本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
主な有害事象
JCOG9801試験¹⁾より引用
骨髄抑制
- 好中球減少症 (Grade4 98%)
- 血小板減少症 (Grade4 74%)
主な有害事象
- 感染症 (≧Grade3 32%)
- 高血糖 (≧Grade3 13%)
- 低K血症 (≧Grade3 12%)
- ALT増加 (≧Grade3 11%)
その他重要な有害事象
- 口内炎 (≧Grade3 7%)
- 低Na血症 (≧Grade3 5%)
- 呼吸困難 (≧Grade3 7%)
- 総ビリルビン増加 (≧Grade3 5%)
- 神経障害 (≧Grade3 2%)
- 治療関連死 (3%)
特徴と注意点
- 初発アグレッシブATLに対し最も推奨される治療法.²⁾
- JCOG9801試験は70歳未満を対象とした試験である点に注意.
- ニューモシスチス肺炎予防のため、 ST 合剤投与を推奨.
- HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.
- mLSG15にモガムリズマブを併用するレジメンも承認されている。
その場合、CR率は高まる一方、 毒性も増強することが報告されている.
特に、移植前患者ではモガムリズマブ投与は,GVHD関連死のリスクが高まるため、慎重に判断²⁾ .
副作用と対策
- Grade 2の神経毒性が出現した場合、 ビンクリスチンの投与量を50%に減量.
- Grade 3の神経毒性が出現した場合、 ビンクリスチンの投与は中止.
- シクロホスファミド投与時は水分摂取励行・利尿により出血性膀胱炎のリスクを軽減する.
- アドリアマイシンには非可逆的な心毒性があり、 累積投与量は500mg/m²が上限.
- カルボプラチン (Carboplatin: CBDCA) 投与量算出にはCalvert 式を用い、5 mg・hr/Lを目標とする.
- 腎機能低下を認めた場合、 CBDCAの投与量を減量する.
関連する臨床試験の結果
概要
- 多施設共同ランダム化非盲検第3相試験
- 対象:70歳未満の初発アグレッシブATLL患者118例
- 介入群:VCAP-AMP-VECP (mLSG15)療法
- 対照群:Bi-CHOP療法
- 主要評価項目:OS
- 副次評価項目:PFS、 CR割合、 有害事象
Bi-CHOP療法: 隔週CHOP療法
OS:全生存期間、 PFS:無増悪生存期間、 CR:完全奏効
結果
- 3年OS率:VCAP-AMP-VECP群 24% vs Bi-CHOP 群 13% (p=0.085).
- 1年PFS率:VCAP-AMP-VECP群 28% vs Bi-CHOP群 16% (p=0.100).
参考文献
- J Clin Oncol. 2007 Dec 1;25(34):545864.
- 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン
最終更新:2024年3月29日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔