治療スケジュール
概要
監修医師

Efanesoctocog Alfa:エフアネソクトコグアルファ(オルツビーオ®)

投与量コース投与日
(出血時) 50国際単位/kg-単回投与 (追加投与可能)
(定期投与) 50国際単位/kg-1、 8、 15、・・・ (週1回)

前投薬

なし.

その他

先天性血友病Aに対する内因性VWF非依存型の遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤.
50国際単位/kgを単回投与.
①出血時、 ②出血時の投与後に定期的な投与を実施する場合、 ③周術期の投与量は概要欄を参照.
レジメン
Efanesoctocog Alfa
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

オルツビーオ® (添付文書/総合製品情報概要*)

血液凝固第8因子 エフアネソクトコグアルファ
*サノフィ株式会社の外部サイトに遷移します.

主な有害事象

オルツビーオ®静注用添付文書より引用.

重大な副作用

  • ショック、 アナフィラキシー (頻度不明).
*蕁麻疹、 悪寒、 血管浮腫、 呼吸困難、 血圧低下、 頻脈などの症状が認められた場合、 投与中止し適切な処置を行う.

その他の副作用

  • 頭痛 (10%以上).
  • 嘔吐 (1%以上~10%未満).
  • 関節痛 (10%以上).
  • 四肢痛、 背部痛 (10%未満).
  • 発熱 (1%以上~10%未満).

特徴と注意点

はじめての内因性VWF (フォン・ヴィレブランド因子) 非依存型の遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤である。

半減期が長く週1回投与可能

  • 週1回で止血効果が期待できる (平均消失半減期: 全体 47.6時間、 日本人 52.2時間)
  • 予想した止血効果が得られない場合にはインヒビターの発生を疑い、 回収率やインヒビターの検査を行うなど適切な処置を行う。
  • 十分な血液凝固第VIII因子レベルに到達・維持していることを確認する (オルツビーオ®の血液凝固第Ⅷ因子活性測定について)*.
*サノフィ株式会社の外部サイトに遷移します.
体重1kg当たり1国際単位を投与することにより、 循環血漿中の血液凝固第VIII因子レベルが2% (2国際単位/dL) の上昇が見込まれる。

作用機序

遺伝子組換え血液凝固第VIII因子Fc-VWF-XTENポリペプチドの融合タンパク質 (rFVIIIFc-VWF-XTEN)

  • 従来の第VIII因子製剤は、 内因性VWFとの結合によって、 第VIII因子が安定化され、 クリアランスから保護される⼀⽅、 VWFが介在するクリアランスを受けるため、 その消失半減期は内因性VWFに依存する。
  • エフアネソクトコグ アルファはVWFのD′D3領域により分解から保護され安定性が増し、 内因性VWFの影響を受けず消失半減期が延長する.
  • またヒト免疫グロブリンG1のFc領域により、 胎児型Fc受容体と結合して血液中の免疫グロブリンのように再利用を受け、 さらにXTENポリペプチド部分により血中動態が変化することで、 血液凝固第Ⅷ因子活性が長時間維持される.
  • トロンビンによってエフアネソフトコグ アルファが活性化されると、 第Ⅷ因子とVWFのD´D3ドメイン間の相互作用が切断され、 D´D3-XTEN及びXTENポリペプチドが遊離され活性化rFVⅢFcが生成される.
  • 活性化したエフアネソフトコグ アルファは活性化第Ⅷ因子のように活性化第Ⅸ因子の補因子として働き、 プロトロンビンをトロンビンに変換させることによってフィブリン塊を形成させる.

用法・用量

①出血時の投与量及び投与間隔の目安

②出血時の投与後に定期的投与の実施

直近の出血治療を50国際単位で行ったとき

 72時間以上の間隔を空けて投与

直近の出血治療を30国際単位で行ったとき

 間隔を空けずに投与可

③周術期の投与量及び投与間隔の目安

関連する臨床試験の結果

XTEND-1試験¹⁾

国際共同、 多施設、 非無作為化、 非盲検、 並行群間試験 (第Ⅲ相試験)。  治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者を対象に、 定期補充療法としてのエフアネソフトコグ アルファの有効性、 安全性及び薬物動態を評価。 
  • 対象 : 治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者159例 (日本人12例を含む)
  • 投与方法 : ①定期補充療法群 : 定期補充療法として50 IU/kgを週1回、 最大52週間静脈内投与. ②移行群 : 出血時補充療法として50 IU/kgを26週間静脈内投与し、 その後は定期補充療法として50 IU/kgを週1回、 26週間静脈内投与
  • 有効性の主要評価項目 : 定期補充療法群における年間出血率
  • 有効性の重要な副次評価項目 : 定期補充療法群における、 年間出血率の患者内比較(エフアネソフトコグ アルファと既存の第VIII因子製剤の比較) (非劣性解析と優越性解析)

結果

  • 定期補充療法群における年間出血率 (平均値) は0.71 (95%CI 0.52-0.97)
  • 非劣性解析 : 定期補充療法群において、 エフアネソフトコグ アルファと既存の第Ⅷ因子製剤の年間出血率の差 (95%CI) は-2.30 (-3.49~-1.11)
  • 優越性解析 : 定期補充療法群で、エフアネソフトコグ アルファにおける年間出血率は、 既存の第Ⅷ因子製剤に比べて77%減少
IU/kg : 国際単位/kg

出典

1) N Engl J Med. 2023 Jan 26;388(4):310-318.

最終更新 : 2025年4月2日
執筆担当 : 小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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エフアネソクトコグ アルファ(オルツビーオ®)
2025年04月02日更新

Efanesoctocog Alfa:エフアネソクトコグアルファ(オルツビーオ®)

投与量コース投与日
(出血時) 50国際単位/kg-単回投与 (追加投与可能)
(定期投与) 50国際単位/kg-1、 8、 15、・・・ (週1回)

前投薬

なし.

その他

先天性血友病Aに対する内因性VWF非依存型の遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤.
50国際単位/kgを単回投与.
①出血時、 ②出血時の投与後に定期的な投与を実施する場合、 ③周術期の投与量は概要欄を参照.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

オルツビーオ® (添付文書/総合製品情報概要*)

血液凝固第8因子 エフアネソクトコグアルファ
*サノフィ株式会社の外部サイトに遷移します.

主な有害事象

オルツビーオ®静注用添付文書より引用.

重大な副作用

  • ショック、 アナフィラキシー (頻度不明).
*蕁麻疹、 悪寒、 血管浮腫、 呼吸困難、 血圧低下、 頻脈などの症状が認められた場合、 投与中止し適切な処置を行う.

その他の副作用

  • 頭痛 (10%以上).
  • 嘔吐 (1%以上~10%未満).
  • 関節痛 (10%以上).
  • 四肢痛、 背部痛 (10%未満).
  • 発熱 (1%以上~10%未満).

特徴と注意点

はじめての内因性VWF (フォン・ヴィレブランド因子) 非依存型の遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤である。

半減期が長く週1回投与可能

  • 週1回で止血効果が期待できる (平均消失半減期: 全体 47.6時間、 日本人 52.2時間)
  • 予想した止血効果が得られない場合にはインヒビターの発生を疑い、 回収率やインヒビターの検査を行うなど適切な処置を行う。
  • 十分な血液凝固第VIII因子レベルに到達・維持していることを確認する (オルツビーオ®の血液凝固第Ⅷ因子活性測定について)*.
*サノフィ株式会社の外部サイトに遷移します.
体重1kg当たり1国際単位を投与することにより、 循環血漿中の血液凝固第VIII因子レベルが2% (2国際単位/dL) の上昇が見込まれる。

作用機序

遺伝子組換え血液凝固第VIII因子Fc-VWF-XTENポリペプチドの融合タンパク質 (rFVIIIFc-VWF-XTEN)

  • 従来の第VIII因子製剤は、 内因性VWFとの結合によって、 第VIII因子が安定化され、 クリアランスから保護される⼀⽅、 VWFが介在するクリアランスを受けるため、 その消失半減期は内因性VWFに依存する。
  • エフアネソクトコグ アルファはVWFのD′D3領域により分解から保護され安定性が増し、 内因性VWFの影響を受けず消失半減期が延長する.
  • またヒト免疫グロブリンG1のFc領域により、 胎児型Fc受容体と結合して血液中の免疫グロブリンのように再利用を受け、 さらにXTENポリペプチド部分により血中動態が変化することで、 血液凝固第Ⅷ因子活性が長時間維持される.
  • トロンビンによってエフアネソフトコグ アルファが活性化されると、 第Ⅷ因子とVWFのD´D3ドメイン間の相互作用が切断され、 D´D3-XTEN及びXTENポリペプチドが遊離され活性化rFVⅢFcが生成される.
  • 活性化したエフアネソフトコグ アルファは活性化第Ⅷ因子のように活性化第Ⅸ因子の補因子として働き、 プロトロンビンをトロンビンに変換させることによってフィブリン塊を形成させる.

用法・用量

①出血時の投与量及び投与間隔の目安

②出血時の投与後に定期的投与の実施

直近の出血治療を50国際単位で行ったとき

 72時間以上の間隔を空けて投与

直近の出血治療を30国際単位で行ったとき

 間隔を空けずに投与可

③周術期の投与量及び投与間隔の目安

関連する臨床試験の結果

XTEND-1試験¹⁾

国際共同、 多施設、 非無作為化、 非盲検、 並行群間試験 (第Ⅲ相試験)。  治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者を対象に、 定期補充療法としてのエフアネソフトコグ アルファの有効性、 安全性及び薬物動態を評価。 
  • 対象 : 治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者159例 (日本人12例を含む)
  • 投与方法 : ①定期補充療法群 : 定期補充療法として50 IU/kgを週1回、 最大52週間静脈内投与. ②移行群 : 出血時補充療法として50 IU/kgを26週間静脈内投与し、 その後は定期補充療法として50 IU/kgを週1回、 26週間静脈内投与
  • 有効性の主要評価項目 : 定期補充療法群における年間出血率
  • 有効性の重要な副次評価項目 : 定期補充療法群における、 年間出血率の患者内比較(エフアネソフトコグ アルファと既存の第VIII因子製剤の比較) (非劣性解析と優越性解析)

結果

  • 定期補充療法群における年間出血率 (平均値) は0.71 (95%CI 0.52-0.97)
  • 非劣性解析 : 定期補充療法群において、 エフアネソフトコグ アルファと既存の第Ⅷ因子製剤の年間出血率の差 (95%CI) は-2.30 (-3.49~-1.11)
  • 優越性解析 : 定期補充療法群で、エフアネソフトコグ アルファにおける年間出血率は、 既存の第Ⅷ因子製剤に比べて77%減少
IU/kg : 国際単位/kg

出典

1) N Engl J Med. 2023 Jan 26;388(4):310-318.

最終更新 : 2025年4月2日
執筆担当 : 小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師 : 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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