日本頭頸部癌学会からの要望を受け、 ゲムシタビン塩酸塩の 「再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌」 は、 2026年1月29日に薬事審議会における公知申請に係る事前評価が終了し、 同日から保険適用の対象となった。 その後、 同年8月24日に承認事項一部変更承認を取得した。 
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ゲムシタビン (GEM) : 添付文書¹⁾

シスプラチン (CDDP) : 添付文書²⁾

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】高度³⁾ (NCCN : 高度⁴⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*
*GEM20110714試験⁵⁾のFN発生率1.1%に基づき、 編集部が分類

GEM : 3週間を1サイクルとして、 1回1,000mg/m²をDay 1、 8に30分かけて点滴静注する¹⁾⁷⁾。

CDDP : 3週間を1サイクルとして、 1回80mg/m²をDay 1に点滴静注し、 最大6サイクル繰り返す⁵⁾⁷⁾。

Key Data|臨床試験結果

📊 GEM20110714試験

Lancet. 2016;388(10054):1883-92.

再発・転移上咽頭癌に対する1次治療として、 GP療法 (GEM+CDDP) をPF療法 (5-FU+CDDP) と比較した中国22施設の第Ⅲ相無作為化比較試験。 GP群181例、 PF群181例の1:1に割付け、 主要評価項目はPFS、 副次評価項目は奏効割合、 病勢制御割合、 安全性、 OSとされた。 

【有効性】GP群 (vs PF群)

- PFS中央値 : 7.0ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • HR 0.55 (95%CI 0.44–0.68、 p<0.0001)

- OS中央値 : 29.1ヵ月 (vs 20.9ヵ月)

  • HR 0.62 (95%CI 0.45–0.84、 p=0.0025)

- 奏効割合 : 64% (vs 42%)

- 病勢制御割合 : 90% (vs 86%)

  • CR : 8% (vs 3%)
  • PR : 56% (vs 39%)
  • SD : 25% (vs 44%)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 白血球減少 74% (29%)

- 好中球減少 66% (23%)

- 貧血 77% (4%)

- 血小板減少 31% (13%)

- ALT増加 21% (2%)

- AST増加 16% (2%)

- 粘膜炎症 1% (0%)

- 疲労 11% (1%)

- 体重減少 23% (1%)

- 食欲減退 22% (2%)

- 悪心 23% (2%)

- 嘔吐 10% (2%)

各プロトコル

適格基準

GEM20110714試験⁵⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 白血球数≧4,000/μL

- 好中球数≧2,000/μL

- 血小板数≧10万/μL

- Hb≧9.0g/dL

- 肝機能 : AST/ALT<2.5×ULN、 T-Bil<1.5×ULN

- 腎機能 : CrCl>60mL/min (Cockcroft-Gault式)

用量レベル

GEM20110714試験⁵⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

GEM : 腎機能低下や透析時の減量は原則不要。 ただし、 代謝産物dFdUは腎機能低下時に蓄積しやすく、 皮膚障害などの有害事象が増える可能性があるため注意⁶⁾

CDDP : 重篤な腎障害例への投与は禁忌²⁾

GEM20110714試験⁵⁾では、 適格基準をCrCl>60mL/minとし、 治療開始後もCrClに基づく減量基準 (後述) を設けていたことに留意。

- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない⁶⁾

- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量⁶⁾

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

投与延期・再開の目安⁵⁾ :

Day 8のGEMは、 好中球減少時 (重症度の規定なし) に減量投与または回復まで延期できる。延期は最大5日間とし、 回復しない場合は投与を中止する。CDDPは各サイクル前のCrCl (Cockcroft–Gault式) に基づき、 以下のとおり調整する。

GEM20110714試験⁵⁾のプロトコルを基に編集部作成

GP療法 : Grade 3または4の血液毒性・非血液毒性では治療を中断する⁵⁾。 Grade 2未満に回復後、 GEMを直前の毒性発現時用量の80%で再開できる。 延期が2週間を超える場合は治療を中止する⁵⁾。

なお、 ゲムシタビン電子添文では、 投与当日の白血球数<2,000/μLまたは血小板数<7万/μLでは、 骨髄機能の回復まで投与を延期すると明記されている¹⁾。

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️ゲムシタビン (GEM) は上咽頭癌に対する有用な治療選択肢の1つであるが、 長らく本邦では保険適用外であった。 2026年1月29日に公知申請が了承され、 同年8月に電子添文へ上咽頭癌の効能・効果が追加された。 これにより、 本邦でも再発・転移上咽頭癌に対し、 ゲムシタビン+シスプラチン (GP) 療法およびGEM単剤療法が使用可能となった。 プラチナ製剤感受性の再発・転移上咽頭癌を対象とした無作為化比較試験では、 GP+抗PD-1抗体療法のGP療法に対する優越性が示されている。 最新版のNCCNガイドラインでは、 GP+toripalimabが推奨レジメンに位置付けられているが、 GP療法への抗PD-1抗体併用はいずれも現時点で本邦では適応外であることに注意を要する。 最新情報として、 2026年8月24日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、 RATIONALE-309試験の結果に基づく再発・転移上咽頭癌へのGP+チスレリズマブ療法の適応拡大が了承された。 本邦でも近い将来、 GP+チスレリズマブ療法が使用可能となる見込みである。 
国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇

作用機序の特徴

GEM : 細胞内でdFdCDPおよびdFdCTPに代謝され、 DNA合成を直接・間接的に阻害して殺細胞作用を示す。 dFdCTPはDNA鎖への取り込み後にアポトーシスを誘発し、 dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼ阻害を介して細胞内dCTP濃度を低下させる¹⁾。

CDDP : 癌細胞内のDNAと結合し、 DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられている²⁾。

レジメン適用時の注意事項

ゲムシタビン®電子添文¹⁾ 「重要な基本的注意」 の要約

病態進行時の対応 : 腫瘍の明らかな増大、 新病変の出現等の病態進行が認められた場合は投与を中止し、 他の適切な治療法に切り替える。

重篤な副作用の観察 : 骨髄抑制、 間質性肺炎等の重篤な副作用が起こり、 ときに致命的な経過をたどることがあるため、 臨床症状を十分に観察し、 頻回に臨床検査 (血液学的検査、 肝機能検査、 腎機能検査等) を、 定期的に胸部X線検査を行う。

骨髄抑制 : 白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、 投与当日の白血球数が2,000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば骨髄機能が回復するまで投与を延期する。 前治療により骨髄機能が低下している患者では骨髄抑制が強くあらわれることがあるため、 投与量を適宜減量し臨床検査値に十分注意する。

間質性肺炎等の肺毒性 : 臨床症状 (呼吸状態、 咳及び発熱等の有無) を十分に観察し、 定期的に胸部X線検査を行う。 必要に応じて胸部CT検査、 動脈血酸素分圧 (PaO2)、 肺胞気動脈血酸素分圧較差 (A-aDO2)、 肺拡散能力 (DLco) 等の検査を行う。

感染症 : 感染症の発現又は増悪に十分注意する。

自動車の運転等 : 傾眠が認められることがあるため、 症状が発現しないことが確認されるまで自動車の運転等は行わないよう注意する。

シスプラチン®電子添文²⁾ 「重要な基本的注意」 の要約

消化器症状 : 悪心・嘔吐、 食欲不振等の消化器症状がほとんど全例に起こるため、 患者の状態を十分に観察し適切な処置を行う。

重篤な副作用の観察 : 腎障害、 骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるため、 頻回に臨床検査 (腎機能検査、 血液検査、 肝機能検査等) を行うなど患者の状態を十分に観察する。 長期間の使用では副作用が強くあらわれ遷延性に推移することがあるため慎重に投与する。 フロセミドによる強制利尿を行う場合は腎障害、 聴器障害が増強されることがあるため、 輸液等による水分補給を十分行う。

感染症・出血傾向 : 感染症、 出血傾向の発現又は増悪に十分注意する。

G-CSF製剤等の使用 : G-CSF製剤等の適切な使用についても考慮する。

聴器障害 : 投与量の増加に伴い聴器障害の発現頻度が高くなり、 特に1日投与量80mg/m²以上、 総投与量300mg/m²超でその傾向が顕著となるため十分な観察を行い投与する。

高血糖・糖尿病の悪化 : 高血糖、 糖尿病の悪化があらわれることがあるため、 血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行う。

出典

1) 日本化薬株式会社. ゲムシタビン点滴静注液200mg/5mL 「NK」 /1g/25mL 「NK」 ® 電子添文 (2026年8月改訂 第5版)

2) 日医工ファーマ株式会社. シスプラチン点滴静注10mg/25mg/50mg 「マルコ」 ® 電子添文 (2025年9月改訂 第2版)

3) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版

4) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 1.2026 — April 3, 2026.

5) Lancet. 2016;388 (10054):1883-92.

6) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.

7) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議. 公知申請への該当性に係る報告書 ゲムシタビン塩酸塩 (上咽頭癌) 要望番号 IV-122 (第59回検討会議 令和6年7月5日)

最終更新日 : 2026年8月27日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
執筆協力 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇
監修 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 加藤健

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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GEM+CDDP

ゲムシタビン+シスプラチン
上咽頭癌 (WHO type I/II/III) > 再発・転移
2026年08月31日更新
日本頭頸部癌学会からの要望を受け、 ゲムシタビン塩酸塩の 「再発又は遠隔転移を有する上咽頭癌」 は、 2026年1月29日に薬事審議会における公知申請に係る事前評価が終了し、 同日から保険適用の対象となった。 その後、 同年8月24日に承認事項一部変更承認を取得した。 
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

ゲムシタビン (GEM) : 添付文書¹⁾

シスプラチン (CDDP) : 添付文書²⁾

投与スケジュール

【1コース】21日間
【催吐性】高度³⁾ (NCCN : 高度⁴⁾)
【FN発症】低リスク (<10%)*
*GEM20110714試験⁵⁾のFN発生率1.1%に基づき、 編集部が分類

GEM : 3週間を1サイクルとして、 1回1,000mg/m²をDay 1、 8に30分かけて点滴静注する¹⁾⁷⁾。

CDDP : 3週間を1サイクルとして、 1回80mg/m²をDay 1に点滴静注し、 最大6サイクル繰り返す⁵⁾⁷⁾。

Key Data|臨床試験結果

📊 GEM20110714試験

Lancet. 2016;388(10054):1883-92.

再発・転移上咽頭癌に対する1次治療として、 GP療法 (GEM+CDDP) をPF療法 (5-FU+CDDP) と比較した中国22施設の第Ⅲ相無作為化比較試験。 GP群181例、 PF群181例の1:1に割付け、 主要評価項目はPFS、 副次評価項目は奏効割合、 病勢制御割合、 安全性、 OSとされた。 

【有効性】GP群 (vs PF群)

- PFS中央値 : 7.0ヵ月 (vs 5.6ヵ月)

  • HR 0.55 (95%CI 0.44–0.68、 p<0.0001)

- OS中央値 : 29.1ヵ月 (vs 20.9ヵ月)

  • HR 0.62 (95%CI 0.45–0.84、 p=0.0025)

- 奏効割合 : 64% (vs 42%)

- 病勢制御割合 : 90% (vs 86%)

  • CR : 8% (vs 3%)
  • PR : 56% (vs 39%)
  • SD : 25% (vs 44%)

【安全性】主な有害事象 : 全Grade (Grade≧3)

- 白血球減少 74% (29%)

- 好中球減少 66% (23%)

- 貧血 77% (4%)

- 血小板減少 31% (13%)

- ALT増加 21% (2%)

- AST増加 16% (2%)

- 粘膜炎症 1% (0%)

- 疲労 11% (1%)

- 体重減少 23% (1%)

- 食欲減退 22% (2%)

- 悪心 23% (2%)

- 嘔吐 10% (2%)

各プロトコル

適格基準

GEM20110714試験⁵⁾の主な適格基準

- 18歳以上

- ECOG PS 0–1

- 白血球数≧4,000/μL

- 好中球数≧2,000/μL

- 血小板数≧10万/μL

- Hb≧9.0g/dL

- 肝機能 : AST/ALT<2.5×ULN、 T-Bil<1.5×ULN

- 腎機能 : CrCl>60mL/min (Cockcroft-Gault式)

用量レベル

GEM20110714試験⁵⁾のプロトコルを基に編集部作成

腎障害患者に対する用量調整

GEM : 腎機能低下や透析時の減量は原則不要。 ただし、 代謝産物dFdUは腎機能低下時に蓄積しやすく、 皮膚障害などの有害事象が増える可能性があるため注意⁶⁾

CDDP : 重篤な腎障害例への投与は禁忌²⁾

GEM20110714試験⁵⁾では、 適格基準をCrCl>60mL/minとし、 治療開始後もCrClに基づく減量基準 (後述) を設けていたことに留意。

- CrCl 46~60mL/minでは75%、 31~45mL/minでは50%に減量し、 CrCl≦30mL/minでは投与を推奨しない⁶⁾

- 別の報告 : CrCl 30~49mL/minでは75%、 10~29mL/minでは投与が必要な場合に75%、 CrCl<10mL/minでは投与が必要な場合に50%に減量⁶⁾

有害事象発現時の減量・休薬・中止基準

投与延期・再開の目安⁵⁾ :

Day 8のGEMは、 好中球減少時 (重症度の規定なし) に減量投与または回復まで延期できる。延期は最大5日間とし、 回復しない場合は投与を中止する。CDDPは各サイクル前のCrCl (Cockcroft–Gault式) に基づき、 以下のとおり調整する。

GEM20110714試験⁵⁾のプロトコルを基に編集部作成

GP療法 : Grade 3または4の血液毒性・非血液毒性では治療を中断する⁵⁾。 Grade 2未満に回復後、 GEMを直前の毒性発現時用量の80%で再開できる。 延期が2週間を超える場合は治療を中止する⁵⁾。

なお、 ゲムシタビン電子添文では、 投与当日の白血球数<2,000/μLまたは血小板数<7万/μLでは、 骨髄機能の回復まで投与を延期すると明記されている¹⁾。

レジメンの特徴と注意点

🧑‍⚕️ゲムシタビン (GEM) は上咽頭癌に対する有用な治療選択肢の1つであるが、 長らく本邦では保険適用外であった。 2026年1月29日に公知申請が了承され、 同年8月に電子添文へ上咽頭癌の効能・効果が追加された。 これにより、 本邦でも再発・転移上咽頭癌に対し、 ゲムシタビン+シスプラチン (GP) 療法およびGEM単剤療法が使用可能となった。 プラチナ製剤感受性の再発・転移上咽頭癌を対象とした無作為化比較試験では、 GP+抗PD-1抗体療法のGP療法に対する優越性が示されている。 最新版のNCCNガイドラインでは、 GP+toripalimabが推奨レジメンに位置付けられているが、 GP療法への抗PD-1抗体併用はいずれも現時点で本邦では適応外であることに注意を要する。 最新情報として、 2026年8月24日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、 RATIONALE-309試験の結果に基づく再発・転移上咽頭癌へのGP+チスレリズマブ療法の適応拡大が了承された。 本邦でも近い将来、 GP+チスレリズマブ療法が使用可能となる見込みである。 
国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇

作用機序の特徴

GEM : 細胞内でdFdCDPおよびdFdCTPに代謝され、 DNA合成を直接・間接的に阻害して殺細胞作用を示す。 dFdCTPはDNA鎖への取り込み後にアポトーシスを誘発し、 dFdCDPはリボヌクレオチドレダクターゼ阻害を介して細胞内dCTP濃度を低下させる¹⁾。

CDDP : 癌細胞内のDNAと結合し、 DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられている²⁾。

レジメン適用時の注意事項

ゲムシタビン®電子添文¹⁾ 「重要な基本的注意」 の要約

病態進行時の対応 : 腫瘍の明らかな増大、 新病変の出現等の病態進行が認められた場合は投与を中止し、 他の適切な治療法に切り替える。

重篤な副作用の観察 : 骨髄抑制、 間質性肺炎等の重篤な副作用が起こり、 ときに致命的な経過をたどることがあるため、 臨床症状を十分に観察し、 頻回に臨床検査 (血液学的検査、 肝機能検査、 腎機能検査等) を、 定期的に胸部X線検査を行う。

骨髄抑制 : 白血球数及び血小板数の変動に十分留意し、 投与当日の白血球数が2,000/μL未満又は血小板数が7万/μL未満であれば骨髄機能が回復するまで投与を延期する。 前治療により骨髄機能が低下している患者では骨髄抑制が強くあらわれることがあるため、 投与量を適宜減量し臨床検査値に十分注意する。

間質性肺炎等の肺毒性 : 臨床症状 (呼吸状態、 咳及び発熱等の有無) を十分に観察し、 定期的に胸部X線検査を行う。 必要に応じて胸部CT検査、 動脈血酸素分圧 (PaO2)、 肺胞気動脈血酸素分圧較差 (A-aDO2)、 肺拡散能力 (DLco) 等の検査を行う。

感染症 : 感染症の発現又は増悪に十分注意する。

自動車の運転等 : 傾眠が認められることがあるため、 症状が発現しないことが確認されるまで自動車の運転等は行わないよう注意する。

シスプラチン®電子添文²⁾ 「重要な基本的注意」 の要約

消化器症状 : 悪心・嘔吐、 食欲不振等の消化器症状がほとんど全例に起こるため、 患者の状態を十分に観察し適切な処置を行う。

重篤な副作用の観察 : 腎障害、 骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるため、 頻回に臨床検査 (腎機能検査、 血液検査、 肝機能検査等) を行うなど患者の状態を十分に観察する。 長期間の使用では副作用が強くあらわれ遷延性に推移することがあるため慎重に投与する。 フロセミドによる強制利尿を行う場合は腎障害、 聴器障害が増強されることがあるため、 輸液等による水分補給を十分行う。

感染症・出血傾向 : 感染症、 出血傾向の発現又は増悪に十分注意する。

G-CSF製剤等の使用 : G-CSF製剤等の適切な使用についても考慮する。

聴器障害 : 投与量の増加に伴い聴器障害の発現頻度が高くなり、 特に1日投与量80mg/m²以上、 総投与量300mg/m²超でその傾向が顕著となるため十分な観察を行い投与する。

高血糖・糖尿病の悪化 : 高血糖、 糖尿病の悪化があらわれることがあるため、 血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行う。

出典

1) 日本化薬株式会社. ゲムシタビン点滴静注液200mg/5mL 「NK」 /1g/25mL 「NK」 ® 電子添文 (2026年8月改訂 第5版)

2) 日医工ファーマ株式会社. シスプラチン点滴静注10mg/25mg/50mg 「マルコ」 ® 電子添文 (2025年9月改訂 第2版)

3) 日本癌治療学会編. 制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版. 金原出版

4) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Antiemesis. Version 1.2026 — April 3, 2026.

5) Lancet. 2016;388 (10054):1883-92.

6) 日本腎臓学会、 日本癌治療学会、 日本臨床腫瘍学会、 日本腎臓病薬物療法学会編 : がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2022. ライフサイエンス出版.

7) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議. 公知申請への該当性に係る報告書 ゲムシタビン塩酸塩 (上咽頭癌) 要望番号 IV-122 (第59回検討会議 令和6年7月5日)

最終更新日 : 2026年8月27日
執筆 : HOKUTO編集部 がん専門・指導薬剤師
執筆協力 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 本間義崇
監修 : 国立がん研究センター中央病院 頭頸部・食道内科 加藤健

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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