概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*中外製薬の外部サイトへ遷移します

用法用量

前投薬

中程度催吐性リスクのためデキサメタゾン、 5HT3受容体拮抗薬を前投薬で使用

投与開始基準

BCIRG006試験¹⁾より抜粋

18~70歳で、 HER2+、 浸潤性、 高リスク、 リンパ節陰性またはリンパ節転移陽性乳癌と診断された以下に該当する患者

主な有害事象

BCIRG-006試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 倦怠感 7.2%
  • 口内炎 1.4%
  • 下痢 5.4%
  • 悪心 4.8%
  • 嘔吐 3.5%
  • 好中球数減少 65.9%
  • 白血球数減少 48.2%
  • 発熱性好中球減少症 9.6%
  • 貧血 5.8%
  • 血小板数減少 6.1%

特徴と注意点

  • HER2陽性早期乳癌の術後化学療法に用いられる。
  • アントラサイクリン系薬剤が禁忌の患者に使用可能。
  • 3週間ごと、 6コース。
  • トラスツズマブは初回投与は90分、 2回目以降は忍容性良好であれば30分まで投与時間の短縮が可能。
  • トラスツズマブの投与が予定日より遅れた場合、 投与予定日から1週間以内の遅れであれば6mg/kgで投与。 投与予定日より1週間を超えた後に投与する場合は8mg/kgに再ローディングし、 以降は6mg/kgで投与する。
  • ドセタキセルについては溶解剤にアルコールが含まれる、 またはアルコール含有のプレミックス製剤を使用する場合は、 アルコール過敏症の確認が必要。 必要に応じてアルコール含有しない溶解剤を使用。
  • カルボプラチンの投与量算出にはカルバート式を用いる。
  • 主な有害事象はInfusion reaction、 皮疹、 心機能低下、 浮腫、 骨髄抑制である。
  • 投与開始前に心機能検査 (心エコー等) を必ず実施し、 左室駆出率 (LVEF) を含む心機能を確認する。
  • Infusion reactionはトラスツズマブ投与中または投与開始後24時間以内に多く報告されている。
  • ドセタキセル総投与量が増えるにつれ浮腫の発現頻度が高くなるため、 利尿剤を適宜使用する。 また、 浮腫予防として点滴翌日から2日間ステロイドを内服。
  • ドセタキセルの好中球減少は比較的早く、 1週間程度でnadiaとなるため早めの感染予防行動を指導。
  • 皮疹に対して予防的に保湿剤を使用する。
  • ドセタキセルは起壊死性抗癌薬のため、 血管外漏出に注意。

関連する臨床試験|BCIRG-006試験¹⁾

HER2陽性の早期乳癌患者において、 術後療法へのトラスツズマブ上乗せ効果を検証した第III相ランダム化比較試験BCIRG-006の結果より、 リンパ節転移の状態 (陰性/陽性)、 ホルモン受容体の結果 (陰性/陽性)、 腫瘍の大きさ (≦2cm/>2cm) に関わらずDFS率およびOS率に対するトラスツズマブを含むレジメンの有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

DFS率 (5年時)

  • AC-T群 : 75%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 84%
  • TCH群 : 81%

AC-T+トラスツズマブ群 vs AC-T群

HR 0.64、 p<0.001

TCH群 vs AC-T群

HR 0.75、 p=0.04

サブグループ解析

リンパ節転移陰性患者において、 5年DFS率はトラスツズマブ追加により有意に改善した。
  • AC-T群 : 85%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 93% (vs AC-T群 HR 0.47、 p=0.003)
  • TCH群 : 90% (vs AC-T群 HR 0.64、 p=0.06)
リンパ節転移陽性患者においても、 トラスツズマブは5年DFS率を有意に改善した。
  • AC-T群 : 71%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 80% (vs AC-T群 HR 0.68、 p<0.001)
  • TCH群 : 78% (vs AC-T群 HR 0.78、 p=0.01)
再発リスクが最も高いリンパ節転移陽性患者 (4個以上のリンパ節転移あり) において、 トラスツズマブの5年DFS率に対する有効性が認められた。
  • AC-T群 : 61%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 73% (vs AC-T群 HR 0.66、 p=0.0017)
  • TCH群 : 72% (vs AC-T群 HR 0.66、 p=0.0016)

OS率 (5年時)

  • AC-T群 : 87%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 92%
  • TCH群 : 91%

AC-T+トラスツズマブ群 vs AC-T群

HR 0.63、 p<0.001

TCH群 vs AC-T群

HR 0.77、 p=0.04

参考文献

  1. Adjuvant trastuzumab in HER2-positive breast cancer. N Engl J Med. 2011 Oct 6;365(14):1273-83. PMID: 21991949
最終更新日:2024年2月14日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

レジメン
Trastuzum+Docetaxel+Carboplatin (TCH)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Trastuzum+Docetaxel+Carboplatin (TCH)

トラスツズマブ+ドセタキセル+カルボプラチン
2024年02月14日更新
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用法用量

前投薬

中程度催吐性リスクのためデキサメタゾン、 5HT3受容体拮抗薬を前投薬で使用

投与開始基準

BCIRG006試験¹⁾より抜粋

18~70歳で、 HER2+、 浸潤性、 高リスク、 リンパ節陰性またはリンパ節転移陽性乳癌と診断された以下に該当する患者

主な有害事象

BCIRG-006試験¹⁾

Grade3~4の有害事象データを一部引用

主な有害事象

  • 倦怠感 7.2%
  • 口内炎 1.4%
  • 下痢 5.4%
  • 悪心 4.8%
  • 嘔吐 3.5%
  • 好中球数減少 65.9%
  • 白血球数減少 48.2%
  • 発熱性好中球減少症 9.6%
  • 貧血 5.8%
  • 血小板数減少 6.1%

特徴と注意点

  • HER2陽性早期乳癌の術後化学療法に用いられる。
  • アントラサイクリン系薬剤が禁忌の患者に使用可能。
  • 3週間ごと、 6コース。
  • トラスツズマブは初回投与は90分、 2回目以降は忍容性良好であれば30分まで投与時間の短縮が可能。
  • トラスツズマブの投与が予定日より遅れた場合、 投与予定日から1週間以内の遅れであれば6mg/kgで投与。 投与予定日より1週間を超えた後に投与する場合は8mg/kgに再ローディングし、 以降は6mg/kgで投与する。
  • ドセタキセルについては溶解剤にアルコールが含まれる、 またはアルコール含有のプレミックス製剤を使用する場合は、 アルコール過敏症の確認が必要。 必要に応じてアルコール含有しない溶解剤を使用。
  • カルボプラチンの投与量算出にはカルバート式を用いる。
  • 主な有害事象はInfusion reaction、 皮疹、 心機能低下、 浮腫、 骨髄抑制である。
  • 投与開始前に心機能検査 (心エコー等) を必ず実施し、 左室駆出率 (LVEF) を含む心機能を確認する。
  • Infusion reactionはトラスツズマブ投与中または投与開始後24時間以内に多く報告されている。
  • ドセタキセル総投与量が増えるにつれ浮腫の発現頻度が高くなるため、 利尿剤を適宜使用する。 また、 浮腫予防として点滴翌日から2日間ステロイドを内服。
  • ドセタキセルの好中球減少は比較的早く、 1週間程度でnadiaとなるため早めの感染予防行動を指導。
  • 皮疹に対して予防的に保湿剤を使用する。
  • ドセタキセルは起壊死性抗癌薬のため、 血管外漏出に注意。

関連する臨床試験|BCIRG-006試験¹⁾

HER2陽性の早期乳癌患者において、 術後療法へのトラスツズマブ上乗せ効果を検証した第III相ランダム化比較試験BCIRG-006の結果より、 リンパ節転移の状態 (陰性/陽性)、 ホルモン受容体の結果 (陰性/陽性)、 腫瘍の大きさ (≦2cm/>2cm) に関わらずDFS率およびOS率に対するトラスツズマブを含むレジメンの有効性が示された。

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DFS率 (5年時)

  • AC-T群 : 75%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 84%
  • TCH群 : 81%

AC-T+トラスツズマブ群 vs AC-T群

HR 0.64、 p<0.001

TCH群 vs AC-T群

HR 0.75、 p=0.04

サブグループ解析

リンパ節転移陰性患者において、 5年DFS率はトラスツズマブ追加により有意に改善した。
  • AC-T群 : 85%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 93% (vs AC-T群 HR 0.47、 p=0.003)
  • TCH群 : 90% (vs AC-T群 HR 0.64、 p=0.06)
リンパ節転移陽性患者においても、 トラスツズマブは5年DFS率を有意に改善した。
  • AC-T群 : 71%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 80% (vs AC-T群 HR 0.68、 p<0.001)
  • TCH群 : 78% (vs AC-T群 HR 0.78、 p=0.01)
再発リスクが最も高いリンパ節転移陽性患者 (4個以上のリンパ節転移あり) において、 トラスツズマブの5年DFS率に対する有効性が認められた。
  • AC-T群 : 61%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 73% (vs AC-T群 HR 0.66、 p=0.0017)
  • TCH群 : 72% (vs AC-T群 HR 0.66、 p=0.0016)

OS率 (5年時)

  • AC-T群 : 87%
  • AC-T+トラスツズマブ群 : 92%
  • TCH群 : 91%

AC-T+トラスツズマブ群 vs AC-T群

HR 0.63、 p<0.001

TCH群 vs AC-T群

HR 0.77、 p=0.04

参考文献

  1. Adjuvant trastuzumab in HER2-positive breast cancer. N Engl J Med. 2011 Oct 6;365(14):1273-83. PMID: 21991949
最終更新日:2024年2月14日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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