治療スケジュール
概要
監修医師

Ramucirumab:ラムシルマブ(サイラムザ®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース14日間。
レジメン
Ramucirumab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

サイラムザ® (添付文書/適正使用情報)

*日本イーライリリーの外部サイトへ遷移します

用法用量

投与開始基準

REACH-2試験¹⁾より抜粋

局所療法に抵抗性または不適応な肝細胞癌で、 以前にソラフェニブを投与されたことがあり、 進行または不耐容のため中止したPS0~1の18歳以上の患者

減量・中止基準

主な有害事象

REACH-2試験¹⁾

国際的に実施した試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 11.2% (3.0%)
  • 血中ビリルビン増加 10.7% (3.6%)
  • 貧血 8.6% (2.5%)
  • 好中球数減少 6.1% (2.0%)
  • 疲労 27.4% (3.6%)
  • 食欲減退 23.4% (1.5%)
  • 腹痛 19.8% (1.5%)
  • 悪心 18.8% (0%)
  • 下痢 16.2% (0%)
  • 便秘 13.7% (0.5%)
  • 嘔吐 10.2% (0%)
  • 発熱 10.2% (0%)
  • 体重減少 9.6% (0%)
  • 倦怠感 7.1% (0%)
  • 腹部膨満 7.6% (0%)
  • 上腹部痛 5.1% (0.5%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 24.4% (12.2%)
  • 蛋白尿 20.3% (2.0%)
  • 腹水 17.8% (4.1%)

上手に使うためのワンポイント

  • REACH-2試験¹⁾において、 ラムシルマブ群は副作用として高血圧が見られやすく、 また腹水も報告されている。 これはVEGF-2を阻害するため肝臓血管系に作用して門脈圧亢進にも影響するためと考察されている。 それに関連して肝性脳症も報告されていることにも注意を払う必要がある。 
  • またVEGF阻害作用のあるレジメンであるため蛋白尿が出現しやすく、治療中は尿蛋白のモニタリングが必要である。

特徴と注意点

  • 本レジメンは切除不能肝細胞癌に対するソラフェニブ後の二次治療として承認された。 Child-Pugh分類AかつAFP400ng/mL以上が適応とされる抗VEGF-2抗体で、 2週間ごとの点滴治療である。
  • REACH-2試験¹⁾において奏効率は4.6%と低いが病勢制御率は59.9%で、 治療強度はプラセボ群の99.8%に対してラムシルマブ97.9%と良好な認容性が報告されている。
  • 初回投与に対する主な注意点として尿蛋白1+以下、 コントロール不良な高血圧が無いこと、 血栓塞栓症やその既往がないこと、 出血リスクの高い病態でないことなどが挙げられている。

関連する臨床試験|REACH-2試験¹⁾

ソラフェニブ投与歴のあるAFP≧400ng/mLの進行肝細胞癌患者において、 ラムシルマブの効果を、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験REACH-2の結果より、 全生存期間 (OS) における有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • ラムシルマブ群:8.5ヵ月
(95%CI 7.0-10.6ヵ月)
  • プラセボ群:7.3ヵ月
(95%CI 5.4-9.1ヵ月)
HR 0.710 (95%CI 0.531-0.949)、 p=0.0199

PFS中央値

  • ラムシルマブ群:2.8ヵ月
(95%CI 2.8-4.1ヵ月)
  • プラセボ群:1.6ヵ月
(95%CI 1.5-2.7ヵ月)
HR 0.452 (95%CI 0.339-0.603)、 p<0.0001

TTP中央値

  • ラムシルマブ群:3.0ヵ月
(95%CI 2.8-4.2ヵ月)
  • プラセボ群:1.6ヵ月
(95%CI 1.5-2.7ヵ月)
HR 0.427 (95%CI 0.313-0.582)、 p<0.0001

ORR

  • ラムシルマブ群:4.6%
(95%CI 1.7-7.5%)
  • プラセボ群:1.1%
(95%CI 0.0-3.1%)
p=0.1697

病勢コントロール率

  • ラムシルマブ群:59.9%
(95%CI 53.1-66.7%)
  • プラセボ群:38.9%
(95%CI 29.1-48.8%)
p=0.0006

患者報告アウトカム (FHSI-8スコア悪化までの期間中央値)

  • ラムシルマブ群:3.7ヵ月
(95%CI 2.8-4.4ヵ月)
  • プラセボ群:2.8ヵ月
(95%CI 1.6-2.9ヵ月)
HR 0.799 (95%CI 0.545-1.171)、 p=0.238

参考文献

  1. Ramucirumab versus placebo as second-line treatment in patients with advanced hepatocellular carcinoma following first-line therapy with sorafenib (REACH): a randomised, double-blind, multicentre, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2015 Jul;16(7):859-70. PMID: 26095784
最終更新日:2023年11月15日
執筆医:愛媛県立中央病院 消化器内科主任部長 平岡淳先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
Ramucirumab
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Ramucirumab
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Ramucirumab

ラムシルマブ (サイラムザ®)
2023年11月15日更新

Ramucirumab:ラムシルマブ(サイラムザ®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1~Day1

その他

1コース14日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

サイラムザ® (添付文書/適正使用情報)

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用法用量

投与開始基準

REACH-2試験¹⁾より抜粋

局所療法に抵抗性または不適応な肝細胞癌で、 以前にソラフェニブを投与されたことがあり、 進行または不耐容のため中止したPS0~1の18歳以上の患者

減量・中止基準

主な有害事象

REACH-2試験¹⁾

国際的に実施した試験の有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 血小板数減少 11.2% (3.0%)
  • 血中ビリルビン増加 10.7% (3.6%)
  • 貧血 8.6% (2.5%)
  • 好中球数減少 6.1% (2.0%)
  • 疲労 27.4% (3.6%)
  • 食欲減退 23.4% (1.5%)
  • 腹痛 19.8% (1.5%)
  • 悪心 18.8% (0%)
  • 下痢 16.2% (0%)
  • 便秘 13.7% (0.5%)
  • 嘔吐 10.2% (0%)
  • 発熱 10.2% (0%)
  • 体重減少 9.6% (0%)
  • 倦怠感 7.1% (0%)
  • 腹部膨満 7.6% (0%)
  • 上腹部痛 5.1% (0.5%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 24.4% (12.2%)
  • 蛋白尿 20.3% (2.0%)
  • 腹水 17.8% (4.1%)

上手に使うためのワンポイント

  • REACH-2試験¹⁾において、 ラムシルマブ群は副作用として高血圧が見られやすく、 また腹水も報告されている。 これはVEGF-2を阻害するため肝臓血管系に作用して門脈圧亢進にも影響するためと考察されている。 それに関連して肝性脳症も報告されていることにも注意を払う必要がある。 
  • またVEGF阻害作用のあるレジメンであるため蛋白尿が出現しやすく、治療中は尿蛋白のモニタリングが必要である。

特徴と注意点

  • 本レジメンは切除不能肝細胞癌に対するソラフェニブ後の二次治療として承認された。 Child-Pugh分類AかつAFP400ng/mL以上が適応とされる抗VEGF-2抗体で、 2週間ごとの点滴治療である。
  • REACH-2試験¹⁾において奏効率は4.6%と低いが病勢制御率は59.9%で、 治療強度はプラセボ群の99.8%に対してラムシルマブ97.9%と良好な認容性が報告されている。
  • 初回投与に対する主な注意点として尿蛋白1+以下、 コントロール不良な高血圧が無いこと、 血栓塞栓症やその既往がないこと、 出血リスクの高い病態でないことなどが挙げられている。

関連する臨床試験|REACH-2試験¹⁾

ソラフェニブ投与歴のあるAFP≧400ng/mLの進行肝細胞癌患者において、 ラムシルマブの効果を、 プラセボを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験REACH-2の結果より、 全生存期間 (OS) における有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

OS中央値

  • ラムシルマブ群:8.5ヵ月
(95%CI 7.0-10.6ヵ月)
  • プラセボ群:7.3ヵ月
(95%CI 5.4-9.1ヵ月)
HR 0.710 (95%CI 0.531-0.949)、 p=0.0199

PFS中央値

  • ラムシルマブ群:2.8ヵ月
(95%CI 2.8-4.1ヵ月)
  • プラセボ群:1.6ヵ月
(95%CI 1.5-2.7ヵ月)
HR 0.452 (95%CI 0.339-0.603)、 p<0.0001

TTP中央値

  • ラムシルマブ群:3.0ヵ月
(95%CI 2.8-4.2ヵ月)
  • プラセボ群:1.6ヵ月
(95%CI 1.5-2.7ヵ月)
HR 0.427 (95%CI 0.313-0.582)、 p<0.0001

ORR

  • ラムシルマブ群:4.6%
(95%CI 1.7-7.5%)
  • プラセボ群:1.1%
(95%CI 0.0-3.1%)
p=0.1697

病勢コントロール率

  • ラムシルマブ群:59.9%
(95%CI 53.1-66.7%)
  • プラセボ群:38.9%
(95%CI 29.1-48.8%)
p=0.0006

患者報告アウトカム (FHSI-8スコア悪化までの期間中央値)

  • ラムシルマブ群:3.7ヵ月
(95%CI 2.8-4.4ヵ月)
  • プラセボ群:2.8ヵ月
(95%CI 1.6-2.9ヵ月)
HR 0.799 (95%CI 0.545-1.171)、 p=0.238

参考文献

  1. Ramucirumab versus placebo as second-line treatment in patients with advanced hepatocellular carcinoma following first-line therapy with sorafenib (REACH): a randomised, double-blind, multicentre, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2015 Jul;16(7):859-70. PMID: 26095784
最終更新日:2023年11月15日
執筆医:愛媛県立中央病院 消化器内科主任部長 平岡淳先生
監修医:神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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