治療スケジュール
概要
監修医師

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
1000mg/m² 点滴1~Day1~4

CDDP:シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
75mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

パロノセトロン0.75mg day1 点滴 デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴 アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3、 オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)

その他

1コース28日間。
5-FU+CDDPをFP療法と呼ぶ。
レジメン
FP+RT(50.4Gy)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量 (1コース4週間)

前投薬

HECレジメンとして扱う。

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴
  • アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3 
ホスアプレピタント150mg day1 点滴、 ホスネツピタント 235㎎ day1 点滴でも可
  • オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)

投与開始基準

JCOG0909試験¹⁾より抜粋

20歳~75歳の食道原発巣 (主病変、 副病変ともに) の内視鏡生検にて組織学的に扁平上皮癌、 腺扁平上皮癌、 類基底細胞癌のいずれかと診断されたPSが0、 1の未治療の患者

臨床病器Ⅱ/Ⅲで、 T4は除く

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP+RT(50.4Gy)の対象は手術を希望しないcStageII/IIIの患者が対象となる。cT1bN0M0 cStageIの表在食道癌症例やT4、 M1LYMといった局所進行例に対してはFP+RT (60Gy) が適応となる。 FP+RT (50.4Gy) では照射量のみならず、 FPの量が異なるため注意が必要である。 cStageII/IIIのシスプラチン不耐例にはFOLFOX+RTもしくはRT単独が選択肢となる。

腎機能について

シスプラチンの腎機能による投与量についてはCrClを参考に決定する。 Cockcroft-Gault式を用いて計算し、 CrCl≥60 mL/minでは100% dose、 50-60 mL/minでは1段階減量、 40-50mL/minでは2段階減量とする。 Cockcroft-gault式では高齢者や女性で推定値が実測値より低値となりやすいため、 血中クレアチニン値のわりにCrClが低い症例については畜尿により実測値を用いてCrClを測定する。

特徴と注意点

  • 効果判定はFP2コースもしくはRT終了してから4-6週を目途に内視鏡およびCTで効果判定を行う。 これ以上早期に行っても食道炎が強いため評価困難の場合が多く効果判定の時期には注意が必要である。 また内視鏡検査では初回判定は必ず生検を行い、 組織学的に陰性であることを確認する。 CRは内視鏡上食道炎が瘢痕化してから判定する。
  • 初回効果判定で著明に縮小、 もしくはCRが見込まれる場合にFPを2コース追加する。 追加FPの投与量はCRT中と同様のFU 1000mg/m² day1-4、 シスプラチン 75mg/m² day1となる。 遺残が疑われる場合や増大を認める場合はサルベージ手術やESDを検討する。
  • フォローアップは追加FP後CRであれば治療開始してから最初の1年目は3ヶ月毎、 2年目は4か月毎、 3年目以降は半年毎を目安にCTと内視鏡でフォローを行う。 本治療が評価されたJCOG0909試験¹⁾では4-5年目は12か月毎となっている。 フォローアップ中も遺残がある場合や再発した場合はサルベージ手術やサルベージESDを検討する。

関連する臨床試験

JCOG0909試験¹⁾

臨床病期Ⅱ/Ⅲ (T4 を除く) 食道癌患者を対象に、 50.4 Gy、 5-FU + CDDP (1000/75) 併用化学放射線療法+/-救済治療 (内視鏡的治療、 外科切除術) の有効性と安全性を評価するための検証的非ランダム化試験。 主要評価項目は3年全生存期間 (OS) とされた。

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.

参考文献

  1. A Single-Arm Confirmatory Study of Definitive Chemoradiation Therapy Including Salvage Treatment for Clinical Stage II/III Esophageal Squamous Cell Carcinoma (JCOG0909 Study). Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462. PMID: 35932949
最終更新日:2023年7月24日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

レジメン
FP+RT(50.4Gy)
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
FP+RT(50.4Gy)
レジメン
FP+RT(50.4Gy)

FP+RT(50.4Gy)

フルオロウラシル+シスプラチン
2023年11月14日更新

5-FU:フルオロウラシル(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
1000mg/m² 点滴1~Day1~4

CDDP:シスプラチン(シスプラチン®)

投与量コース投与日
75mg/m² 点滴1~Day1

前投薬

パロノセトロン0.75mg day1 点滴 デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴 アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3、 オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)

その他

1コース28日間。
5-FU+CDDPをFP療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量 (1コース4週間)

前投薬

HECレジメンとして扱う。

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 9.9mg day1、 6.6mg day2-4 点滴
  • アプレピタント 125mg day1、 80mg day2-3 
ホスアプレピタント150mg day1 点滴、 ホスネツピタント 235㎎ day1 点滴でも可
  • オランザピン 5mg day1-4 経口 (糖尿病がない場合のみ)

投与開始基準

JCOG0909試験¹⁾より抜粋

20歳~75歳の食道原発巣 (主病変、 副病変ともに) の内視鏡生検にて組織学的に扁平上皮癌、 腺扁平上皮癌、 類基底細胞癌のいずれかと診断されたPSが0、 1の未治療の患者

臨床病器Ⅱ/Ⅲで、 T4は除く

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP+RT(50.4Gy)の対象は手術を希望しないcStageII/IIIの患者が対象となる。cT1bN0M0 cStageIの表在食道癌症例やT4、 M1LYMといった局所進行例に対してはFP+RT (60Gy) が適応となる。 FP+RT (50.4Gy) では照射量のみならず、 FPの量が異なるため注意が必要である。 cStageII/IIIのシスプラチン不耐例にはFOLFOX+RTもしくはRT単独が選択肢となる。

腎機能について

シスプラチンの腎機能による投与量についてはCrClを参考に決定する。 Cockcroft-Gault式を用いて計算し、 CrCl≥60 mL/minでは100% dose、 50-60 mL/minでは1段階減量、 40-50mL/minでは2段階減量とする。 Cockcroft-gault式では高齢者や女性で推定値が実測値より低値となりやすいため、 血中クレアチニン値のわりにCrClが低い症例については畜尿により実測値を用いてCrClを測定する。

特徴と注意点

  • 効果判定はFP2コースもしくはRT終了してから4-6週を目途に内視鏡およびCTで効果判定を行う。 これ以上早期に行っても食道炎が強いため評価困難の場合が多く効果判定の時期には注意が必要である。 また内視鏡検査では初回判定は必ず生検を行い、 組織学的に陰性であることを確認する。 CRは内視鏡上食道炎が瘢痕化してから判定する。
  • 初回効果判定で著明に縮小、 もしくはCRが見込まれる場合にFPを2コース追加する。 追加FPの投与量はCRT中と同様のFU 1000mg/m² day1-4、 シスプラチン 75mg/m² day1となる。 遺残が疑われる場合や増大を認める場合はサルベージ手術やESDを検討する。
  • フォローアップは追加FP後CRであれば治療開始してから最初の1年目は3ヶ月毎、 2年目は4か月毎、 3年目以降は半年毎を目安にCTと内視鏡でフォローを行う。 本治療が評価されたJCOG0909試験¹⁾では4-5年目は12か月毎となっている。 フォローアップ中も遺残がある場合や再発した場合はサルベージ手術やサルベージESDを検討する。

関連する臨床試験

JCOG0909試験¹⁾

臨床病期Ⅱ/Ⅲ (T4 を除く) 食道癌患者を対象に、 50.4 Gy、 5-FU + CDDP (1000/75) 併用化学放射線療法+/-救済治療 (内視鏡的治療、 外科切除術) の有効性と安全性を評価するための検証的非ランダム化試験。 主要評価項目は3年全生存期間 (OS) とされた。

Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462.

参考文献

  1. A Single-Arm Confirmatory Study of Definitive Chemoradiation Therapy Including Salvage Treatment for Clinical Stage II/III Esophageal Squamous Cell Carcinoma (JCOG0909 Study). Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022 Nov 1;114(3):454-462. PMID: 35932949
最終更新日:2023年7月24日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。