本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
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主な有害事象
FIRST試験¹⁾より引用.
骨髄抑制
- 好中球減少 (≧Grade3 28%)
- 貧血 (≧Grade3 18%)
- 血小板減少 (≧Grade3 8%)
- リンパ球減少 (≧Grade3 6%)
- 白血球減少 (≧Grade3 5%)
重大な有害事象
- 感染症 (≧Grade3 29%)
- 心機能障害 (≧Grade3 12%)
その他
- 肺炎 (≧Grade3 8%)
- 深部静脈血栓症 (肺塞栓含む) (≧Grade3 8%)
- 無力症 (≧Grade3 8%)
- 倦怠感 (≧Grade3 7%)
- 背部痛 (≧Grade3 7%)
- 高K血症 (≧Grade3 7%)
- 高血糖 (≧Grade3 5%)
- 発疹 (≧Grade3 6%)
- 白内障 (≧Grade3 6%)
- 呼吸困難 (≧Grade3 6%)
- 便秘 (≧Grade3 2%)
- 末梢神経障害 (≧Grade3 1%)
特徴と注意点
特徴
- レナリドミド (Lenalidomide:LEN) は免疫調節薬であり、 セレブロンに結合しIKZF1/3の分解を促進することで、 骨髄腫細胞の増殖を抑制し、 免疫細胞を活性化する.
- Ld療法は、 初発及び再発難治性の多発性骨髄腫における標準治療の一つ.
- 幹細胞採取の効率が低下する可能性があり、 導入療法に使用する場合は4コース以内に留める.
- 移植非適応の初回治療では18コースまたは再発・再燃まで継続.
- Ld療法は75歳以上/未満でも同等の効果が示されており、 有害事象についても75歳以上/未満で同程度であった¹⁾.
LEN投与時の注意点
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- 血栓塞栓症予防に抗血小板薬又は抗凝固薬の予防投与を推奨.
- 二次性発がんが増える可能性がある.
- 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.
LENの腎機能による投与量調整
- LENは腎機能 (CrCLやeGFR)により投与量を調整する.
- 30≦CrCL<60mL/minの場合:LEN 10mgより開始し、 2コース終了後に忍容可能なら15mgへ増量検討.
- 透析を行っておらずCrCl<30mL/minの場合:LEN 15mg/日を2日に1回.
- 透析患者の場合:LEN 5mgを1日1回 (透析日は透析後に投与).
関連する臨床試験の結果
概要
- 造血幹細胞移植非適応の患者に対するランダム比較試験.
- Ld継続群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを28日ごとに病勢進行まで投与、 Ld18群:レナリドミド+低用量デキサメタゾンを18サイクル投与、 MPT群:メルファラン+プレドニゾン+サリドマイドを42 日ごとに12サイクル投与.
- PFS、 OS、 奏効率、 安全性について比較.
PFS:無増悪生存期間 OS:全生存期間
結果
- 追跡期間中央値37ヵ月.
- PFS中央値:Ld継続群 25.5 ヵ月、 Ld18群 20.7 ヵ月、 MPT群 21.2 ヵ月.
- PFS:Ld継続群での病勢進行または死亡のリスクが有意に低かった. (MPT群との比較:HR0.72、 95%CI 0.61-0.85、 p<0.001、 Ld18群と比較:HR0.70、 95%CI 0.60-0.82、 p<0.001)
- OSの中間解析では、 3年目の全生存率はLd継続群 70%、 Ld18群 66%、 MPT群 62%、 4年目の全生存率は、 それぞれ59%、 56%、 51%.
- MPT群と比較してLd継続群の死亡リスクは22%低下したが、 有意水準 (p<0.0096) には到達しなかった. (HR0.78、 95%CI 0.64-0.96、 p=0.02)
- 奏効率:Ld継続群 75%、 Ld18群 73%は、 MPT群 62%よりも有意に高かった (p<0.001) . 非常に良好な部分奏効以上を達成した患者割合は、 それぞれ44%、 43%、 28%、 完全奏効率は、 それぞれ15%、 14%、 9%であった.
- Grade3または4の有害事象:Ld継続群 85%、 Ld18群 80%、 MPT群 89%.
- 浸潤性第二原発がん:Ld継続群 3%、 Ld18群 6%、 MPT群 5%. 血液がん (AMLおよびMDS) は、 Ld継続群またはLd18群 (1%未満) よりもMPT群 (2%) で頻度が高かった. 固形腫瘍は、 Ld継続群 3%、 Ld18群 5%、 MPT群 3%に認められた.
参考文献
- N Engl J Med. 2014 Sep 4;371(10):906-17.
最終更新:2023年5月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔