概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ワンタキソテール ® (添付文書)

用法用量 (1コース3週間 or 4週間)

前投薬

軽度催吐性リスクのため、 デキサメタゾン注を6.6mg前投与する。 

投与開始基準

Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768試験¹⁾より抜粋

18歳以上で組織学的にリンパ節を伴う手術可能と組織学的に確認されたIIA、 IIB、 またはIIIA期の乳腺癌 (T1、 2、 または3、 N1、 2、 M0) 、 または高リスクリンパ節陰性疾患(T2、 または3、 N0) と診断された以下の基準に当てはまる患者

休薬基準

投与当日の好中球数<2,000/mm³なら投与延期

主な有害事象

Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 8.1%
  • 好中球減少 6.9%
  • 白血球減少症 3.1%
  • AST / ALTの上昇 0.4%
  • 下痢 1.9%
  • 悪心 1.2%
  • 嘔吐 0.8%
  • 便秘 0.4%

関連する臨床試験①|N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71²⁾

乳がんの術後療法において、 毎週または 3 週間ごとに投与される 2 つの異なるタキサン、 ドセタキセルとパクリタキセルの有効性を比較するための試験。 主要評価項目は無病生存率 (DFS)とされた。 

N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71.

関連する臨床試験②|第Ⅲ相試験³⁾

アルキル化薬を含む化学療法歴のある転移性乳癌患者において、 ドセタキセルの効果とドキソルビシンの効果を検証した第Ⅲ相無作為化比較試験の結果より、  ドセタキセルが高い奏効率 (ORR) を示したものの、 無増悪期間 (TTP) 、 治療成功期間 (TTF) 、 全生存期間 (OS) の有意な延長は認められなかった。

>>臨床試験の詳細を見る

TTP (中央値)

  • ドセタキセル群:26週
  • ドキソルビシン群:21週
log-rank検定 p=0.4506、 Wilcoxon検定 p=0.0996

TTF (中央値)

  • ドセタキセル群:22週
  • ドキソルビシン群:18週
log-rank検定 p=0.1017、 Wilcoxon検定 p=0.0137

OS (中央値)

  • ドセタキセル群:15ヵ月
  • ドキソルビシン群:14ヵ月
log-rank検定 p=0.3893、 Wilcoxon検定 p=0.4109

ORR

  • ドセタキセル群:47.8%
  • ドキソルビシン群:33.3%
p=0.008

ORRのサブグループ解析

ドセタキセル群は、 ほぼ全てのサブグループでドキソルビシン群よりも高い奏効率を示した。 特に肝浸潤やアルキル化薬に対する抵抗性を示した患者において顕著にみられた。

特徴と注意点

  • 臨床試験は100mg/m²で行われているが、 本邦の保険適応は通常60mg/m²、 1回最高用量75mg/m²である¹⁾。
  • 術前・術後補助化学療法は4コース投与する。
  • ドセタキセルおよび溶解補助剤のポリソルベート80による過敏症に注意する。
  • ドセタキセルの各製剤によってアルコール含有の有無、 および含有量が異なるため、 採用されいている製剤をよく確認する必要がある。
  • 総投与量が300~400mg/m²に達すると浮腫の頻度が上昇するため、 前投与としてのデキサメタゾンに加え、 浮腫予防としてデキサメタゾン8mgを2~4日間内服することもある。
  • 関節痛・筋肉痛は投与後24~48時間で好発し、 3~5日間で軽快することが多い。 NSAIDs等適切な鎮痛薬で対処する。

参考文献

  1. Comparison of an AC-taxane versus AC-free regimen and paclitaxel versus docetaxel in patients with lymph node-positive breast cancer: Final results of the National Surgical Adjuvant Study of Breast Cancer 02 trial, a randomized comparative phase 3 study. Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768. PMID:28081304
  2. Weekly paclitaxel in the adjuvant treatment of breast cancer. N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71.PMID: 18420499
  3. Prospective randomized trial of docetaxel versus doxorubicin in patients with metastatic breast cancer. J Clin Oncol. 1999 Aug;17(8):2341-54. PMID: 10561296
最終更新日:2023年10月19日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ドセタキセル (ワンタキソテール ®)
2024年03月05日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

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ワンタキソテール ® (添付文書)

用法用量 (1コース3週間 or 4週間)

前投薬

軽度催吐性リスクのため、 デキサメタゾン注を6.6mg前投与する。 

投与開始基準

Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768試験¹⁾より抜粋

18歳以上で組織学的にリンパ節を伴う手術可能と組織学的に確認されたIIA、 IIB、 またはIIIA期の乳腺癌 (T1、 2、 または3、 N1、 2、 M0) 、 または高リスクリンパ節陰性疾患(T2、 または3、 N0) と診断された以下の基準に当てはまる患者

休薬基準

投与当日の好中球数<2,000/mm³なら投与延期

主な有害事象

Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 8.1%
  • 好中球減少 6.9%
  • 白血球減少症 3.1%
  • AST / ALTの上昇 0.4%
  • 下痢 1.9%
  • 悪心 1.2%
  • 嘔吐 0.8%
  • 便秘 0.4%

関連する臨床試験①|N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71²⁾

乳がんの術後療法において、 毎週または 3 週間ごとに投与される 2 つの異なるタキサン、 ドセタキセルとパクリタキセルの有効性を比較するための試験。 主要評価項目は無病生存率 (DFS)とされた。 

N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71.

関連する臨床試験②|第Ⅲ相試験³⁾

アルキル化薬を含む化学療法歴のある転移性乳癌患者において、 ドセタキセルの効果とドキソルビシンの効果を検証した第Ⅲ相無作為化比較試験の結果より、  ドセタキセルが高い奏効率 (ORR) を示したものの、 無増悪期間 (TTP) 、 治療成功期間 (TTF) 、 全生存期間 (OS) の有意な延長は認められなかった。

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TTP (中央値)

  • ドセタキセル群:26週
  • ドキソルビシン群:21週
log-rank検定 p=0.4506、 Wilcoxon検定 p=0.0996

TTF (中央値)

  • ドセタキセル群:22週
  • ドキソルビシン群:18週
log-rank検定 p=0.1017、 Wilcoxon検定 p=0.0137

OS (中央値)

  • ドセタキセル群:15ヵ月
  • ドキソルビシン群:14ヵ月
log-rank検定 p=0.3893、 Wilcoxon検定 p=0.4109

ORR

  • ドセタキセル群:47.8%
  • ドキソルビシン群:33.3%
p=0.008

ORRのサブグループ解析

ドセタキセル群は、 ほぼ全てのサブグループでドキソルビシン群よりも高い奏効率を示した。 特に肝浸潤やアルキル化薬に対する抵抗性を示した患者において顕著にみられた。

特徴と注意点

  • 臨床試験は100mg/m²で行われているが、 本邦の保険適応は通常60mg/m²、 1回最高用量75mg/m²である¹⁾。
  • 術前・術後補助化学療法は4コース投与する。
  • ドセタキセルおよび溶解補助剤のポリソルベート80による過敏症に注意する。
  • ドセタキセルの各製剤によってアルコール含有の有無、 および含有量が異なるため、 採用されいている製剤をよく確認する必要がある。
  • 総投与量が300~400mg/m²に達すると浮腫の頻度が上昇するため、 前投与としてのデキサメタゾンに加え、 浮腫予防としてデキサメタゾン8mgを2~4日間内服することもある。
  • 関節痛・筋肉痛は投与後24~48時間で好発し、 3~5日間で軽快することが多い。 NSAIDs等適切な鎮痛薬で対処する。

参考文献

  1. Comparison of an AC-taxane versus AC-free regimen and paclitaxel versus docetaxel in patients with lymph node-positive breast cancer: Final results of the National Surgical Adjuvant Study of Breast Cancer 02 trial, a randomized comparative phase 3 study. Cancer. 2017 Mar 1;123(5):759-768. PMID:28081304
  2. Weekly paclitaxel in the adjuvant treatment of breast cancer. N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71.PMID: 18420499
  3. Prospective randomized trial of docetaxel versus doxorubicin in patients with metastatic breast cancer. J Clin Oncol. 1999 Aug;17(8):2341-54. PMID: 10561296
最終更新日:2023年10月19日
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執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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