概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

チガソンカプセル (薬剤情報)

※皮膚リンパ腫には未承認・適応外

効能・効果:諸治療が無効かつ重症な次記疾患 : 乾癬群 (尋常性乾癬、 膿疱性乾癬、 乾癬性紅皮症、 乾癬性関節炎)、 魚鱗癬群 (尋常性魚鱗癬、 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、 非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)、 掌蹠角化症、 ダリエー病、 掌蹠膿疱症、 毛孔性紅色粃糠疹及び紅斑性角化症、 口腔白板症、 口腔乳頭腫及び口腔扁平苔癬

投与スケジュール ※未承認・適応外

過去の報告では25-50mg/日で経口投与するとの記載があるが、 口喝や口唇の亀裂などの副作用のため、 実際は20-30mg/日が多い。

単剤で使用されることもあるが、 通常は紫外線療法と併用で使われることが多い。 肝障害や脂質異常症のために休薬や減量を要することもあるが比較的稀である。

監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生

エキスパートによるワンポイント

1次治療の選択肢も保険適応はなし

Skin-directed therapy抵抗性の早期菌状息肉症から進行期菌状息肉症まで、 全身療法として第一選択となりうる薬剤である。 皮膚リンパ腫診療ガイドライン2020において全身療法の1st lineに位置づけられているが、 皮膚リンパ腫に対する保険適応はない。 本来は乾癬など炎症性皮膚疾患に対する治療薬である。 また海外のガイドラインにおいては掲載されていない。

本邦のガイドラインでは同ラインの他の薬剤としてはベキサロテンインターフェロンγがあげられており、 いずれも保険適応がある。

レチノイド製剤 ベキサロテンとの違い

ベキサロテンはエトレチナートと同じレチノイド製剤であるが、 本剤がレチノイン酸受容体に作用するのに対して、 ベキサロテンはレチノイドX受容体に作用する。

ベキサロテンと比べて安価であること、 副作用のプロファイルが異なること、 皮膚科医が使い慣れていることもあって、 現在でもエトレチナートが選択されることもある。

過去の主要な臨床試験結果

エトレチナートによる皮膚T細胞リンパ腫の臨床試験は1980年代に海外で行われたものが報告されている。 Claudyらの報告¹⁾では12例に投与して58%の患者において有効であったとされているが、 この論文では0.8-1.0mg/kgと通常使用するよりも多めに使用されている。

また、 Molinらの報告²⁾でも29例に投与し約55%の患者において有効であったと報告されている。

近年では皮膚型の成人T細胞白血病/リンパ腫に対しても9例に投与し約89%で有効であり、 うち2例は6年以上維持できたという報告³⁾もある。

催奇形性の報告あり、 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌

エトレチナートは妊娠に対するリスクが高く、 特に女性患者においては、 治療後も長期間体内に残留するため、 治療中及び治療終了後2年間は妊娠を避けることが推奨されている。

男性患者の場合、 治療中及び内服終了後半年間は避妊をすることが望ましい。

また、 リンパ腫に対する使用例ではないが、 エトレチナートの長期使用による骨形成異常などのリスクも報告されている⁴⁾。

出典

1) Treatment of cutaneous lymphoma with etretinate. Br J Dermatol. 1983 Jul;109(1):49-56. PMID: 6860571

2) Oral retinoids in mycosis fungoides and Sézary syndrome: a comparison of isotretinoin and etretinate. A study from the Scandinavian Mycosis Fungoides Group. Acta Derm Venereol. 1987;67(3):232-236. PMID: 2442936

3) Therapeutic Efficacy of Etretinate on Cutaneous-type Adult T-cell Leukemia-Lymphoma. Acta Derm Venereol. 2019 Jul 1;99(9):774-776. PMID: 31017247

4) 岡田 奈津子, 他. エトレチナート長期内服に伴う骨,関節変化―16症例の検討―. 1991年 101 巻5号 p.547-552.

最終更新日 : 2024年10月28日
監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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エトレチナート (チガソン®)
2024年10月28日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

チガソンカプセル (薬剤情報)

※皮膚リンパ腫には未承認・適応外

効能・効果:諸治療が無効かつ重症な次記疾患 : 乾癬群 (尋常性乾癬、 膿疱性乾癬、 乾癬性紅皮症、 乾癬性関節炎)、 魚鱗癬群 (尋常性魚鱗癬、 水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症、 非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症)、 掌蹠角化症、 ダリエー病、 掌蹠膿疱症、 毛孔性紅色粃糠疹及び紅斑性角化症、 口腔白板症、 口腔乳頭腫及び口腔扁平苔癬

投与スケジュール ※未承認・適応外

過去の報告では25-50mg/日で経口投与するとの記載があるが、 口喝や口唇の亀裂などの副作用のため、 実際は20-30mg/日が多い。

単剤で使用されることもあるが、 通常は紫外線療法と併用で使われることが多い。 肝障害や脂質異常症のために休薬や減量を要することもあるが比較的稀である。

監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生

エキスパートによるワンポイント

1次治療の選択肢も保険適応はなし

Skin-directed therapy抵抗性の早期菌状息肉症から進行期菌状息肉症まで、 全身療法として第一選択となりうる薬剤である。 皮膚リンパ腫診療ガイドライン2020において全身療法の1st lineに位置づけられているが、 皮膚リンパ腫に対する保険適応はない。 本来は乾癬など炎症性皮膚疾患に対する治療薬である。 また海外のガイドラインにおいては掲載されていない。

本邦のガイドラインでは同ラインの他の薬剤としてはベキサロテンインターフェロンγがあげられており、 いずれも保険適応がある。

レチノイド製剤 ベキサロテンとの違い

ベキサロテンはエトレチナートと同じレチノイド製剤であるが、 本剤がレチノイン酸受容体に作用するのに対して、 ベキサロテンはレチノイドX受容体に作用する。

ベキサロテンと比べて安価であること、 副作用のプロファイルが異なること、 皮膚科医が使い慣れていることもあって、 現在でもエトレチナートが選択されることもある。

過去の主要な臨床試験結果

エトレチナートによる皮膚T細胞リンパ腫の臨床試験は1980年代に海外で行われたものが報告されている。 Claudyらの報告¹⁾では12例に投与して58%の患者において有効であったとされているが、 この論文では0.8-1.0mg/kgと通常使用するよりも多めに使用されている。

また、 Molinらの報告²⁾でも29例に投与し約55%の患者において有効であったと報告されている。

近年では皮膚型の成人T細胞白血病/リンパ腫に対しても9例に投与し約89%で有効であり、 うち2例は6年以上維持できたという報告³⁾もある。

催奇形性の報告あり、 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌

エトレチナートは妊娠に対するリスクが高く、 特に女性患者においては、 治療後も長期間体内に残留するため、 治療中及び治療終了後2年間は妊娠を避けることが推奨されている。

男性患者の場合、 治療中及び内服終了後半年間は避妊をすることが望ましい。

また、 リンパ腫に対する使用例ではないが、 エトレチナートの長期使用による骨形成異常などのリスクも報告されている⁴⁾。

出典

1) Treatment of cutaneous lymphoma with etretinate. Br J Dermatol. 1983 Jul;109(1):49-56. PMID: 6860571

2) Oral retinoids in mycosis fungoides and Sézary syndrome: a comparison of isotretinoin and etretinate. A study from the Scandinavian Mycosis Fungoides Group. Acta Derm Venereol. 1987;67(3):232-236. PMID: 2442936

3) Therapeutic Efficacy of Etretinate on Cutaneous-type Adult T-cell Leukemia-Lymphoma. Acta Derm Venereol. 2019 Jul 1;99(9):774-776. PMID: 31017247

4) 岡田 奈津子, 他. エトレチナート長期内服に伴う骨,関節変化―16症例の検討―. 1991年 101 巻5号 p.547-552.

最終更新日 : 2024年10月28日
監修医師 : 近畿大学皮膚科 藤井 一恭先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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