治療スケジュール
概要
監修医師

Belumosudil:ベルモスジル(レズロック®)

投与量コース投与日
200mg 経口1-Day 1-

前投薬

なし

その他

空腹時投与で吸収が低下するため食後に投与.
PPIまたは強いCYP3A4誘導剤との併用により血中濃度が低下する可能性がある.
併用薬に応じて効果不十分な場合に1回200mg1日2回に増量可
レジメン
Belumosudil (cGVHD)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

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主な有害事象

海外第III相試験 (KD025-213試験)¹⁾より引用

主な有害事象

  • 倦怠感 (1日1回群 46%、 1日2回群 30%)
  • 下痢 (1日1回群 35%、 1日2回群 32%)
  • 悪心 (1日1回群 35%、 1日2回群 26%)
  • 咳嗽 (1日1回群 30%、 1日2回群 26%)
  • 上部消化管感染 (1日1回群 26%、 1日2回群 27%)
  • 呼吸困難 (1日1回群 32%、 1日2回群 18%)
  • 頭痛 (1日1回群 20%、 1日2回群 27%)
  • 末梢浮腫 (1日1回群 26%、 1日2回群 20%)
  • 嘔吐 (1日1回群 27%、 1日2回群 15%)
  • 筋痙攣 (1日1回群 20%、 1日2回群 20%)

その他重篤な有害事象

  • 肺炎 (1日1回群 ≧Grade3 9%、 1日2回群 ≧Grade3 6%)
  • 高血圧 (1日1回群 ≧Grade3 6%、 1日2回群 ≧Grade3 6%)
  • 高血糖 (1日1回群 ≧Grade3 5%、 1日2回群 ≧Grade3 5%)

特徴と注意点

作用機序

  • 選択的にRho結合コイルド・コイル領域含有タンパク質キナーゼ (Rho-associated coiled-coil-containing protein kinase: ROCK) 2を阻害するROCK2阻害薬である.
  • ROCK2はT細胞受容体シグナル伝達を含むT細胞免疫応答の調整、 細胞骨格系再構築およびエフェクターT細胞の機能獲得において中心的な役割を果たすRho GTPaseシグナル伝達経路の下流に存在する分子である.
  • ROCK2阻害によりTh17細胞およびTfh細胞への分化とそれに続く抗炎症性サイトカイン産生を亢進し、 免疫調整作用を発揮する. さらにTfh細胞の分化を抑制することによりB細胞とTfh細胞の相互作用により生じる胚中心反応と自己抗体の産生を抑制する.
  • 線維化に関与する転写因子MRTFを介した組織線維化シグナル伝達経路の抑制による抗線維化作用を有する.

注意点

  • 成人および12歳以上の小児に200mgを1日1回食後に経口投与する.
  • CYP3A4により代謝され、 CYP3A、 P-gp、 BCRPおよびOATP1B1に対する阻害作用を有する. また溶解度はPh上昇により低下するため、 空腹時投与で吸収は低下する.
  • PPIまたは強いCYP3A4誘導剤との併用により血中濃度が低下する可能性がある. 併用時で効果不十分な場合は、 1回200mg1日2回投与に増量を考慮する.
  • 重篤な感染症や日和見感染が発現または悪化することがある. B型肝炎ウイルス、 帯状疱疹等が再活性化する可能性がある.
  • 動物実験で胚・胎児毒性および催奇形性が報告されているため、 生殖能を有する患者には避妊の必要性について十分な説明を行う.
  • 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていない.

関連する臨床試験の結果

海外第II相試験 (KD025-213試験)¹⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 ランダム化試験.
  • 12歳以上の2~5種類の全身治療歴を有するcGVHD患者を対象にベルモスジル200mgを1日1回 (n=66) または1日2回 (n=66) 投与したときの有効性及び安全性を検討.
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点での評価.

結果

  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の最良奏効率 (完全奏効+部分奏効):1日1回群 72.7% (95%CI 60.4-83.0) vs 1日2回群 74.2% (95%CI 62.0-84.2).
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の完全奏効率:1日1回群 4.5% vs 1日2回群 1.5%.
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の部分奏効率:1日1回群 68.2% vs 1日2回群 72.7%.
  • 最終被験者登録後1年時点の最良奏効率:1日1回群 72.7% (95%CI 60.4-83.0) vs 1日2回群 77.3% (95%CI 65.3-86.7).

安全性

  • 有害事象発現頻度は、 1日1回群 74.2%、 1日2回群 60.6%.
  • Grade 3以上の有害事象発現頻度は、 1日1回群 56.1%、 1日2回群 51.5%.
  • 主な有害事象は、 1日1回群では疲労 25.8% 及び 悪心 13.6%、 1日2回群では疲労 21.2% および悪心 10.6%.
  • 死亡に至った有害事象は、 1日1回群 6.1%、 1日2回群 6.1%.

国内第III相試験 (ME3208-2試験)

概要

  • 12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=21) を対象にベルモスジル200mgを1日1回投与したときの有効性及び安全性を検討. 
  • 観察期間中央値:11.9ヵ月 (範囲 1.9-16.7).

結果

  • 最終被験者登録後24週経過時点の最良奏効率:85.7% (95%CI 63.7-97.0). 
  • 最終被験者登録後24週経過時点の完全奏効率:0%. 
  • 最終被験者登録後24週経過時点の部分奏効率:85.7%. 

安全性

  • 有害事象発現頻度は38.1%. 
  • Grade 3以上の有害事象発現頻度42.9%. 
  • 主な有害事象は、 帯状疱疹 9.5%、 筋痙縮 9.5%. 
  • 死亡に至った有害事象は1日1回群 4.8%.

参考文献

  1. Blood. 2021 Dec 2;138(22):2278-2289.

関連コンテンツ

🔢 慢性GVHDの重症度分類

最終更新:2024年9月29日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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2024年09月29日更新

Belumosudil:ベルモスジル(レズロック®)

投与量コース投与日
200mg 経口1-Day 1-

前投薬

なし

その他

空腹時投与で吸収が低下するため食後に投与.
PPIまたは強いCYP3A4誘導剤との併用により血中濃度が低下する可能性がある.
併用薬に応じて効果不十分な場合に1回200mg1日2回に増量可

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*「Meiji Seikaファルマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

海外第III相試験 (KD025-213試験)¹⁾より引用

主な有害事象

  • 倦怠感 (1日1回群 46%、 1日2回群 30%)
  • 下痢 (1日1回群 35%、 1日2回群 32%)
  • 悪心 (1日1回群 35%、 1日2回群 26%)
  • 咳嗽 (1日1回群 30%、 1日2回群 26%)
  • 上部消化管感染 (1日1回群 26%、 1日2回群 27%)
  • 呼吸困難 (1日1回群 32%、 1日2回群 18%)
  • 頭痛 (1日1回群 20%、 1日2回群 27%)
  • 末梢浮腫 (1日1回群 26%、 1日2回群 20%)
  • 嘔吐 (1日1回群 27%、 1日2回群 15%)
  • 筋痙攣 (1日1回群 20%、 1日2回群 20%)

その他重篤な有害事象

  • 肺炎 (1日1回群 ≧Grade3 9%、 1日2回群 ≧Grade3 6%)
  • 高血圧 (1日1回群 ≧Grade3 6%、 1日2回群 ≧Grade3 6%)
  • 高血糖 (1日1回群 ≧Grade3 5%、 1日2回群 ≧Grade3 5%)

特徴と注意点

作用機序

  • 選択的にRho結合コイルド・コイル領域含有タンパク質キナーゼ (Rho-associated coiled-coil-containing protein kinase: ROCK) 2を阻害するROCK2阻害薬である.
  • ROCK2はT細胞受容体シグナル伝達を含むT細胞免疫応答の調整、 細胞骨格系再構築およびエフェクターT細胞の機能獲得において中心的な役割を果たすRho GTPaseシグナル伝達経路の下流に存在する分子である.
  • ROCK2阻害によりTh17細胞およびTfh細胞への分化とそれに続く抗炎症性サイトカイン産生を亢進し、 免疫調整作用を発揮する. さらにTfh細胞の分化を抑制することによりB細胞とTfh細胞の相互作用により生じる胚中心反応と自己抗体の産生を抑制する.
  • 線維化に関与する転写因子MRTFを介した組織線維化シグナル伝達経路の抑制による抗線維化作用を有する.

注意点

  • 成人および12歳以上の小児に200mgを1日1回食後に経口投与する.
  • CYP3A4により代謝され、 CYP3A、 P-gp、 BCRPおよびOATP1B1に対する阻害作用を有する. また溶解度はPh上昇により低下するため、 空腹時投与で吸収は低下する.
  • PPIまたは強いCYP3A4誘導剤との併用により血中濃度が低下する可能性がある. 併用時で効果不十分な場合は、 1回200mg1日2回投与に増量を考慮する.
  • 重篤な感染症や日和見感染が発現または悪化することがある. B型肝炎ウイルス、 帯状疱疹等が再活性化する可能性がある.
  • 動物実験で胚・胎児毒性および催奇形性が報告されているため、 生殖能を有する患者には避妊の必要性について十分な説明を行う.
  • 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施されていない.

関連する臨床試験の結果

海外第II相試験 (KD025-213試験)¹⁾

概要

  • 非盲検、 多施設共同、 ランダム化試験.
  • 12歳以上の2~5種類の全身治療歴を有するcGVHD患者を対象にベルモスジル200mgを1日1回 (n=66) または1日2回 (n=66) 投与したときの有効性及び安全性を検討.
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点での評価.

結果

  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の最良奏効率 (完全奏効+部分奏効):1日1回群 72.7% (95%CI 60.4-83.0) vs 1日2回群 74.2% (95%CI 62.0-84.2).
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の完全奏効率:1日1回群 4.5% vs 1日2回群 1.5%.
  • 最終被験者登録後6ヵ月時点の部分奏効率:1日1回群 68.2% vs 1日2回群 72.7%.
  • 最終被験者登録後1年時点の最良奏効率:1日1回群 72.7% (95%CI 60.4-83.0) vs 1日2回群 77.3% (95%CI 65.3-86.7).

安全性

  • 有害事象発現頻度は、 1日1回群 74.2%、 1日2回群 60.6%.
  • Grade 3以上の有害事象発現頻度は、 1日1回群 56.1%、 1日2回群 51.5%.
  • 主な有害事象は、 1日1回群では疲労 25.8% 及び 悪心 13.6%、 1日2回群では疲労 21.2% および悪心 10.6%.
  • 死亡に至った有害事象は、 1日1回群 6.1%、 1日2回群 6.1%.

国内第III相試験 (ME3208-2試験)

概要

  • 12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性のcGVHD患者 (n=21) を対象にベルモスジル200mgを1日1回投与したときの有効性及び安全性を検討. 
  • 観察期間中央値:11.9ヵ月 (範囲 1.9-16.7).

結果

  • 最終被験者登録後24週経過時点の最良奏効率:85.7% (95%CI 63.7-97.0). 
  • 最終被験者登録後24週経過時点の完全奏効率:0%. 
  • 最終被験者登録後24週経過時点の部分奏効率:85.7%. 

安全性

  • 有害事象発現頻度は38.1%. 
  • Grade 3以上の有害事象発現頻度42.9%. 
  • 主な有害事象は、 帯状疱疹 9.5%、 筋痙縮 9.5%. 
  • 死亡に至った有害事象は1日1回群 4.8%.

参考文献

  1. Blood. 2021 Dec 2;138(22):2278-2289.

関連コンテンツ

🔢 慢性GVHDの重症度分類

最終更新:2024年9月29日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

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