概要
監修医師
2024年5月15日、 進行・再発の進展型SCLCを対象に承認申請、 2024年12月6日の第二部会で承認了承、 今後正式承認見込み
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

イムデトラ® (添付文書など近日掲載)

DLL3・CD3二重特異性T細胞誘導抗体 タルラタマブ
*製薬企業 アムジェン株式会社

投与スケジュール

DeLLphi-301試験¹⁾のプロトコル

1サイクル28日間で、 1サイクル目のDay1に1mgを、 その後Day8とDay15に10mgを、 2サイクル目以降は病勢進行または許容できない毒性が認められるまで2週間ごと (Day1とDay15) に静脈投与する

N Engl J Med. 2023;389(22):2063-75.¹⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

第2相非盲検多施設共同多コホート試験であるDeLLphi-301試験の結果に基づくFDA承認

DeLLphi-301試験¹⁾

N Engl J Med. 2023;389(22):2063-75.

第2相非盲検多施設共同多コホート試験。 タルラタマブ10mgを2週ごとに投与患者99人の結果詳細は、 2023年10月に開催されたESMOで発表され、 同時にNEJM誌に掲載された。 主要有効性評価項目は、 RECIST 1.1に基づく全奏効率 (ORR) と、 盲検独立中央判定による奏効期間 (DOR) であった。

有効性

- ORR  : 40% (95%CI 31~51%)

- mDOR : 9.7ヵ月 (95%CI 2.7~20.7ヵ月超)

- mOS : 14.3ヵ月

安全性|特に頻度が高かった有害事象

- サイトカイン放出症候群 : 51%*

- 食欲不振 : 29%

- 発熱 : 35%

*主に初回投与後に生じ、 大部分がGrade1-2であった。 Grade 3 のサイトカイン放出症候群の発現頻度は、1%であった。

各プロトコル

DeLLphi-301試験¹⁾に基づく各プロトコル

開始基準 >>詳細はこちら

18歳以上の組織学的または細胞学的に確認された再発性/難治性SCLC。 1回のプラチナベースのレジメンと少なくとも1回のその他の前治療後に進行または再発した全身状態良好な患者 (ECOG PS 0-1)

減量・休薬・中止基準

プロトコル詳細はclinicalTrials.govを参照

特徴と注意点

作用機序について

SCLC患者の約85~96%の腫瘍細胞表面に発現しているとされるデルタ様リガンド3 (DLL3) と、 免疫系のT細胞の表面に発現するCD3の両方に結合するよう設計された二重特異性抗体である(BiTE®)。 T細胞とSCLC細胞との間に複合体を形成し、 これによりT細胞を活性化させて腫瘍細胞を溶解させる。

副作用について (ICANS、 CRS)

初回投与後および増量時に、 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS) や サイトカイン放出症候群 (CRS) などの免疫関連AEが高頻度に出現するため、 最適使用推進ガイドライン等を参考に『厳密な副作用モニタリングと管理が可能な環境』で行うという点が非常に重要。

CRSは投与後1カ月以内がほとんどである。投与中止にならないよう、早期の介入が必要。

参考: ICANS重症度判定基準 >>計算する 

参考: ICEスコア >>計算する

Biol Blood Marrow Transplant. 2019 ;25(4):625-38.より引用

本邦での申請状況について

タルラタマブは、 2024年2月9日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受け、 2024年5月15日に進行・再発の進展型SCLCを対象に承認申請され、 2024年12月6日の承認了承となった。 今後、 正式な承認予定である。

肺癌診療ガイドライン2024の推奨²⁾

DeLLphi-301試験の結果をもとに、 全身状態良好 PS (0-1) の再発小細胞肺癌に対して、 3次治療以降に行うよう強く推奨されている [2C]。

⚠最新の薬剤情報、 ガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

出典

1) Tarlatamab for Patients with Previously Treated Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2023 Nov 30;389(22):2063-2075. PMID: 37861218

2) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2024年12月7日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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タルラタマブ (イムデトラ®)
2024年12月10日更新
2024年5月15日、 進行・再発の進展型SCLCを対象に承認申請、 2024年12月6日の第二部会で承認了承、 今後正式承認見込み
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

イムデトラ® (添付文書など近日掲載)

DLL3・CD3二重特異性T細胞誘導抗体 タルラタマブ
*製薬企業 アムジェン株式会社

投与スケジュール

DeLLphi-301試験¹⁾のプロトコル

1サイクル28日間で、 1サイクル目のDay1に1mgを、 その後Day8とDay15に10mgを、 2サイクル目以降は病勢進行または許容できない毒性が認められるまで2週間ごと (Day1とDay15) に静脈投与する

N Engl J Med. 2023;389(22):2063-75.¹⁾より引用

KeyData|臨床試験結果

第2相非盲検多施設共同多コホート試験であるDeLLphi-301試験の結果に基づくFDA承認

DeLLphi-301試験¹⁾

N Engl J Med. 2023;389(22):2063-75.

第2相非盲検多施設共同多コホート試験。 タルラタマブ10mgを2週ごとに投与患者99人の結果詳細は、 2023年10月に開催されたESMOで発表され、 同時にNEJM誌に掲載された。 主要有効性評価項目は、 RECIST 1.1に基づく全奏効率 (ORR) と、 盲検独立中央判定による奏効期間 (DOR) であった。

有効性

- ORR  : 40% (95%CI 31~51%)

- mDOR : 9.7ヵ月 (95%CI 2.7~20.7ヵ月超)

- mOS : 14.3ヵ月

安全性|特に頻度が高かった有害事象

- サイトカイン放出症候群 : 51%*

- 食欲不振 : 29%

- 発熱 : 35%

*主に初回投与後に生じ、 大部分がGrade1-2であった。 Grade 3 のサイトカイン放出症候群の発現頻度は、1%であった。

各プロトコル

DeLLphi-301試験¹⁾に基づく各プロトコル

開始基準 >>詳細はこちら

18歳以上の組織学的または細胞学的に確認された再発性/難治性SCLC。 1回のプラチナベースのレジメンと少なくとも1回のその他の前治療後に進行または再発した全身状態良好な患者 (ECOG PS 0-1)

減量・休薬・中止基準

プロトコル詳細はclinicalTrials.govを参照

特徴と注意点

作用機序について

SCLC患者の約85~96%の腫瘍細胞表面に発現しているとされるデルタ様リガンド3 (DLL3) と、 免疫系のT細胞の表面に発現するCD3の両方に結合するよう設計された二重特異性抗体である(BiTE®)。 T細胞とSCLC細胞との間に複合体を形成し、 これによりT細胞を活性化させて腫瘍細胞を溶解させる。

副作用について (ICANS、 CRS)

初回投与後および増量時に、 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群 (ICANS) や サイトカイン放出症候群 (CRS) などの免疫関連AEが高頻度に出現するため、 最適使用推進ガイドライン等を参考に『厳密な副作用モニタリングと管理が可能な環境』で行うという点が非常に重要。

CRSは投与後1カ月以内がほとんどである。投与中止にならないよう、早期の介入が必要。

参考: ICANS重症度判定基準 >>計算する 

参考: ICEスコア >>計算する

Biol Blood Marrow Transplant. 2019 ;25(4):625-38.より引用

本邦での申請状況について

タルラタマブは、 2024年2月9日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受け、 2024年5月15日に進行・再発の進展型SCLCを対象に承認申請され、 2024年12月6日の承認了承となった。 今後、 正式な承認予定である。

肺癌診療ガイドライン2024の推奨²⁾

DeLLphi-301試験の結果をもとに、 全身状態良好 PS (0-1) の再発小細胞肺癌に対して、 3次治療以降に行うよう強く推奨されている [2C]。

⚠最新の薬剤情報、 ガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

出典

1) Tarlatamab for Patients with Previously Treated Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2023 Nov 30;389(22):2063-2075. PMID: 37861218

2) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2024年12月7日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(呼吸器)

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