治療スケジュール
概要
監修医師

Pembrolizumab (術前):ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)

投与量コース投与日
200mg/body (3週間間隔)1~2Day 1
400mg/body (6週間間隔)1Day 1

Pembrolizumab (術後):ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)

投与量コース投与日
200mg/body (3週間間隔)1~15Day 1
400mg/body (6週間間隔)1~8Day 1

CDDP (術後・高リスクのみ):シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~3Day 1
レジメン
Pembrolizumab (KEYNOTE-689)
2026年2月19日、 「局所進行頭頸部癌における術前・術後補助療法」 について承認を取得した。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

キイトルーダ® (ペムブロリズマブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾

*MSD株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】最小度 (CDDP併用は高リスク) 
【FN発症】低リスク*
KEYNOTE-689試験 (術後補助療法期) のFN発生率0.7%²⁾を基に編集部が分類

術前 : ペムブロリズマブ単剤療法

術後 (低リスク) : 放射線療法併用

術後 (高リスク†) : 放射線療法、 CDDP併用

†手術検体の断端陽性 (1mm未満)、 又はリンパ節外浸潤陽性 (扁平上皮癌細胞がリンパ節内から線維膜を通過して周囲結合組織へ浸潤することと定義)。
放射線療法は、 高リスク患者では66Gy/33回、 低リスク患者では60Gy/30回、 肉眼的残存病変を有する患者では70Gy/35回照射する。

ペムブロリズマブ : 200mgを30分かけて点滴静注し、 3週間ごとにDay 1に投与 (術前2コース、 術後15コース、 計約1年間)

6週間ごとに400mgで投与する場合、 術前薬物療法は1回まで、 術後薬物療法は8回まで 

シスプラチン (CDDP) : 100mg/m²を60分かけて点滴静注し、 3週間ごとにDay 1に投与 (術後3コースのみ)

KEYNOTE-689試験³⁾で用いられた投与方法の一例

Key Data|臨床試験結果

📊 KEYNOTE-689試験

N Engl J Med. 2025;393(1):37-50.

新規診断の切除可能なStage III/IVA局所進行頭頸部扁平上皮癌の未治療患者を対象とした第III相無作為化比較試験。 介入群 (ペムブロリズマブによる術前補助療法、 手術、 ペムブロリズマブ+標準療法による術後補助療法) 363例と、 対照群 (術前療法なし、 手術、 標準療法による術後補助療法) 351例を比較した。 主要評価項目は全患者、 CPS≧1患者、 CPS≧10患者における無イベント生存期間 (EFS) とされた。

【有効性】ペムブロリズマブ群 (vs 対照群)

- EFS中央値 (CPS≧10)

  • 59.7ヵ月 (vs 26.9ヵ月)
  • HR 0.66 (95%CI 0.49–0.88、 p=0.004)

- EFS中央値 (CPS≧1)

  • 59.7ヵ月 (vs 29.6ヵ月)
  • HR 0.70 (95%CI 0.55–0.89、 p=0.003)

- EFS中央値 (全体集団)

  • 51.8ヵ月 (vs 30.4ヵ月)
  • HR 0.73 (95%CI 0.58–0.92、 p=0.008)

- 病理学的奏効率 9.4% (vs 0%)

  • 差 9.3% (95%CI 6.7–12.8、 p<0.001)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 放射線皮膚損傷 39.3% (4.2%)

- 口内炎 38.8% (11.6%)

- 甲状腺機能低下症 19.4% (0%)

- 疲労 18.0% (0.8%)

- 悪心 17.7% (1.4%)

- 口腔乾燥 17.5% (0.8%)

- 味覚異常 12.7% (0%)

- 好中球数減少 11.6% (5.3%)

- リンパ球数減少 11.4% (5.5%)

- 嘔吐 10.8% (0.3%)

- 白血球数減少 10.8% (3.6%)

- 嚥下障害 10.2% (2.8%)

- 体重減少 9.7% (3.0%)

- 貧血 8.9% (2.2%)

- 食欲減退 8.3% (1.1%)

- そう痒症 8.0% (0.6%)

- 発疹 8.0% (0.3%)

- 甲状腺機能亢進症 7.5% (0%)

- ALT増加 6.4% (1.4%)

- 下痢 6.4% (0.8%)

- 口腔カンジダ症 6.4% (0%)

- 皮膚炎 5.8% (0.3%)

- 嚥下痛 5.8% (0.6%)

- AST増加 5.5% (0.3%)

- 無力症 5.3% (0.3%)

- 口腔痛 5.3% (0%)

- 肺臓炎 5.3% (1.4%)

- 血中クレアチニン増加 4.4% (0.6%)

- 咽頭炎 4.2% (0%)

- 血小板数減少 3.9% (0.8%)

各プロトコル

適格基準

KEYNOTE-689試験³⁾の主な適格基準

- Stage III (中咽頭・p16陽性でT4, N0–N2, M0、 または中咽頭・p16陰性) またはStage IVA (中咽頭・p16陰性、 または喉頭/下咽頭/口腔) の局所進行頭頸部扁平上皮癌

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1500/μL

- 血小板数≧100,000/μL

- Hb≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl≧60mL/min

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

用量レベル

KEYNOTE-689試験³⁾では、 術後補助療法におけるCDDPの用量レベルは以下のとおり設定された。 ペムブロリズマブは固定量投与のため減量規定はない。

KEYNOTE-689試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

ペムブロリズマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

CDDP⁴⁾ : 重篤な腎障害例への投与は禁忌

KEYNOTE-689試験の適格基準はCrCl≧60mL/minであり注意

- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない

- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ペムブロリズマブ :

キイトルーダ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

CDDP :

KEYNOTE-689試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️KEYNOTE-689試験の結果、 頭頸部扁平上皮癌でも術前治療を含むレジメンによる周術期治療の有効性が示された。 RTOG9501試験およびEORTC22931試験で再発高リスク例に対する術後化学放射線療法の有用性が示されて以来、 約20年ぶりに新たな周術期治療のエビデンスが確立したことになる。 本エビデンスの対象は 「口腔・中咽頭・下咽頭・喉頭を原発とする扁平上皮癌」 である。 p16陽性中咽頭癌は 「T4N0–2のステージIII」 が対象である点に留意する必要がある。 また、 周術期治療は術後再発リスクにかかわらず、 術前ペムブロリズマブ療法に加えて、 術後 (化学) 放射線療法とペムブロリズマブ併用も一連の治療に含まれる点に注意が必要である。 なお、 KEYNOTE-689試験ではCPS陰性 (CPS<1) 例の登録割合は全体の約4.5%にとどまる。 サブグループ解析でも、 CPS陰性例における周術期ペムブロリズマブ療法の効果は乏しい傾向が示されており、 本治療の適用は慎重に検討すべきである。 さらに、 本邦で多い下咽頭原発の扁平上皮癌でも効果が乏しい可能性がサブグループ解析で示されているが、 下咽頭の登録割合は全体の7.6%に過ぎず、 解釈には注意を要する。 
国立がん研究センター中央病院 本間義崇先生

作用機序の特徴

ペムブロリズマブは、 T細胞上のPD-1受容体に結合し、 腫瘍細胞上のPD-L1およびPD-L2との結合を阻害することで、 PD-1経路を介した抗腫瘍免疫応答の抑制を解除し、 T細胞の活性化を促進する。

PD-L1発現率ごとの有効性

KEYNOTE-689試験の事後解析であるが、 承認時の評価資料としてPD-L1発現別のEFSサブグループ解析結果が報告されており、 ペムブロリズマブの有効性はPD-L1発現 (CPS) によって異なる傾向が示唆されている¹⁾。

キイトルーダ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

レジメン適用時の注意事項

免疫関連有害事象 : T細胞活性化により、 多様な免疫関連有害事象が発現することがある。 異常時は鑑別診断を行い、 必要に応じて副腎皮質ホルモンを投与する。 本剤終了後も発現しうるため、 継続的に観察を行う。

間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳などに注意し、 胸部X線、 必要に応じてCTや血清マーカーを実施する。

内分泌障害 : 甲状腺・下垂体・副腎機能低下が起こりうるため、 TSH、 FT3、 FT4、 ACTH、 コルチゾールなどを定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。

肝障害 : 劇症肝炎、 肝不全、 硬化性胆管炎などが報告されており、 特にアキシチニブ併用時は肝機能検査を頻回に実施し観察する。

1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖上昇に注意し、 血糖モニタリングを行う。

腎障害 : 腎機能を定期的に検査し、 状態を観察する。

筋障害 : 筋炎や横紋筋融解症に注意し、 筋力低下、 筋痛、 CKやミオグロビンの上昇を観察する。

重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害などを観察する。

心筋炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常に注意し、 状態を観察する。

眼障害 : ぶどう膜炎などの重篤な障害に注意し、 定期的な眼の確認を行う。 異常時は速やかに受診を促す。

RMP【重要な特定されたリスク】

キイトルーダ®RMP : 医薬品リスク管理計画書

- 間質性肺疾患

- 大腸炎、 小腸炎、 重度の下痢

- 劇症肝炎、 肝不全、 肝機能障害、 肝炎、 硬化性胆管炎

- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎、 糸球体腎炎等)

- 内分泌障害 (垂体機能低下症、 副腎皮質機能不全、 甲状腺機能障害、 1型糖尿病)

- 1型糖尿病

- 筋炎、 横紋筋融解症

- 重症筋無力症

- 心筋炎

- 脳炎、 髄膜炎、 脊髄炎

- 重度の皮膚障害

- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)

- 膵炎・膵外分泌機能不全

- Infusion reaction

- 臓器移植歴 (造血幹細胞移植歴を含む) のある患者への使用

- 結核

出典

1) キイトルーダ®点滴静注100mg 電子添文 (2026年2月改訂 第26版)

2) キイトルーダ®点滴静注100mg 適正使用ガイド (2025年10月作成)

3) N Engl J Med. 2025;393(1):37-50.

4) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.

最終更新日 : 2026年2月23日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
執筆協力 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇
監修 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 加藤健

レジメン
Pembrolizumab (KEYNOTE-689)
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
Pembrolizumab (KEYNOTE-689)
レジメン
Pembrolizumab (KEYNOTE-689)

Pembrolizumab (KEYNOTE-689)

ペムブロリズマブ (キイトルーダ®)
頭頸部扁平上皮癌 (口腔・中咽頭・喉頭・下咽頭) > 周術期
2026年02月23日更新

Pembrolizumab (術前):ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)

投与量コース投与日
200mg/body (3週間間隔)1~2Day 1
400mg/body (6週間間隔)1Day 1

Pembrolizumab (術後):ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)

投与量コース投与日
200mg/body (3週間間隔)1~15Day 1
400mg/body (6週間間隔)1~8Day 1

CDDP (術後・高リスクのみ):シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~3Day 1

概要

2026年2月19日、 「局所進行頭頸部癌における術前・術後補助療法」 について承認を取得した。
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

キイトルーダ® (ペムブロリズマブ)

添付文書¹⁾ / 適正使用情報²⁾

*MSD株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】最小度 (CDDP併用は高リスク) 
【FN発症】低リスク*
KEYNOTE-689試験 (術後補助療法期) のFN発生率0.7%²⁾を基に編集部が分類

術前 : ペムブロリズマブ単剤療法

術後 (低リスク) : 放射線療法併用

術後 (高リスク†) : 放射線療法、 CDDP併用

†手術検体の断端陽性 (1mm未満)、 又はリンパ節外浸潤陽性 (扁平上皮癌細胞がリンパ節内から線維膜を通過して周囲結合組織へ浸潤することと定義)。
放射線療法は、 高リスク患者では66Gy/33回、 低リスク患者では60Gy/30回、 肉眼的残存病変を有する患者では70Gy/35回照射する。

ペムブロリズマブ : 200mgを30分かけて点滴静注し、 3週間ごとにDay 1に投与 (術前2コース、 術後15コース、 計約1年間)

6週間ごとに400mgで投与する場合、 術前薬物療法は1回まで、 術後薬物療法は8回まで 

シスプラチン (CDDP) : 100mg/m²を60分かけて点滴静注し、 3週間ごとにDay 1に投与 (術後3コースのみ)

KEYNOTE-689試験³⁾で用いられた投与方法の一例

Key Data|臨床試験結果

📊 KEYNOTE-689試験

N Engl J Med. 2025;393(1):37-50.

新規診断の切除可能なStage III/IVA局所進行頭頸部扁平上皮癌の未治療患者を対象とした第III相無作為化比較試験。 介入群 (ペムブロリズマブによる術前補助療法、 手術、 ペムブロリズマブ+標準療法による術後補助療法) 363例と、 対照群 (術前療法なし、 手術、 標準療法による術後補助療法) 351例を比較した。 主要評価項目は全患者、 CPS≧1患者、 CPS≧10患者における無イベント生存期間 (EFS) とされた。

【有効性】ペムブロリズマブ群 (vs 対照群)

- EFS中央値 (CPS≧10)

  • 59.7ヵ月 (vs 26.9ヵ月)
  • HR 0.66 (95%CI 0.49–0.88、 p=0.004)

- EFS中央値 (CPS≧1)

  • 59.7ヵ月 (vs 29.6ヵ月)
  • HR 0.70 (95%CI 0.55–0.89、 p=0.003)

- EFS中央値 (全体集団)

  • 51.8ヵ月 (vs 30.4ヵ月)
  • HR 0.73 (95%CI 0.58–0.92、 p=0.008)

- 病理学的奏効率 9.4% (vs 0%)

  • 差 9.3% (95%CI 6.7–12.8、 p<0.001)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 放射線皮膚損傷 39.3% (4.2%)

- 口内炎 38.8% (11.6%)

- 甲状腺機能低下症 19.4% (0%)

- 疲労 18.0% (0.8%)

- 悪心 17.7% (1.4%)

- 口腔乾燥 17.5% (0.8%)

- 味覚異常 12.7% (0%)

- 好中球数減少 11.6% (5.3%)

- リンパ球数減少 11.4% (5.5%)

- 嘔吐 10.8% (0.3%)

- 白血球数減少 10.8% (3.6%)

- 嚥下障害 10.2% (2.8%)

- 体重減少 9.7% (3.0%)

- 貧血 8.9% (2.2%)

- 食欲減退 8.3% (1.1%)

- そう痒症 8.0% (0.6%)

- 発疹 8.0% (0.3%)

- 甲状腺機能亢進症 7.5% (0%)

- ALT増加 6.4% (1.4%)

- 下痢 6.4% (0.8%)

- 口腔カンジダ症 6.4% (0%)

- 皮膚炎 5.8% (0.3%)

- 嚥下痛 5.8% (0.6%)

- AST増加 5.5% (0.3%)

- 無力症 5.3% (0.3%)

- 口腔痛 5.3% (0%)

- 肺臓炎 5.3% (1.4%)

- 血中クレアチニン増加 4.4% (0.6%)

- 咽頭炎 4.2% (0%)

- 血小板数減少 3.9% (0.8%)

各プロトコル

適格基準

KEYNOTE-689試験³⁾の主な適格基準

- Stage III (中咽頭・p16陽性でT4, N0–N2, M0、 または中咽頭・p16陰性) またはStage IVA (中咽頭・p16陰性、 または喉頭/下咽頭/口腔) の局所進行頭頸部扁平上皮癌

- ECOG PS 0–1

- 好中球数≧1500/μL

- 血小板数≧100,000/μL

- Hb≧9.0g/dL

- 腎機能 : CrCl≧60mL/min

- 肝機能 : T-Bil≦1.5×ULN、 AST/ALT≦2.5×ULN

用量レベル

KEYNOTE-689試験³⁾では、 術後補助療法におけるCDDPの用量レベルは以下のとおり設定された。 ペムブロリズマブは固定量投与のため減量規定はない。

KEYNOTE-689試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

ペムブロリズマブ : 抗体薬は多様な細胞でのエンドサイトーシスとリソソーム分解により消失するため、 一般に減量は不要と考えられる。

編集部の見解

CDDP⁴⁾ : 重篤な腎障害例への投与は禁忌

KEYNOTE-689試験の適格基準はCrCl≧60mL/minであり注意

- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない

- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

ペムブロリズマブ :

キイトルーダ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

CDDP :

KEYNOTE-689試験³⁾のプロトコルを基に編集部作成

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️KEYNOTE-689試験の結果、 頭頸部扁平上皮癌でも術前治療を含むレジメンによる周術期治療の有効性が示された。 RTOG9501試験およびEORTC22931試験で再発高リスク例に対する術後化学放射線療法の有用性が示されて以来、 約20年ぶりに新たな周術期治療のエビデンスが確立したことになる。 本エビデンスの対象は 「口腔・中咽頭・下咽頭・喉頭を原発とする扁平上皮癌」 である。 p16陽性中咽頭癌は 「T4N0–2のステージIII」 が対象である点に留意する必要がある。 また、 周術期治療は術後再発リスクにかかわらず、 術前ペムブロリズマブ療法に加えて、 術後 (化学) 放射線療法とペムブロリズマブ併用も一連の治療に含まれる点に注意が必要である。 なお、 KEYNOTE-689試験ではCPS陰性 (CPS<1) 例の登録割合は全体の約4.5%にとどまる。 サブグループ解析でも、 CPS陰性例における周術期ペムブロリズマブ療法の効果は乏しい傾向が示されており、 本治療の適用は慎重に検討すべきである。 さらに、 本邦で多い下咽頭原発の扁平上皮癌でも効果が乏しい可能性がサブグループ解析で示されているが、 下咽頭の登録割合は全体の7.6%に過ぎず、 解釈には注意を要する。 
国立がん研究センター中央病院 本間義崇先生

作用機序の特徴

ペムブロリズマブは、 T細胞上のPD-1受容体に結合し、 腫瘍細胞上のPD-L1およびPD-L2との結合を阻害することで、 PD-1経路を介した抗腫瘍免疫応答の抑制を解除し、 T細胞の活性化を促進する。

PD-L1発現率ごとの有効性

KEYNOTE-689試験の事後解析であるが、 承認時の評価資料としてPD-L1発現別のEFSサブグループ解析結果が報告されており、 ペムブロリズマブの有効性はPD-L1発現 (CPS) によって異なる傾向が示唆されている¹⁾。

キイトルーダ®電子添文情報¹⁾を基に編集部作成

レジメン適用時の注意事項

免疫関連有害事象 : T細胞活性化により、 多様な免疫関連有害事象が発現することがある。 異常時は鑑別診断を行い、 必要に応じて副腎皮質ホルモンを投与する。 本剤終了後も発現しうるため、 継続的に観察を行う。

間質性肺疾患 : 息切れ・呼吸困難・咳などに注意し、 胸部X線、 必要に応じてCTや血清マーカーを実施する。

内分泌障害 : 甲状腺・下垂体・副腎機能低下が起こりうるため、 TSH、 FT3、 FT4、 ACTH、 コルチゾールなどを定期的に測定し、 必要に応じて画像検査を行う。

肝障害 : 劇症肝炎、 肝不全、 硬化性胆管炎などが報告されており、 特にアキシチニブ併用時は肝機能検査を頻回に実施し観察する。

1型糖尿病 : 口渇、 悪心、 嘔吐、 血糖上昇に注意し、 血糖モニタリングを行う。

腎障害 : 腎機能を定期的に検査し、 状態を観察する。

筋障害 : 筋炎や横紋筋融解症に注意し、 筋力低下、 筋痛、 CKやミオグロビンの上昇を観察する。

重症筋無力症 : 筋力低下、 眼瞼下垂、 呼吸困難、 嚥下障害などを観察する。

心筋炎 : 胸痛、 CK上昇、 心電図異常に注意し、 状態を観察する。

眼障害 : ぶどう膜炎などの重篤な障害に注意し、 定期的な眼の確認を行う。 異常時は速やかに受診を促す。

RMP【重要な特定されたリスク】

キイトルーダ®RMP : 医薬品リスク管理計画書

- 間質性肺疾患

- 大腸炎、 小腸炎、 重度の下痢

- 劇症肝炎、 肝不全、 肝機能障害、 肝炎、 硬化性胆管炎

- 腎機能障害 (尿細管間質性腎炎、 糸球体腎炎等)

- 内分泌障害 (垂体機能低下症、 副腎皮質機能不全、 甲状腺機能障害、 1型糖尿病)

- 1型糖尿病

- 筋炎、 横紋筋融解症

- 重症筋無力症

- 心筋炎

- 脳炎、 髄膜炎、 脊髄炎

- 重度の皮膚障害

- 神経障害 (ギラン・バレー症候群等)

- 膵炎・膵外分泌機能不全

- Infusion reaction

- 臓器移植歴 (造血幹細胞移植歴を含む) のある患者への使用

- 結核

出典

1) キイトルーダ®点滴静注100mg 電子添文 (2026年2月改訂 第26版)

2) キイトルーダ®点滴静注100mg 適正使用ガイド (2025年10月作成)

3) N Engl J Med. 2025;393(1):37-50.

4) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.

最終更新日 : 2026年2月23日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
執筆協力 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇
監修 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 加藤健

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(頭頸部)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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