治療スケジュール
概要
監修医師

ATG:ウサギ抗胸腺細胞免疫グロブリン(サイモグロブリン®)

投与量コース投与日
2.5-3.75mg/kg 点滴静注-Day 1-5

CsA:シクロスポリン(ネオーラル®)

投与量コース投与日
5mg/kg/日 1日2回 12時間毎 内服-Day 1-

EPAG:エルトロンボパグ(レボレード®)

投与量コース投与日
75mg/日 1日1回 空腹時に内服-*Day 15-

前投薬

ATG投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬、 副腎皮質ステロイドを使用.
ステロイドの投与法の詳細は概要欄を参照.

その他

rATGは 2.5 (~3.75) mg/kgを5日間投与.
rATGの用量は2.5mg/kgが推奨されている.
CsAは5mg/kgをATG投与初日から開始.
CsA開始後速やかに血中濃度を測定し、 トラフ濃度150~250ng/mL、 内服2時間後濃度 (C2)≧600ng/mLとなるよう調節.
EPAGは、 保険診療上ATG投与後一定期間経過してから開始する必要がありday15からとしているが、 day1などの早期開始も考慮すべき (詳細は概要欄参照).
EPAGの代わりにロミプロスチム (ロミプレート®)の使用も可能.
G-CSFの使用に関しては概要欄を参照.
レジメン
rATG+CsA+EPAG
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

RACE試験²⁾のATG+CsA+EPAG群 (B群) 96例より引用.

Grade3以上の有害事象をイベント数の多い順に記載.

  • 感染症 63イベント.
  • 血液リンパ系異常 33イベント.
  • 胃腸障害 24イベント.
  • 血管障害 10イベント.
  • 神経系障害 9イベント.
  • 呼吸器障害 9イベント.
  • 肝胆道系障害 7イベント.
  • 筋骨格系・結合組織障害 7イベント.
  • 心障害 6イベント.
  • 代謝栄養障害 6イベント.
  • 腎尿路系障害 6イベント.
  • 皮膚皮下組織障害 5イベント.

特徴と注意点

  • rATG:ウサギ抗胸腺細胞免疫グロブリン (サイモグロブリン®)
  • CsA:シクロスポリン (ネオーラル®)
  • EPAG:エルトロンボパグ (レボレード®)
  • ROMI:ロミプロスチム (ロミプレート®)

ATG+CsA+EPAGの適応¹⁾

  • 再生不良性貧血のステージ2b~5の症例.
  • 再生不良性貧血のステージ1及び2aでCsA開始後に血小板減少や貧血が進行し、 輸血が必要な症例.

ATG+CsA+EPAGの治療効果判定¹⁾

  • 治療効果判定は3ヵ月を目安に行う.
  • Late responderのこともあり6ヵ月までは無効と判断せずに経過を観察する.

各薬剤の特徴、用法・用量、主な副作用とその対策

ATG

  • 現在ウサギATG (サイモグロブリンⓇ)以外にウマATG (アトガム®)も使用可能となっている. 
  • ウサギATGは2.5~3.75 mg/kgを5日間投与. 2.5mg/kgが推奨されている.¹⁾
  • 日本、 韓国、 中国天津の国際共同前方視的比較試験により、 サイモグロブリンⓇの投与量は2.5mg/kgと3.5mg/kg間で有効率・生存率に差がないことが示された.³⁾ トロンボポエチン受容体作動薬を併用することによる上乗せ効果も期待できることから敢えて高用量のATGを投与する必然性に乏しいとされている.¹⁾
  • アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがある.
  • 生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、 6時間以上かけ緩徐に点滴静注.
  • ATGによるアレルギー予防のため、 ATG投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬及び、 メチルプレドニゾロン又はプレドニゾロン1-2mg/kg/日を併用する.
  • ステロイドの投与法.
  • 副作用ショック、 アナフィラキシー、 Infusion reaction、 血球減少、 感染症、 リンパ増殖性疾患、 進行性多巣性白質脳症、 間質性肺炎、 腎機能障害、 肝機能障害など.
  • ATG投与後1~2ヵ月はリンパ球減少のため、 真菌、 ニューモシスチス・イロヴェチ、 結核、 VZV、 CMVなどの感染症を起こしやすい. 抗菌薬、 抗真菌薬、 抗ウイルス薬の予防投与を考慮.
  • サイトメガロウイルス感染症やEBウイルス関連リンパ増殖性疾患の発症に注意.

CsA

  • CsAは5mg/kgをATGの投与初日から開始する.
  • CsA開始後速やかに血中濃度を測定する.
  • トラフ濃度が150~250ng/mL内服2時間後濃度 (C2) が600ng/mL以上となるよう調整
  • C2はAUCに最も良く相関する.
  • CsA内服は食後よりも食前とした方が高いC2が得られやすい.
  • 治療反応が得られた場合は血球上昇が一定に達した後に漸減・中止する.
  • CsAは血球数が回復傾向にある間は投与を続け、 血球数の上昇が頭打ちとなり、 3 ヶ月以上変化が見られない場合、 1mg/kg減量する. 3ヵ月経過をみて血球数の低下がみられない場合にはさらに同量を減量する.
  • CsA併用の効果は非重症例では確認されておらず、 stage3 よりも重症度の低い非重症例においては ATG 単剤でもよい可能性がある.
  • 副作用腎機能障害、 肝機能障害、 中枢神経系障害 (可逆性後白質脳症症候群、 高血圧性脳症など)、 感染症、 進行性多巣性白質脳症、 血栓性微小血管障害など.

EPAG

  • 経口可能なトロンボポエチン受容体の低分子アゴニスト (TPO-RA).
  • TPO受容体の活性化により骨髄幹細胞・前駆細胞・巨核球の分化・増殖を促進し、 多系統の血球増加を促す.
  • EPAGによる染色体異常陽性細胞の誘発リスクを考慮してEPAGを併用するか検討する.
  • ATGとの併用において、 EPAGは75mgを1日1回経口投与.
  • EPAGは保険診療上ATG投与後一定期間経過してから開始する必要がある. ATGによる肝機能障害がないことを確認した上でできるだけ早期から併用することが推奨されている.¹⁾ 従って、 Day15又はDay1にEPAGを開始するスケジュール画像を載せたがこの限りではない.
  • 食事の前後2時間を避けて空腹時に内服.
  • 制酸剤、 乳製品、 ミネラルサプリメント、 多価陽イオンを含む製剤との相互作用があるため、 EPAG服用前4時間および服用後2時間は摂取を避ける.
  • EPAGは少なくとも3ヵ月までは継続し、 CRであれば中止、 PR以下であれば同じ用量で6ヵ月まで継続. EPAG中止後に再発した場合は同量再開を検討.
・CR:Hb>10g/dL、 好中球数>1,000/mm³、 Plt>10万/mm³
・PR:重症再生不良性貧血の基準を満たさない、 輸血不要、 Hb>8g/dL、 好中球数>500/mm³、 Plt>2万/mm³.
  • 副作用肝機能障害、 血栓塞栓症、 骨髄線維化など.

ROMI

  • ヒト免疫グロブリンのFc領域にTPO様ペプチドを融合させた遺伝子組み換え融合タンパク.
  • TPO-RAの皮下注射製剤.
  • 2023年9月、 『再生不良性貧血』として適応追記.
  • CsA又は抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合は両薬剤と併用する.
  • 初回投与量10µg/kgを週1回皮下投与.
  • 用量調節時は1回 5µg/kgずつ調節し、 最高投与量は週1回 20µg/kg.
  • ATG+CsA+EPAGで治療導入し、 3ヵ月時点で網赤血球・血小板の増加を認めない場合はEPAGからROMIに切り替える.

その他

  • G-CSFの併用は推奨されない (感染症併発時に早急な好中球回復を得たい場合は考慮).¹⁾
  • メテノロンまたはダナゾール (保険適応外) の追加も可能.

臨床試験

RACE試験³⁾

概要

  • 海外多施設共同非盲検無作為化III相試験.
  • 対象:治療歴のない重症・最重症AA患者.
  • 介入:A群; ウマATG (40mg/kg、 4日間)+CsA (5mg/kg) vs B群; ウマATG (40mg/kg、4日間)+CsA (5mg/kg)+EPAG (150mg/日).
・ウマATG (リンフォグロブリンⓇ) は本邦において販売中止.
・ウサギATG (サイモグロブリンⓇ) は本邦において保険適用.
・EPAGの投与量は本邦と異なることに注意.
  • 評価項目:治療反応割合、 全奏効率など
  • Complete response (CR):Hb>10.0g/dL、 好中球>1,000/mm³、 Plt>10万/mm³ (輸血なし).

結果

  • 3ヵ月時点のCR率:A群 10% vs. B群 22%、 OR 3.2 (95%CI 1.3-7.8、 p=0.01).
  • 6ヵ月時点の全奏効率:A群 41% vs B群 68%.
  • 初回奏効が得られるまでの期間 (中央値):A群 8.8ヶ月 vs B群 3.0ヶ月.
  • 2年時点の核型異常:A群 1例 (monosomy 7) vs B群 2例 (del(13q)).
  • 6ヵ月時点の体細胞変異:A群 66% vs B群 55%.
  • 2年無イベント生存率:A群 34% (95%CI 24-44) vs B群 46% (95%CI 36-57).

参考文献

  1. 再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版
  2. N Engl J Med. 2022 Jan 6;386(1):11-23.
  3. Br J Haematol. 2019 Oct;187(2):227-237.

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最終更新:2024年1月3日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
rATG+CsA+EPAG
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ウサギATG (サイモグロブリン®)+シクロスポリン+エルトロンボパグ
2024年01月03日更新

ATG:ウサギ抗胸腺細胞免疫グロブリン(サイモグロブリン®)

投与量コース投与日
2.5-3.75mg/kg 点滴静注-Day 1-5

CsA:シクロスポリン(ネオーラル®)

投与量コース投与日
5mg/kg/日 1日2回 12時間毎 内服-Day 1-

EPAG:エルトロンボパグ(レボレード®)

投与量コース投与日
75mg/日 1日1回 空腹時に内服-*Day 15-

前投薬

ATG投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬、 副腎皮質ステロイドを使用.
ステロイドの投与法の詳細は概要欄を参照.

その他

rATGは 2.5 (~3.75) mg/kgを5日間投与.
rATGの用量は2.5mg/kgが推奨されている.
CsAは5mg/kgをATG投与初日から開始.
CsA開始後速やかに血中濃度を測定し、 トラフ濃度150~250ng/mL、 内服2時間後濃度 (C2)≧600ng/mLとなるよう調節.
EPAGは、 保険診療上ATG投与後一定期間経過してから開始する必要がありday15からとしているが、 day1などの早期開始も考慮すべき (詳細は概要欄参照).
EPAGの代わりにロミプロスチム (ロミプレート®)の使用も可能.
G-CSFの使用に関しては概要欄を参照.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

RACE試験²⁾のATG+CsA+EPAG群 (B群) 96例より引用.

Grade3以上の有害事象をイベント数の多い順に記載.

  • 感染症 63イベント.
  • 血液リンパ系異常 33イベント.
  • 胃腸障害 24イベント.
  • 血管障害 10イベント.
  • 神経系障害 9イベント.
  • 呼吸器障害 9イベント.
  • 肝胆道系障害 7イベント.
  • 筋骨格系・結合組織障害 7イベント.
  • 心障害 6イベント.
  • 代謝栄養障害 6イベント.
  • 腎尿路系障害 6イベント.
  • 皮膚皮下組織障害 5イベント.

特徴と注意点

  • rATG:ウサギ抗胸腺細胞免疫グロブリン (サイモグロブリン®)
  • CsA:シクロスポリン (ネオーラル®)
  • EPAG:エルトロンボパグ (レボレード®)
  • ROMI:ロミプロスチム (ロミプレート®)

ATG+CsA+EPAGの適応¹⁾

  • 再生不良性貧血のステージ2b~5の症例.
  • 再生不良性貧血のステージ1及び2aでCsA開始後に血小板減少や貧血が進行し、 輸血が必要な症例.

ATG+CsA+EPAGの治療効果判定¹⁾

  • 治療効果判定は3ヵ月を目安に行う.
  • Late responderのこともあり6ヵ月までは無効と判断せずに経過を観察する.

各薬剤の特徴、用法・用量、主な副作用とその対策

ATG

  • 現在ウサギATG (サイモグロブリンⓇ)以外にウマATG (アトガム®)も使用可能となっている. 
  • ウサギATGは2.5~3.75 mg/kgを5日間投与. 2.5mg/kgが推奨されている.¹⁾
  • 日本、 韓国、 中国天津の国際共同前方視的比較試験により、 サイモグロブリンⓇの投与量は2.5mg/kgと3.5mg/kg間で有効率・生存率に差がないことが示された.³⁾ トロンボポエチン受容体作動薬を併用することによる上乗せ効果も期待できることから敢えて高用量のATGを投与する必然性に乏しいとされている.¹⁾
  • アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがある.
  • 生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、 6時間以上かけ緩徐に点滴静注.
  • ATGによるアレルギー予防のため、 ATG投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬及び、 メチルプレドニゾロン又はプレドニゾロン1-2mg/kg/日を併用する.
  • ステロイドの投与法.
  • 副作用ショック、 アナフィラキシー、 Infusion reaction、 血球減少、 感染症、 リンパ増殖性疾患、 進行性多巣性白質脳症、 間質性肺炎、 腎機能障害、 肝機能障害など.
  • ATG投与後1~2ヵ月はリンパ球減少のため、 真菌、 ニューモシスチス・イロヴェチ、 結核、 VZV、 CMVなどの感染症を起こしやすい. 抗菌薬、 抗真菌薬、 抗ウイルス薬の予防投与を考慮.
  • サイトメガロウイルス感染症やEBウイルス関連リンパ増殖性疾患の発症に注意.

CsA

  • CsAは5mg/kgをATGの投与初日から開始する.
  • CsA開始後速やかに血中濃度を測定する.
  • トラフ濃度が150~250ng/mL内服2時間後濃度 (C2) が600ng/mL以上となるよう調整
  • C2はAUCに最も良く相関する.
  • CsA内服は食後よりも食前とした方が高いC2が得られやすい.
  • 治療反応が得られた場合は血球上昇が一定に達した後に漸減・中止する.
  • CsAは血球数が回復傾向にある間は投与を続け、 血球数の上昇が頭打ちとなり、 3 ヶ月以上変化が見られない場合、 1mg/kg減量する. 3ヵ月経過をみて血球数の低下がみられない場合にはさらに同量を減量する.
  • CsA併用の効果は非重症例では確認されておらず、 stage3 よりも重症度の低い非重症例においては ATG 単剤でもよい可能性がある.
  • 副作用腎機能障害、 肝機能障害、 中枢神経系障害 (可逆性後白質脳症症候群、 高血圧性脳症など)、 感染症、 進行性多巣性白質脳症、 血栓性微小血管障害など.

EPAG

  • 経口可能なトロンボポエチン受容体の低分子アゴニスト (TPO-RA).
  • TPO受容体の活性化により骨髄幹細胞・前駆細胞・巨核球の分化・増殖を促進し、 多系統の血球増加を促す.
  • EPAGによる染色体異常陽性細胞の誘発リスクを考慮してEPAGを併用するか検討する.
  • ATGとの併用において、 EPAGは75mgを1日1回経口投与.
  • EPAGは保険診療上ATG投与後一定期間経過してから開始する必要がある. ATGによる肝機能障害がないことを確認した上でできるだけ早期から併用することが推奨されている.¹⁾ 従って、 Day15又はDay1にEPAGを開始するスケジュール画像を載せたがこの限りではない.
  • 食事の前後2時間を避けて空腹時に内服.
  • 制酸剤、 乳製品、 ミネラルサプリメント、 多価陽イオンを含む製剤との相互作用があるため、 EPAG服用前4時間および服用後2時間は摂取を避ける.
  • EPAGは少なくとも3ヵ月までは継続し、 CRであれば中止、 PR以下であれば同じ用量で6ヵ月まで継続. EPAG中止後に再発した場合は同量再開を検討.
・CR:Hb>10g/dL、 好中球数>1,000/mm³、 Plt>10万/mm³
・PR:重症再生不良性貧血の基準を満たさない、 輸血不要、 Hb>8g/dL、 好中球数>500/mm³、 Plt>2万/mm³.
  • 副作用肝機能障害、 血栓塞栓症、 骨髄線維化など.

ROMI

  • ヒト免疫グロブリンのFc領域にTPO様ペプチドを融合させた遺伝子組み換え融合タンパク.
  • TPO-RAの皮下注射製剤.
  • 2023年9月、 『再生不良性貧血』として適応追記.
  • CsA又は抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合は両薬剤と併用する.
  • 初回投与量10µg/kgを週1回皮下投与.
  • 用量調節時は1回 5µg/kgずつ調節し、 最高投与量は週1回 20µg/kg.
  • ATG+CsA+EPAGで治療導入し、 3ヵ月時点で網赤血球・血小板の増加を認めない場合はEPAGからROMIに切り替える.

その他

  • G-CSFの併用は推奨されない (感染症併発時に早急な好中球回復を得たい場合は考慮).¹⁾
  • メテノロンまたはダナゾール (保険適応外) の追加も可能.

臨床試験

RACE試験³⁾

概要

  • 海外多施設共同非盲検無作為化III相試験.
  • 対象:治療歴のない重症・最重症AA患者.
  • 介入:A群; ウマATG (40mg/kg、 4日間)+CsA (5mg/kg) vs B群; ウマATG (40mg/kg、4日間)+CsA (5mg/kg)+EPAG (150mg/日).
・ウマATG (リンフォグロブリンⓇ) は本邦において販売中止.
・ウサギATG (サイモグロブリンⓇ) は本邦において保険適用.
・EPAGの投与量は本邦と異なることに注意.
  • 評価項目:治療反応割合、 全奏効率など
  • Complete response (CR):Hb>10.0g/dL、 好中球>1,000/mm³、 Plt>10万/mm³ (輸血なし).

結果

  • 3ヵ月時点のCR率:A群 10% vs. B群 22%、 OR 3.2 (95%CI 1.3-7.8、 p=0.01).
  • 6ヵ月時点の全奏効率:A群 41% vs B群 68%.
  • 初回奏効が得られるまでの期間 (中央値):A群 8.8ヶ月 vs B群 3.0ヶ月.
  • 2年時点の核型異常:A群 1例 (monosomy 7) vs B群 2例 (del(13q)).
  • 6ヵ月時点の体細胞変異:A群 66% vs B群 55%.
  • 2年無イベント生存率:A群 34% (95%CI 24-44) vs B群 46% (95%CI 36-57).

参考文献

  1. 再生不良性貧血診療の参照ガイド 令和1年改訂版
  2. N Engl J Med. 2022 Jan 6;386(1):11-23.
  3. Br J Haematol. 2019 Oct;187(2):227-237.

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🔢 網赤血球産生指標(RPI)

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最終更新:2024年1月3日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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