チガソンカプセル (薬剤情報)
※皮膚リンパ腫には未承認・適応外
過去の報告では25-50mg/日で経口投与するとの記載があるが、 口喝や口唇の亀裂などの副作用のため、 実際は20-30mg/日が多い。
単剤で使用されることもあるが、 通常は紫外線療法と併用で使われることが多い。 肝障害や脂質異常症のために休薬や減量を要することもあるが比較的稀である。
Skin-directed therapy抵抗性の早期菌状息肉症から進行期菌状息肉症まで、 全身療法として第一選択となりうる薬剤である。 皮膚リンパ腫診療ガイドライン2020において全身療法の1st lineに位置づけられているが、 皮膚リンパ腫に対する保険適応はない。 本来は乾癬など炎症性皮膚疾患に対する治療薬である。 また海外のガイドラインにおいては掲載されていない。
本邦のガイドラインでは同ラインの他の薬剤としてはベキサロテンやインターフェロンγがあげられており、 いずれも保険適応がある。
ベキサロテンはエトレチナートと同じレチノイド製剤であるが、 本剤がレチノイン酸受容体に作用するのに対して、 ベキサロテンはレチノイドX受容体に作用する。
ベキサロテンと比べて安価であること、 副作用のプロファイルが異なること、 皮膚科医が使い慣れていることもあって、 現在でもエトレチナートが選択されることもある。
エトレチナートによる皮膚T細胞リンパ腫の臨床試験は1980年代に海外で行われたものが報告されている。 Claudyらの報告¹⁾では12例に投与して58%の患者において有効であったとされているが、 この論文では0.8-1.0mg/kgと通常使用するよりも多めに使用されている。
また、 Molinらの報告²⁾でも29例に投与し約55%の患者において有効であったと報告されている。
近年では皮膚型の成人T細胞白血病/リンパ腫に対しても9例に投与し約89%で有効であり、 うち2例は6年以上維持できたという報告³⁾もある。
エトレチナートは妊娠に対するリスクが高く、 特に女性患者においては、 治療後も長期間体内に残留するため、 治療中及び治療終了後2年間は妊娠を避けることが推奨されている。
男性患者の場合、 治療中及び内服終了後半年間は避妊をすることが望ましい。
また、 リンパ腫に対する使用例ではないが、 エトレチナートの長期使用による骨形成異常などのリスクも報告されている⁴⁾。
1) Treatment of cutaneous lymphoma with etretinate. Br J Dermatol. 1983 Jul;109(1):49-56. PMID: 6860571
4) 岡田 奈津子, 他. エトレチナート長期内服に伴う骨,関節変化―16症例の検討―. 1991年 101 巻5号 p.547-552.
最終更新日 : 2024年10月28日
監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生
チガソンカプセル (薬剤情報)
※皮膚リンパ腫には未承認・適応外
過去の報告では25-50mg/日で経口投与するとの記載があるが、 口喝や口唇の亀裂などの副作用のため、 実際は20-30mg/日が多い。
単剤で使用されることもあるが、 通常は紫外線療法と併用で使われることが多い。 肝障害や脂質異常症のために休薬や減量を要することもあるが比較的稀である。
Skin-directed therapy抵抗性の早期菌状息肉症から進行期菌状息肉症まで、 全身療法として第一選択となりうる薬剤である。 皮膚リンパ腫診療ガイドライン2020において全身療法の1st lineに位置づけられているが、 皮膚リンパ腫に対する保険適応はない。 本来は乾癬など炎症性皮膚疾患に対する治療薬である。 また海外のガイドラインにおいては掲載されていない。
本邦のガイドラインでは同ラインの他の薬剤としてはベキサロテンやインターフェロンγがあげられており、 いずれも保険適応がある。
ベキサロテンはエトレチナートと同じレチノイド製剤であるが、 本剤がレチノイン酸受容体に作用するのに対して、 ベキサロテンはレチノイドX受容体に作用する。
ベキサロテンと比べて安価であること、 副作用のプロファイルが異なること、 皮膚科医が使い慣れていることもあって、 現在でもエトレチナートが選択されることもある。
エトレチナートによる皮膚T細胞リンパ腫の臨床試験は1980年代に海外で行われたものが報告されている。 Claudyらの報告¹⁾では12例に投与して58%の患者において有効であったとされているが、 この論文では0.8-1.0mg/kgと通常使用するよりも多めに使用されている。
また、 Molinらの報告²⁾でも29例に投与し約55%の患者において有効であったと報告されている。
近年では皮膚型の成人T細胞白血病/リンパ腫に対しても9例に投与し約89%で有効であり、 うち2例は6年以上維持できたという報告³⁾もある。
エトレチナートは妊娠に対するリスクが高く、 特に女性患者においては、 治療後も長期間体内に残留するため、 治療中及び治療終了後2年間は妊娠を避けることが推奨されている。
男性患者の場合、 治療中及び内服終了後半年間は避妊をすることが望ましい。
また、 リンパ腫に対する使用例ではないが、 エトレチナートの長期使用による骨形成異常などのリスクも報告されている⁴⁾。
1) Treatment of cutaneous lymphoma with etretinate. Br J Dermatol. 1983 Jul;109(1):49-56. PMID: 6860571
4) 岡田 奈津子, 他. エトレチナート長期内服に伴う骨,関節変化―16症例の検討―. 1991年 101 巻5号 p.547-552.
最終更新日 : 2024年10月28日
監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
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