治療スケジュール
概要
監修医師

Emicizumab:エミシズマブ(ヘムライブラ®)

投与量コース投与日
6mg/kg-day 1
3mg/kg-day 2
1.5mg/kg-day 8、 15、 22・・・

前投薬

なし

その他

投与開始前日までにバイパス止血製剤による定期輸注は中止.
最終投与から6ヵ月間はバイパス止血製剤による定期輸注を行わない.
出血時の止血を目的とした投与は行わず、 出血傾向の抑制を目的とした定期的な投与のみに使用.
凝固能に関する検査結果及び患者の状態を考慮し、 適切な時期に投与を終了する.
投与終了の判断は、 投与終了基準を参考に個々に判断する.
後天性血友病Aへの使用には血中エミシズマブ中和下でのモニタリングが必須.
半減期が約30日であり、 最長で4週に1度の皮下投与で効果を発揮する.
レジメン
Emicizumab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ヘムライブラ® (添付文書/適正使用ガイド)

主な有害事象

ヘムライブラ®インタビューフォーム¹⁾より引用 (国内外臨床試験)

  • 注射部位反応(20.8%) (84/403例)

後天性血友病A患者を対象としたAGEHA試験²⁾より引用

  • 抗emicizumab抗体の発現(14.3%) (2/12例)

重大な副作用

ヘムライブラ®インタビューフォーム¹⁾より引用 (国内外臨床試験)

  • 血栓塞栓症(0.7%) (3/403例)
  • 血栓性微小血管症(0.7%) (3/403例)

作用機序

  • Emicizumabは左右の可変領域で異なる抗原と結合できるように改変された二重特異性抗体.
  • 片方の可変領域で活性型第Ⅸ因子に、 もう片方で第Ⅹ因子に結合することで血液凝固第Ⅷ因子の代わりとなって機能し、 第Ⅹ因子を活性化して止血作用を示す.

用法・用量

治療スケジュール

  • 後天性血友病Aにおける出血傾向の抑制目的に、 emicizumabを1日目に6mg/kg、 2日目に3mg/kg、 8日目から1回1.5mg/kgを1週間の間隔で皮下投与する.
  • 投与開始前日までにバイパス止血製剤による定期輸注は中止する.
  • 最終投与から6ヵ月間はバイパス止血製剤による定期輸注を行わない.

血中Emicizumab中和下でのモニタリング

ヘムライブラ®投与下では、 FⅧ活性・FⅧインヒビター力価が正しく測定されないため、 ヘムライブラ投与下及び投与終了後6カ月間は血中エミシズマブ中和下でのモニタリングを行う.

モニタリングを実施するための方法(中外製薬担当MRに問い合わせ)

  • ①エスアールエルによる測定プログラムへの参加により測定.
  • ②中外製薬からの試薬(抗エミシズマブ抗体イディオタイプ抗体)の提供により各医療機関で測定(①での対応が困難な場合に検討).

Emicizumabによる血液凝固系検査への影響

Emicizumabにより影響される/影響されない血液凝固系検査

Emicizumab投与下でAPTTが延長した場合の考えられる要因

  • 血漿中emicizumab濃度の著減による影響 (抗emicizumab抗体の発現や、 長期の投与中断など).
・抗emicizumab抗体の発現などにより血漿中emicizumab濃度が著減した場合は、 短縮していたAPTTが延長傾向を示すため、 APTT測定により血漿中emicizumab濃度著減を定性的に検知することが可能.
・血漿中emicizumab濃度の低下が疑われる場合は、 血漿中emicizumab濃度測定が可能 (中外製薬MRに連絡).
  • DIC、 VK欠乏症、 大量出血、 抗凝固剤の混入 (検体へのヘパリンの混入など) による影響.

Emicizumab投与終了基準

  • 後天性血友病Aではemicizumabは投与終了の判断が必要となる.

国内第III相臨床試験[AGEHA(JO42003)試験]におけるヘムライブラ®投与終了基準

・以下の1と2の両方の基準を満たした場合、投与を終了.

①FVIII活性が50IU/dL超に達している.

・血中エミシズマブ中和下凝固一段法による中央測定結果であること.

・血液凝固因子製剤の検査系への影響を考慮し、血液凝固因子製剤投与後72時間超が経過した後に採取された検体によるもののみとする.

②直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与後72時間超が経過している.

ヘムライブラ投与中に出血が疑われた際の対応

初期対応

  • 出血が疑われた際は、出血の原因・症状などに応じて適切な処置を行う.
  • バイパス止血製剤の投与が必要な場合は、 rFVIIaを使用.

二次対応(rFVIIaの投与により止血効果が十分でない場合)

やむを得ずaPCCまたはFVIIa/FXを使用する必要がある場合、 以下の注意事項を参照の上対応.
  • aPCCの初回投与量は50U/kgを超えない.
  • 24時間以内のaPCCの総投与量は100U/kg を超えない.
  • FVIIa/FXの初回投与量は60μg/kgを超えない.
  • aPCC、FVIIa/FX投与後は、血栓性事象のモニタリングのため、PT、 APTT、 Dダイマー、 FDP、 LDH、 Plt、 Crなどをモニタリング.
  • 血液凝固系検査結果も参考に、DICとの鑑別も検討する.

関連する臨床試験の結果

AGEHA試験 (JO42003試験)²⁾

概要

  • 多施設共同非盲検試験
  • 目的:後天性血友病A患者におけるemicizumab皮下投与の有効性、 安全性及び、 薬物動態、 薬力学の検討
  • 評価項目:治療を要した出血及び大出血の回数、 出血症状継続期間、 血液凝固因子製剤の使用実績及び輸血の実施実績、 ヘモグロビン濃度の推移など
  • 対象:免疫抑制療法実施下である18歳以上の後天性血友病A患者12例
  • 介入:1日目に6mg/kg、 2日目に3mg/kgの用量で皮下投与し、 8日目から1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与
  • 投与終了基準:第Ⅷ因子活性が50IU/dL超、 かつ直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与から72時間超が経過

結果

  • 治療を要した出血がみとめられた患者の割合:16.7% (2/12例)
  • 治療を要した大出血がみとめられた患者の割合:0% (0/12例)
  • 治療を要した出血の年間出血率がemicizumab投与前と比較して減少または0を維持した患者の割合:91.7% (11/12例)
  • 治療を要した出血の年間出血率の平均値
  • Emicizumab投与前:35.6回/年 (95%Cl 24.91-49.42)
  • Emicizumab投与中 3.2回/年 (95%Cl 0.69-9.01)
  • 治療を要した出血の出血症状継続期間の割合* (中央値)
  • Emicizumab投与前:64.7% (6/12例)
  • Emicizumab投与中:47.6% (2/12例)
*出血症状継続期間の割合:ヘムライブラ投与前または投与中の有効性評価期間で発現した治療を要した出血の症状継続期間を各観察期間で割った割合.
  • 血液凝固因子製剤を使用するか輸血を1回以上実施した患者の割合
  • Emicizumab投与前:66.7% (8/12例)
  • Emicizumab投与中:41.7% (5/12例)
  • Emicizumab投与2週時までに一度でもHb*が基準値に達した患者の割合:50.0% (6/12例)
*Hbの基準値(男性:13~18 g/dL、 女性:12~16 g/dL)

◆参考文献

  1. ヘムライブラ®インタビューフォーム
  2. J Thromb Haemost. 2023 Mar;21(3):534-545.
  3. ヘムライブラ®適正使用ガイド

最終更新:2024年4月3日
執筆担当:小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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Emicizumab
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Emicizumab

エミシズマブ(ヘムライブラ®)
2024年04月03日更新

Emicizumab:エミシズマブ(ヘムライブラ®)

投与量コース投与日
6mg/kg-day 1
3mg/kg-day 2
1.5mg/kg-day 8、 15、 22・・・

前投薬

なし

その他

投与開始前日までにバイパス止血製剤による定期輸注は中止.
最終投与から6ヵ月間はバイパス止血製剤による定期輸注を行わない.
出血時の止血を目的とした投与は行わず、 出血傾向の抑制を目的とした定期的な投与のみに使用.
凝固能に関する検査結果及び患者の状態を考慮し、 適切な時期に投与を終了する.
投与終了の判断は、 投与終了基準を参考に個々に判断する.
後天性血友病Aへの使用には血中エミシズマブ中和下でのモニタリングが必須.
半減期が約30日であり、 最長で4週に1度の皮下投与で効果を発揮する.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ヘムライブラ® (添付文書/適正使用ガイド)

主な有害事象

ヘムライブラ®インタビューフォーム¹⁾より引用 (国内外臨床試験)

  • 注射部位反応(20.8%) (84/403例)

後天性血友病A患者を対象としたAGEHA試験²⁾より引用

  • 抗emicizumab抗体の発現(14.3%) (2/12例)

重大な副作用

ヘムライブラ®インタビューフォーム¹⁾より引用 (国内外臨床試験)

  • 血栓塞栓症(0.7%) (3/403例)
  • 血栓性微小血管症(0.7%) (3/403例)

作用機序

  • Emicizumabは左右の可変領域で異なる抗原と結合できるように改変された二重特異性抗体.
  • 片方の可変領域で活性型第Ⅸ因子に、 もう片方で第Ⅹ因子に結合することで血液凝固第Ⅷ因子の代わりとなって機能し、 第Ⅹ因子を活性化して止血作用を示す.

用法・用量

治療スケジュール

  • 後天性血友病Aにおける出血傾向の抑制目的に、 emicizumabを1日目に6mg/kg、 2日目に3mg/kg、 8日目から1回1.5mg/kgを1週間の間隔で皮下投与する.
  • 投与開始前日までにバイパス止血製剤による定期輸注は中止する.
  • 最終投与から6ヵ月間はバイパス止血製剤による定期輸注を行わない.

血中Emicizumab中和下でのモニタリング

ヘムライブラ®投与下では、 FⅧ活性・FⅧインヒビター力価が正しく測定されないため、 ヘムライブラ投与下及び投与終了後6カ月間は血中エミシズマブ中和下でのモニタリングを行う.

モニタリングを実施するための方法(中外製薬担当MRに問い合わせ)

  • ①エスアールエルによる測定プログラムへの参加により測定.
  • ②中外製薬からの試薬(抗エミシズマブ抗体イディオタイプ抗体)の提供により各医療機関で測定(①での対応が困難な場合に検討).

Emicizumabによる血液凝固系検査への影響

Emicizumabにより影響される/影響されない血液凝固系検査

Emicizumab投与下でAPTTが延長した場合の考えられる要因

  • 血漿中emicizumab濃度の著減による影響 (抗emicizumab抗体の発現や、 長期の投与中断など).
・抗emicizumab抗体の発現などにより血漿中emicizumab濃度が著減した場合は、 短縮していたAPTTが延長傾向を示すため、 APTT測定により血漿中emicizumab濃度著減を定性的に検知することが可能.
・血漿中emicizumab濃度の低下が疑われる場合は、 血漿中emicizumab濃度測定が可能 (中外製薬MRに連絡).
  • DIC、 VK欠乏症、 大量出血、 抗凝固剤の混入 (検体へのヘパリンの混入など) による影響.

Emicizumab投与終了基準

  • 後天性血友病Aではemicizumabは投与終了の判断が必要となる.

国内第III相臨床試験[AGEHA(JO42003)試験]におけるヘムライブラ®投与終了基準

・以下の1と2の両方の基準を満たした場合、投与を終了.

①FVIII活性が50IU/dL超に達している.

・血中エミシズマブ中和下凝固一段法による中央測定結果であること.

・血液凝固因子製剤の検査系への影響を考慮し、血液凝固因子製剤投与後72時間超が経過した後に採取された検体によるもののみとする.

②直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与後72時間超が経過している.

ヘムライブラ投与中に出血が疑われた際の対応

初期対応

  • 出血が疑われた際は、出血の原因・症状などに応じて適切な処置を行う.
  • バイパス止血製剤の投与が必要な場合は、 rFVIIaを使用.

二次対応(rFVIIaの投与により止血効果が十分でない場合)

やむを得ずaPCCまたはFVIIa/FXを使用する必要がある場合、 以下の注意事項を参照の上対応.
  • aPCCの初回投与量は50U/kgを超えない.
  • 24時間以内のaPCCの総投与量は100U/kg を超えない.
  • FVIIa/FXの初回投与量は60μg/kgを超えない.
  • aPCC、FVIIa/FX投与後は、血栓性事象のモニタリングのため、PT、 APTT、 Dダイマー、 FDP、 LDH、 Plt、 Crなどをモニタリング.
  • 血液凝固系検査結果も参考に、DICとの鑑別も検討する.

関連する臨床試験の結果

AGEHA試験 (JO42003試験)²⁾

概要

  • 多施設共同非盲検試験
  • 目的:後天性血友病A患者におけるemicizumab皮下投与の有効性、 安全性及び、 薬物動態、 薬力学の検討
  • 評価項目:治療を要した出血及び大出血の回数、 出血症状継続期間、 血液凝固因子製剤の使用実績及び輸血の実施実績、 ヘモグロビン濃度の推移など
  • 対象:免疫抑制療法実施下である18歳以上の後天性血友病A患者12例
  • 介入:1日目に6mg/kg、 2日目に3mg/kgの用量で皮下投与し、 8日目から1.5mg/kgの用量で週1回反復皮下投与
  • 投与終了基準:第Ⅷ因子活性が50IU/dL超、 かつ直近の治療を要した出血に対する最後の血液凝固因子製剤投与から72時間超が経過

結果

  • 治療を要した出血がみとめられた患者の割合:16.7% (2/12例)
  • 治療を要した大出血がみとめられた患者の割合:0% (0/12例)
  • 治療を要した出血の年間出血率がemicizumab投与前と比較して減少または0を維持した患者の割合:91.7% (11/12例)
  • 治療を要した出血の年間出血率の平均値
  • Emicizumab投与前:35.6回/年 (95%Cl 24.91-49.42)
  • Emicizumab投与中 3.2回/年 (95%Cl 0.69-9.01)
  • 治療を要した出血の出血症状継続期間の割合* (中央値)
  • Emicizumab投与前:64.7% (6/12例)
  • Emicizumab投与中:47.6% (2/12例)
*出血症状継続期間の割合:ヘムライブラ投与前または投与中の有効性評価期間で発現した治療を要した出血の症状継続期間を各観察期間で割った割合.
  • 血液凝固因子製剤を使用するか輸血を1回以上実施した患者の割合
  • Emicizumab投与前:66.7% (8/12例)
  • Emicizumab投与中:41.7% (5/12例)
  • Emicizumab投与2週時までに一度でもHb*が基準値に達した患者の割合:50.0% (6/12例)
*Hbの基準値(男性:13~18 g/dL、 女性:12~16 g/dL)

◆参考文献

  1. ヘムライブラ®インタビューフォーム
  2. J Thromb Haemost. 2023 Mar;21(3):534-545.
  3. ヘムライブラ®適正使用ガイド

最終更新:2024年4月3日
執筆担当:小澤病院薬剤部 長剛広
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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