヵ月の追跡期間中の再燃:カプラシズマブ群 22.2% vs プラセボ群 0%.
  • 12ヵ月の追跡期間中の再燃:カプラシズマブ群 30.6% vs プラセボ群 7.7%.
  • 臓器障害マーカー (LDH) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 3日 vs プラセボ群 4日.
  • 臓器障害マーカー (TnT / TnI) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 9日 vs プラセボ群 27日.
  • 臓器障害マーカー (sCr) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 4日 vs プラセボ群 6日.

併合試験 (TITAN試験 / HERCULES試験)⁴⁾

概要

  • 海外第II相無作為化単盲検・海外第III相無作為化二重盲検化試験の併合解析.
  • 海外第II相試験 (TITAN試験) または海外第III相試験 (HERCULES試験) に登録された患者220例に対し、 標準治療にカプラシズマブを追加投与したときの有効性及び安全性を評価.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.75日 vs プラセボ群 3.51日、 HR 1.65 (95%CI 1.24-2.20) 、 p=0.0006. 
  • 投与期間中のTTP関連死:カプラシズマブ群 0% vs プラセボ群 3.6%. 
  • 投与期間中のTTP増悪:カプラシズマブ群 5.6% vs プラセボ群 34.8%、 p<0.001.
  • 投与期間中の重大な血栓塞栓性イベント:カプラシズマブ群 7.4% vs プラセボ群 12.5%. 
  • 全試験期間中の死亡:カプラシズマブ群 0.9% vs プラセボ群 4.5%. 
  • 追跡期間中のTTP再燃:カプラシズマブ群 13.0% vs プラセボ群 0%.
  • 全試験期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 17.6% vs プラセボ群 34.8%、 p=0.004. 

安全性

  • 全試験期間中の有害事象:カプラシズマブ群 96.2%、 プラセボ群 95.5%. 
  • 盲検期間中の重篤な有害事象:カプラシズマブ群 TTP5.7%、 鼻出血3.8%、 肺塞栓症・頭痛・くも膜下出血1.9%、 プラセボ群 TTP34.5%、 アナフィラキシー性輸血反応2.7%、 敗血症性ショック1.8%. 
  • 盲検期間中の投与中止に至った有害事象:カプラシズマブ群 貧血・TTP・心筋梗・心室細動・上部消化管出血・高トランスフェラーゼ血症・鼻出血・肺塞栓症 各0.9%、 プラセボ群 TTP・心筋梗塞・アナフィラキシー性輸血反応・γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加・脳出血・卒中の出血性変化・うつ病・低酸素症・深部静脈血栓症・頸部静脈血栓症 各0.9%. 
  • 盲検期間中の死亡に至った有害事象:カプラシズマブ群 0.0%、 プラセボ群 TTP関連死 3.6%.

リアルワールドエビデンス (ドイツ)⁵⁾

概要

  • 海外、 多施設共同、 後方視的研究.
  • 2018年6月~2019年12月に後天性TTPと診断され、 カプラシズマブを投与されたドイツ人患者60例に対し、カプラシズマブの有効性及び安全性を評価.
  • 追跡期間中央値:108.5日 (範囲 5-330).

結果

  • 血漿交換併用日数平均値:5.3日 (95%CI 4.2-6.4).
  • カプラシズマブ投与期間中央値:34日 (範囲 2-211).
  • 治療反応:臨床的奏効 93.3%、 難治性TTP 31.7%、増悪 38.3%、カプラシズマブ投与中の増悪 3.3%、再燃 3.3%.
  • 入院日数平均値 (n=59):21.6日 (95%CI 18.0-25.2).
  • ICU入室日数平均値 (n=54):5.8日 (95%CI 3.8-7.7).
  • 血小板数の正常化までの期間中央値:3日 (範囲 1-13).

安全性

  • 投与中止に至った出血性有害事象:1.7% (分娩2週間後の再発膣出血).
  • 死亡に至った有害事象:1.7% (後天性TTP合併症による敗血症及び多臓器不全).
  • 注射部位反応:10.1%.

リアルワールドエビデンス (フランス)⁶⁾

概要

  • 海外、 多施設共同、 前向き研究 (ヒストリカルコントロール対象).
  • 2018年9月~2019年12月に後天性TTPと診断され、 血漿交換、 免疫抑制薬 (ステロイド薬及びリツキシマブ) 及びカプラシズマブ併用療法を施行されたフランス人患者90例に対し、カプラシズマブ併用療法の有効性及び安全性を評価.
  • 追跡期間中央値:127日 (範囲 47-200).

結果

  • 診断後30日以内の死亡又は難治性TTP:カプラシズマブ併用群 2.2% vs ヒストリカルコントロール群 12.2%、 p=0.01.
  • 死亡:カプラシズマブ併用群 1.1% vs ヒストリカルコントロール群 6.7%、 p=0.06.
  • 難治性TTP:カプラシズマブ併用群 1.1% vs ヒストリカルコントロール群 18%、 p=0.01.
  • 増悪:カプラシズマブ併用群 3.4% vs ヒストリカルコントロール群 44%、 p<0.01.
  • 血小板数正常化までの期間中央値:カプラシズマブ併用群 5日 vs ヒストリカルコントロール群 12日、 p<0.01.
  • 連日血漿交換日数中央値:カプラシズマブ併用群 5日 vs ヒストリカルコントロール群 10日、 p<0.01.
  • ADAMS13活性回復 (>20%) までの期間中央値:カプラシズマブ併用群 28日 vs ヒストリカルコントロール群 48日、 p<0.01.
  • 入院日数中央値:カプラシズマブ併用群 13日 vs ヒストリカルコントロール群 22日、 p=0.01.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2019 Jan 24;380(4):335-346. 
  2. 血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド 2023. 臨床血液; 64: 445-460.
  3. N Engl J Med. 2016 Feb 11;374(6):511-22.
  4. Blood Adv. 2021 Apr 27;5(8):2137-2141. 
  5. Blood Adv. 2020 Jul 14;4(13):3085-3092.  
  6. Blood. 2021 Feb 11;137(6):733-742.

関連コンテンツ

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🔢 TTPのPLASMICスコア

🔢 TTPのFrenchスコア

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最終更新:2024年6月1日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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カプラシズマブ(カブリビ®)
2024年06月01日更新

Caplacizumab:カプラシズマブ(カブリビ®)

投与量コース投与日
10mg 静脈内投与-day 1 (血漿交換開始15分前までに)
10mg 皮下投与-day 1~

前投薬

なし

その他

初日は血漿交換前に10mgを静脈内投与.
初日血漿交換の15分前までに10mgを静脈内投与.
初日血漿交換後に10mg皮下投与.
その後血漿交換期間中は血漿交換後に1日1回10mg皮下投与.
血漿交換期間後は1日1回10mgを30日間皮下投与.
状態に応じて血漿交換期間後30日を超えて4週間まで投与継続可能.
添付シリンジ中の注射用水1mLを用いて溶解.
溶解後は冷蔵保存し4時間以内に投与.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

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主な有害事象

海外第III相試験 (HERCULES試験 / ALX0681-C301試験) ¹⁾より引用.

骨髄抑制

  • 貧血 (5.6%)

主な有害事象

  • 疲労 (14.1%)
  • 発熱 (14.1%)
  • 悪心 (14.1%)
  • 歯肉出血 (18.3%)
  • 頭痛 (22.5%)
  • 錯覚感 (11.3%)
  • 蕁麻疹 (16.9%)
  • 鼻出血 (32.4%)

特徴と注意点

特徴

  • 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP) は、 全身の微小血管に血小板血栓が形成されることで著明な血小板減少、 溶血性貧血、 精神神経症状および様々な臓器不全を呈する疾患であり、 止血因子von Willebrand因子 (VWF) を特異的に切断する酵素であるADAMTS13の活性著減 (10%未満) により発症する.
  • 先天性TTPはADAMTS13遺伝子異常により、 後天性TTPはADAMTS13に対する自己抗体が産生されることにより発症する.
  • カプラシズマブは後天性TTPに適応を有し、 VWFを介した血小板の接着および凝集を抑制することで、 血栓のさらなる形成を阻害し、 全身の微小血管における血栓症の進行を抑制する.

TTP診療ガイド2023 ²⁾

  •  TTPに関する詳細はこちらの診療ガイドを参照.

投与スケジュール

  • 成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に投与可能.
  • 初日血漿交換前に10mgを静脈内投与し、 血漿交換後に再度10mgを皮下注射する.
  • 2日目以降血漿交換期間中血漿交換後に1日1回10mgを皮下注射する.
  • 血漿交換期間後30日間1日1回10mgを皮下注射する.
  • 血漿交換期間後30日間以降ADAMTS13活性が10%を超えない場合は、 追加で4週間投与可能.
  • ADAMTS13活性著減を確認する前にカプラシズマブの投与開始は可能だが、 活性が10%以上であることが確認されTTPが否定された場合は速やかに中止する.

関連する臨床試験の結果

海外第III相試験 (HERCULES試験 / ALX0681-C301試験) ¹⁾

概要

  • 海外第III相、 多施設共同、 無作為化、 二重盲検、 プラセボ対象、 平行群間比較試験.
  • 18歳以上で後天性TTPと診断され、 血漿交換が必要で無作為化前に血漿交換を1回施行した患者 (n=145) を対象に、 標準療法 (血漿交換等) にカプラシズマブを追加投与したときの有効性および安全性を検討.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.69日 vs プラセボ群 2.88日、 HR 1.55 (95%CI 1.09-2.19) 、 p=0.01.
  • 投与期間中のTTP関連死:カプラシズマブ群 0% vs プラセボ群 4%.
  • 投与期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 4% vs プラセボ群 38%.
  • 投与期間中の重大な血栓塞栓性イベント:カプラシズマブ群 8% vs プラセボ群 8%.
  • 全試験期間中の死亡:カプラシズマブ群 1.4% vs プラセボ群 4.1%.
  • 全試験期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 12% vs プラセボ群 38%、 p<0.001.
  • 臓器障害マーカー (LDH、 cTnI、 sCr) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.86日 vs プラセボ群 3.36日 (95%CI 1.18-7.71).
  • 血漿交換日数平均値:カプラシズマブ群 5.8日 vs プラセボ群 9.4日.
  • 総血漿量平均値:カプラシズマブ群 21.6L vs プラセボ群 35.9L.
  • 入院日数平均値:カプラシズマブ群 9.9日 vs プラセボ群 14.4日.
  • ICU入室日数平均値:カプラシズマブ群 3.4日 (n=28) vs プラセボ群 9.7日 (n=27).

安全性

  • 全試験期間中の有害事象:カプラシズマブ群 95.8%、 プラセボ群 90.3%.
  • 全試験期間中の重篤な有害事象:カプラシズマブ群 鼻出血5.6%、 頭痛2.8%、 プラセボ群 アナフィラキシー性輸血反応4.1%、 敗血症性ショック2.7%.
  • 全試験期間中の投与中止に至った有害事象:カプラシズマブ群 上部消化管出血、 鼻出血、 TTP、 心筋梗塞、 心室細動 各1.4%、 頭痛2.8%、 プラセボ群 TTP、 卒中の出血性変化、 低酸素症、 深部静脈血栓症、 頚静脈血栓症、 心筋梗塞、 アナフィラキシー性輸血反応、 γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 各1.4%.
  • 全試験期間中の死亡に至った有害事象:カプラシズマブ群 追跡期間中の脳虚血 1.4%、 プラセボ群 卒中の出血性変化、 TTP、  各1.4%.

海外第II相試験 (TITAN試験 / ALX0681-2.1/10試験)³⁾

概要

  • 海外第II相、 多施設共同、 無作為化、 単盲検、 平行群間比較試験 (プラセボ対象).
  • 後天性TTPと診断され血漿交換が必要とされる成人患者75例に対し、 標準治療にカプラシズマブを追加投与したときの有効性及び安全性を評価.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.97日 vs プラセボ群 4.79日、 HR 2.20 (95%CI 1.29-3.78) 、 p=0.005.
  • 血漿交換期間中の血漿交換日数平均値:カプラシズマブ群 5.9日 vs プラセボ群 7.9日.
  • 血漿交換期間中の総血漿量平均値:カプラシズマブ群 19.9L vs プラセボ群 28.3L.
  • 完全寛解:カプラシズマブ群 80.6% vs プラセボ群 46.2%.
  • 増悪:カプラシズマブ群 8.3% vs プラセボ群 28.2%.
  • 1ヵ月の追跡期間中の再燃:カプラシズマブ群 22.2% vs プラセボ群 0%.
  • 12ヵ月の追跡期間中の再燃:カプラシズマブ群 30.6% vs プラセボ群 7.7%.
  • 臓器障害マーカー (LDH) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 3日 vs プラセボ群 4日.
  • 臓器障害マーカー (TnT / TnI) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 9日 vs プラセボ群 27日.
  • 臓器障害マーカー (sCr) 正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 4日 vs プラセボ群 6日.

併合試験 (TITAN試験 / HERCULES試験)⁴⁾

概要

  • 海外第II相無作為化単盲検・海外第III相無作為化二重盲検化試験の併合解析.
  • 海外第II相試験 (TITAN試験) または海外第III相試験 (HERCULES試験) に登録された患者220例に対し、 標準治療にカプラシズマブを追加投与したときの有効性及び安全性を評価.

結果

  • 血小板数の正常化までの期間中央値:カプラシズマブ群 2.75日 vs プラセボ群 3.51日、 HR 1.65 (95%CI 1.24-2.20) 、 p=0.0006. 
  • 投与期間中のTTP関連死:カプラシズマブ群 0% vs プラセボ群 3.6%. 
  • 投与期間中のTTP増悪:カプラシズマブ群 5.6% vs プラセボ群 34.8%、 p<0.001.
  • 投与期間中の重大な血栓塞栓性イベント:カプラシズマブ群 7.4% vs プラセボ群 12.5%. 
  • 全試験期間中の死亡:カプラシズマブ群 0.9% vs プラセボ群 4.5%. 
  • 追跡期間中のTTP再燃:カプラシズマブ群 13.0% vs プラセボ群 0%.
  • 全試験期間中のTTP再発:カプラシズマブ群 17.6% vs プラセボ群 34.8%、 p=0.004. 

安全性

  • 全試験期間中の有害事象:カプラシズマブ群 96.2%、 プラセボ群 95.5%. 
  • 盲検期間中の重篤な有害事象:カプラシズマブ群 TTP5.7%、 鼻出血3.8%、 肺塞栓症・頭痛・くも膜下出血1.9%、 プラセボ群 TTP34.5%、 アナフィラキシー性輸血反応2.7%、 敗血症性ショック1.8%. 
  • 盲検期間中の投与中止に至った有害事象:カプラシズマブ群 貧血・TTP・心筋梗・心室細動・上部消化管出血・高トランスフェラーゼ血症・鼻出血・肺塞栓症 各0.9%、 プラセボ群 TTP・心筋梗塞・アナフィラキシー性輸血反応・γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加・脳出血・卒中の出血性変化・うつ病・低酸素症・深部静脈血栓症・頸部静脈血栓症 各0.9%. 
  • 盲検期間中の死亡に至った有害事象:カプラシズマブ群 0.0%、 プラセボ群 TTP関連死 3.6%.

リアルワールドエビデンス (ドイツ)⁵⁾

概要

  • 海外、 多施設共同、 後方視的研究.
  • 2018年6月~2019年12月に後天性TTPと診断され、 カプラシズマブを投与されたドイツ人患者60例に対し、カプラシズマブの有効性及び安全性を評価.
  • 追跡期間中央値:108.5日 (範囲 5-330).

結果

  • 血漿交換併用日数平均値:5.3日 (95%CI 4.2-6.4).
  • カプラシズマブ投与期間中央値:34日 (範囲 2-211).
  • 治療反応:臨床的奏効 93.3%、 難治性TTP 31.7%、増悪 38.3%、カプラシズマブ投与中の増悪 3.3%、再燃 3.3%.
  • 入院日数平均値 (n=59):21.6日 (95%CI 18.0-25.2).
  • ICU入室日数平均値 (n=54):5.8日 (95%CI 3.8-7.7).
  • 血小板数の正常化までの期間中央値:3日 (範囲 1-13).

安全性

  • 投与中止に至った出血性有害事象:1.7% (分娩2週間後の再発膣出血).
  • 死亡に至った有害事象:1.7% (後天性TTP合併症による敗血症及び多臓器不全).
  • 注射部位反応:10.1%.

リアルワールドエビデンス (フランス)⁶⁾

概要

  • 海外、 多施設共同、 前向き研究 (ヒストリカルコントロール対象).
  • 2018年9月~2019年12月に後天性TTPと診断され、 血漿交換、 免疫抑制薬 (ステロイド薬及びリツキシマブ) 及びカプラシズマブ併用療法を施行されたフランス人患者90例に対し、カプラシズマブ併用療法の有効性及び安全性を評価.
  • 追跡期間中央値:127日 (範囲 47-200).

結果

  • 診断後30日以内の死亡又は難治性TTP:カプラシズマブ併用群 2.2% vs ヒストリカルコントロール群 12.2%、 p=0.01.
  • 死亡:カプラシズマブ併用群 1.1% vs ヒストリカルコントロール群 6.7%、 p=0.06.
  • 難治性TTP:カプラシズマブ併用群 1.1% vs ヒストリカルコントロール群 18%、 p=0.01.
  • 増悪:カプラシズマブ併用群 3.4% vs ヒストリカルコントロール群 44%、 p<0.01.
  • 血小板数正常化までの期間中央値:カプラシズマブ併用群 5日 vs ヒストリカルコントロール群 12日、 p<0.01.
  • 連日血漿交換日数中央値:カプラシズマブ併用群 5日 vs ヒストリカルコントロール群 10日、 p<0.01.
  • ADAMS13活性回復 (>20%) までの期間中央値:カプラシズマブ併用群 28日 vs ヒストリカルコントロール群 48日、 p<0.01.
  • 入院日数中央値:カプラシズマブ併用群 13日 vs ヒストリカルコントロール群 22日、 p=0.01.

参考文献

  1. N Engl J Med. 2019 Jan 24;380(4):335-346. 
  2. 血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド 2023. 臨床血液; 64: 445-460.
  3. N Engl J Med. 2016 Feb 11;374(6):511-22.
  4. Blood Adv. 2021 Apr 27;5(8):2137-2141. 
  5. Blood Adv. 2020 Jul 14;4(13):3085-3092.  
  6. Blood. 2021 Feb 11;137(6):733-742.

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最終更新:2024年6月1日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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