治療スケジュール
概要
監修医師

PTX:パクリタキセル(タキソール®)

投与量コース投与日
80mg/m² 点滴1~Day1.8.15

その他

1コース28日間。
レジメン
PTX
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

タキソール® (添付文書)

用法用量

前投薬

デキサメタゾン注射液2mL+ファモチジン20mg1A

ファモチジン20mg+クロルフェニラミン5mg1A NS50mL 15分でdiv

投与開始基準

WJOG 4007試験¹⁾より抜粋

組織学的に転移性または再発性胃腺癌が確認された20~75歳で以下の基準を満たす患者

減量基準

WJOG 4007試験¹⁾より抜粋

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

WJOG 4007試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 白血球減少症 81.4% (20.4%)
  • 好中球減少症 78.7% (28.7%)
  • Hb減少 63.9% (21.3%)
  • 血小板減少症 5.6% (0.9%)
  • 発熱性好中球減少症 2.8% (2.8%)
  • 悪心 30.6% (1.9%)
  • 嘔吐 20.4% (2.8%)
  • 下痢 19.4% (0.9%)
  • AST増加 29.6% (3.7%)

上手に使うためのワンポイント

  • 消化管出血、 通過障害による消化管ステント留置後などの症例がPTX単剤の適応になる。
  • 好中球数減少を繰り返す症例においては、 まずは減量を実施する。 減量後も血球減少を繰り返す症例は、 Biweekly投与も選択肢である。
  • PTXによるCIPNが増悪・持続する場合は、 速やかに休薬する。 休薬でも改善しない場合は、 IRIなどの後方治療へ移行する。 後方治療に不応となった際、 CIPNが回復していれば、 PTXを再導入する。

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドラインでは、 条件付き推奨レジメンの1つである²⁾。
  • PTXは無水エタノールで溶解されているため、 投与前までにアルコール不耐でないかの確認をすること、、 投与後には車の運転は控えるように指導する。
  • 添加物であるポリオキシエチレンヒマシ油へのアレルギーがある患者や、、 アルコール不耐の患者には使用不能のためnPTXベースのレジメンを考慮する。 また一次治療終了時にCIPN G2の場合はIRIベースのレジメンを選択する。

関連する臨床試験|WJOG 4007試験¹⁾

1次治療抵抗性の再発または転移性胃癌患者において、 パクリタキセルまたはイリノテカンによる2次治療の効果を比較検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験WJOG4007の結果より、 両群間で全生存期間 (OS) に有意差は認められず、 どちらも再発または転移性胃癌患者の2次治療として妥当な選択肢であることが示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS (中央値)

  • パクリタキセル群 : 9.5ヵ月
(95%CI 8.4-10.7ヵ月)
  • イリノテカン群 : 8.4ヵ月
(95%CI 7.6-9.8ヵ月)
HR 1.13 (95%CI 0.86-1.49)、 p=0.38

サブグループ解析

パクリタキセル群はほぼ全てのサブグループでわずかな優位性が認められたが、 有意な結果は得られなかった。

PFS (中央値)

  • パクリタキセル群 : 3.6ヵ月
(95%CI 3.3-3.8ヵ月)
  • イリノテカン群 : 2.3ヵ月
(95%CI 2.2-3.1ヵ月)
HR 1.14 (95%CI 0.88-1.49)、 p=0.33

ORR

  • パクリタキセル群 : 20.9%
  • イリノテカン群 : 13.6%
p=0.24

3次化学療法を受けた患者の割合

  • パクリタキセル群 : 89.8%
  • イリノテカン群 : 72.1%
p=0.001

出典

  1. Randomized, open-label, phase III study comparing irinotecan with paclitaxel in patients with advanced gastric cancer without severe peritoneal metastasis after failure of prior combination chemotherapy using fluoropyrimidine plus platinum: WJOG 4007 trial. J Clin Oncol. 2013 Dec 10;31(35):4438-44. PMID: 24190112
  2. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版. 日本胃癌学会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2024年3月13日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
PTX
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
PTX
レジメン
PTX

PTX

パクリタキセル (タキソール®)
2024年04月24日更新

PTX:パクリタキセル(タキソール®)

投与量コース投与日
80mg/m² 点滴1~Day1.8.15

その他

1コース28日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

タキソール® (添付文書)

用法用量

前投薬

デキサメタゾン注射液2mL+ファモチジン20mg1A

ファモチジン20mg+クロルフェニラミン5mg1A NS50mL 15分でdiv

投与開始基準

WJOG 4007試験¹⁾より抜粋

組織学的に転移性または再発性胃腺癌が確認された20~75歳で以下の基準を満たす患者

減量基準

WJOG 4007試験¹⁾より抜粋

初回基準量と減量レベル

主な有害事象

WJOG 4007試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 白血球減少症 81.4% (20.4%)
  • 好中球減少症 78.7% (28.7%)
  • Hb減少 63.9% (21.3%)
  • 血小板減少症 5.6% (0.9%)
  • 発熱性好中球減少症 2.8% (2.8%)
  • 悪心 30.6% (1.9%)
  • 嘔吐 20.4% (2.8%)
  • 下痢 19.4% (0.9%)
  • AST増加 29.6% (3.7%)

上手に使うためのワンポイント

  • 消化管出血、 通過障害による消化管ステント留置後などの症例がPTX単剤の適応になる。
  • 好中球数減少を繰り返す症例においては、 まずは減量を実施する。 減量後も血球減少を繰り返す症例は、 Biweekly投与も選択肢である。
  • PTXによるCIPNが増悪・持続する場合は、 速やかに休薬する。 休薬でも改善しない場合は、 IRIなどの後方治療へ移行する。 後方治療に不応となった際、 CIPNが回復していれば、 PTXを再導入する。

特徴と注意点

  • 胃癌治療ガイドラインでは、 条件付き推奨レジメンの1つである²⁾。
  • PTXは無水エタノールで溶解されているため、 投与前までにアルコール不耐でないかの確認をすること、、 投与後には車の運転は控えるように指導する。
  • 添加物であるポリオキシエチレンヒマシ油へのアレルギーがある患者や、、 アルコール不耐の患者には使用不能のためnPTXベースのレジメンを考慮する。 また一次治療終了時にCIPN G2の場合はIRIベースのレジメンを選択する。

関連する臨床試験|WJOG 4007試験¹⁾

1次治療抵抗性の再発または転移性胃癌患者において、 パクリタキセルまたはイリノテカンによる2次治療の効果を比較検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験WJOG4007の結果より、 両群間で全生存期間 (OS) に有意差は認められず、 どちらも再発または転移性胃癌患者の2次治療として妥当な選択肢であることが示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS (中央値)

  • パクリタキセル群 : 9.5ヵ月
(95%CI 8.4-10.7ヵ月)
  • イリノテカン群 : 8.4ヵ月
(95%CI 7.6-9.8ヵ月)
HR 1.13 (95%CI 0.86-1.49)、 p=0.38

サブグループ解析

パクリタキセル群はほぼ全てのサブグループでわずかな優位性が認められたが、 有意な結果は得られなかった。

PFS (中央値)

  • パクリタキセル群 : 3.6ヵ月
(95%CI 3.3-3.8ヵ月)
  • イリノテカン群 : 2.3ヵ月
(95%CI 2.2-3.1ヵ月)
HR 1.14 (95%CI 0.88-1.49)、 p=0.33

ORR

  • パクリタキセル群 : 20.9%
  • イリノテカン群 : 13.6%
p=0.24

3次化学療法を受けた患者の割合

  • パクリタキセル群 : 89.8%
  • イリノテカン群 : 72.1%
p=0.001

出典

  1. Randomized, open-label, phase III study comparing irinotecan with paclitaxel in patients with advanced gastric cancer without severe peritoneal metastasis after failure of prior combination chemotherapy using fluoropyrimidine plus platinum: WJOG 4007 trial. J Clin Oncol. 2013 Dec 10;31(35):4438-44. PMID: 24190112
  2. 胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版. 日本胃癌学会編. 金原出版株式会社.
最終更新日:2024年3月13日
執筆医:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 川上 武志先生
監修医師:神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。