治療スケジュール
概要
監修医師

5-FU:Fluorouracil(5-FU®)

投与量コース投与日
1,000mg/m² 点滴1~Day1~4

CDDP:Cisplatin(ランダ®)

投与量コース投与日
75mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

パロノセトロン0.75mg day1 点滴 デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴 アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3、 オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)

その他

1コース28日間。
5-FU+CDDPをFP療法と呼ぶ。
レジメン
FP+RT(50.4Gy)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*日本化薬の外部サイトへ遷移します

用法用量

JCOG0909試験⁴⁾のプロトコル

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図
電子添文の用法および用量
シスプラチン : B法を標準的用法・用量とし、 患者の状態によりA法を選択する。 A法 : 15~20mg/m²を1日1回、 5日間連続投与し、 少なくとも2週間休薬する。 これを1クールとし、 投与を繰り返す。 B法 : 50~70mg/m²を1日1回投与し、 少なくとも3週間休薬する。 これを1クールとし、 投与を繰り返す。
ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版)²⁾より引用
フルオロウラシル : 1日1000mg/m²までを、 4~5日間連日で持続点滴する。 投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。
5-FU®電子添文 (2024年3月改訂 第3版)¹⁾より引用

前投薬

HECレジメンとして扱う

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴
  • アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3 
ホスアプレピタント150mg day1 点滴、 ホスネツピタント 235㎎ day1 点滴でも可
  • オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

投与開始基準

JCOG0909試験⁴⁾のプロトコル

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図

主な有害事象

JCOG0909試験⁴⁾

主な有害事象(カッコ内はGrade3~4)

  • 白血球減少 97.9% (64.9%)
  • 好中球数減少 96.8% (55.3%)
  • 貧血 100% (7.4%)
  • 血小板減少 95.7% (12.8%)
  • 悪心 55.3% (4.3%)
  • 嘔吐 14.9% (0%)
  • 下痢 14.9% (1.1%)
  • 倦怠感 67.0% (3.2%)
  • 口内炎 46.8% (1.1%)
  • 発熱性好中球減少症 7.4% (7.4%)
  • ALT上昇 38.3% (2.1%)
  • クレアチニン上昇 35.1% (0%)
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP+RT (50.4Gy) の対象は手術を希望しないcStageII/IIIの患者が対象となる。cT1bN0M0 cStageIの表在食道癌症例やT4、 M1LYMといった局所進行例に対してはFP+RT (60Gy) が適応となる。 FP+RT (50.4Gy) では照射量のみならず、 FPの量が異なるため注意が必要である。 cStageII/IIIのシスプラチン不耐例にはFOLFOX+RTもしくはRT単独が選択肢となる。

腎機能について

シスプラチンの腎機能による投与量についてはCrClを参考に決定する。 Cockcroft-Gault式を用いて計算し、 CrCl≧60 mL/minでは100%投与量、 50-60mL/minでは1段階減量、 40-50mL/minでは2段階減量とする。 Cockcroft-Gault式では高齢者や女性で推定値が実測値より低値となりやすいため、 血中クレアチニン値のわりにCrClが低い症例については畜尿により実測値を用いてCrClを測定する。

執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

特徴と注意点

  • 効果判定はFP2サイクルもしくはRT終了してから4-6週を目途に内視鏡およびCTで効果判定を行う。 これ以上早期に行っても食道炎が強いため評価困難の場合が多く効果判定の時期には注意が必要である。 また内視鏡検査では初回判定は必ず生検を行い、 組織学的に陰性であることを確認する。 CRは内視鏡上食道炎が瘢痕化してから判定する。
  • 初回効果判定で著明に縮小、 もしくはCRが見込まれる場合にFPを2コース追加する。 追加FPの投与量はCRT中と同様のFU 1000mg/m² Day1-4、 シスプラチン 75mg/m² Day1となる。 遺残が疑われる場合や増大を認める場合はサルベージ手術やESDを検討する。
  • フォローアップは追加FP後CRであれば治療開始してから最初の1年目は3ヵ月毎、 2年目は4ヵ月ごと、 3年目以降は半年ごとを目安にCTと内視鏡でフォローを行う。 本治療が評価されたJCOG0909試験⁴⁾では4-5年目は12ヵ月毎となっている。 フォローアップ中も遺残がある場合や再発した場合はサルベージ手術やサルベージESDを検討する。
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年3月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  4. A Single-Arm Confirmatory Study of Definitive Chemoradiation Therapy Including Salvage Treatment for Clinical Stage II/III Esophageal Squamous Cell Carcinoma (JCOG0909 Study). Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462. PMID: 35932949
最終更新日 : 2024年4月26日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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フルオロウラシル (5-FU®)+シスプラチン (ランダ®)
2024年04月26日更新

5-FU:Fluorouracil(5-FU®)

投与量コース投与日
1,000mg/m² 点滴1~Day1~4

CDDP:Cisplatin(ランダ®)

投与量コース投与日
75mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

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その他

1コース28日間。
5-FU+CDDPをFP療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

JCOG0909試験⁴⁾のプロトコル

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図
電子添文の用法および用量
シスプラチン : B法を標準的用法・用量とし、 患者の状態によりA法を選択する。 A法 : 15~20mg/m²を1日1回、 5日間連続投与し、 少なくとも2週間休薬する。 これを1クールとし、 投与を繰り返す。 B法 : 50~70mg/m²を1日1回投与し、 少なくとも3週間休薬する。 これを1クールとし、 投与を繰り返す。
ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版)²⁾より引用
フルオロウラシル : 1日1000mg/m²までを、 4~5日間連日で持続点滴する。 投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。
5-FU®電子添文 (2024年3月改訂 第3版)¹⁾より引用

前投薬

HECレジメンとして扱う

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴
  • アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3 
ホスアプレピタント150mg day1 点滴、 ホスネツピタント 235㎎ day1 点滴でも可
  • オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

投与開始基準

JCOG0909試験⁴⁾のプロトコル

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図

主な有害事象

JCOG0909試験⁴⁾

主な有害事象(カッコ内はGrade3~4)

  • 白血球減少 97.9% (64.9%)
  • 好中球数減少 96.8% (55.3%)
  • 貧血 100% (7.4%)
  • 血小板減少 95.7% (12.8%)
  • 悪心 55.3% (4.3%)
  • 嘔吐 14.9% (0%)
  • 下痢 14.9% (1.1%)
  • 倦怠感 67.0% (3.2%)
  • 口内炎 46.8% (1.1%)
  • 発熱性好中球減少症 7.4% (7.4%)
  • ALT上昇 38.3% (2.1%)
  • クレアチニン上昇 35.1% (0%)
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.⁴⁾より作図

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP+RT (50.4Gy) の対象は手術を希望しないcStageII/IIIの患者が対象となる。cT1bN0M0 cStageIの表在食道癌症例やT4、 M1LYMといった局所進行例に対してはFP+RT (60Gy) が適応となる。 FP+RT (50.4Gy) では照射量のみならず、 FPの量が異なるため注意が必要である。 cStageII/IIIのシスプラチン不耐例にはFOLFOX+RTもしくはRT単独が選択肢となる。

腎機能について

シスプラチンの腎機能による投与量についてはCrClを参考に決定する。 Cockcroft-Gault式を用いて計算し、 CrCl≧60 mL/minでは100%投与量、 50-60mL/minでは1段階減量、 40-50mL/minでは2段階減量とする。 Cockcroft-Gault式では高齢者や女性で推定値が実測値より低値となりやすいため、 血中クレアチニン値のわりにCrClが低い症例については畜尿により実測値を用いてCrClを測定する。

執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

特徴と注意点

  • 効果判定はFP2サイクルもしくはRT終了してから4-6週を目途に内視鏡およびCTで効果判定を行う。 これ以上早期に行っても食道炎が強いため評価困難の場合が多く効果判定の時期には注意が必要である。 また内視鏡検査では初回判定は必ず生検を行い、 組織学的に陰性であることを確認する。 CRは内視鏡上食道炎が瘢痕化してから判定する。
  • 初回効果判定で著明に縮小、 もしくはCRが見込まれる場合にFPを2コース追加する。 追加FPの投与量はCRT中と同様のFU 1000mg/m² Day1-4、 シスプラチン 75mg/m² Day1となる。 遺残が疑われる場合や増大を認める場合はサルベージ手術やESDを検討する。
  • フォローアップは追加FP後CRであれば治療開始してから最初の1年目は3ヵ月毎、 2年目は4ヵ月ごと、 3年目以降は半年ごとを目安にCTと内視鏡でフォローを行う。 本治療が評価されたJCOG0909試験⁴⁾では4-5年目は12ヵ月毎となっている。 フォローアップ中も遺残がある場合や再発した場合はサルベージ手術やサルベージESDを検討する。
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年3月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  2. 日本化薬. ランダ®電子添文 (2021年4月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  3. 日本化薬. ランダ®安全性情報 (2021年6月作成) [最終閲覧 : 2024/04/16]
  4. A Single-Arm Confirmatory Study of Definitive Chemoradiation Therapy Including Salvage Treatment for Clinical Stage II/III Esophageal Squamous Cell Carcinoma (JCOG0909 Study). Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462. PMID: 35932949
最終更新日 : 2024年4月26日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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