治療スケジュール
概要
監修医師

Atezolizumab:アテゾリズマブ(テセントリク®)

投与量コース投与日
1200mg/body 点滴1~Day1

BV:ベバシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
15mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース21日間。
レジメン
Atezolizumab+BV
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*中外製薬の外部サイトへ遷移します
*中外製薬の外部サイトへ遷移します

用法用量 (1コース3週間)

投与開始基準

IMbrave150試験¹⁾
  • 18歳以上
  • 組織学的に確認された局所進行又は転移及び/又は切除不能なHCCを有する患者
  • 肝硬変がある場合、 組織学的検査・細胞診又はAASLD基準に基づいて臨床的に確認された、 局所進行又は転移及び/又は切除不能なHCCを有する患者

休薬・中止基準

アテゾリズマブの休薬・中止基準

主な有害事象

IMbrave150試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 10.6% (3.3%)
  • 倦怠感 20.4% (2.4%)
  • 下痢 18.8% (1.8%)
  • 食欲減退 17.6% (1.2%)
  • 発熱 17.9% (1.2%)
  • 便秘 13.4% (0%)
  • 腹痛 12.2% (1.2%)
  • 嘔気 12.2% (0.3%)
  • 体重減少 11.2% (0%)
  • 無力症 6.7% (0.3%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧症 29.8% (15.2%)
  • 蛋白尿 20.1% (3.0%)
  • 脱毛症 1.2% (0%)
  • 手足症候群 0.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

血圧測定と尿検査が必要

IMbrave150試験¹⁾では高血圧(23.7%)、蛋白尿(18.8%)が高頻度に出現することが報告されており、 早期発見が必要

UPC比の活用

IMbrave150試験¹⁾では尿蛋白2+が出現したときは24時間蓄尿を行い、 蛋白尿2g/24時間以上は休薬基準とされていた。 UPC比 (尿蛋白/クレアチニン比) は1日尿蛋白排泄量とよく相関することが知られており、 24時間蓄尿は実施が困難な場合にはUPC比で代用を積極的に検討する。

特徴と注意点

肝癌診療ガイドラインの扱い

切除不能肝細胞癌に対する一次薬物療法として推奨される化学療法レジメンである。

本レジメンは肝予備能が良好なChild-Pugh分類Aの症例に対して推奨され、 Child-Pugh分類A以外は臨床試験の対象外であり、 安全性が確認されていない。

ベバシズマブは出血リスク

ベバシズマブは出血のリスクを高める可能性があり、 レジメン開始前に上部消化管内視鏡検査を行い、 出血リスクのある静脈瘤を認めた場合は予防的処置を実施する必要がある。 活動性の心血管系疾患を合併する場合は投与を避ける。

関連する臨床試験|IMbrave150試験¹⁾

全身治療歴のない局所進行転移性または切除不能な肝細胞癌患者において、 アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法の効果を、 ソラフェニブ単剤投与を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験IMbrave150の結果より、 全生存期間 (OS) と無増悪生存期間 (PFS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:19.2ヵ月
(95%CI 17.0-23.7ヵ月)
  • ソラフェニブ群:13.4ヵ月
(95%CI 11.4-16.9ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.52-0.85)、 p<0.001

OS率 (6ヵ月、 12ヵ月、 18ヵ月)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:84.8%、 67%、 52%
  • ソラフェニブ群:72.2%、 56%、 40%

PFS中央値

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:6.9ヵ月
(95%CI 5.7-8.6ヵ月)
  • ソラフェニブ群:4.3ヵ月
(95%CI 4.0-5.6ヵ月)
HR 0.65 (95%CI 0.53-0.81)、 p<0.001

ORR

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:30%
(95%CI 25-35%)
  • ソラフェニブ群:11%
(95%CI 7-17%)
p<0.001

サブグループ解析

  • OSは、 肝細胞癌の原因が非ウイルス性の患者以外のサブグループで、 アテゾリズマブ+ベバシズマブ群で長かった。
  • PFSとORRは、 肝細胞癌の原因が非ウイルス性の患者も含め、 全てのサブグループにおいてアテゾリズマブ+ベバシズマブ群が有効であった。

奏効期間 (中央値)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:18.1ヵ月
(95%CI 14.6ヵ月-NE)
  • ソラフェニブ群:14.9ヵ月
(95%CI 4.9-17.0ヵ月)

患者報告アウトカム (QOL悪化までの期間中央値)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:11.2ヵ月
  • ソラフェニブ群:3.6ヵ月
HR 0.63 (95%CI 0.46-0.85)

参考文献

  1. Atezolizumab plus Bevacizumab in Unresectable Hepatocellular Carcinoma. N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1894-1905. PMID: 32402160
最終更新日:2023年11月2日
執筆医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
Atezolizumab+BV
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
レジメン
Atezolizumab+BV
レジメン
Atezolizumab+BV

Atezolizumab+BV

アテゾリズマブ+ベバシズマブ
2023年11月10日更新

Atezolizumab:アテゾリズマブ(テセントリク®)

投与量コース投与日
1200mg/body 点滴1~Day1

BV:ベバシズマブ(アバスチン®)

投与量コース投与日
15mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース21日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量 (1コース3週間)

投与開始基準

IMbrave150試験¹⁾
  • 18歳以上
  • 組織学的に確認された局所進行又は転移及び/又は切除不能なHCCを有する患者
  • 肝硬変がある場合、 組織学的検査・細胞診又はAASLD基準に基づいて臨床的に確認された、 局所進行又は転移及び/又は切除不能なHCCを有する患者

休薬・中止基準

アテゾリズマブの休薬・中止基準

主な有害事象

IMbrave150試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 10.6% (3.3%)
  • 倦怠感 20.4% (2.4%)
  • 下痢 18.8% (1.8%)
  • 食欲減退 17.6% (1.2%)
  • 発熱 17.9% (1.2%)
  • 便秘 13.4% (0%)
  • 腹痛 12.2% (1.2%)
  • 嘔気 12.2% (0.3%)
  • 体重減少 11.2% (0%)
  • 無力症 6.7% (0.3%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧症 29.8% (15.2%)
  • 蛋白尿 20.1% (3.0%)
  • 脱毛症 1.2% (0%)
  • 手足症候群 0.9% (0%)

上手に使うためのワンポイント

血圧測定と尿検査が必要

IMbrave150試験¹⁾では高血圧(23.7%)、蛋白尿(18.8%)が高頻度に出現することが報告されており、 早期発見が必要

UPC比の活用

IMbrave150試験¹⁾では尿蛋白2+が出現したときは24時間蓄尿を行い、 蛋白尿2g/24時間以上は休薬基準とされていた。 UPC比 (尿蛋白/クレアチニン比) は1日尿蛋白排泄量とよく相関することが知られており、 24時間蓄尿は実施が困難な場合にはUPC比で代用を積極的に検討する。

特徴と注意点

肝癌診療ガイドラインの扱い

切除不能肝細胞癌に対する一次薬物療法として推奨される化学療法レジメンである。

本レジメンは肝予備能が良好なChild-Pugh分類Aの症例に対して推奨され、 Child-Pugh分類A以外は臨床試験の対象外であり、 安全性が確認されていない。

ベバシズマブは出血リスク

ベバシズマブは出血のリスクを高める可能性があり、 レジメン開始前に上部消化管内視鏡検査を行い、 出血リスクのある静脈瘤を認めた場合は予防的処置を実施する必要がある。 活動性の心血管系疾患を合併する場合は投与を避ける。

関連する臨床試験|IMbrave150試験¹⁾

全身治療歴のない局所進行転移性または切除不能な肝細胞癌患者において、 アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法の効果を、 ソラフェニブ単剤投与を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験IMbrave150の結果より、 全生存期間 (OS) と無増悪生存期間 (PFS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:19.2ヵ月
(95%CI 17.0-23.7ヵ月)
  • ソラフェニブ群:13.4ヵ月
(95%CI 11.4-16.9ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.52-0.85)、 p<0.001

OS率 (6ヵ月、 12ヵ月、 18ヵ月)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:84.8%、 67%、 52%
  • ソラフェニブ群:72.2%、 56%、 40%

PFS中央値

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:6.9ヵ月
(95%CI 5.7-8.6ヵ月)
  • ソラフェニブ群:4.3ヵ月
(95%CI 4.0-5.6ヵ月)
HR 0.65 (95%CI 0.53-0.81)、 p<0.001

ORR

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:30%
(95%CI 25-35%)
  • ソラフェニブ群:11%
(95%CI 7-17%)
p<0.001

サブグループ解析

  • OSは、 肝細胞癌の原因が非ウイルス性の患者以外のサブグループで、 アテゾリズマブ+ベバシズマブ群で長かった。
  • PFSとORRは、 肝細胞癌の原因が非ウイルス性の患者も含め、 全てのサブグループにおいてアテゾリズマブ+ベバシズマブ群が有効であった。

奏効期間 (中央値)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:18.1ヵ月
(95%CI 14.6ヵ月-NE)
  • ソラフェニブ群:14.9ヵ月
(95%CI 4.9-17.0ヵ月)

患者報告アウトカム (QOL悪化までの期間中央値)

  • アテゾリズマブ+ベバシズマブ群:11.2ヵ月
  • ソラフェニブ群:3.6ヵ月
HR 0.63 (95%CI 0.46-0.85)

参考文献

  1. Atezolizumab plus Bevacizumab in Unresectable Hepatocellular Carcinoma. N Engl J Med. 2020 May 14;382(20):1894-1905. PMID: 32402160
最終更新日:2023年11月2日
執筆医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 福島 泰斗先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

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