電子添文¹⁾、 海外第Ⅲ相試験³⁾のプロトコル
1日1回1.4mg/m²を2~5分間かけて、 週1回静脈内投与。 これを2週連続で行い、 3週目は休薬。
■投与開始基準
下記基準を満たさない場合「投与延期」
■減量基準
前サイクルで以下を認めたら「1段階減量」し投与
✔ 7日間を超え継続する好中球減少 <500/mm³
✔ 発熱又は感染を伴う好中球減少<1,000/mm³
✔ 血小板減少 <2.5万/mm³
✔ 輸血を要する血小板減少 <5万/mm³
✔ 非血液毒性 ≧Grade3
✔ 副作用等により、 2週目に休薬した場合
■投与開始基準
下記基準を満たさない場合「投与延期」
■投与再開基準
投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たした場合、 「1段階減量」し投与
■休薬基準
投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たさない場合は「休薬」
エリブリンは進行性乳癌で使用されていたが2016年に"悪性軟部腫瘍"に適応追加となり、 使用可能となった。 パクリタキセル使用後の2次治療の候補としては、 他にドセタキセル、 パゾパニブ、 トラベクテジン等があるが、 これらの比較試験は存在せず患者の状態や既往歴、 合併症および薬剤の特性などから治療薬を選択する。
国内外の臨床試験³⁻⁵⁾では化学療法既治療の悪性軟部腫瘍患者が対象であったため、 未治療例における有効性及び安全性は確立しておらず1次治療としては推奨されない。
エリブリン1回1.4mg/m² (体表面積) を2~5分かけて静注する。 週1回投与を2週連続し、 1週休薬を1クールとして投与を繰り返す。 骨髄抑制が高頻度で見られるため、 電子添文にしたがって延期や休薬、 減量を検討する。 高齢者が多い血管肉腫で、 前治療の影響や骨髄機能の低下もあり、 延期や休薬を必要とすることが多い。 発熱性好中球減少や敗血症の報告もあり、 G-CSF製剤や抗生物質の使用を検討する。
海外の第Ⅲ相試験では平滑筋肉腫と脂肪肉腫を対象としており³⁾、 それ以前の海外の第Ⅱ相試験で類上皮血管内皮腫1例、 軟部血管肉腫2例⁴⁾、 国内第Ⅱ相試験⁵⁾では血管肉腫は含まれておらず、 適応追加前の臨床試験において皮膚血管肉腫の有効性や安全性は不明であった。
その後に実施された国内前向き観察研究⁶⁾では、 2次治療以降の25人で奏効率20%、 病勢制御率52%、 無増悪生存期間中央値3.0ヵ月、 全生存期間中央値8.6ヵ月と報告されている。 有害事象による減量が14人、 治療延期が11人、 治療中止が9人となっている。 副作用に注意は必要なものの2次治療以降の選択肢として有望な薬剤の一つである。
静脈注射する薬剤で前投薬も不要であるためタキサン系などの点滴製剤と比較して投与は簡便で患者負担は少ないものの、 血液毒性の有害事象が多くCTCAE Grade3以上の貧血が12%、 好中球減少が24%、 Grade4の発熱性好中球減少が12%であったと報告されている⁶⁾ 。 末梢神経障害の発現または悪化することも報告されており⁵⁾、 特にパクリタキセルによる末梢神経障害を合併している患者では症状の変化に留意する必要がある。
主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)
最終更新日 : 2024年5月14日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
電子添文¹⁾、 海外第Ⅲ相試験³⁾のプロトコル
1日1回1.4mg/m²を2~5分間かけて、 週1回静脈内投与。 これを2週連続で行い、 3週目は休薬。
■投与開始基準
下記基準を満たさない場合「投与延期」
■減量基準
前サイクルで以下を認めたら「1段階減量」し投与
✔ 7日間を超え継続する好中球減少 <500/mm³
✔ 発熱又は感染を伴う好中球減少<1,000/mm³
✔ 血小板減少 <2.5万/mm³
✔ 輸血を要する血小板減少 <5万/mm³
✔ 非血液毒性 ≧Grade3
✔ 副作用等により、 2週目に休薬した場合
■投与開始基準
下記基準を満たさない場合「投与延期」
■投与再開基準
投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たした場合、 「1段階減量」し投与
■休薬基準
投与延期後1週間以内に上記の投与開始基準を満たさない場合は「休薬」
エリブリンは進行性乳癌で使用されていたが2016年に"悪性軟部腫瘍"に適応追加となり、 使用可能となった。 パクリタキセル使用後の2次治療の候補としては、 他にドセタキセル、 パゾパニブ、 トラベクテジン等があるが、 これらの比較試験は存在せず患者の状態や既往歴、 合併症および薬剤の特性などから治療薬を選択する。
国内外の臨床試験³⁻⁵⁾では化学療法既治療の悪性軟部腫瘍患者が対象であったため、 未治療例における有効性及び安全性は確立しておらず1次治療としては推奨されない。
エリブリン1回1.4mg/m² (体表面積) を2~5分かけて静注する。 週1回投与を2週連続し、 1週休薬を1クールとして投与を繰り返す。 骨髄抑制が高頻度で見られるため、 電子添文にしたがって延期や休薬、 減量を検討する。 高齢者が多い血管肉腫で、 前治療の影響や骨髄機能の低下もあり、 延期や休薬を必要とすることが多い。 発熱性好中球減少や敗血症の報告もあり、 G-CSF製剤や抗生物質の使用を検討する。
海外の第Ⅲ相試験では平滑筋肉腫と脂肪肉腫を対象としており³⁾、 それ以前の海外の第Ⅱ相試験で類上皮血管内皮腫1例、 軟部血管肉腫2例⁴⁾、 国内第Ⅱ相試験⁵⁾では血管肉腫は含まれておらず、 適応追加前の臨床試験において皮膚血管肉腫の有効性や安全性は不明であった。
その後に実施された国内前向き観察研究⁶⁾では、 2次治療以降の25人で奏効率20%、 病勢制御率52%、 無増悪生存期間中央値3.0ヵ月、 全生存期間中央値8.6ヵ月と報告されている。 有害事象による減量が14人、 治療延期が11人、 治療中止が9人となっている。 副作用に注意は必要なものの2次治療以降の選択肢として有望な薬剤の一つである。
静脈注射する薬剤で前投薬も不要であるためタキサン系などの点滴製剤と比較して投与は簡便で患者負担は少ないものの、 血液毒性の有害事象が多くCTCAE Grade3以上の貧血が12%、 好中球減少が24%、 Grade4の発熱性好中球減少が12%であったと報告されている⁶⁾ 。 末梢神経障害の発現または悪化することも報告されており⁵⁾、 特にパクリタキセルによる末梢神経障害を合併している患者では症状の変化に留意する必要がある。
主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)
最終更新日 : 2024年5月14日
監修医師 : 国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科 中野英司先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。
主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。
なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。
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