治療スケジュール
概要
監修医師

S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/m² 経口分2 朝夕食後1~day1夕~22朝

CDDP:シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
60mg/m² 点滴1~Day8

Tmab:トラスツズマブ(ハーセプチン®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1Day1
6mg/kg 点滴1〜Day22 〜(以降3週間毎)

その他

S-1+シスプラチンをSP療法と呼ぶ。
1コース35日間。
レジメン
SP+T-mab(5週)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量 

前投薬

悪心・嘔吐予防として

Day8:デキサメタゾン3.3mg/mL 3mL+パロノセトロン0.75mg 50mL

経口NK1受容体拮抗薬(Day9-10にも投与)もしくは静注NK1受容体拮抗薬

Day9-11:デキサメタゾン注射液3.3mg/mL 2mL

Day8-11:オランザピン5mg 1錠

投与開始基準

WJOG7212G試験¹⁾より抜粋

6か月以上前に完了したフルオロピリミジンによる補助化学療法を除き、 化学療法歴のないHER2陽性胃癌と診断された、 20歳以上でPS0~2の再発性または切除不能のGC/EGJCの患者

主な有害事象

WJOG7212G試験¹⁾

試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少症 65.9%% (29.5%)
  • 貧血 86.4% (18.2%)
  • 血小板減少症 36.4% (11.4%)
  • 発熱性好中球減少症 4.5% (4.5%)
  • 悪心 61.4% (11.4%)
  • 嘔吐 25.0% (2.3%)
  • 下痢 50.0% (11.4%)
  • 口内炎 45.5% (4.5%)
  • 倦怠感 75.0% (13.6%)
  • 発熱 31.8% (0%)
  • AST上昇 47.7% (6.8%)
  • ALT上昇 36.4% (9.1%)

注意すべき有害事象

  • 手掌・足底赤血球感覚異常症候群 18.2% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 末梢神経障害を回避したい症例には良い適応であるが、 CDDPも漫然と投与するとオキサリプラチン同様、 末梢神経障害が生じるため注意が必要。
  • 腎保護のため、 大量補液を要するため、 大量腹水を有する症例には不向きである。

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドライン²⁾では、 1次治療の標準治療の1つである。 
  • S-1特有の有害事象として流涙がある。 流涙の予防には1日5〜6回の人工涙液の点眼が有効である。 休薬期間中も忘れずに点眼するように指導しておく。 防腐剤フリーの点眼薬が望ましい。 著者の施設ではソフトサンティア®を購入いただいている。
  • 稀ではあるが、 角膜障害を生じることがあるため、 視力低下を訴える場合は必ず眼科へコンサルトする。
  • シスプラチンの腎毒性のため、 CrCl< 50mL/minは禁忌である。
  • トラスツズマブは心毒性を有する。 治療開始前に心エコーを実施し、 LVEF<50%の症例には投与しない。 おおよそ3ヵ月程度の間隔で、 心エコーで心機能のスクリーニングを行う。

関連する臨床試験

WJOG7212G試験¹⁾

HER2陽性進行GC/EGJCを対象に、 トラスツズマブ療法と併用した5週間のSP療法の有効性および安全性を検討するための多施設単群第 II 相試験。 主要評価項目は奏効率 (ORR) で、副次評価項目には無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 安全性、血清バイオマーカーレベルが含まれた。

Gastric Cancer. 2018 Jan;21(1):84-95.

参考文献

  1. Five-weekly S-1 plus cisplatin therapy combined with trastuzumab therapy in HER2-positive gastric cancer: a phase II trial and biomarker study (WJOG7212G). Gastric Cancer. 2018 Jan;21(1):84-95. PMID: 28497176
  2. 日本胃癌学会. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版
最終更新日:2023年9月14日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
SP+T-mab(5週)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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S-1+シスプラチン+トラスツズマブ
2023年12月12日更新

S-1:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(ティーエスワン®)

投与量コース投与日
80~120mg/m² 経口分2 朝夕食後1~day1夕~22朝

CDDP:シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
60mg/m² 点滴1~Day8

Tmab:トラスツズマブ(ハーセプチン®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1Day1
6mg/kg 点滴1〜Day22 〜(以降3週間毎)

その他

S-1+シスプラチンをSP療法と呼ぶ。
1コース35日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量 

前投薬

悪心・嘔吐予防として

Day8:デキサメタゾン3.3mg/mL 3mL+パロノセトロン0.75mg 50mL

経口NK1受容体拮抗薬(Day9-10にも投与)もしくは静注NK1受容体拮抗薬

Day9-11:デキサメタゾン注射液3.3mg/mL 2mL

Day8-11:オランザピン5mg 1錠

投与開始基準

WJOG7212G試験¹⁾より抜粋

6か月以上前に完了したフルオロピリミジンによる補助化学療法を除き、 化学療法歴のないHER2陽性胃癌と診断された、 20歳以上でPS0~2の再発性または切除不能のGC/EGJCの患者

主な有害事象

WJOG7212G試験¹⁾

試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少症 65.9%% (29.5%)
  • 貧血 86.4% (18.2%)
  • 血小板減少症 36.4% (11.4%)
  • 発熱性好中球減少症 4.5% (4.5%)
  • 悪心 61.4% (11.4%)
  • 嘔吐 25.0% (2.3%)
  • 下痢 50.0% (11.4%)
  • 口内炎 45.5% (4.5%)
  • 倦怠感 75.0% (13.6%)
  • 発熱 31.8% (0%)
  • AST上昇 47.7% (6.8%)
  • ALT上昇 36.4% (9.1%)

注意すべき有害事象

  • 手掌・足底赤血球感覚異常症候群 18.2% (0%)

上手に使うためのワンポイント

  • 末梢神経障害を回避したい症例には良い適応であるが、 CDDPも漫然と投与するとオキサリプラチン同様、 末梢神経障害が生じるため注意が必要。
  • 腎保護のため、 大量補液を要するため、 大量腹水を有する症例には不向きである。

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドライン²⁾では、 1次治療の標準治療の1つである。 
  • S-1特有の有害事象として流涙がある。 流涙の予防には1日5〜6回の人工涙液の点眼が有効である。 休薬期間中も忘れずに点眼するように指導しておく。 防腐剤フリーの点眼薬が望ましい。 著者の施設ではソフトサンティア®を購入いただいている。
  • 稀ではあるが、 角膜障害を生じることがあるため、 視力低下を訴える場合は必ず眼科へコンサルトする。
  • シスプラチンの腎毒性のため、 CrCl< 50mL/minは禁忌である。
  • トラスツズマブは心毒性を有する。 治療開始前に心エコーを実施し、 LVEF<50%の症例には投与しない。 おおよそ3ヵ月程度の間隔で、 心エコーで心機能のスクリーニングを行う。

関連する臨床試験

WJOG7212G試験¹⁾

HER2陽性進行GC/EGJCを対象に、 トラスツズマブ療法と併用した5週間のSP療法の有効性および安全性を検討するための多施設単群第 II 相試験。 主要評価項目は奏効率 (ORR) で、副次評価項目には無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 安全性、血清バイオマーカーレベルが含まれた。

Gastric Cancer. 2018 Jan;21(1):84-95.

参考文献

  1. Five-weekly S-1 plus cisplatin therapy combined with trastuzumab therapy in HER2-positive gastric cancer: a phase II trial and biomarker study (WJOG7212G). Gastric Cancer. 2018 Jan;21(1):84-95. PMID: 28497176
  2. 日本胃癌学会. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版
最終更新日:2023年9月14日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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