概要
監修医師
2024年4月8日に 「EGFR遺伝子変異 (EGFRエクソン19欠失変異、 エクソン21のL858 R変異を含む) 陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する治療」 として、 製造販売承認を申請。 2025年3月27日に正式承認となった。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

-ライブリバント® (添付文書¹⁾/適正使用ガイド²⁾*)

EGFR/MET二重特異性抗体 アミバンタマブ

-ラズクルーズ® (添付文書³⁾)

経口第3世代EGFR-TKI ラゼルチニブ
*ヤンセンファーマ株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【1コース】28日間
【催吐性】 低催吐性リスク
【FN発症】低リスク*
*MARIPOSA試験では顕著な好中球減少やFNの増加は未報告

1サイクル目

2サイクル目以降

アミバンタマブ : 80kg未満では1回あたり1,050 mg、 80kg以上では1,400mg投与 (なお、初回のみ体重問わずDay1 350mg、 Day 2 残量の分割投与とする)。 1サイクル目は週1回投与とし、 2サイクル目以降は2週間に1回継続投与する。

ラゼルチニブ : 1日1回240mgを連日経口投与

添付文書¹⁾³⁾、 N Engl J Med. 2024⁴⁾.を基に編集部作図

KeyData|臨床試験結果

MARIPOSA試験⁴⁾

N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98.

未治療のEGFR変異陽性 (Ex19delまたはL858R) の局所進行または転移性NSCLC患者者1,074例 (日本人78例含む) を対象とした第III相国際多施設ランダム化比較試験。 2:2:1の比率でAmivantamab+Lazertinib群 (オープンラベル)、 Osimertinib群 (二重盲検)、 Lazertinib群 (二重盲検) に無作為に割付し、 主要評価項目を無増悪生存期間 (PFS) に設定した。 

【有効性】Amivantamab+Lazertinib群

 vs Osimertinib群の結果も併せて記載

- mPFS : 23.72ヵ月 vs 16.59ヵ月

- ORR    : 84% vs 85%

N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98⁴⁾.より引用
2025年3月26日から29日までフランス・パリで開催された欧州肺癌学会 (ELCC 2025) で以下のとおりOS最終解析結果が報告された

- mOS    : 未到達 vs 36.7ヵ月

  HR 0.75 (95%CI 0.61-0.92)、 p<0.005

  24ヵ月OS率 : 75% vs 70%

  36ヵ月OS率 : 60% vs 51%

  42ヵ月OS率 : 56% vs 44%

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

- インフュージョンリアクション (IRR) : 63%

  主に初回投与時

- 静脈血栓塞栓症 : 37%

  オシメルチニブ群と比較し高頻度

- ILD/肺臓炎 : 3% (1%)

 N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98⁴⁾.より引用

レジメンの特徴と注意点

海外の承認状況

2024年8月に米国で、 同年12月に欧州でEGFR変異陽性NSCLCの1次治療における本併用レジメンが承認されていた。 本邦では2025年3月27日に正式承認となった。

他治療ラインとの比較

標準治療であるオシメルチニブ単独療法と比較し、 本併用レジメンはPFSおよびOSを上回る結果が示された⁴⁾。 ただし、 副作用の種類と頻度は増加し、 特にIRRや血栓塞栓症のリスクが高い。 オシメルチニブ単剤は投薬が経口のみであるのに対し、 併用療法では定期的な点滴投与が必要となるため、 患者の通院頻度や管理の負担を考慮する必要がある。

副作用管理について

IRR (インフュージョンリアクション)

初回投与時に約6割で発生。 Day1/Day2の分割投与や前投薬で予防し、 症状が出た場合は点滴速度の調整や一時的な中断を行う。

ライブリバント®の投与量および投与速度

「IRRを予防するための前投薬として、 1サイクル目の第1日目及び第2日目は、 副腎皮質ホルモン剤、 抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、 必要に応じてH₂受容体拮抗剤や制吐剤を投与する。 1サイクル目の第8日目以降は、 抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、 必要に応じて副腎皮質ホルモン剤、 H₂受容体拮抗剤や制吐剤を投与する。」

ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

皮膚障害・爪障害 (発疹・ざ瘡様皮疹、爪囲炎など)

EGFR阻害薬に共通する症状。 保湿や日光防護、 症状出現時のステロイド外用・抗生剤軟膏などが早期介入のポイント。 重症例では休薬も検討。

静脈血栓塞栓症 (VTE)

併用群では発症率が高く、 治療開始数ヵ月以内に集中して起こる。 呼吸困難や下肢痛・腫脹に注意し、 必要に応じて予防的抗凝固療法を検討。

添付文書 「投与開始後4ヵ月間は、 アピキサバン1回2.5mgを1日2回経口投与すること」

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)、ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

その他の有害事象

間質性肺炎 (3%程度) などの重大な肺障害を念頭に、 呼吸器症状や胸部画像の定期評価が必要。

添付文書 「疑いは休薬、 間質性肺炎確定は中止」

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)、ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

各プロトコル

アミバンタマブの減量・休薬・中止基準

ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

ラゼルチニブの減量・休薬・中止基準

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)より引用

出典

1) ヤンセンファーマ株式会社. ライブリバント®点滴静注 電子添文 2025年3月作成 (第2版) [最終確認: 2025/3/27]

2) ヤンセンファーマ株式会社. ライブリバント®点滴静注 適正使用ガイド電子添文 2024年11月作成 [最終確認: 2025/3/27]

3) ヤンセンファーマ株式会社. ラズクルーズ®点滴静注 電子添文 2025年3月作成 (第1版) [最終確認: 2025/3/27]

4) Amivantamab plus Lazertinib in Previously Untreated EGFR-Mutated Advanced NSCLC. N Engl J Med. 2024 Oct 24;391(16):1486-1498. PMID: 38924756

最終更新日 : 2025年4月3日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

レジメン
Amivantamab+Lazertinib
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
レジメン
Amivantamab+Lazertinib
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Amivantamab+Lazertinib

アミバンタマブ +ラゼルチニブ
2025年04月12日更新
2024年4月8日に 「EGFR遺伝子変異 (EGFRエクソン19欠失変異、 エクソン21のL858 R変異を含む) 陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対する治療」 として、 製造販売承認を申請。 2025年3月27日に正式承認となった。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

-ライブリバント® (添付文書¹⁾/適正使用ガイド²⁾*)

EGFR/MET二重特異性抗体 アミバンタマブ

-ラズクルーズ® (添付文書³⁾)

経口第3世代EGFR-TKI ラゼルチニブ
*ヤンセンファーマ株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
【1コース】28日間
【催吐性】 低催吐性リスク
【FN発症】低リスク*
*MARIPOSA試験では顕著な好中球減少やFNの増加は未報告

1サイクル目

2サイクル目以降

アミバンタマブ : 80kg未満では1回あたり1,050 mg、 80kg以上では1,400mg投与 (なお、初回のみ体重問わずDay1 350mg、 Day 2 残量の分割投与とする)。 1サイクル目は週1回投与とし、 2サイクル目以降は2週間に1回継続投与する。

ラゼルチニブ : 1日1回240mgを連日経口投与

添付文書¹⁾³⁾、 N Engl J Med. 2024⁴⁾.を基に編集部作図

KeyData|臨床試験結果

MARIPOSA試験⁴⁾

N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98.

未治療のEGFR変異陽性 (Ex19delまたはL858R) の局所進行または転移性NSCLC患者者1,074例 (日本人78例含む) を対象とした第III相国際多施設ランダム化比較試験。 2:2:1の比率でAmivantamab+Lazertinib群 (オープンラベル)、 Osimertinib群 (二重盲検)、 Lazertinib群 (二重盲検) に無作為に割付し、 主要評価項目を無増悪生存期間 (PFS) に設定した。 

【有効性】Amivantamab+Lazertinib群

 vs Osimertinib群の結果も併せて記載

- mPFS : 23.72ヵ月 vs 16.59ヵ月

- ORR    : 84% vs 85%

N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98⁴⁾.より引用
2025年3月26日から29日までフランス・パリで開催された欧州肺癌学会 (ELCC 2025) で以下のとおりOS最終解析結果が報告された

- mOS    : 未到達 vs 36.7ヵ月

  HR 0.75 (95%CI 0.61-0.92)、 p<0.005

  24ヵ月OS率 : 75% vs 70%

  36ヵ月OS率 : 60% vs 51%

  42ヵ月OS率 : 56% vs 44%

【安全性】主な有害事象 (カッコ内 Grade3~4)

- インフュージョンリアクション (IRR) : 63%

  主に初回投与時

- 静脈血栓塞栓症 : 37%

  オシメルチニブ群と比較し高頻度

- ILD/肺臓炎 : 3% (1%)

 N Engl J Med. 2024;391(16):1486-98⁴⁾.より引用

レジメンの特徴と注意点

海外の承認状況

2024年8月に米国で、 同年12月に欧州でEGFR変異陽性NSCLCの1次治療における本併用レジメンが承認されていた。 本邦では2025年3月27日に正式承認となった。

他治療ラインとの比較

標準治療であるオシメルチニブ単独療法と比較し、 本併用レジメンはPFSおよびOSを上回る結果が示された⁴⁾。 ただし、 副作用の種類と頻度は増加し、 特にIRRや血栓塞栓症のリスクが高い。 オシメルチニブ単剤は投薬が経口のみであるのに対し、 併用療法では定期的な点滴投与が必要となるため、 患者の通院頻度や管理の負担を考慮する必要がある。

副作用管理について

IRR (インフュージョンリアクション)

初回投与時に約6割で発生。 Day1/Day2の分割投与や前投薬で予防し、 症状が出た場合は点滴速度の調整や一時的な中断を行う。

ライブリバント®の投与量および投与速度

「IRRを予防するための前投薬として、 1サイクル目の第1日目及び第2日目は、 副腎皮質ホルモン剤、 抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、 必要に応じてH₂受容体拮抗剤や制吐剤を投与する。 1サイクル目の第8日目以降は、 抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、 必要に応じて副腎皮質ホルモン剤、 H₂受容体拮抗剤や制吐剤を投与する。」

ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

皮膚障害・爪障害 (発疹・ざ瘡様皮疹、爪囲炎など)

EGFR阻害薬に共通する症状。 保湿や日光防護、 症状出現時のステロイド外用・抗生剤軟膏などが早期介入のポイント。 重症例では休薬も検討。

静脈血栓塞栓症 (VTE)

併用群では発症率が高く、 治療開始数ヵ月以内に集中して起こる。 呼吸困難や下肢痛・腫脹に注意し、 必要に応じて予防的抗凝固療法を検討。

添付文書 「投与開始後4ヵ月間は、 アピキサバン1回2.5mgを1日2回経口投与すること」

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)、ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

その他の有害事象

間質性肺炎 (3%程度) などの重大な肺障害を念頭に、 呼吸器症状や胸部画像の定期評価が必要。

添付文書 「疑いは休薬、 間質性肺炎確定は中止」

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)、ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

各プロトコル

アミバンタマブの減量・休薬・中止基準

ライブリバント® 電子添文 2025年3月作成 (第2版)より引用

ラゼルチニブの減量・休薬・中止基準

ラズクルーズ® 電子添文 2025年3月作成 (第1版)より引用

出典

1) ヤンセンファーマ株式会社. ライブリバント®点滴静注 電子添文 2025年3月作成 (第2版) [最終確認: 2025/3/27]

2) ヤンセンファーマ株式会社. ライブリバント®点滴静注 適正使用ガイド電子添文 2024年11月作成 [最終確認: 2025/3/27]

3) ヤンセンファーマ株式会社. ラズクルーズ®点滴静注 電子添文 2025年3月作成 (第1版) [最終確認: 2025/3/27]

4) Amivantamab plus Lazertinib in Previously Untreated EGFR-Mutated Advanced NSCLC. N Engl J Med. 2024 Oct 24;391(16):1486-1498. PMID: 38924756

最終更新日 : 2025年4月3日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(呼吸器)

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